NY

2016年10月29日

ファッション・チェック日記2 ペギー・カーター編

20161014

シーズン2が待ち遠しいTVシリーズ「エージェント・カーター」…前回は主人公ペギーを狙う女性工作員ドッティの素敵なファッションをご紹介したけれど、今回は我らが主人公、ペギー・カーター嬢の知的なマニッシュ・スタイルをご紹介するわ。

最も印象的なのは第1話の出勤スタイル…男性は中折れ帽、女性はヘットドレスを着用する事が主流の時代にペギーは赤の中折れを角度をつけて被りこなし登場よ…常にショールカラーやトライアングルカラーといった比較的男性的な襟のシャツにスーツを合わせカチッとした印象を与えているのよね。

赤と青という衝撃的な色合いにも関わらず、くっきりカールさせたサイドと前髪…彼女のシンボルである赤い口紅がフェミニンな部分を担い実に粋なスタイルに纏めているわ…朝の男性陣の出勤の波に逆らって一人突き進むその姿は戦後のNYを舞台に男性上位社会への反発であり彼女自身の葛藤を見事に表現している。

他の女性陣がレースや柄スカート、カーディガンを好んで着用する中、彼女はそんな甘さを秘めたアイテムは決して選ばず、サファリ・ジャケットやタイトなニットワンピースなどをチョイスしているのが実に素敵なの…靴はボトムの色に合わせたものが多くヒールのあるストラップシューズなのでスカートでもパンツでも相性が良い…あまり流行廃りのないデザインなので今でも好んで履く人が多いわね。

ペギーは有能であっても女性であるが故に認められない事に憤りを感じており、男性と対等に仕事が出来るという意思表示がこのファッションに繋がっている。唯一の女性らしい部分は赤い口紅のみ…この時代の赤い口紅はマットなものしか存在しないけれど白人女性の白い肌を更に美しく際立たせるには十分よ。

現代はグロスで艶を出したりシャドウでグラデーションをつけたりして立体的だけれど、この時代のシンプルでマットならではの二次元的美粧は”メイクらしいメイク”と言えるのではないかしら…日本的な感覚だとスーツのシルエットもスカート丈もどこかバスガイド的で色っぽくはないけれどペギーの内面から溢れ出る自信とその強い意志が美しさを増幅させているのよね。

服は着る人のセンスだけでなくその人自身を表現するもの・・・このドラマを見て改めてファッションの重要さを痛感させられてしまったわ…ハイエンドな服を身につけると物怖じして”着られて”しまう場合もあるけれど、それはその時の自分の表現が異なるだけにすぎないのかも…まずはペギーを見習い中折れ帽コレクションを箱から出すことにしよう。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2016年10月22日

エージェント・カーター日記2 ペギー・マイ・ラブ!!シーズン1編

20161011「キャプテン・アメリカ」最愛の女性…ペギー・カーター。

マーベル女性キャラクターの中では一番惚れ込んでいるの!!…そんな彼女に焦点を当てたスピンオフTV作品「エージェント・カーター」が制作されるというコミコン発表から首を長くして日本公開を待ち続けようやく視聴。予想通り…というより予想を超えた面白さにただただ大満足だわ。

第二次世界大戦中、悪の組織”ヒドラ”との死闘でキャプテン・アメリカを失ってしまったペギーがその悲しみを乗り越え「S.H.I.E.L.D」の前身である秘密諜報機関”SSR”に勤めるという後日譚が描かれているの…なかなかこの状況だけでストーリーを展開させるのは難しいし、かといって飛躍しすぎると安っぽくなってしまう。しかしそんな不安を一蹴する見事なストーリー!!

物語は大戦中の戦友であり「アイアンマン」ことトニー・スタークの父であるハワード・スタークがペギーに秘密の任務を依頼するという形でスタート…サスペンス要素満載のストーリーにグイグイ引きつけられ更に生真面目なハワードの執事”ジャービス”の登場がコメディ的エッセンスになり現在進行のマーベル作品の時代背景のすり合わせも完璧…という見事な作り込みに。

やはり最大の見どころはペギー!!…彼女の日常を垣間見れるというのはファンとしては嬉しいしハワードをはじめ各キャラクターの内面をじっくり掘り下げられるのもスピンオフ作品ならでは。

もうひとつの見どころは1940年代から50年代のNYの文化、服や帽子やメイク、様々な小道具までが忠実に再現され、ファッション誌もビックリのお洒落ぶり。劇中で登場するハットやヘッドドレスやスーツなど実に凝っているので改めてご紹介。

キャプテン・アメリカと共に大活躍したカーターはSSRに籍を置くもその功績は軽んじられ女性蔑視の風潮が強い時代背景によりぞんざいな扱いを受けてしまう…そんな中、ハワードは自ら開発した兵器を敵国に渡したという罪で追われる身に…彼は無実を証明するためかつての盟友ペギーに助けを求めることにしたの。

有能であるのにその能力を活かせられないジレンマを抱えていたペギーは自らのポジションを確立するためにも危険を承知で仕事を受ける事に…しかし調査を続けていくと敵の存在は強靱でSSRの職員やルームメイトなど犠牲者が続出…やがてハワードの真の目的はキャプテン・アメリカの血を守る事だったという事が露呈してしまう…これは彼がキャプテンを大切に思い自分の生みだした中で最も誇らしく平和的な発明である故に死守したかったからなの…事実を知ったペギーはショックを受けるけれど武器をつくる事へ背徳感を抱いていたハワードの真意を理解し彼の血を海へ流したわ。

ペギーは普段腕立て伏せを100回以上しているのでゴリラの様な歩き方をするし銃の腕も度胸も男性顔負け。しかしキャプテンの事になると途端に女性らしい可愛い表情に変わるのが素敵なのよ…最終話で海に血を流すシーンは今シーズン最も印象的で美しくトレードマークの真っ赤な口紅を塗った唇はいつもはきりっと締められているのに、この時だけは薄く開いているのが良い。

愛するキャプテンとの2度目の別れ・・・この女性としての切なさが十二分に表現されていて素晴らしいわ。

ペギーの魅力はやはりルックスとは真逆の男らしさ…でもその内面は愛する人を思う乙女心で溢れているという二極を併せ持つところかしら。でも何より強い信念と自立心を持っている点が魅力的なのよ…彼女のお洒落なファッションや髪型も真似てみたいけれど自分の人生を自らの力で切り開き創り上げようとする姿勢から学ぶ事は多い。

シーズン2でもジャービスとの凸凹コンビぶりを期待しつつ、ペギーの新たな魅力を存分に堪能したい!!ペギー、マイラブ!!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2016年10月15日

ファッション・チェック日記1 ドッティ編

20161007待ちに待ったTVシリーズ「エージェント・カーター」・・・今ようやくシーズン1を鑑賞している最中よ…キャスティングは勿論、その内容も期待以上の素晴らしさで大興奮!!…本編については次週に…今回はその時代背景を忠実に再現しているファッションに焦点を当ててご紹介。

この物語は1946年のニューヨークが舞台なので、男性は中折れに短めのタイにサスペンダー、女性はヘッドドレスやワンピースというスタイルが主流よ…まずは主役のペギー・カーターのスタイルから・・・と思ったけれど、このところその存在感が際立つドロシーことブリジット・リーガン演じる”ドッティ”をご紹介。

彼女は第3話から登場しペギーの住む女性専用のグリフィスホテルに引っ越してくるのだけど、実はロシアの工作員で彼女の命を狙っているのよ…普段はその美しい金髪をカールさせブラウスにカーディガン、フレアスカートというガーリーなスタイル。

しかし本業に戻ってからはそのスタイルは激変・・・深紅のインナーに襟と袖に大振りなボーダーが施されたミリタリージャケットにパンツスーツというスタイリッシュな装いに

このスーツ姿はとにかく格好良すぎて、この時代特有のウエストがくびれた細身のシルエットが非常にモダンな印象を与えているの…戦争中から女性もパンツを着用するようになってきたけれど、やはり工作員としてハードな任務をこなすにはパンツの方が良いかも。

20161008更に注目すべきは、このスーツに合わせたクロシェね…髪を後ろで編み込んで纏め、プリムの幅が狭く頭にピッタリとはまるクロシェは更に彼女のスマートさを強調していて美しいわ。

面白い事にこの時のドッティの配色は第1話のペギーの配色と酷似じていて、女性が仕事をやり切る自信とプライドが服装から垣間見える気がしてならないのよ…このスタイルだったら今でも十分格好良い・・・今でこそこういうスタイルで通勤する人が増えるべきではないかしら。

マニッシュではあるけれど、どことなく女性らしい可愛らしさと華やかさが融合していて素敵だもの…本編の面白さもさることながら女性陣のファッションにも目が離せません!!…という事で次回ピポ子のファッションチェックをお楽しみに!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2016年07月15日

ペット日記1 ヘドバンお任せ編

20160709

先週の北米興行収益で見事に1位スタートダッシュだったのが「ミニオンズ」をヒットさせたチームによる最新作「ペット」…因みに制作費はたった7500万$。

オリジナルタイトル「The Secret Life of Pets」通り、飼い主が留守中のペット達はいったいどんな生活&コミュニケーションしてるのかを最大限妄想を膨らませた作品と思って頂ければ間違いないわね。

予告編は既に色々アップデートされてるのだけど、やはり最初のカットがインパクト大…物語の核となるのはNYで幸せに暮らす犬のマックス…飼い主とのラブラブな日々に突如入ってきたデカ犬にテリトリーを脅かされオーナーからの愛情も半減…ついにマックスはある事しでかすのだが・・・と、サウスパーク級の展開に。

それにしても登場するペット達の日常がとても愛らしく描写されていて、この予告編を見ただけでも制作者の動物好きがダイレクトで伝わってくるのが素敵。

特に予告編最期で出てくる犬のヘッドバンキングシーンは秀逸ね…メタルファンなら大爆笑よ。日本でも8/11から公開なので全てのペットオーナーは必見でしょ!!…フフ。

【ペット日本公式web】
http://pet-movie.jp

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2016年05月01日

マダム・イン・ニューヨーク日記 見目も感性もエイジレス!!編

20160501インド映画といえば、恋、笑い、大団円のダンスというイメージが強く進んで鑑賞しようとは思わなかったのよね…でも2012年「マダム・イン・ニューヨーク」は評判が高く、とりあえず冒頭の部分だけ見てみよう・・・のつもりが、あまりの面白さに一気にラストまで見てしまったわ。

ストーリーの着眼点もさることながら、主演女優であるシュリデヴィの美しさと演技力には参りました!と土下座したくなるほど…天は時に二物以上のものを与えるのだなと嫉妬より確信させられてしまった。

シュリデヴィは1970年代から活躍するインド映画界の伝説的女優で、この映画が15年振りの復帰作だそう…御年50歳という情報なのだけれど・・・この情報は間違いではなかろうかと未だ疑いは晴れず…どこから見ても20代後半か30そこそこの瑞々しさと美しさなんですもの!!エイジレスという言葉は彼女のためにあると断言するわ。

この映画は彼女無くして成立しなかったとも断言出来る…物語はシュリデヴィ演じるインド人の主婦シャシが主人公。彼女は夫と娘、息子、姑と共に生活していたけれど、家族の中で英語が話せない事を悩んでいたの…ある日、NYに住む姉の娘が結婚することになり手伝いのため単身渡米…現地でも英語が話せず辛い目に遭い滞在する4週間の間英会話学校に通うことを決めるの…そこで同じ悩みを抱える生徒たちと共に学び、友情も芽生えるのだけど彼女の向上心を阻む事件が・・・。

非常にシンプルな物語であるけれど誰もが思い当たる経験が描かれているのでシンクロ率が非常に高いの…自分も海外で料理を注文をする際意地悪な店員にまくし立てられたり日本人ということで罵られたりして悲しい思いをしたこともある…でも親切にしてくれたり助けてくれた人もいて自分の英語力を向上させて海外の人達とコミュニケーションを持ちたいと思ってからは物怖じしなくなったわ。

シャシが初めてカフェで注文をする際これと同じ状況に陥り、お金や料理を落としてパニック状態になってしまうシーンがあるのだけど、彼女は”完璧な動揺”を全身で演じきっていたのが素晴らしい…目線、頬の痙攣、手の震え、足の動き・・・どの部分も自信のない内気な彼女を代弁していて、大女優の実力の凄まじさを物語っていたわ。

やがて努力を重ね自分自身を見出し開眼したシャシ・・・その力強さと愛くるしさには、思わず抱きしまたくなるほどの可憐さが!同じように感じたフランス人シェフのクラスメイトもいて、淡い恋も・・・というベタでありながら、ちょっとときめく展開もグッときたわよ。

後半、英語の件で夫や娘に軽んじられていたマダムが、己の心の内を英語でスピーチするシーンには心を揺さぶられる…インド社会に於いて女性の地位はまだまだ高くはないけれど、シャシのように強い意志と家族を愛する心を持つ女性こそが国を支えているのだなと感じたわ。

更にもうひとつの見どころは前半シャシが姉と姪に案内されニューヨークを観光するシーンね…ダンサンブルな歌に合わせ、ショッピングをする3人・・・モスキーノ、ヴァレンティノ、カプチーノと見事な韻を踏みつつ、人が大勢いても孤独を感じる街、などとニューヨークの華やかさの裏にある部分もさりげなく歌詞になっているのがお見事。

後半も大団円ダンスはあるけれど、なによりこのシーンは外国人が痛感するニューヨーク像が描かれていて感動よ…そしてスタート時から、美女シャシがどうしてもマイケル・ジャクソンに見えてしまうなと思っていたのだけど、劇中何度か彼女はマイケルの物真似をするというドツボな演出もあり、痒いところに手が届くだけでなく薬も塗って爽快な気分にしてくれたわ!!

女性なら思わず何度も頷いてしまうシーンが満載だし、麗しのシャシが画面に現れるだけで幸せな気分になってしまうという男性的感覚を味わうのは私だけではないはず・・・!!あっという間の展開で何度もお気に入りのシーンを見直してしまうほどよ…是非お休みの日にゆっくりご堪能あれ。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2016年03月26日

ハリーとトント日記 天使が導くその先に・・・編

20160312猫が登場する映画は興味あれど、老人と猫が主人公という点で辛い結末だったら・・・と不安感が募ってしまいつい避けてしまった1974年公開「ハリーとトント」…結果、その斬新な演出と心温まるストーリーにブラボー!!

主演の老人ハリーを演じたアート・カーニーがアカデミー主演男優賞受賞、そして脚本賞もノミネートされていたというのは大納得だわ。

物語はNYマンハッタンに住む老人ハリーが区画整理のため立ち退きに遭い、愛猫トントと共にアパートから出ることになる所から始まる…彼は長男の家に移り住むもののうまくいかず中古車を購入しトントと共に長女いるシカゴへ…その間様々な人達と出会い交流していくというロードムービーよ。

ハリーの3人の子供達はそれぞれ悩みや問題を抱えており、そこに父親の同居という問題が生じて一悶着というのが定石だけど、この点は実にサッパリと描かれているのが良い…と言うのもハリー自身子供を愛しているけれど彼らに深く介入せず72歳という年齢にも関わらずきちんと自立しており、トントを相棒に人生を楽しんでいるのよ…日本的な老人の苦悩や貧困などは全く無く、見ているこちらが元気をもらえたわ。

ハリーは道中、家出娘の少女と出会い、決してお説教じみたことを言わず彼女の良いようにしてあげようと行動するの。あとで気付いたけれど、この少女はハリーを導く天使的役割を担っており、彼に若さと行動力をもたらしたわ。

その次は自然食品のセールスマンからジューサーとビタミンを購入して元気になり、その次はなんと美しい娼婦に気に入られてその効果を実感、次はトラブルに巻き込まれて警察に囚われるも、そこで知り合ったインディアンにジューサーと引き替えに長年痛めていた肩を治してもらう・・・と、コミカルではあるけれどハリーが人の為に行動する事で彼自身がどんどん良い方向に進むという”わらしべ状態”になっていくのが面白い。

常に彼はトントに話しかけたり歌ったりし、そこで己の心情や状況を表現出来ているのが素晴らしいわ。ほぼひとり芝居と言って良いかもね。

トントもそんな主人の勝手な振る舞いに付き合いながら気ままに行動する…こんな似たもの同士だからこそベスト・パートナーなのかもしれないわ。でもそんな二人にも別れはやって来てしまった・・・体調を崩したトントは動物病院の小さな個室の中で息を引き取るのだけどハリーはずっとトントに歌い語りかけていたの。

トントが逝ってしまったのを悟ると「さよなら」と呟きすぐ退室…一見冷たく思えるかもしれないけれど、この演出には本当に無駄が無いどころか感動よ!!…くどくど描かないことでハリーがどれだけ相棒を愛していたかが理解出来るもの。日本にありがちな涙を流し「トント~」などという過剰演出だと真の悲しさは伝わってこないわよね。

この映画は全編通して自然で無駄な部分が一切無い…だからこそ役者の力量が際立つから更に名作となる訳だわ。

最終的にハリーは公園で猫を保護する猫おばさんに口説かれたり、公園でトントそっくりの猫を見つけ海岸まで追っていくという救いのあるラストになるのだけど、海岸での猫とのシーンは本当に美しいの。

天使が導くその先に繰り返される輪廻転生・・・ハリーは自分に人に対し正直に一生懸命生きているからこそ人生という長旅を楽しめるのかもしれない。何事も自然に・・・というのは難しい事だけれど、もう少し力を抜いてみることも必要かなと思えてきたわ。もし、あなた自身のロードムービーを描くことに迷っていたとしたら、是非お試しあれ!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2)

2016年02月22日

ニューヨーク眺めの良い部屋売ります日記 粋な生き方教えます編

20160210現在公開中のヒット作「ニューヨーク眺めの良い部屋売ります(原題:5 Flights Up)」…そのタイトル、更に御大モーガン・フリーマンと「ゴッドファーザー」でお馴染みダイアン・キートンが夫婦を演じるという点で触手が大きく動いたわ。

数年前に家の売買を経験し大変な思いをしたけれど、海外での不動産売買はどんな感じなのか…終の棲家、老後の生き方など丁度今の自分にとってタイムリーなテーマが目白押し…若い頃はそんな話題に飛びつく程では無かったけれど、じっくり己の今後にシンクロしたことで更に深く楽しめたわ。

物語はブルックリンに住む画家アレックスと妻のルース・・・そして愛犬のドロシーが結婚当時から40年間住み続けているアパートメントを売りに出すというものよ。

SATCでもお馴染みのシンシア・ニクソン演じる姪のリリーがやり手の不動産エージェントを演じており如何に物件を高く売り込むかの駆け引き、敵方に交渉し自分の手数料を取るなど海外ならではのイケイケな手腕を披露してくれるのも見どころのひとつね。

日本での不動産売買と異なる点は多々あれど、内覧会で数組の買い手を招待し在宅の状態でありながらオープンハウスにするというやり方には好感が持てたわ。やはり居住者が在宅していることで家の良い部分を伝えられるし、家具も置いてあるので買い手にとって生活のイメージがしやすいから。

また映画的にも、ここでおかしな買い手達が登場するというのも見どころで面白い。どこの内覧会に必ず現れるひやかし、内見しながらICレコーダ片手に内装のプランを録音する青いタイツの女医、ペアルックの夫婦、どこの内見でもベットで寝る母親・・・どのキャラクターもスパイス的な要素として申し分ないわ。

家の売買は神経をすり減らし気分的にもイライラしてしまうものなのに、いつも前向きで無邪気なルース、そしてそんな彼女を2歩後ろから優しく見守るアレックスの夫婦の絶妙なバランスが、そんな負の要因を一蹴しちょっとしたイベントのように楽しんでいるというのが粋で素敵すぎる。

全編部屋を主軸に若き日の夫婦と現在の夫婦の生活が交差するという構成になっているのだけど、何の嫌味も無く”自然体に生きる事の素晴らしさ”を思い知らされたわ。

老後お金が無くなったらどうしよう・・・ペットに先立たれたらどうしよう・・・体がきつくて階段も登れなくなったら・・・年を追う毎に「どうしよう」の数がどんどん増えていく。でもそれらを受け入れ、自分にとって少しでも楽しめる方法を見つける事が出来れば深刻になる必要はないのだと、少し心が軽くなった気がする。

夫婦というカテゴリーを超え人間として絶妙な適温を保てるパートナーを演じきったこのお二人…やはり怪優としか言い様が無いかも。特別構えること無く、ふと思い立ったときに鑑賞(勿論公開中なので劇場鑑賞がベスト)する事をお薦め…その時自分の将来に対する考えが見えてくるかも・・・。

ニューヨーク眺めの良い部屋売ります official】 
http://www.nagamenoiiheya.net 

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2016年02月13日

Miles Ahead日記1 蘇るか目力編

20160206昨年NewYork Film Fesでプレミア上映されて話題だった作品が、あのマイルス・デイヴィスの伝記となる「Miles Ahead」…その最新予告編がアップされたのでピックアップ。

通常のスタジオ作品と異なるのはクラウドファンドを一部活用して資金調達され制作された事と、監督・脚本・主演を
ドン・チードル(「アイアンマン2」以降のローズ大佐役)が自らの企画として立案した事ね。

マイルス・デイヴィスの伝記と言っても、名作「レイ」的なアプローチとは違って70年代後半の休息時期からフォーカスされ再起動までの期間がとても濃く描かれている感じ。

1991年にマイルスが亡くなってそろそろ25年…何しろマイルスの印象はあの目力なんだけど、ドン・チードル演じるマイルスに、その目力が再現されてるかとても見所よ。時代的に1番目の妻フランシス・テイラーをエマヤツィ・コリネアルディが演じてるけど個人的は2番目の妻ベティがお気に入りよ(本編とはまったく関係ないですが・・・)。

予告編を見る限り当時のローリング・ストーンズ誌記者だったデイヴ・ブリル視点で描かれてるようで、帝王マイルスの日々を苦悩と見るのか、孤独と解釈するのか、はたまた聖人と描くのか・・・その晩年の生き様をドン・チードルがどこまで同化したかが見物です。

そして、問題が一つ“果たして日本で公開されるのか・・・!?”

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2015年01月16日

Led Zeppelin狂熱のライブ日記 先駆者達の記録編

20150109全盛期Led Zeppelinのライブを見たいと思っても、残存する映像は殆ど無いのよね。彼らがTV番組出演を拒否していたという理由もあるけれど唯一若き彼らの勇姿を拝めるとしたら、やはり1976年の映画「Led Zeppelin狂熱のライブ」ね!!

この映画は唯一の公式映像なのだけど、ドキュメンタリーとライブ映像という従来の構成に加え、メンバーのイメージ映像が加わった斬新な作品に仕上がっているわ。

オープニングでは彼等のマネージャー達がギャングに扮して登場、本編では幸せな生活を送るメンバーのもとに招集がかかり専用機でNYへ旅立つという、ちょっとお芝居懸かった演出が施されているの。

そして伝説的な「マディソン・スクエア・ガーデン」のライブ映像と共に、メンバーひとりひとりのイメージ映像が曲毎に登場。「ノー・クォーター」ではジョン・ポール・ジョーンズが怪しい覆面の騎士に扮し、村を大暴れしたかと思いきや家に帰れば家族を愛する優しい男に戻るというサスペンス。

「レイン・ソング」ではロバートは王子様(そのままですが)、貴婦人から受け取った剣で幽閉された姫を救うも姫は消えるという、どこかお伽噺的なロマン。ジミーは自分の姿をした隠者を演じているのだけど、己と同じ顔をした隠者の顔が老人に変化したり子供に変化したりと、どこかオカルト。どのイメージも真意が伝わらず、まぁ本人達がやりたいことをやれたなら良いかという親目線の感想しかないけれど、唯一人ジョン・ボーナムだけは自分のありのままの普段の姿を見せており、最も好感度は高し。後にステージに立つ事になる実息の、幼い日のドラミングシーンというお宝映像も収められてるのも見所よ。

ライブ映像からも強く感じたけど、チームの大黒柱である彼がいたからこそ、ジミーもロバートもツェッペリンという大海で自由に泳ぐ事が出来たのかもしれないわね。小手先のテクニックではなく、ジョンの様な本当に”ボトム”というべき重いドラムを叩ける人は今はもう思い当たらないわ。先日の『世界のベストドラマーTOP50』でNo.1を獲得したのも納得よ。

プレイヤーとしての個性、今なお色褪せない楽曲の斬新さ、貪欲に新しい事に挑もうとする姿勢・・どれもこれも全然追いつけない。コンピューターやソフトが発達すればするほど可能な事は増えていくけど、やはりプレイする人の”息遣い”が聞こえてきてこそ「音楽」なのよね。今作から改めてそのことを痛感したわ。

イメージ映像のやりきれていない感で少々テンポが乱れてしまい、映画としては賛否両論ではあるだろうけれど、ライブのやりきり感とテンポの良さは超一級なので後世まで残る1作であることは間違いないわね。もし機材の進化が今くらいに追いついていたら・・・なんて、たらればは考えてはいけないけれど、それならそうでチーム・ツェッペリンはもっと凄いアイディアで私達を唸らせていたに違いない。今ではすっかりミドルというべきお年頃ながら、個々に好きな道を歩んでいる彼ら・・・本当に格好良い!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2013年12月26日

ニューヨーク東8番街の奇跡日記 ほこほこ人間ドラマ編

20131226最近ちょっと心が疲れ気味なので、今年の年末映画特集は家族愛をテーマにピックアップしてみることにしたわ。まず最初は心がじんわりと暖かくなるような作品を見たくなるわ。そこでチョイスしたのが1987年の名作「ニューヨーク東8番街の奇跡」。

原題は「Batteries not Included」…電化製品によくある注意書きの「電池は含まれません」という意味なのだけど、このセンスが素晴らしいわ。

舞台はNYの東8番街にあるある古いアパート。再開発が進む中、大家の年老いた夫婦と住人達はアパートから立ち退かず頑張っていたけれど、立ち退きの執拗な嫌がらせは続き疲労困憊していたの。そんなある日UFOの夫婦がアパートに訪れ、住人達との不思議な共同生活が始まった・・というストーリーなのよ。

とにかく驚かされたのは、無機質なはずのUFOが情感たっぷりの役者として存在し、物語の核になっているということ。当時の映像技術ではかなり大変だったろうなと思われるシーンも多数あったけど、全く違和感が無いし、これだけ彼らが活き活きと演じきれているというのは実にお見事よ。

公開当時、SFファンタジーというカテゴリーにされていたけど、これは完璧な「人間ドラマ」だと言うべきだと思うわ。アパートの住人達のそれぞれの背景もよく描かれていて、亡くなった子供を未だ生きてると信じる老女、いつか迎えに来てくれる彼を待つ若き妊婦、孤独の中でひっそり生きるボクサーなど、その中にも幾つもの細やかなストーリーが存在するの。

悪役の立ち退き屋が、老女の母性によって人間としての温かみを取り戻すという一見ベタそうな展開も、自然にグッとくる仕上がりになっていているのはさすが。UFOはあくまでエッセンスであって、登場人物達のドラマの分だけ、共感出来る範囲が広いというのもお見事と言うべきかしら…熱いお茶でも飲みながらゆっくり心を癒やしてね。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2013年10月07日

スリーメン&ベイビー日記 スポックは名監督だった!編

201310081987年公開の映画「スリーメン&ベイビー」…日本でもタイトルとストーリーの認知度が高い作品だけど、この映画をMr.スポックことレナード・ニモイが監督したという事は意外と知られていないかも・・・。

映画「STAR TREK」の3,4本目の監督を見事に務め上げ後世に残る名作と成し得たMr.スポックが、宇宙を離れて現代の地球を描いたとなれば必見じゃないかしら。

物語は80年代のニューヨークが舞台よ…建築家のピーター、漫画家のマイケル、俳優のジャックの独身貴族3人は、高級アパートメントで優雅な共同生活を送っていたの。そんなある日家の前に見知らぬ赤ん坊が置き去りにされ、その父親が仕事で留守中のジャックだと判明。

赤ん坊を放っておくわけにもいかず、ピーターとマイケルは慣れない子育てにてんやわんやよ。しかもジャックは知らぬ間に友人から麻薬の受け渡しに利用されてしまい、3人は赤ん坊と麻薬の売人と捜査官の間に立たされて大ピンチ!しかし見事なチームワークで事件は解決し、子育てチームワークも完璧になっていったの。スタイリッシュな独身生活は一転、彼ら自身の奥底に潜む父性愛が開花し、赤ん坊中心の楽しい生活が始まったわ。

そんなある日、赤ん坊の母親が子供恋しさに彼らのアパートを訪れ引き取りたいと言い出すの。子供は母親の側が良いに違いない・・・そう考えた3人は泣く泣く赤ん坊を返すけれど、喪失感に打ちのめされ取り返そうと空港へ・・・しかし時既に遅しよ。更に落ち込みながら家に戻ると、なんと家の前に赤ん坊と母親が!喜んだ3人は母親共々アパートで暮らそうと提案するの。

とにかく最初は赤ん坊を煙たがってた花の独身男性が赤ん坊の無垢な可愛らしさに惹かれていき、慣れない子育てに奮闘する姿がコミカルで暖かいわ。最大の見せ場は、赤ん坊が母親に引き取られた後の3人の"無言の"淋しさね!こういう描写って一歩間違えると臭くなりがちなのだけど、そこは役者陣とスポック監督の凄さ!それはそれは自然に母性寄りの父性を表現していたわ。

一言では言い表せないけれど、今作はコミカルさにちょっとしたロマンス、更にサスペンスの要素が絶妙の匙加減で織り交ぜられたハートウォーミング・ドラマよ。

前作の「STAR TREK」の映画でも戦い云々という部分より人間の心の結びつきに焦点を当てて作られていたわ。Mr.スポックは人間の心の殻を取り除き、本来持ちあわせている太陽のように暖かい部分を描く天才なのね・・・そして、見ている側の暖かさをも引き出してくれるという特典付きよ。

名作と呼ばれる映画は多々あれど、今なお色褪せずに息づいている所以というのはこういう事なのかもしれない。さて、宇宙探索が終わったら、次は地球探索はいかがかしら?勿論、副長が案内してくれるわ。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2013年09月13日

愛しすぎた男日記 愛と狂気の狭間で・・・編

20130910パトリシア・ハイスミス著「愛しすぎた男」…10年ほど前、タイトルに惹かれて購入したものの読まずじまいだったのを思いだし、ページをパラパラ…1960年の作品とは思えない新鮮さに思わず一気読みよ。

対訳は少し硬い感じがするけれど、ミステリーらしい、じわじわとした緊張感があってすぐに引き込まれていったわ。物語の主人公は、ニューヨーク郊外の紡績工場勤務の技術者デイヴィッド。彼は週末になると下宿を出て、恋人アナベルと過ごすために購入した郊外の一軒家へ訪れていたの。

しかし実際のアナベルは既に結婚していて、子供も生まればかり。それを知りつつもデイヴィットは仮想世界で彼女との甘い生活を楽しみ、その一方で現実の彼女への手紙を書き連ねて結婚しようと訴える。アナベルはデイヴィットの一方的な愛に困惑し、やがて妄想を現実にしようとする彼の狂気が悲劇のループを生みだしてしまった・・・というストーリーよ。

作品の発表時"ストーカー"という言葉は存在しなかっただろうけれど、こういった愛の形を題材にするなんて斬新。人間の偏執的な欲望というものはいつの世も変わらないもの・・・時として、自分の思い描く結果を得るため行動するというのは必要な事だけれど、相手のことを考えず独りよがりになってしまえば孤立してしまうわね。社会生活を営むためにはこの部分をよく理解すべきだけれど、最近ネットの普及なども影響して、そんな意識が希薄になっている気がする・・・怖いわ。

主人公ディヴィットは決して悪者では無いし、寡黙だけれど友人や下宿のお年寄りにも優しく接していたの。ただアナベルのことになると豹変し、彼女の夫や親に対しては異様な程の敵意をむき出しにするわ。結果彼は3つの悲劇を招いてしまったけれど、うち2つはデイヴィットが友人とコミュニケーションさえ取れていれば起こらなかったものよ。その後味の悪さと言ったら・・・!でも、この苦みが本編の魅力的な部分である事は否めない。

個人的にミステリー小説に不可欠だと思うのは、テンポ良い展開、見えそうで見えない犯人像、エッセンスとしてのロマンスなんだけど、この作品ではどの要素も見当たらないのよね。だからこそ魅惑的だと言えるわ!しかしながら、これもひとつの愛の形…人は恋をすれば誰でもストーカーになり得るんじゃないのかしらね。そうならないためにもまずは女子会で恋バナでも・・・ほほほ。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2)

2013年07月03日

趣味日記 夫婦円満でいるために・・・編

20130701夫婦で共通の趣味を持つというのは素敵な事よね。引退後は一緒の時間の長くなるし、そんな時に楽しみを共有出来たら最高だわ。

人間関係の研究者によると、長きに渡り新しい興味やレクリエーションを一緒に楽しむカップルはそうで無いカップルより幸せを感じ、経験を共有することで関係に新鮮さがもたらされ倦怠感を防ぐ効果があるそう。

又、新しい経験は脳の報酬系を活発させる可能性があり、喜びや人とのつながりに関係する神経化学物質が溢れ出るらしいわ。これは初めて恋をしたときと同じ作用があるというから、かなり強力よね。

ただひとつ注意しなくてはならないのは、新しい趣味で2人の関係を盛り上げるためにはお互いが楽しむ必要があるという事よ。どちらか一方だけ楽しむとなると、相手はしらけて益々興味が薄れてしまうものね。では一体どうしたら良いか?ニューヨークの心理学者曰く、もしその趣味が合わずに自分が嫌々行動してしまいそうならきっぱり辞め、やると決めたなら心を広くし、エゴを抑え相手の指示を仰ぐべきなんですって。

次に誘う側は、相手がその趣味を楽しいと思えるようにさせるのが重要なのだそう。例えば、その趣味を行った帰りに素敵なレストランに寄ろうと提案するなど報酬を与えてみるなど。確かにそうすれば別の楽しみも共有できるから、ちょっとやってみようかなという気も起きるわね。もしその趣味に熟練しているパートナーだとしたら、始めたばかりの相手がそれをやりたいと思えるよう辛抱強く待つのも重要よ。

よく自分が出来るからと言って相手のレベルに対し苛立ちを覚える人がいるけれど、これは言われた方は嫌な気分になってしまうわよね。でももしそんな状況に陥ってしまったら、熟練者は新参者の相手を称賛するのがベスト。

人間は褒められているうちにその気になってくるから、「そんなに悪くも無いな」と思えるようになる訳よ。一緒に経験を重ねれば結婚生活を再構築出来るし、しいては自分自身を発見する事も出来るわ。そして熟練したパートナーを尊敬する事にも繋がるから、更に良い関係を築けられるのよね。

ご主人の退職と同時に奥さんが離婚という話をよく聞くけれど、これは経済的な問題だけで無く、こうした夫婦の時間を共有出来なかった事が原因かもしれないわ。さて、私もアメコミ好きで肉好きで猫好きの旦那様を見つけるか、育てるか・・・。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2)

2013年03月08日

スタンリー・キューブリック日記2 最後のラビリンス編

20130311キューブリックの遺作展をピックアップしたので、彼の最後の作品となってしまった1999年の作品「Eyes Wide Shut」に触れようかしら。

物語はニューヨークに住む内科医(T・クルーズ)とその妻(N・キッドマン)のお話よ。夫は妻の精神的浮気の告白を聞き、今まで感じたことのない嫉妬心と妄想を抱いて街をさまようの。そのうち、ふとしたことがキッカケで、淫靡な集会の扉をくぐるのだった…というものよ。

と、その前にキューブリックの歴史を振り返りましょう。


彼は映画界だけではなく直接的にも間接的にも各分野のクリエイターに多大な影響を与えてるわ。キューブリック青年は17才の時にルック誌に写真が売れてからルック誌でカメラマンとして働きながらコロンビア大に通いつつ映像を学ぶの…そして人生の大半をイギリスの田舎で過ごしていたようね。スチール写真の影響でドキュメンタリー作品からスタートした映画人生、彼がメジャーになるキッカケになったのがカーク・ダグラス。



キューブリック初の大作「Paths of Glory -突撃-」に主演したダグラスは「スパルタカス」出演時に最初の監督が降板したさいキューブリックを後任監督に指名したとの事。



1960年代の米のTVや映画はピュアーな恋愛が中心のいたってノーマルな世界。そんな時に「ロリータ」を発表し世間をかき乱す…あの時代に現代の憂鬱を描写してしまったのだね。そして「博士の異常な愛情」で究極の恋心!?を導き出し第一幕終了。



第2幕は今世紀を代表する傑作「2001年宇宙の旅」…キューブリックは精神世界へと見るものを誘い「時計じかけのオレンジ」「シャイニング」で暗転…しばらくこの暗転は続くのよ。



7年後、突然幕が上がる。「フルメタル・ジャケット」…戦争映画だった”フルメタル・ジャケット”とは軍が標準装備する弾丸の名称で、人間の体を貫通する弾丸なのよね…冷たく光る”フルメタル・ジャケット”の鈍い輝きに恐怖が映り込む。第三幕のテーマは?と悩む暇もなく突然また暗闇に・・。



12年後、最終幕が上がり始めたがそこにキューブリックの姿はなかった。置き手紙のようにフィルムを一つ残して・・。



『キューブリックは映画界の神様でしたから絶対に近づくことができない存在でした』と関係者が語ったそうよ。そんな彼を支えてきたのがワーナー・ブラザース・ピクチャーズ社。「時計じかけのオレンジ」以来25年以上キューブリックを支援、制作費を提供すると同時にいかなる無理な注文にも答えていたとか。



「フルメタル・ジャケット」の場合はイギリスの自宅近くに東南アジアを再現するセットを作り、「シャイニング」では空撮が必要な場合でもコロラド州にいる撮影スタッフにロンドンから無線で指示を送るなどしてイギリスを離れる事はほとんど無かったそうよ…スタジオに行く時でも自宅から車で時速50キロ以下で運転させるなど、イギリスの田舎に完全に自分が管理できる世界を構築していたとか。



芸術に関しては決して譲らないキューブリック。ワーナーも制作に関しての全ての権限を彼に与え、見せてもらえるのは完成品だけで、意見の出しようなどなかったとか…また、同じシーンを100回以上取り直しさせても俳優達は一切文句を言わないのね。



遺作となった「Eyes Wide Shut」は当時夫妻だったキッドマンとクルーズが本能的に異常で危険な心理学者を演じるスリラー作品。スタッフは小規模ながら70億円の予算で制作、ワン・シーン60テイクも撮るなど(19ヶ月間も撮影していた)、最後まで完全主義を貫いたそうよ。



イタリア人監督ロベルト・ベニーニは『キューブリックはフェリーニやカフカのように私たちに夢を与えてくれ、物語の楽しさを教えてくれた』と・・。



完全主義者と称されるキューブリック、『私には安っぽく思われるこの言葉を、私を攻撃するために用いるのはいかにもジャーナリスト的だ。我々は何かを創ろうと試みる時、それが最良のモノとなる事を望む。私は時間も金も浪費する訳ではない。良いモノを創りたいだけなのだ』と語っているのも象徴的。

映画を芸術の域に高めたキューブリック…時代はまだキューブリックに追いついていない気がするわ。そして、彼の脳裏にあった映像には誰も近づけないのかもしれないかも・・。



と言うことで「Eyes Wide Shut」…ジャケットやタイトルから想像するに、期待?欲望?謎?…と人間の煩悩がめくるめくよう。本編を見終わって思うのは、全てはキューブリックの計算通りなのかも!?という事よ。普段の生活で人が考えたくない“欲望”“SEX”“嫉妬”“強迫観念”を追及した洗練された作品だわ。この嫉妬と強迫観念に苦しむ男をテーマに、人間臭く、個人的で、そして楽観的に2時間半の時が刻まれるのよ。

映像的には“エロティック”という言葉を、そのものでなくアート的な感覚でコーティングした美しさがあるわね。色彩的な構図は言わずもがな。ピアノの単音だけで聴かせる効果音には驚愕よ!キューブリックの才能が遺憾なく発揮されている今作、是非愛する人とご鑑賞あれ。



一度見ただけでは「Eyes Wide Shut」の奥が見えないわ・・。キューブリックが見る者に問いかけた最後のラビリンスよ。もう彼の映画が見れないのはとても残念ね。



“キューブリックよ永遠に”

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2)

2012年10月19日

NY日記 アーティストと街編

20121017NewYorkという街はとても面白い。ある映画のワンシーンでこんなセリフがあったの・・「NYは敗者が集まる街、しかし彼らは自分を敗者だとは思っていない、明日の勝者を目指しているから・・」…NYは、何事にもポジティブな街としてダントツな気がするわ。



確か統計によれば、100人に1人が億万長者だけど逆に銀行口座を持てない人達も同程度なんですって。しかも英語の読書きが出来ない人達も意外に多いと聞いたわ。

もしお金を軸に考えるならば、今日は億万長者でも明日は無一文に・・なんて状況も頻繁だそうよ。この予想もつかない事が起きるNYは、アーティストにとって厳しさと優しさが同居している。



日本で職業は?と聞かれ「アーティストです」と答えれば、怪訝そうな態度をとられるけど、NYで同じ答えをすると「素晴らしい!」とキラキラしながら微笑んでくれるの。それだけアートという表現が文化に馴染んでいるからなんでしょうね。

例えば映画「SEX AND THE CITY」の中でも主人公が「どこから来たんだ!?」と言いたくなる位大胆な衣装で登場しても浮かないのよね。それは街自体がクリエイティブだからなのかも。



そう言えばこの作品、日本ではファッション図鑑的な扱い方をされて、マノロブラニクの靴が知れ渡る程度の影響しか出てないように思えるけど、女性が仕事をしていく上での厳しさや楽しさ、男性に対する考え方がきちんと描かれていて共感出来たわ。アーティストも良いものを生み出し、良い仕事が出来れば例え無名であってもきちんと評価される・・素晴らしい事よね。



その一方での厳しさは、痛烈な評価。「あなたのデザインは猫が吐き出した毛玉のよう・・」など容赦ない言葉が降ってくるから、精神面の弱いクリエイターはその言葉だけでやられてしまうわ。でも、それに負けてはダメなのね・・。自分のクリエイティブ哲学やポリシーが間違ってないと思ったら真っ直ぐ突き進む事も大切よ!



人種が多種多様なNYだからこそ異文化が濃く交わった部分から新しい何かが生まれるのよ。それが生まれる為の優しさ、それが育つ為の厳しさ・・だからNYは面白いわ!!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(4)

2012年09月08日

ディクテーター身元不明でニューヨーク日記 親愛なるキム・ジョンイルに捧ぐ編

20120908日本でも9/7から公開の「ディクテーター身元不明でニューヨーク」を試写してきたので早速レヴューよ。

物語は北アフリカのワディヤ共和国の危険な独裁者アラジーン将軍が国際社会から核疑惑を持たれ弁明の為にNYへ向かうのだけど、元々このアラジーン将軍は危ないことでは世界一で気に入らない奴はすぐ処刑というデンジャラスナな将軍様。

母国で暗殺ターゲットになるのも日常で影武者も多数…NY弁明の訪問も影武者が同行するのだが、ある策略で本物の将軍様が拉致され何とか逃げ出したのだが、影武者の将軍様が母国の民主主義化を宣言してるからさぁ大変…自分が本物だと騒いでみても既にトレードマークの髭も剃られてしまい相手にされない…そんな彼を政治難民と勘違いした活動家の女性が保護…将軍職奪回大作戦が決行されるのだった・・。

主役の将軍様を演じるのはサシャ・バロン・コーエンはHBOのエミー賞常連のコメディ番組のホストとして有名で知る人ぞ知るエンタテイナーでこの作品でも脚本と制作も手掛けているのよ。そんな彼が独裁の視点から民主国家の矛盾点を知的な下品さ全開で描いてるのよね。

映画の冒頭に、「親愛なるキム・ジョンイルに捧ぐ」というクレジットが出た段階で爆笑ものだったのだけど、よくここまでやり通したって感じで、一見すると女性には不快に思えるかも場面も世界観の差異というテーマの演出力で上手く仕上がってるのよね。

よく定番コメディで田舎物が大都会に出てきてその行動で笑いを取りながら恋話を織り交ぜてく映画はよくあるけど、結局は都会に馴染んでいく…でもこの主人公は決して馴染まないとこが素敵!勿論将軍様だからあたりまえなんだけど、都会文化を下に見るという視点での文化の尊厳も何気に表現してるのね。


脇を固める俳優陣も素晴らしいから是非webでご覧になってね!確か今年のアカデミー受賞式典ではサシャが「キム・ジョンイルの骨だ~」って言いながらレッドカーペットに小麦粉振りまいて話題になったけど、その意味がやっと分かったわ!今日から公開で笑いのネタ的な事とかあまり詳しくは書けないけど、とにかく面白過ぎるわよ!

【公式web】
http://www.dictator-movie.jp

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2012年08月17日

ベイエリア日記 美味しいもの編

20120818地元品川で毎年行われるイベントで好きなのが、JapanRestaurantWeekっていう品川駅近辺のレストランが共同で行う食のイベントなのよ。

元々、品川駅港南再開発のテーマだったNewYorkスタイルって事もあって、高輪口系プリンスホテル主体のコンサバなレストランと港南口のグリル他を主体としたNYテイストのレストランがランチ¥1500、ディナー¥4000のFIX価格で自慢のコース料理を提供するものなのね。

利用するのは今年が初めてだったので、NYが本店で生牡蠣で有名な大好きなグランドセントラルオイスターバーのランチをチョイスしてみたわ。一日限定30食のメニューはシーフードマリネ グレープフルーツのヴィネグレットに肉厚なメカジキのグリルのトマトサルサ添え、そしてデザートはパンナコッタのフルーツジュレ! おまけに一休comから予約したからシャンペンをサービスして頂いたのよ…お昼間っからスミマセンって感じでゴクゴク。

お盆で人が少なめの都心の午後を優雅に過ごせた一時でした…フフ。


今月の19日までだからお近くの方は是非食してみてね(^_^)v

【JapanRestaurantWeek2012】
http://www.restaurantweek.jp

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)