ロバート・ゼメキス

2014年05月17日

フォレスト・ガンプ日記 人生曲線の描き方編

20140519実は名作と呼ばれる1985年「フォレスト・ガンプ」を見ていなかったので、を改めて鑑賞…監督は最近「フライト」が公開されたロバート・ゼメキス…シンプルな展開をしていくかと思いきや斬新な仕掛けが所々に施されており、名作の名作たる所以を改めて思い知らされたわ。

主人公フォレストがバス停のベンチで過去の回想をしつつ、バスを待つ人達に語るという方式で物語が進行するのだけど、導入部分からスムーズで即シンクロしたわ。ストーリーはご存じの方も多いだろろうから詳しくはお話しないけど、生まれつき知能指数が低く、足の矯正器なしでは歩けなかった少年フォレストが、普通の子供と同じように育てたいと願う母の強い愛に守られながら次々とチャンスを掴んでいき、やがて巨万の富を得るという物語よ。

このストーリーを反芻していると、先日ピックアップした1979年作品「チャンス」を思い出さずにはいられないわ。

ここでは大きな2つの愛が軸になるのだけど、ひとつはフォレストの母の愛、もうひとつは彼が幼少時代に初めて友達となった初恋の少女、ジェニーの愛ね。ジェニーは幼少時代、父親に性的虐待を受けるという悲惨な目に遭い、歌手を目指して家出をしそこでも辛い目に遭うわ。更に彼女は彷徨いながらドラッグと酒浸りになり、ヒッピーのような生活でボロボロに…フォレストが次々と成功の階段を登るのと反比例にジェニーは不幸のどん底に落ちていくのよ。

人間は欲の生きもの…その欲の負パワーが自滅を招く場合もあるわ。これは最近自分自身も強く感じる事なのだけれど、力を入れすぎたり欲を持ちすぎると良い結果を得られない・・・まさにジェニーはそのラインを辿っているのよ。しかしフォレストは無欲で、ただ素直に一生懸命に生きているだけ。その生き様が次々とチャンスを呼び、欲やしがらみでがんじがらめになってしまった人々の心を解きほぐし、浄化さえしてしまう。

自分だけでなく周囲の人達をも幸せに導く物凄いパワーを持ちあわせている訳だけど、そのこと自体彼が理解出来ていないのが皮肉であり、幸福でもあるわ。しかし、そんな2人の人生曲線が重なる瞬間が!それは、ジェニーは全てを失いボロボロ、フォレストは最愛の理解者である母を亡くしジェニーを求め孤独を感じていた時よ。

ようやく2人は結ばれたけれど、ジェニーは不治の病という更なる不幸を迎えてしまった。けれど死を間際にしながら、彼女は新たな命を宿し残すという最高の幸せを手にしたの。これでようやく人生曲線をプラマイ・ゼロに修正できたのかもしれない。

公開当時話題となったVFXでフォレストが時の人達と共演するシーンが見所のひとつとなっているけれど、これが実にお見事よ。ジョン・レノンにニクソンにケネディの登場が物語の進行にマッチしており、フォレストが共同経営者のダンと共に投資した"果物の名前の会社"は現在のアップル社であったりと、歴史的人物や事件をうまく取り入れることでよりリアリティを感じる事が出来るわ。

計算され尽くしたファンタジーと言うと何だか味気ないけれど、全てが上出来な作品である事は確かね。生きていると、ついてない、上手く行かないと思う場面は多々あるわ。そこで深呼吸してリセットし、余計なことは考えずがむしゃらにやってみるという事が出口を見つけるきっかけになるのではないかしら・・・そんなことを諭された気がする。

劇中に登場するフォレストが戦死した友人バッバと共に立ち上げた海老専門店「バッバ・ガンプ・シュリンプ」が豊洲と後楽園にあるそうなので、近日中に行ってみることにするわ。美味しい海老料理を楽しみつつ、無欲に・・・というのはなかなか難しいけれど、ね。

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2013年03月01日

フライト日記 アメリカの憂鬱編

20130302アカデミー賞…本編よりも個人的にはスタートレックネタのコーナーが爆笑だったのですけど、今年は特に波乱も無くて、作品賞は「アルゴ」、監督賞は「ライフ・オブ・パイ」のアン・リー、主演女優はジェニファー・ローレンス。

そして主演男優は「フライト」のデンゼル・ワシントン!!!じゃなくて「リンカーン」のダニエル・デイ=ルイス でした!

デンゼル…残念だったなぁ~・・という事で丁度本日から日本公開の「フライト」をご紹介しましょうね。

監督は1994年「フォレスト・ガンプ」のロバート・ゼメキスで12年振りの実写作品になるわね。勿論主演はデンゼル・ワシントン。アカデミーでは主演男優と脚本賞の2部門でノミネートされたわ。残念ながら受賞は逃したけど素晴らしい作品だったわよ。

物語はフロリダ州オーランド発アトランタ行きの旅客機が原因不明の急降下…デンゼル演じるウィトカー機長は奇跡的な操縦で草原への緊急着陸に成功して多くの乗客の命を救い、一躍国民的なヒーローになるのだけど、怪我で入院中に採血した血液中からアルコールが検出されてしまうのね。でも、このまだ事実は世間には公表されていないの…そこから始まる人間臭い政治や宗教が絡まってどんどん事態は複雑になってしまい・・という展開。

今日から公開なので詳しいことは書けないけど、日本ではあまり実感として身近に感じる事は少ないアルコールやドラッグ等の様々な依存症を背景にアメリカの憂鬱を描いてるのよね。先日紹介した「アメリカン・ビューティ」も同様だけど、外見は普通に生活していても、何かしらのストレスや不安、責任と義務・・最終的に自分の存在価値をどこに求めるのか・・個人としての人間と社会秩序の歪みがとてつもなく上手く描かれてるわ。

米のお友達にも実際アルコール依存症だった人が結構多くて、毎日水のようにアルコールを隠し飲んでいて、最終的にセラピーで克服してるのね。彼らは異口同音に「一番身近に存在する悪魔」的な表現をするのよね…怖い怖い。

依存症関連の映画は主人公の葛藤がテーマになるけど、これは違うのよ。依存症は誰でも陥る可能性のある甘い罠で、罠にはまった者同士がいかに社会に適応していきながら自分をマスキングしていくかがテーマなのね。だから依存症といってもドラッグやアルコールだけじゃなくて会社組織も依存症なのよね。

社会への適合・・実はどうやって生き残るかがテーマなんですね「フライト」は。

各人が自分の生き残りをかけて戦ってる作品で、その生き残りを主人公として演じるデンゼルの演技とゼメキス監督の演出、それを自然に繋ぎ合わせた脚本が素晴らしかったのです。

そして誰がどのように生き残るのか・・でも、生きてるだけでは不十分なんですよ・・フフ…リアルな人間臭さを是非体感して頂きたいわ。

ちなみに、作品内の飛行機事故シーンは過去にあった本当の話らしくて、当時その飛行機に乗り合わせてた方々はその後トラウマどころじゃなかったでしょうね(>_<)

【「フライト」公式web】
http://www.flight-movie.jp

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