大統領選挙

2016年11月21日

ゲーム・チェンジ日記 お騒がせ大統領選編

20161112歴史上これほど驚愕した戦いはなかったのではないかと思われた今回のアメリカ大統領選…しかし2008年のオバマ大統領当選の陰にトランプ氏を彷彿とさせる女性知事の存在があったことを皆さんご存じかしら?

彼女の名はサラ・ペイリン・・・アラスカ州知事である彼女は前々回のアメリカ大統領選で共和党ジョン・マケイン氏の片腕として抜擢された人物よ。

ご存じの通り結果はオバマ大統領の圧勝に終わったわけだけれどマケイン陣営は如何にして戦ったのか気になる所よね。

当時注目されたのは、サラのトランプばりのお騒がせ発言…マケイン陣営の対策本部は対オバマだけではなく、サラのコントロールにも始終頭を悩ませることになってしまったわ。

そんな部分に焦点を当て制作された2012年公開のTV映画「ゲーム・チェンジ」が素晴らしい出来映え…キャスティングもお見事で、女性知事ペイリンに「ハンガー・ゲームズ」でも自己中首相を演じたジュリアン・ムーア、ペイリンに翻弄されるマケイン陣営のアドバイザー、シュミットにこれまた同作品でアドバイザー・ヘイミッチを演じたウディ・ハレルソンという適材適所ぶりよ。ゴールデン・グローブ、エミー賞等の主要部門を受賞した隠れた名作。

物語は実話ベース…アメリカ共和党はマケイン上院議員を次期大統領候補として選出するも対する民主党が史上初の黒人大統領を目指すオバマを候補に選出したことでより強力な副大統領候補が必要だと考えたの…そこで白羽の矢が立ったのがアラスカ州知事ペイリン。日本でも彼女のメガネがトレンドとして当時注目されていたわ。

彼女はお披露目スピーチで全米の話題をさらい人気は上々・・・しかし取材準備を進めていくうち外交はおろか基本的な政治知識に著しく欠けていたことが判明…しかもペイリンはマケイン以上に保守的な思想の持ち主で、民主党陣営から攻撃されるだけでなくいつしか共和党の中でも亀裂が生じ始めてしまったわ。ここで面白いなと思うのはペイリンは本番に強くスピーチが上手でカリスマ性があることね。更に自己中心的で自身のアラスカ州以外のことには全て疎い・・・やはりトランプと重なる点が非常に多い。

彼女は周囲を引っかき回すだけ引っかき回しマケインの強力な武器になるはずが自爆装置に…トランプの場合は前回の「Election」の時にも書かせて頂いた通り当選という結果になってしまったけれど・・・相手がヒラリーでなく男性だったら同じ状況になっていたでしょうね。

このドラマは実際にアドバイザーを務めた2人の著書を元に制作されたので、ペイリンがどんな風にあんちょこを使って取材を乗りきったか、どんな精神状態であったかというのが細部に渡り描かれているのが面白い。

敗北が確定した時、演説をしたいと申し出た空気の読めない彼女に対しシュミットがこれまでの憤りをぶつけるシーンには爽快感を覚えたわ。それだけストーリーが事実に基づいてしっかり描かれている証であり、ジュリアンはじめ役者陣の迫真の演技が素晴らしいという事なのよね。

しかしながら、この大統領選では事前に共和党内でペイリンがこの大舞台にふさわしくない人物であるということに気付き、周囲がそれを阻止する事が出来たけれど、トランプは阻止どころかトップに送り出してしまった…この結果が恐ろしい事態をあちらこちらで引き起こし一触即発状態・・・最早これはドラマでも何でも無く、現実だということを改めて認識しなければならないわ。

今後アメリカを中心に世界全体がトランプ台風に巻き込まれることを思うと不安で仕方ないけれど「トランプ?そんな大統領もいたよね」とドラマを見ながら回顧する時期が一日も早く来ることを望んで止まない。

因みにこの「ゲーム・チェンジ:大統領選を駆け抜けた女」は現在スターチャンネルで放映中なので、契約されてる方は是非ご覧になってみて…選挙のバックヤードがよく理解出来るわ。

【STAR CH web】
http://www.star-ch.jp/channel/detail.php?movie_id=25276

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2016年11月14日

Election日記 仕事のできる女は嫌われる編

20161108米では大統領選挙も終わり現在大混乱…なぜなら有力視されていたヒラリー女史がまさかの敗戦…事もあろうに立候補から対戦者をヘイトし乱暴な言葉遣いで相手や他国を投票直前まで攻撃していたトランプ候補が当選してしまいました。

各種の投票分析がなされてますが、その根底にある『女性』というキーワードがちゃんと分析されてないように感じます。

元来米では都市部と田舎の中西部では意識の違いが色濃くあって、例えば「女は家でクッキーでも焼いてろ・・・」が当たり前で、仕事ができる女性は基本的に嫌われます。今年公開された「ゴーストバスターズ」でさえ、たかだか娯楽作品なのに主役が女性チームという事で叩かれましたしね。

よく『ヒラリーは嫌われ者』と言われますが、女性が政治のTOPに君臨することを無条件に嫌う方々は思ってる以上に多いのです。実は、そんな状況を見事に映画化した1999年作品をご紹介。

日本では「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!!」という凄まじい邦題がついたブラックな学園映画「Election」…国内では人気薄なリース・ウィザースプーンの大出世作品なんですね。

一般的には「キューティブロンド」の主演女優としての方が有名かもしれません…制作がMTVと言う事もあって宣伝も殆ど無かったのですが全米批評家協会の主演女優賞を受賞して後に話題になってきた隠れた名作です。

物語は高校の生徒会長選挙をめぐる戦いと人間模様を描いたもの…リース・ウィザースプーン演じる成績優秀で野心家の女生徒トレイシー…彼女は道徳と倫理を唱える模範男性教師から嫌われていて学内での全ての行動が癇に障る存在…そんなトレイシーは次期生徒会長に立候補、教師はそれを阻止せんが為に頭は鈍いけど人気者で体育会系の男子生徒ポールを擁立させる。

コミカルでドタバタな抗争劇からお話は段々シュールでブラックな展開に…学校では誰からも好かれ信頼される先生が己の欲望に堕ちていく様と、悲しいほど完璧に自分の思い描いた通りに進もうとするトレイシーの生き様が見事に描かれてます…この頃からリースの演技力には驚かされるものを感じますよ!!…鼻の穴を膨らまし目をぱちくりと動かすその表情は独特です。

物語の進行や見せ方もとてもユニークで、トレイシーの半目の不細工顔をわざとポーズして教師の彼女に対する嫌悪感を表現したり、学園内の迷路に似た細い出口を教師が鼠の様に出て行く事で、彼の生真面目さを滑稽に見せていたり・・・MTV制作なので音楽的な要素も見逃せないポイント…じつはこの部分が笑いのツボだったりとか。

当時は邦題がとてもバカっぽいタイトルなので単なる学園コメディと勘違いしてスルーしてしまった人も多いはず。作品に描かれる人間模様は正直で人が人生を生き抜く為のバイブル的作品と評したいですね。そして南部女性の強さを知る事のできる1本…勝ち負けをハッキリさせる米社会と、絶対に負けを認めない思考、これから国際的にお仕事する人にはとても参考になる1本でもあるのです。

そして、今この作品を振り返ってみると、ヒラリー女史も生徒会長で頑張って、後に弁護士の資格を取り以後はワシントンで政治に関わる重要なポジションで活躍…仕事とのできる女性として現在に至るお姿が、この作品とダブるのです…映画ではテキパキと何でもこなすトレイシーは友達もできず、ひたすら孤独ですが自分を見失わないのが素晴らしく美しい生き方なんですね。

我々がアメリカの情報として見聞きする物は殆どが都市部のもので、中西部の本質的な白人思想はあまり触れることはありません。先のケンドリック・ラマーの表現する差別的な出来事は実は未だ日常という事を思い知った大統領選挙でした…でも戦いはこれからですよ!!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)