モーガン・フリーマン

2017年01月10日

ドライビング・ミス・デイジー日記 心の暖炉がホッコリ編

20170102今年もアカデミーを筆頭に賞の季節となりました…関係者に今なおリスペクトされ続けている1989年公開の不朽の名作「ドライビング・ミス・デイジー」をピックアップしないといけませんよね。

アカデミー賞では作品賞、脚色賞など数々の受賞を獲得したけれど特筆すべきはこの映画を息吹かせた女優ジェシカ・タンディの主演女優賞ね…なんと彼女は歴代最高齢である80歳で受賞・・・でもそのパワー、美しさはその後も留まることを知らず、芸を極める情熱に年齢など関係ないのだと思い知らされたわ。

この作品の2年前に「NY東8番街の奇跡」ではUFOと心を通わせるマダムを演じ、今回は頑固ながらも次第に心を開いていく老婦人を演じ切っているのが実にお見事。大好きな「トロピック・サンダー」でも劇中で爆破担当スタッフがこの映画を引き合いに出していたのは記憶に新しいけれど映画界において金字塔的作品であることは間違いないわ

タイトルから想像したのは運転下手のマダムが奮闘しそこから何か事件が起きたりするストーリーだったのだけど、意外にもそんなエンタメ性の高い展開は無く終始会話劇だという事に気付いて仰天…何かが起きそうで起きない絶妙な匙加減、ただゆっくりと時間が過ぎその中で紡がれる日常がしっかりと描かれている。

これはやはり役者の力量が最も重要でデイジーを演じるジェシカと彼女の運転手ホークを演じるモーガン・フリーマンやSNLのダン・エイクロイドの演技力あってこそ成立したのだと痛感させられたわよ。

物語は元教師でユダヤ系の老婦人デイジーが運転をしようとして大事故を起こしかけてしまう。そんな母親の身を案じた息子ブーリーは運転手に黒人のホークを雇うことに…元来頑固な性格のデイジーは彼と馴染まず・・・しかしホークの持ち前の真面目さと明るさにデイジーの頑なな心もほぐれ2人は唯一無二の親友となるの…時代背景として黒人、ユダヤ人の人種差別が描かれているけれど「HELP」同様これがまた実にさり気なく生活の中に織り交ぜられているのが素晴らしい。

ストーリー上、人種差別という重いテーマを取り込めば若干ドラマティックになりがちだけど、警官の何気ないおしゃべりやデイジーとホークのキング牧師に対する考えの相違から起きるちょっとした喧嘩、今なお続く黒人の教育環境についてなどが会話から理解出来る。

特に印象敵だったのはデイジーに長年仕える黒人家政婦のアデラが亡くなった後、彼女を偲びデイジーが『彼女は幸せだった』と話すシーン…ホークは複雑な表情を浮かべて少し間を置き「はい」と答えるの…この2人の会話の中にアデラは黒人として不幸せだったという思いとデイジーのもとで仕事が出来たのが幸せだったという色々な思いが交錯しているわ。

デイジーは頑固ではあるけれど、それは教師としての気質ということでなく元々慎ましやかなので裕福でもそれを成金と思われないかと危惧している・・・ただ正直で素直なだけ…前半の嫌味たっぷりな頑固ぶりは彼女の若さの象徴であり生き様だったのだと物語が進むにつれ気付かされたわ。

普通ならこんな嫌味な婦人に仕えたくないと思う反面、仕事を失いたくないから我慢するというのが自然の流れ…しかしながらホークは彼女のその正直且つ可愛らしさを見抜いていたので毒をまかれても楽しみ、常に自分のペースを守るという自然体でいられたわ。何を言われても小気味よいユーモアで返し、常に笑う・・・なかなか出来るものではないけれど、これまで辛いことを乗り越えてきたからこそ出来るのよね…そんな彼だからこそデイジーの大親友になれたのかもしれない。

人間は親子でも夫婦でも友人でも時に傷つけ合いいがみ合ったりしてしまうのは当然…でも相手が何を考え思うかを一歩先読みし理解出来れば、腹も立たないだろうし辛くもないのかも。その為にはまず自分をきちんと見据え確立していかないといけない・・・2人の生き様を通して諭された気がするわ。

デイジーやホークの様に自然に時を重ねていくことが出来たらどんなに素敵だろう・・・ありとあらゆる利害を取っ払った友達とは、どんな関係よりもずっと深い…ラストシーンの2人を見て自分の中にあるトゲトゲとした感情が一気に柔らかくなっていたわ…改めて人間同士生きる事の良い部分を見つめ直すことが出来た気がする…そしてハンス・ジマーの音楽も作品にひと花添えて、心にホカホカと染み入ってくるわ。とにもかくにも恐るべし「ミス・デイジー」・・・彼女のドライブは不滅です!!

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2016年02月22日

ニューヨーク眺めの良い部屋売ります日記 粋な生き方教えます編

20160210現在公開中のヒット作「ニューヨーク眺めの良い部屋売ります(原題:5 Flights Up)」…そのタイトル、更に御大モーガン・フリーマンと「ゴッドファーザー」でお馴染みダイアン・キートンが夫婦を演じるという点で触手が大きく動いたわ。

数年前に家の売買を経験し大変な思いをしたけれど、海外での不動産売買はどんな感じなのか…終の棲家、老後の生き方など丁度今の自分にとってタイムリーなテーマが目白押し…若い頃はそんな話題に飛びつく程では無かったけれど、じっくり己の今後にシンクロしたことで更に深く楽しめたわ。

物語はブルックリンに住む画家アレックスと妻のルース・・・そして愛犬のドロシーが結婚当時から40年間住み続けているアパートメントを売りに出すというものよ。

SATCでもお馴染みのシンシア・ニクソン演じる姪のリリーがやり手の不動産エージェントを演じており如何に物件を高く売り込むかの駆け引き、敵方に交渉し自分の手数料を取るなど海外ならではのイケイケな手腕を披露してくれるのも見どころのひとつね。

日本での不動産売買と異なる点は多々あれど、内覧会で数組の買い手を招待し在宅の状態でありながらオープンハウスにするというやり方には好感が持てたわ。やはり居住者が在宅していることで家の良い部分を伝えられるし、家具も置いてあるので買い手にとって生活のイメージがしやすいから。

また映画的にも、ここでおかしな買い手達が登場するというのも見どころで面白い。どこの内覧会に必ず現れるひやかし、内見しながらICレコーダ片手に内装のプランを録音する青いタイツの女医、ペアルックの夫婦、どこの内見でもベットで寝る母親・・・どのキャラクターもスパイス的な要素として申し分ないわ。

家の売買は神経をすり減らし気分的にもイライラしてしまうものなのに、いつも前向きで無邪気なルース、そしてそんな彼女を2歩後ろから優しく見守るアレックスの夫婦の絶妙なバランスが、そんな負の要因を一蹴しちょっとしたイベントのように楽しんでいるというのが粋で素敵すぎる。

全編部屋を主軸に若き日の夫婦と現在の夫婦の生活が交差するという構成になっているのだけど、何の嫌味も無く”自然体に生きる事の素晴らしさ”を思い知らされたわ。

老後お金が無くなったらどうしよう・・・ペットに先立たれたらどうしよう・・・体がきつくて階段も登れなくなったら・・・年を追う毎に「どうしよう」の数がどんどん増えていく。でもそれらを受け入れ、自分にとって少しでも楽しめる方法を見つける事が出来れば深刻になる必要はないのだと、少し心が軽くなった気がする。

夫婦というカテゴリーを超え人間として絶妙な適温を保てるパートナーを演じきったこのお二人…やはり怪優としか言い様が無いかも。特別構えること無く、ふと思い立ったときに鑑賞(勿論公開中なので劇場鑑賞がベスト)する事をお薦め…その時自分の将来に対する考えが見えてくるかも・・・。

ニューヨーク眺めの良い部屋売ります official】 
http://www.nagamenoiiheya.net 

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2014年09月08日

ルーシー日記3 リュック・ベッソン復活編

20140915映画でとても大切な事は、先ず見たいなぁ~と思わせる事…その点、この「LUCY」の米でのパブリシティは良かったですね。特に予告編が素晴らしかったです。

米での興行成績は当初の倍の数字を出し予想外のスマッシュヒットと騒がれていましたが、こちらからすると予想外と表現する方が予想外で、出るべくして出た結果だと確信してます。国内でも先月末から公開中なのでTOHOシネマズ日本橋のTCXスクリーンで再確認してきましたよ。

なぜ「LUCY」の予告編が素晴らしかったかと言いますと、話としては奇想天外なんですが、表現をシンプルにまとめ、目覚めた女性がスーパーパワーで復讐劇か!?と思わせる内容になってますよね。それを演じるスカーレット・ヨハンソのやり過ぎない表情のカットが「LUCY」のヒットを既に決定づけていたのです。

実際のお話は、腹を切開され運び屋にされた主人公ルーシー(スカーレット・ヨハンソ)のブツが漏れて薬物の大量摂取で脳細胞が超覚醒して最終的には宇宙の真理をビッグバンまでさかのぼって完全理解してしまい、どうなってしまうのか・・な展開なんですが、久々リュック・ベッソン監督のジメジメしてないカラッとした演出が楽しめましたね。

リュック・ベッソンは90年代の「ニキータ」「レオン」「フィフスエレメント」が代表作とされ、2000年以降はプロデュース作品が多くなり、監督作品は今一パッとしていませんでしたが、この「LUCY」で復活した感。

彼は「レオン」に代表されるように女性の撮り方に特徴があって、その特徴が良く出たのが「LUCY」…バストアップのショットが多いので女優の力量が無いととてもつまらない画になってしまうのですが、ヨハンソをキャスティングした時点で成功を手にしたのも同然です。

ヨハンソは同時期にマーベルのブラック・ウィドウのキャラで世界的にブレイクしましたが役者としてのキャリアは長く好評価でした。ルックスは勿論なんですが、実は彼女の魅力は声質なんですね…ちょっとこもった独特な響が良いのです。それを証明するかのように「her:世界でひとつの彼女」ではAIの声(siri的な感じ)を演じて放送映画批評家協会賞の助演女優賞にノミネートされるなど、ちょっと他の女優とは違う武器を持っているのですね。そう言えば、あのトム・ウェイツのカバーアルバムをリリースしてるのでよね!ちょっとビックリ。

ネタばれになるので、お話の詳細には触れませんが、超覚醒した脳は感情から脱皮してどこに行くのか・・果たして神の領域に踏み込むのか・・それともMr.スポックが目指したコリナーの境地を一夜にして習得とか!?…そこのサブ的な展開として予告にあるようなアクションがアクセントで盛り込まれてるのですが、わかりやすいエンタメ感満載な作品である事は間違いありません。

アクションシーンの見所の一つにパリでのカーアクションがあるのですが、これはあの「TAXi」を彷彿させる小気味良さで「ルパン三世」の実写はこっちだろって感じてしまいますね。

大袈裟に表現すれば精神的にも弱かったルーシーが自分のお役目を発見する24時間の物語とも言えますが、これはやはりスカーレット・ヨハンソの存在、そして脚本に沿って彼女を演出しきったリュック・ベッソンの勝利ですね…あ、モーガン・フリーマンも脳細胞覚醒研究第一人者として重要な役所なんですが、それはいつものポジションで(笑

リュック・ベッソン的ファンタジアがお好きな方は迷うこと無く劇場へ、科学的根拠にツッコミを入れたい方も是非劇場へ、タイアップしてるサムスンが好きな人も是非劇場へ、裏社会で拳銃美が好きな方も是非劇場へ、そして、スカーレット・ヨハンソ好きなあなたは毎週劇場へと、色々な視点から楽しめる「LUCY」でした。

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