マット・デイモン

2016年12月29日

オデッセイ日記 孤独とユーモアと編

201612162016年ゴールデングローブ賞をはじめ数々の賞に輝いた映画「オデッセイ」…個人的にはリドリー・スコット監督と主演の実力派怪優、マット・デイモンのコラボ、そして大好きな天才コメディエンヌのクリステン・ウィグなどドシリアスな名演に注目して鑑賞したのだけど、やはり期待を裏切らない素晴らしさだったわ。

物語は火星での探査任務中に大砂嵐に襲われた宇宙飛行士達がミッションを中断し火星から待避…運悪くマット演じるマークが折れたアンテナにぶつかってしまい、彼が死亡したと判断したクルー達は泣く泣く出発。しかし彼は奇跡的に生きていたのよ…つまりオリジナルタイトル「The Martian」 はそのまま火星人…こちらの方が素晴らしいですけどね。

一人火星に取り残されたマークは残された僅かな物資を使って生き延びようとあの手この手を尽くすの…元々植物学者だった彼はその知識を活かしジャガイモの栽培に成功…何とか次の探査機が訪れる4年後まで生きようと努力はするけれど火星の厳しい環境がアクシデントをもたらしてしまう。

諦めていた頃、遂にNASAと通信可能に!!しかしマークを救出するためには様々な問題が・・・NASAやクルー達の知恵と情熱は彼を救えるのかというストーリーで物語的には非常にシンプル…しかし未知の環境、悪条件という最悪なカードしか残されていない状況で人間は何を思いどう行動するのかという点が興味深く描かれているのよね。

マークを通して人間の生きようとするパワーとは美しく、力強いものだと改めて思い知らされたわ。でも物資的な恐怖もさることながら、ここで最も恐るべきもの、最大の敵はやはり”孤独”・・・彼は記録のための録画で、いつ会えるかわからないクルーに向かって語りかけていたのだけれど、これは食料を確保するのと同様に重要な業務だったのではないかしら。

更に彼に元々ユーモアのセンスがあったのも大きなポイントね。自分自身経験があるのだけれど、かなり滅入った精神状態で孤独な状況の際、独り言で面白くなくても冗談を言ってみるの…するとその冗談に自分の精神が同調していき気分が明るくなっていくのよ。本来なら泣きたい気分になるだろうし多少は人間らしく荒れた瞬間も見せてくれたけれど、そこはさすが宇宙飛行士・・・というかマークが本来持ちあわせている前向きさとユーモアが彼自身を救ったと言えるのではないかしら。

殆ど中盤までマットの一人舞台が続くのだけれど、とにかくお見事!!個人的に心にグッときた名シーンはマークが賭けに近い救出作戦を実行すると決め火星を出発した時NASAの司令塔から「パイロット」と呼ばれて返事をするときの表情!!!…もしかしてこれから先の無茶な作戦で死ぬかも知れない、でも火星を旅立つという喜び、仲間への感謝・・・様々な思いを抱いてその呼びかけに答えながら男泣きするマット・デイモンは神懸かっていたわ…このシーンだけでも映画を見て良かった!!と思えたわよ。

そして個人的ヒロイン、クリステン演じるNASA広報統括責任者のアニーも要所要所で良い味が出ていたわ…更にスレンダーになったボディにポーカーフェイスは知的さを強調していて役柄にピッタリ…NASAとしての立場を頑なに守りつつも密かにマークを案じる”抑えた”演技が光っているので要注目よ。

リドリー監督と言えば「エイリアン」などで主人公が傷を自分で治療するというシーンを思い浮かべるけれど、今回もマークは破片を取り除き皮膚を縫い合わせるというシーンがあり、このリアルな描写が”傷付いても生き抜くんだ”という人間の強さを代弁しているのだなと納得。

更に故ボウイの「スターマン」が効果的に用いられたり70年代ディスコミュージック好きの船長が残した”イカしてない”音楽データがマークを癒やしていたりと、音楽の立ち位置がバックグラウンドだけでなく意味を持つものとして用いられているのも興味深いわ。しかもラストで「I Will Survive」とは・・・くぅ、です。

人の人生とは常に孤独と負けカードがついて回るもの…どんな場所であれ、どんな状況であれ、納得いくまで自分自身が終わらせないこと…そして笑い飛ばす精神の強さを培うこと…どんなサバイバルであったとしても生き抜こうとする意志の強さが最後は己を救うということなのね…2016年を振り返るにふさわしい秀作です!! それでは皆さま良いお年を(^_^)

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2015年09月29日

ドグマ日記 塗り変えられた聖書!?編

20150915ありとあらゆる意味で問題作といえる1999年映画「ドグマ」

天使(ベン・アフレック/マット・デイモン)は殺戮を繰り返し、神は女性、使徒の1人は黒人だったが為に聖書に記載されなかった・・・等とかなりの過激ぶり。公開当時は上映禁止運動が起こるほどの批判を受けたというのも頷ける。

神に背き地上に落とされた天使2人が、ようやく天国に帰る方法を知るの・・・それは門をくぐる事により罪が許されるという教会の聖堂に入る事…でももし彼らが実行すれば、神が定めた教義に矛盾が生じ人類が滅亡してしまうの…天使らを阻止しようと選ばれたのは、キリストの末裔の女性堕胎医!!何とも皮肉よね。

そして欲の塊の人間の預言者、ストリッパーの女神、黒人の使徒とバラエティーに富んだ神の申し子チームは、果たして堕天使達を阻止できるのか・・・?という恐ろしい物語。

キリスト教の教義を覆す設定の数々にはらはらさせられっぱなしだけど、全編コミカルに描かれているから楽しく見ていられたわ。でもこの内容ではコミカルに描く以外方法が無いか・・・。ただ、冷静沈着な堕天使の1人が「自分達は神に尽す為だけに命を与えられたが、人間は自由でいる事が許されている。これほど神に愛されているのに、何故人間すべてが神を敬わないのか」と怒りを露にした場面でハッとしたわ。

人間は生きている事を当たり前に考え、自分が『生かされている』という事に感謝する気持ちを忘れてしまっているね。日々の慌ただしさに流され生きている事の喜びを見失ってはいないか?そう問われてるようだったわ。

別の意味でハッとしたのは歌手アラニス・モリセットが神様として登場するシーン…キリストが女性というだけでも『オーマイゴッド!!』なのに、このキャスティングはこれが本当の『オーマイゴッド!!』よ…神を演じる彼女の不思議な魅力を良しとするべきか否か判断に困っちゃう。

ベン・アフレックとマット・デイモンと言えば1998年の傑作「グッド・ウィル・ハンティング」だけどこの二人は最強コンビ。とにかくあらゆる部分で宗教的概念に波紋を投げ掛けた意欲作…今日もおいしい夜食に感謝をしつつ意欲作を生み出さなくては・・・。

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2014年12月03日

ゼロ・セオラム日記3 世界では公開済編

20141203今年の初めに紹介したテリー・ギリアム監督最新作「ゼロ・セオラム」…米で9月にそれ以外の国でも順次公開されたのですが、どうやら日本では未定!?のまま年を越しそうな気配…楽しみにしていたのですがとても残念。

各評価を読む限り、かの「未来世紀ブラジル」に匹敵する素晴らしいギリアム監督の秀作との事…ゼロの定理の謎を追う主人公ハッカーのサスペンス仕立。

物語はマット・デイモン演じるマンコム社のチーフが人類の存在意義を決定するとされる「ゼロの定理」の解明をクリストフ・ヴァルツ演じるコンピューターハッカーのコーエンに依頼…謎の美女も一緒になって事の解明にあたるのですが、核心に迫るにつれ不思議な現象に遭遇・・そして。

時代背景はとても楽天的なユートピアな世界なのですが、主人公のコーエンだけは真逆の暗黒面を感じ取ってしまうという前提の元にユートピアを描いたテリー・ギリアムの世界観です。

と言う事で最終予告編で本編を想像しつつ、再度「未来世紀ブラジル」の悲しいヴァージョンでも見直しましょうかね。

【The ZERO THEOREM official】
http://www.thezerotheorem-movie.com

【追記 2014/12/31】
邦題「ゼロの未来」で2015年5月16日に公開が決定したとの事です。
 

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2014年11月08日

エリジウム日記 あ、あと、一歩・・・!編

20141107傑作だった「第9地区」のブロムカンプ監督と実力派マット・デイモンがタッグを組んだ、2013年公開の「エリジウム」…共に近未来が舞台であり、「第9地区」ではコミカルなテイストで人種差別、今作では一変、シリアスに格差社会を描いているわ。

正直な感想としては、冒頭から前半にかけての流れは惹きつけられるけれど、肝心のラストの部分が間延びしてしまった事で感動が薄らいでしまったかも・・・。アクションシーンの演出や編集、物語の整合性において違和感を感じてしまう部分がある事から「惜しい」感は否めないわ。

ただマット・デイモン、ジョディ・フォスターをはじめとする役者陣の存在感は素晴らしく、前作で主役を演じたシャールト・コプリーが今回は残虐な悪役を好演しているのも見所のひとつね。

物語は2154年の地球が舞台…大気汚染や人口の増加などから、富裕層のみが"エリジウム"と呼ばれるスペースコロニーに移住できるという特権を得ていたわ。そこには豊かな自然や生活が存在し、高度な医療ポッドで人々は病とは無縁の生活を送っていたのよ。一方地球は劣悪な環境で、人々は貧しさと病気に苦しんでいた・・・。マット演じる主人公のマックスはエリジウムを夢見て、幼なじみのフレイを思いつつ日々労働に明け暮れていたのよ。

ある日彼は仕事場で致死量の照射線を浴びてしまい、余命5日と診断され解雇されるの。エリジウムの医療ポッドを使えば命が助かる、そう考えたマックスは闇商人スパイダーと無謀とも言える取引をし、自らの体を改造する事に同意したわ。スパイダーの条件はエリジウムの片道切符と引き替えに特権階級のデータを奪い、脳内にダウンロードしてくるというもの。

マックスが選んだ特権階級はエリジウムのシステムを構築したアーマダイン社のCEO・・・彼は防衛長官のクーデターに加担しており、エリジウムの全てを書き換えるデータを保持していたの。そのデータを奪ったマックスの前には防衛長官と傭兵クルーガーが立ちはだかり、死闘の幕が切って落とされたわ。

マックスはエリジウムに行く為の資金を得ようと犯罪に手を染め、真面目に働けば事故に遭い、愛しい幼なじみには既に白血病を患う子供がいた、親友は失うし、この上ない辛い人生を生きてきたのに最期も人々のために命を捧げるのよ。神話ベースのストーリーでは当然の展開にせよ、何とも後味が悪い…そう感じるのは、前述の通り後半彼が死を決意するまでの流れが長く、核になる線がぼやけてしまったから。しかもラストに幼なじみの笑顔、というのが腑に落ちない。子供が助かった後彼女が起こす行動は、必死でマックスを探すというのが当然だから笑ってられないもの!

ラストは「グラディエーター」のそれを彷彿とさせる要素が強く、死によって導き出される幸福の描写が薄らいでしまったのは非常に残念ね。人間は生きて集団の中にいれば、必ず格差を感じるもの。必ずしも平等というものは存在しないにせよ、強い信念を持ち邁進し続けることでその感覚は多少なりとも変化していくのだと思う。

エリジウムに住むことは誰もが望む幸せかもしれないけれど、エリジウムを目指す事こそが幸せなのかもしれないわ。日々是精進・・・地味ではあるけれど人類の課題はここから、ですかね。そしてブロムカンプ監督新作「チャッピー」に期待しつつ。

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2014年10月25日

ヒアアフター日記 握り返してくれる手・・・編

20141025日本では震災への考慮から上映中止となった2010年作品「ヒアアフター」…冒頭の津波シーンは確かに震災の爪痕を彷彿とさせるけれど、本作のテーマである、死を乗り越えた先にある生きることの素晴らしさは物語を通じてしっかりと伝わって来るので、そこまでの配慮は逆に申し訳なく思えてくるわ。

毎度の事ではあるけれど主役のジョージを演じるマット・デイモンの好演はため息もの…今回は人間臭い、悩める若き霊能者を見事に演じきっているの。監督は近年俳優と言うよりすっかり監督としてのイメージ画強くなってきたクリント・イーストウッド。

物語は、津波にのまれ九死に一生を得たパリで活躍中のジャーナリストのマリー、かつて霊能力者として活躍していたものの、死者との対話に疲れて工場に務めるジョージ、兄が事故死、母親と離れ里親の元に預けられた少年マーカスの死に直面した3人の人生が交錯し、やがて1本の線となって結びつくというものよ。

マリーは成功し地位も名声も得ていたけれど、臨死体験後は仕事が手に付かず、自分の見た未知の世界を調査し始め本を出版するの。かつての仕事仲間からは反感を買い地位も名声も奪われてしまうけれど、彼女は自分の信じるままに行動したことで、結果同じ思いを共有出来るジョージという理解者を得たわ。

マリーはありとあらゆる物質的なものを超越し、真の幸せを手に入れたと言える・・・素敵な事よね。ここで興味深いのが、海外のブックフェアのあり方なの。日本なら新刊を並べて地味に販売するというスタイルだけど、購入者を前に著者自ら朗読などのプレゼンテーションし、1冊ずつサインをして販売しているのよ。この方法なら買い手に本の内容もきちんと伝えられるし手応えも感じる事も出来て良いわよね。

さて、お話を主役のジョージに戻すわね…彼はその特殊な能力から人に利用されたり、気味悪がられたりと散々な目に合ってきたの。料理教室で知り合った女性と良い関係になれそうだったけれど、結局はその力に脅威を感じてしまった彼女は離れていったわ。

最も印象深いのは、1人ぼっちの食卓で食べ終えた皿を流しに乱暴に投げ入れるシーンね…ジョージの己の能力に対する忌ま忌ましさと、とてつもない孤独感を見事に表現していて、どんな場面よりも心に突き刺さったわ。

最終的にマリーと結ばれたことで、心から良かった!と思え最早母親の気分・・・。

人間はどんなに表面上は幸せに見えても、実は自身が真の幸せに気付いていないのかもしれない。その"真"の部分は人それぞれの生き様によって形を変えるのかもしれないけれど、根底は全く同じだと思うのよね。それは生を授かった者の特権で、生きる事の喜びを感じる事・・・そしてその喜びを共に分かち合える相手と出会うということね。

ジョージは人の手を握るだけで全てを感じ取ってしまうのだけど、マリーと握手した時にそれを強く感じたからこそ「見つけた」のだわ。彼の能力は死者と対話して人々を救うだけでなく、自分の真の幸せを手に入れる為だった・・・そう考えると本当に素敵。

さてさて、妙齢になっても恋人が出来ずに焦る、なんてナンセンスなお話ね。自分の差しだした手をしっかりと握りかえしてくれる人が現れる日まで、まずは精一杯生きていかなくては!お肌のお手入れも忘れずに・・・。

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2014年09月14日

プライベートライアン日記 人が人を殺める地獄編

20140911S・スピルバーグの作品というと、冒険活劇というイメージしかなかった自分…1994年公開の「シンドラーのリスト」を劇場で見た時は戦争の重々しさを感じただけだったけれど、その4年後に公開された「プライベートライアン」を見て、戦争に対する認識が一気に覆されたわ!

戦争映画は多々あれど、これほどまでにリアル且つ戦いの最中での内面の描写が出来ている作品があったのね・・・。冒頭の30分の戦争の描写は以降の戦争映画のフォーマットとなっている程緊迫感に溢れたもので、そこには紛れもない"生と死"のみが存在していたわ…あまりにも有名な作品だったのでつい後回しにしていたのだけど、その事が悔やまれてならない。

皆さんもよくご存じだと思うけれど、ストーリーは1944年のノルマンディー上陸作戦の最中。オハマビーチ上陸作戦を生き残った中隊隊長のミラー太尉は、パラシュート歩兵連隊に所属するジェームス・ライアン2等兵を戦線から探し出し帰国させるという命令を受けるの…ライアン家の兄弟4人にうち3人は戦死。

軍は唯一の生き残りである彼だけでも母親の元に返したいという配慮から、ミラー太尉にその任務を逐わせたの。兵士1人の為に危険を侵す任務に疑問を感じるミラー太尉と7人の部下達…ようやく見つけたライアンは、帰国を望むと思いきや戦場に残ると決意を固めるのよ。

結局彼の心意気に打たれたミラーと部下はその場にいた同志と共に戦い生還する事を選んだわ。結果、8人の精鋭のうち生き残りは2人・・・そしてライアンも無事故郷の地を踏むことが出来たのだけど、命を繋ぐことがどれほど困難でどれほど重要なことだったのかが戦闘シーンから伝わって来る。

これまでの戦争映画だと撃たれれば血を流し次のシーンへという展開が殆どよね…でも「プライベートライアン」は攻撃に遭ってから兵士達の体が飛び散り血の海が出来上がる経緯、片手を失った兵士が激しい戦いの最中にいながら放心状態で己の失った手を探していたり、混乱して叫びながら瀕死の兵士の足にモルヒネを何本も打ちこむ仲間の姿など、とてつもないリアリティが細部に渡りじっくりと描かれていて、時間を感じさせないほどだったわ。

更に神に祈りながら敵を撃つスナイパー、攻撃に遭い自分の最期を悟って混乱する医師、そして怖じ気づいた事で仲間を救えず、更に敵にも兵士としてすら扱われなかった最年少の伍長…このあたりの描写も実に生々しく、個々にピックアップしていなくても、彼らの性格や戦争に対する思いが理解出来るのが素晴らしい。

ミラー太尉を演じたトム・ハンクスを始め役者陣の演技はもう何も言うことなし。誰もが戦場を体験してきたのかと思える程よ。戦争を経験していない自分にとってこういった作品はすべてフィクションであるけれど、初めてノンフィクションとして捉えることが出来た気がする。それは、戦争が奪ったものは命だけでなく人間の感情や尊厳、そしてそれ以上のものを無意味にしてしまうのだと気付かされたからかもしれない。それが生きる上で最も恐ろしく虚しい事であるという事も・・・。

戦争は人間の最も愚かしい行為であると同時に"生"を学ぶ教訓であったりもするわ…普通に過ごしていればそんな事を忘れてしまうけれど、今作の様な心に響く"響作"が後の世まで伝えてくれるに違いない。是非今の子供達にこそ、見てもらいたい作品です。

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2014年09月03日

グッド・ウィル・ハンティング日記 経験から生まれるもの編

20140902先月のお盆中に突然の訃報…それは名優ロビン・ウィリアムスの死去…それも自殺。なんて悲しい事でありましょうか…アルコール依存症他、様々克服しながら役者としての素晴らしさを見せてくれた彼だけに、この死は辛すぎます。

追悼の意味も込めて今月は彼の代表的な作品から何本かをピックアップ。

やはりこの作品がベストですね…1998年「グッド・ウィル・ハンティング」…主演を務める若きマッド・デイモンとベン・アフレックが脚本を担当し数々の賞を受賞した事でも有名ですが、内容的にも"人間として思い当たる部分"が良く描かれていてハッとさせられる作品でした。

物語はマサチューセッツ工科大学の数学教授ランボーが生徒達に数学の難問を出題した所、その難問をすぐに解いてしまったのはなんと清掃のアルバイトをしていた青年ウィル(マッド・デイモン)!しかし彼はその才能を生かす事なく仲間とつるんでケンカばかり。彼の才能に惚れ込みその行動の裏には何か原因があると考えた教授は、彼を一流のカウンセラーに委ねるもことごとく粉砕されてしまい、最後の手段として、ロビン・ウィリアムス演じる学生時代の友人で心理学者のショーンに彼をゆだねる事に。

高額な授業料を納め当り前のように学べる環境にある学生達、一方孤児で貧しい環境に身を置き、その非凡な才能を生かし切れないウィル…彼は仲間とつるむ楽しさを味わいながら、何かしらのもどかしさを常に抱えている。そして数学教授ランボーは輝かしい功績や地位を持ちながらもどこかで自分が持ち得ない才能に嫉妬し、ショーンは愛する妻を失い心に扉を閉ざしていたもののウィルと向き合う事で、未来に歩みを進めようとする…それぞれの立場や環境、心の中とのコントラストが見事に表現されていてるのよ

人間誰しも人に嫉妬したり、優越感に浸ったり、恵まれた環境にいるのに気付かなかったりするわよね。でも人と向かい合い、愛したり悩んだり楽しんだりといった経験をする事で初めて"生きる"という事に真剣に取り組んでいけるのかもしれない。

マイナス同士がぶつかり合ってプラスになり、プラスはプラス同士魅かれあい増幅して行く…人間ってなんだか良いかも。折角生まれたのなら何かを残したいなぁ、と自然に思えてくる嫌味の無い素晴らしい作品!

ロビン・ウィリアムスと言えば、コメディ的表現で人を笑いに包んでくれる作品が多いけど、これは彼のしっとりとした落ち着きのある俳優としての奥深さを感じさせてくれたのでした。本当に残念な彼の死でありますが、謹んでご冥福を。

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2013年11月01日

恋するリベラーチェ日記1 最高のラブストーリー!!編

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本日から日本公開のマイケル・ダグラスにマット・デイモン、監督がスティーブン・ソダーバーグという強力タッグで生まれた「Behind the Candelabra ~恋するリベラーチェ~」の試写会に行って来たわ。期間中この作品がエミー賞14部門にノミネートされた事もあり(結果は11部門受賞)立ち見が出るほど。

1950年~70年代に実在したエンターテイナー、リベラーチェの生涯を描いているのだけど、そこはリアルさを追求する事にかけて評価の高いソダーバーグ監督!見事に彼の内面を描ききっていたわ。

物語は、リベラーチェの黄金期から亡くなるまでの1960年から80年に焦点を当てているの。幼い頃からピアノを習い、その類い希なる才能を開花させたリベラーチェ…やがてコンサートホールでの演奏を辞め、ナイトクラブを巡業しクラシック奏法でポップスをアレンジする「クラシカル・ポップス」という独自の音楽スタイルを確立していったわ。

やがて彼はハリウッド・ボウルでフィルハーモニックと共演するまでに上りつめるのだけど、それまで黒い燕尾服が主流だったピアノ奏者の常識を覆し、全身光り輝く真っ白のゴージャスな燕尾服を着用したの。それ以降は数10キロのもある毛皮やダイヤを施した豪華な衣装、特注のピアノに大きな燭台をトレードマークとし、演奏力と軽快なトークで人々を魅了するエンターテイナー王として君臨したわ。

毎日何ステージものショウを行い、観客を楽しませる事に費やす日々…そんな彼が唯一安らげるのは恋人とのひとときなのだけど、同性を愛するリベラーチェにとっては厳しい時代、彼はようやく自分が心を許せる半身ともいえる存在に出会うの。それが彼の運転手であり、愛人であり、息子でもあるスコットよ。

若いスコットはリベラーチェのステージを見て感動し、彼の心の奥にある孤独を感じ取ってからどんどん惹かれていくのよ。やがて両思いになった2人は豪華な生活を楽しみ幸せを噛みしめるのだけれど、スコットは前恋人同様自分もリベラーチェに捨てられてしまうのではないかなど疑心暗鬼になり、薬に手を出してしまう。

一方リベラーチェはプロ意識の高さから整形を施したり、若いコーラスグループをプロデュースしたりと大忙しですれ違い、喧嘩が耐えない状態に。やがて2人の間には溝が出来、別れることになってしまったわ。しかしその時既にリベラーチェはエイズに侵されており、死の床で会いたいと懇願したのはスコットだったの。スコットは彼を見舞い、彼がどれだけ自分を愛していたのか、自分がどれだけ彼を愛していたのかを悟ったわ。

一緒にいるときが最高に幸せ、愛する人と共にあるときの自分が好き、そんなリベラーチェの言葉が心に突き刺さり、とにかく切なくなってしまったわよ。どんなカップルでも最初は惹かれて浮かれ気味になり、やがて衝突する。そこからお互いをどう思っているか真価が問われる状態に陥る訳だけど、このカップルも全く同じよ。自分の自信がちょっぴり欠けてしまった時、そこから不安や疑心暗鬼という病が少しずつ浸食してくるのよね。それはやがて全身にまわり、その人自身を破滅させてしまう・・・唯一治せるのはパートナーの愛情だけ。

リベラーチェは自分の老いを、スコットは自分の自信の無さを恐れた結果すれ違ってしまったけれど、どちらも愛情におっかなびっくりだったに過ぎないかも・・・これは究極の純愛と言えるわね!とにかくマイケル・ダグラスのリベラーチェぶりには驚かされ、一瞬彼だとわからないほどの名演技よ。

マット・デイモンのスコットは若い恋人故の細やかな心の推移が手に取るように伝わって来るし、本当は2人とも同性愛者なのではと思えるほどの自然な振る舞い・・・神懸かってるわ!脇役陣も素晴らしいけれど、特に色を添えていたのはロブ・ロウ演じる整形外科の医師よ。自らの顔にも手を入れてるという設定らしくイケメンで、言葉静かに淡々と追加の手術を進めて行く様が面白い。

生々しい描写も有りながら、そんな笑いのスパイスも有り、テンポ良く進んで行く展開にただただ釘付けだわ。自分の一生の仕事を重んじ、精一杯やり遂げる、でも最期は愛する人に見守られて旅立ちたい・・・誰もが強く望むことだけれど、リベラーチェは自分の力でそれを実現したのよ!本当に素晴らしい・・・!さて、あなたは最期の時を誰と共に過ごしたいですか?思い当たる人がいてもいなくても是非。

【恋するリベラーチェ公式】
http://liberace.jp

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