PIXER

2014年07月30日

あの頃のPIXER日記 キレ味よかった編

20140723先日の「UP/カールじいさんの空飛ぶ家」に引き続きPIXERがキレ味鋭かった頃の2作品を振り返り…先ずは2004年の「Mr.インクレディブル」

以前は日本アニメが大好物で海外の作品はまったく興味がなかったのだけど、これを見てから触覚が動き出したわ…ストーリーが面白い…スーパーヒーローが世界の平和を守る勧善懲悪の単純なお話ではないの。

ヒーローを取り巻く厳しい現実、人間関係などがきっちり描かれていて考えさせられちゃう。正義の味方なら人助けは当然なのだけど、自殺を望む人間を助けた事で訴えられたり、そのせいで仕事を失い保険会社に勤務したけど顧客より利益を重んじる会社に嫌気が差してしまったり...人間臭さが良くでてるわ。

そして面白いのは、悪役がかつて彼に憧れて成長した少年という設定ね。歪んだ愛情が少年を悪の化身に変えてしまったというのも実に興味深いわ。

テーマは「家族愛」と思われるけど、様々な愛の要素が含まれているの。更に驚かされたのはキャラクターの表情と動き...実際の俳優さんでもこれだけの演技が出来る人っているのかしら~と思う程の表現力!そして髪の毛1本1本の動き、エンドロールのクレジットの出し方まで手を抜いていない!!…最近のマーベル系に通じるものがあるわね。

次は2007年「レミーのおいしいレストラン」…進化し続ける映像は、最早タブーの域まで行ったのではないかしら…人物の細やかな表情や細かいディテールは毎度の事ながら素晴らしいけど、特に驚かされたのは食べ物の質感!

とろっとした液体の粘着感、茹でる前のパスタの固さ、卵焼きのふんわり感…視覚的な表現だけで、味覚や食感をこれほどまでに表せてしまうというのはお見事と言うしかないわ!!ストーリーは、料理好きなネズミのレミーは仲間とはぐれ、偶然にも尊敬していた料理人の店に辿り着くの。そこでのろまな見習いシェフのリングイニと出会い、彼の料理の手伝いをする事に。

レミーの卓越した料理のセンスのお陰で店は予約で一杯、リングイニは時の人となるけど、彼に疑いを持つ料理長は真実を暴こうと執拗に追ってくるし、店の存続の運命を握る辛口評論家はやってくるし、従業員は辞めて行くし…窮地に立たされた2人の運命は!?…スピーディな展開なのだけど、小気味よいテンポで進行していくからどのシーンも見ごたえ十分。

端役の人物がスパイス的な役割を果たし、遊び心も満載。きっと"切れがいい"のはこんな風に細部にまで気が行き届いているからなのかもしれない。レミーはネズミであるけど、只残飯を食べればいいという父や他のネズミとは違い、食について独自の哲学が有るの。そんな彼の作った「ラタトゥーユ」が辛口評論家の冷たく閉ざされた心を、彼の信念が父親の心を動かしたのよ。

両作品ともに信念、親子愛、偏見と様々なテーマが盛り込まれていたけど、嫌味もなく、押しつけ感もなく、とてもナチュラルに心に入って来る脚本がお見事です。

元々、PIXERとディズニーは相性が悪く、ディズニー傘下になった事で企業文化の違いが落ち着いていたのだけど、どうも、近年計画全体にディズニー社の意向が最近強く繁栄されてるようで、発表される作品の傾向にキレ味が感じられなくて、「カーズ」系とかのシリーズに力を入れ始め、昔のようにあっと思わせる背景がなくなってきてる。

ここは是非PIXERに奮起してもらうべく、この2作品をピックアップしてみました。蘇れPIXER!!!

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2014年07月29日

カールじいさんの空飛ぶ家日記 冒頭に涙!編

20140720ピクサー2009年作品「UP/カールじいさんの空飛ぶ家」…当時予告編を見た時からずっと気になっていたのよね…なにせ主人公は、おじいちゃんとおデブの子供の大好きな設定なんですもの!



妻との思い出が詰まった家を立ち退かなくてはいけなくなった頑固じじいのカール…窮地に追い込まれた彼は、大量の風船を使って家を飛ばし夫婦で夢見た伝説の滝"パラダイス・フォール"に向かうの。たまたま家に紛れ込んでいたボーイスカウトのラッセル少年も同行することになり・・というお話。



冒頭、カール少年が愛する妻と知り合ってから妻を看取るまで、全く台詞なしでカール夫婦の結婚生活が描かれているのだけど、ここが実にお見事!キャラクターの細やかな表情や動きで、背景や時間経過が表現されているのよ。ピクサーの得意とする部分よね!迂闊にもその冒頭の部分でぼろぼろ泣いてしまったわ。



主人公のカールじいさんがラッセルのひたむきさに凝り固まった心を開いていくという展開は王道ながら良かったし、亡き妻への愛がとにかく全編通して痛いほど感じらて良かったわ。うちのスタッフ曰く、この作品は「ラブリーボーン」とテーマが同じかもとか・・思い出の家に執着し己を現世に"自縛"したじいさんが、家を手放すことでラッセルとの楽しい未来を手にし"解放"されるという部分よ。愛が基本なのよね。



確かに人間は新たな第一歩を踏み出す為、過去の遺物は捨て去るわよね。そういう意味合いでもこの映画は"アップ"なのかもしれないわね。

ところで、PIXERがディズニー社の傘下になってから、どうも勢いを失ってる感じがするのですが、気のせいでしょうか?「ブレイブ/メリダとおそろしの森」での主役キャラを勝手にディズニーっぽいテイストに変更をしはじめた頃から、どこかエッジが冴えなくなってきて、ジョブズの死後、どこか歪みがあるように感じます。

機会があればその辺の事情をよく知ってるスタッフからマーベルとディズニー、PIXERとディズニー、ルーカスフィルムとディズニーなどを検証してみましょうかね…フフ。

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2013年06月17日

カーズ日記 愛すべきルート66編

20130614先週の「ウォーリー」つながりで今日は2006年作品「カーズ」!勿論出演者はオール自動車。

公開当時の予告編で、車が擬人化された映像が何だか可愛らしいな…という印象が強かったのだけど、とんでもない!アニメと思って軽視するなかれ!自分たちの生まれ育った土地を心から愛する人…いや車達の熱い思いが描かれていて泣けちゃったわよ。

主人公は若手花形レーシングカー。彼はいつも勝つ事だけを考え常に突っ張って生きてきたの。ある日レースの最高峰"ピストン・カップ"への移動中トラブルによりルート66沿いの田舎町に迷い込み、レース会場に行かなくてはいけないのに足止めを食らってしまう。でも彼はこの町で住人達の信頼や友情を知り、他人を思いやる心を学ぶのよ。車達は目や口、走り方等で感情を表現するのだけど、瞼の微妙な落ち方や見える歯の大きさは有無を言わせぬ演技力と言っていいくらい素晴らしいの!

キャラクターの設定も最高!

錆だらけのレッカー車君、フェラーリを世界一と称賛するイタリア車のタイヤ屋、内気ですぐ泣く消防車、ジミヘンを愛するヒッピーワーゲン…家畜も車なら飛んでいる虫も車と、とにかく徹底しているわ。

実際にルート66沿いの町では、新たな道路建設によりその存在を失いかけるという危機に直面したそうだけど、住民達が力を合わせ町の活性化を成し遂げたんですって。この背景をストーリーに反映させた事でよりリアルな物語になったんでしょうね。

アメリカは日本と違って土地が広大だから車が重要な家族であるし、土地に対する思い入れも半端ではないからこういう作品が生まれるのかもしれない。一番印象的なのは、物語中盤の田舎町のネオンがひとつひとつ消え誰もいなくなってしまうシーン…とても寂しくなってグッと来ちゃいました!

上辺だけで画像を見ると、車がブンブン集まって散っていくだけなのにね…1台1台の人生がしっかり見えてくるからこそ感情を移入出来て悲しくなる…本当に素晴らしい事だと思うわ。

何でもそうだけど背景を作り込むという事は本当に重要!この作品を見て改めてそう思えたの。因みに2011年公開された「カーズ2」は色んな事を意識し過ぎて全然面白くなかったわね…残念(T_T)

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2013年06月13日

ウォーリー日記 エコロジーな心編

20130611昨日「ショート・サーキット」を紹介したので、ついでに映画「WALL・ E」も…「カーズ」のJ・ラセター制作総指揮によるPIXER作という事で期待はしていたけど、思わず感涙してしまったほどの素晴らしさ!



時は29世紀、ゴミ溜めと化してしまった地球をひとりぼっちで掃除するロボット"ウォーリー"。彼は人間が捨てた大昔の雑貨や音楽を愛する情緒豊かなロボットなの。そんなある日突如として現れた巨大な宇宙船の中から、探査の使命を受けた最新型ロボット"イブ"が現れたわ。



ウォーリーはイヴに恋してしまい、自分の宝物である植物を彼女に見せたのよ。その植物を見たイヴは急にフリーズしてしまい、再び宇宙船が彼女を連れて行ってしまったの。ウォーリーは彼女を追って地球を飛び出し…というストーリー。



エコロジー、自然や健康についての原点回帰だけでなく、人の"心のあり方"の原点を見事に表現していたわ。毎回感心させられる細かい描写は勿論だけど、登場人物がロボットで台詞らしい台詞も殆ど無いというのに、どの子も個性豊かでちょっとした心の変化までが巧みに描かれているのには参った!



単純な指のパーツが恥じらいながら動く様、怒りから困惑するライトで表現される目、寝ぼけて足のローラーを落とす様子…挙げたらきりがないけど、制作側がどれほどこのキャラクター達を愛しているかガンガン伝わってくるの。



しかもウォーリーが起動するときはmacの起動音と同じという遊び心も忘れていない。宇宙船の中で優雅に暮らす人間達は全員おデブさんという設定もなかなか皮肉たっぷりで面白いし、故障中のロボットを集めた修理室ではストレスに冒されてしまったロボットが登場したりして、まさに現代の縮図と言った具合ね。「2001年宇宙の旅」もしっかりとオマージュされていているのも素敵。



見終わった時にはどの子も可愛くて可愛くて、久々に心の奥から込み上げる感情を抑えきれなかったわ。機械なのに・・ここまで表現出来てしまうのか・・思い起こせばPIXERの制作スタッフは昔からCGの無機質的な質感にどうやって情感を表現するかを熱心に研究していたわ。出来てしまえば当り前だけど、そこまでの苦労が個人的には感じられるわね。いつものようにエンディングも凝ってるけど、ピーター・ガブリエルの歌声がバッチリはまりすぎてます!



感動って、人間のギザギザした部分を取り除いてくれるのね。



米では昔からアニメは子供の見る物と割切ったマーケティングがあったけど、日本アニメ市場の研究やアメコミ作品の映画化の成功等でマーケティング戦略も変わったわ。PIXERもディズニーに買収されたらディズニー色が入り込むのではではと一部では心配されていたけど大丈夫そうね。



それよりも、出涸らしの日本のコンテンツ業界!!このままでいいのだろうか?

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2013年05月16日

メリダ日記2 筋違い編

米系の映画情報を見ていたら気になるNEWSが流れていたのよ…それは日本でも「メリダとおそろしの森」で公開されたCG映画の主人公メリダに関する事だったのね。

ピクサー制作で2012年に公開され見事にアカデミー賞長編アニメ賞受賞…素晴らしい作品だったわ。

で、一体何事で問題勃発かと言いますと、PIXERの親会社はディズニーなんだけど、この男気あふれるメリダのキャラクターを突然変更してしまったのよ!

見ての通り、勇者の象徴で彼女の芯の強さを表現した弓矢も持たず、ヘアーのウェーブが綺麗になって、ウエストがしまって、キラキラドレスに今風のプリンセスメイク・・と、完全にキャラクターから逸脱したお姿に。レポートによれば過去のディズニープリセンスのキャラそのものだと。

これに怒ったのが監督・脚本・原案のブレンダ・チャップマン!!…「時代を生き抜く強い女性を描いたのに、女子力で誘惑する性差別的で金もうけのためのデザインだ」と。更に、ファン達も一気に不満が爆発してオンラインで署名運動を展開して既に18万人以上の署名が集まってディズニー側に嘆願書が出される状況に。

その文面には「メリダは普通の女の子と同じように完璧ではないところが共感を呼んでいます。セクシーさを強調しアダルトにイメージ変更する事で、オリジナルのメリダは劣性でプリンセス不適格というメッセージを世の中に送っている」と。

確かに、その通りだわね…PIPOKOもさっそく署名したわよ!

作品の主人公キャクターの人格が反転してしまったら、共感する意味が無くなってしまうものね。でもこの一連の動き、そして行動力…エンタメコンテンツが深く見る側の人生にリンクしているのだなと再認識したわ。そして何らリンクすらしない最近の日本の薄っぺらいコンテンツにも呆れるのでした・・。

20130520


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2013年01月12日

メリダ日記1 凝縮された旨みストーリー編

20130111ピクサーの最新作の主役は王女様!?ということで大分前から気になっていた2012年の作品「ブレイブ」を見たわ。邦題は「メリダとおそろしの森」なんだけど、オリジナルタイトルのままで良かったと思うのよね。

舞台はスコットランドのある王国。弓と乗馬が得意な男勝りの王女メリダは、王女らしく振る舞えと口うるさく言う母に反発していたの。母と喧嘩をしたある日、彼女は鬼火に導かれ森の奥へ足を踏み入れてしまう。

そこには魔女がいて願いを叶えてくれるというので、メリダは窮屈な生活から逃れたいが為自分の運命を変えてほしいと依頼。やがて魔女の魔法は、母である王妃だけでなく王国全体の運命を変えてしまうほどの大惨事へと導いてしまう。母と王国を救うためにメリダは立ち上がり、再び森へと足を踏み入れる・・・というストーリーよ。

相変わらずビックリさせられるのは、ピクサーお得意のその細やかな描写ね。メリダのスパイラル・ヘアのカールの太さ毎の動き方の差異、ちょっとした目の表情の移り変わり、口の周りの筋肉の動きまでが恐ろしいほどにきちんと描かれているのよね。一見単純な顔立ちに見えるけど、その中で何層にも計算され尽くされて出来あがったものなのだなと改めて感心させられてしまう。

ストーリー自体も書いてしまえばあっと言う間の単純なもののように思えるけど、考えつくし作り込んだ上で余計なものを省き完成する"生け花"のようよ。登場するキャラクターもメリダをはじめ、皆とても魅力的なの。メリダに求婚する諸外国の王子3人は実にユニークでキャラ立ちしていて、見る側に瞬時にどんな人間であるかを理解させるわ。

これって出来そうでなかなか出来ないことよね。

そしてメリダの3人の弟君を忘れてはいけない。可愛いだけでなく、視覚的、ストーリー的にもスピード感を出す重要なサブキャラなのよ。いや~毎回、見事なキャスティング!最大の山場のシーンでは迂闊にも涙してしまったのだけど、改めて思うのは、どんなに嫌われても親は子を思い無償の愛で包み込むものなのだという事ね。

子はそんな親の心知らずだけど、やがてそれが理解出来るようになる…これが真の成長に繋がっていうのだわ。

文字にするとなんとも気恥ずかしい感じがするけど、今作を見るとそんな大切な部分を心にじっくり伝えてくれるの。全ての作り込みがしっかりしているからこそ重要なテーマが伝わる・・・物作りの原点ね。

この作品は家族で一緒に、というより普段多忙な独身の方にオススメするわ!時間をかけずに、出汁の旨みが凝縮したお味噌汁が心にすっと染み入りますわよ。エンドロールの最後まで楽しんでね!

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