地獄の絵草紙

2015年05月19日

日野日出志日記4 地獄小僧編

20150515漫画家の日野日出志先生…彼はホラー漫画の重鎮と呼ばれているけど、ホラー作家というカテゴリーを超え、人間の生きる故の悲しみや苦しみ、そして生と死を深く描く"人間作家"と呼ぶべきかもしれない。

幼い頃、あまりにもインパクトのある先生の作品に圧倒され、自分の本棚にコレクション出来ずにいたけど、歳を経て先生と出会い画集を拝見し、その恐るべきエネルギーと哲学に衝撃を受けたわ。

グロテスクなビジュアルのキャラクター達は決して子供だましに誇張されているのでは無くその様相に至るまでの理由があり、何かの比喩であったり風刺だったりする。ようやく作品の本意を自分なりに理解出来るようになったからというもの、遂に日野先生の漫画を集める事にしたの。

しかしこの時代の作品は入手困難な物も多く少しずつネットや古本屋を当たることにしたのよ…今日は比較的手に入りやすい22年前刊行された「日野日出志選集・地獄の絵草紙(地獄小僧の巻)」を御紹介。

天才医師で地元の名家の主『円間(えんま)』は家族で外出中事故に遭い、愛息大雄(だいお)を失うの。悲しみに暮れる夫婦の前に突然一人の男が現れ息子を生き返らせる方法を告げていったわ…藁にもすがる思いでその恐ろしい方法を実践すると死んだ息子が蘇り、そこから円間一家の破滅が始まるの。

死者が生きた人間を食らう・・なんていうホラーにありがちな残虐な展開ははあれど、日野先生は"生の世界にこそ地獄がある"という事を訴えているのよ!…人間の偏見、驕り、執着・・・様々な念が今生を地獄絵図に変えている事を知っていながら我々はのうのうと生きているんだと気づかされるわ。

登場するキャラクター達のネーミングがコミカルで一歩間違えばライトな感覚の作品になってしまうけれど、そこはさすが日野作品・・・逆に各キャラクターの苦悩や悲哀などが色濃く浮き出ており重厚な内容にエッセンス的な役割を果たしているのが素晴らしい。

この本では単行本には収録されていないラストが追加されており前半の色々なシーンがコラージュされまるで映画のような演出になっているの…この部分で地獄小僧が背負う運命の重さや悲しみが表現され、心の奥底に鈍い感覚を突き立てられた感じ。これは子供には分からないでしょう・・・日野作品恐るべし!!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)