マイケル・ダグラス

2016年11月28日

アントマン日記 小粒で地味な快作!!編

20161117原案・脚本のエドガー・ライトの監督降板劇もありマーベル作品の中ではさほど触手が動かなかった2015年「アントマン」…正直あまり期待していなかったのだけれど地味ながら後を引く旨みたっぷりの作品だったわ。

時間軸としては「キャプテン・アメリカ:シビルウォー」前に位置するのだけど、冒頭で美しく老いたエージェント・カーターが登場したので大興奮。

物語は優秀なエンジニアであり一児の父であるスコットが刑期を終え出所するところから始まるの。しかし彼は就職困難に陥り、窃盗仲間3人とある富豪の家に忍び込むことに。しかしその富豪は元S.H.I.E.L.Dに所属し、物体縮小技術を可能にした天才科学者ピム博士だったのよ。彼は自分の技術を利用しようとする弟子のダレンから身体縮小スーツを守ろうと、家の難解な金庫を開けたスコットの手腕を買い協力を求めたわ。

博士には自分に反発する娘ホープ、スコットには妻の再婚により別れてしまった愛娘キャシー・・・そんな親子の絆が共鳴し、スコットは博士に協力すべく「アントマン」となることに…やがて、ダレンはヒドラにこの技術を売り渡そうと目論んでいたことが発覚…この小さな戦いはいつしか世界の危機を招く大きな戦いへと変わっていった、という展開よ。

物語の要、ピム博士を演じるのは「ウォール街」でお馴染みの怪優マイケル・ダグラス…見終わって印象に残ったのは彼と愛娘キャシーの顔だけかも・・・どの役者陣も適材適所のキャスティングながらルックスの印象が薄いというのは、あまりにも自然ではまり過ぎていたからなのかもしれないわね…こんな経験は皆無だったので逆に面白かったわ。

アントマンは文字通り蟻を操り共に戦うのだけどリアルに近いルックスの蟻がスコットになついたり”ゲゲゲの鬼太郎”よろしく背に乗せて運んでくれたりと非常に可愛すぎる。

可愛いと言えばスコットの娘キャシー・・・まさに天使の愛くるしさ、でもどこか大人びて人生を楽しむ術を知っているのが良いわ。楽しさで言うなら、忘れていけないのがスコットの窃盗仲間のお間抜け3人組…中でも情報担当のルイスはお調子者で、その前置きが長く本題に入れないというシーンが前後半2回出てくるのだけど、これが良い段落分けになると共に爆笑ポイントに。

全編音の使い方も見事でオープニングは本人や仲間の気質そのままにラテンっぽい音楽が使われたりアントマンが小さくなってからの視点と俯瞰での対比は音をバッサリ切るなど実に効果的。

今回の見どころや笑いのツボはほぼこの視点の対比だったので、そういう意味でもこの演出は重要ね…そしてダレンのスーツを気にするシーンから見える自己愛の強さや人間的な弱さ、蟻を操り灯りを消してしまうという行動から理解出来る父親を憎み続けたホープの苦悩、周囲の人間を笑顔にするスコットのキャシーに対する大きな愛情・・・それぞれの愛が細やかな演出で垣間見れるのも素晴らしかったわ。

更に浴槽、玩具、スーツケースの中と普段考えもつかない場所から人間の世界を見るのは興味深かったけれど、逆に外界での派手な戦いより小さな世界での戦闘の方が恐怖を感じるのかもしれないと考えさせられてしまった…視点を変えれば何事も大きくも小さくも見えてくる・・・だからこそ惑わされる事なく己の心眼を強化していかなくてはいけないのかも。はじめは小粒でもピリリと効いてくる快作・・・週末にオススメよ!!

20161116

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2014年06月13日

ゲーム日記 メビウスの如きエンディング編

20140615デヴィット・フィンチャーマイケル・ダグラス…この強烈な両雄がタッグを組んだ1997年公開「ゲーム」…そのタイトル同様、どんでん返しに続くどんでん返しに、見ている側が弄ばれていると言っても良いかもしれない。

いつもながら見事だと思うのは、冒頭から数分で主人公の状況や背景を映像で"浸透"させてしまう事ね。マイケル演じる実業家ニコラスは48歳の誕生日に、弟のコンラッドからゲームの招待状をプレゼントされる。

仕事中心に生きる彼はまったく興味を示さなかったけれど、「人生が一変するような素晴らしい経験が出来る」という言葉に誘われてゲームに参加することにしたの。ゲーム開始と鞄を紛失、仕組まれたスキャンダル、弟のトラブル、ゲームを企画した会社の消滅と奇妙な出来事が続き、最終的にニコラスは全財産を失い命を狙われ、最後は棺桶に・・・。

ニコラスの幼少時、父親は彼と同じ歳で自殺しており、それ以来彼は仕事の鬼となり投資家として成功していたわ。元妻は今や新たな夫と幸せに暮らしているし、屋敷には乳母が食事の世話に訪れるだけという寂しい生活。ニコラス自身何の為に生きているかわからない矢先にこの事件は起きたわ。命からがら無一文で棺桶から抜け出し、ようやくゲームを終わらそうと手がかりを掴んだけれど・・・。

ついストーリーを書ききってしまいそうなので、この辺にしておくわ。様々な事件に巻き込まれていくうちに、冷血そのものだったニコラスが怯え、焦り、癇癪を起こすという人間的な感情を見せ始めるのだけれど、こうした彼が徐々に自分を解放していく様を見ていると、なんだか母のような気持ちになってしまう。

「ゲーム」は一瞬ホッとさせる部分があるかと思いきや何か起き、またホッとしてから疑問を持たされるという繰り返し。弟コンラッドは"生きる"ことを忘れてしまった兄に、彼に最も有効な形で知らしめた、と救いのあるエンディングで終わって良いものか、ゲームはメビウスの輪のように現在進行中であり、コンラッドはニコラスに復讐しているのでは・・・?と色々な解釈が出来るのも面白い。

途中ニコラスの家に何者かが侵入し、部屋中サイケなペイントがされているシーンがあるのだけど、大音量でJefferson Airplaneの「White Rabbit」がかかっているのが、ニコラスの生活との真逆を示唆していて印象深かったわ。人間誰しも忙しすぎたり孤独に慣れすぎてしまうと、生きようとするエネルギーが激減して隙が出来てしまうもの。その隙を突かれてブラックホールに落ちてしまう前に、まずは側にいてくれる大事な人と食事でも行くべきよ。

さてさて、これからこのゲームに参加される皆さん、あなたははたしてどんなエンディングを目の当たりにするかしら・・・?

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2014年03月01日

ウォール・ストリート続編日記 裏切り王、ゲッコー再び・・・!編

20140301あの"ゲッコー"が帰ってきた!1987年に公開された映画「ウォール街」の続編である「ウォール・ストリート/Money Never Sleeps」をようやく鑑賞出来たわ。

13年の時を経て前作同様オリバー・ストーン監督で制作されているので生々しくて良い感じ。最近新たにウォール街を舞台にした作品が公開されたけれど、やはりウォール街と言えばマイケル・ダグラス演じるゲッコーを差し置いて他に無し、よ!

物語はインサイダー取引で8年の懲役を追えたゲッコーが出所するシーンからスタート。その後、彼はかつての戦場に戻ること無く講演会や本の執筆などを行っていたの。一方絶縁状態だったゲッコーの娘ウィニーは、父を恨みながらも父と同じくウォール街で戦う若き金融マン、ジェイコブと婚約。しかしジェイコブの心の師である経営者ルーは金融界の黒幕ブレトンの陰謀により自殺に追い込まれ、彼の会社も彼も破綻してしまう。

ジェイコブはブレトンに復讐を誓いゲッコーに助けを求め、彼は娘との仲を取り持つことを条件に手を組むことに。しかしゲッコーはウォール街に再び君臨すべく虎視眈々と復活の機会を狙っており、その為にウィニー、ジェイコブを利用したの。

ブレトンは失脚したけれど、再びウォール街に返り咲いたゲッコー、父に裏切られたと悲しみに暮れるウィニー、一筋縄でいかないゲッコーに子供が出来たことを伝え、それを最後の切り札にしたジェイコブ…3人の歯車は噛み合うのか、という展開が二転三転するスリリングなストーリーよ。

ウォール街の申し子というべきか、卓越した頭脳と行動力で本能の赴くまま金融界を操るゲッコー…それが彼のライフワークであり、宿命とでも言うべきか。そんな彼が唯一の肉親である娘に対しどう思うのか、というのが今回の注目点だったのよ。

ゲッコーは娘を裏切り冷酷非情な金融王のまま纏めるか、肉親への愛情を蘇らせハッピーエンドにするのか最後まで読めなかったけれど、結果、後者の後味の良いバージョンで落ち着いたのでほっとしたような残念なような複雑な感じね。

本作ではゲッコーの感情的な部分も垣間見られ、冒頭の部分で出所の日に誰も迎えに来ない淋しさを、普段の通りの様子なれど背中だけで表現しているのは見事。そして受け取った荷物の中に大きな携帯電話、紙幣を挟んでいないマネークリップなどがクローズアップされ、時間の経過と過去の武器の名残を印象的に見せていたのも気に入ったわ。

そして今回のもう一人の主人公ジェイコブの師ルーが、普段通り妻と朝食を摂って、そのまま食地下鉄に身を投げるシーン…セリフ無し現場音のみという淡々とした中で描き出されているのも秀逸ね。人間は絶望の中に死を見出すと、日常通りの行動から自然と深淵にのみ込まれるのだと理解出来たわ。

でもやはり「恋するリベラーチェ」で同一人物を演じたとは思えないマイケル・ダグラスは神懸かっていて素晴らしい!自分に正直に生きるというのはこういう事なのかも・・・と考えさせられたわ。

マネーゲーム、なんていうと軽いけれど、人間はお金を手にしようと思った瞬間からお金に操られていくもの。お金より愛よ!というのはその通りだけど、生きて行く為にはお金は必要。今一度自分の人生に何が必要なのかを考え直す良い機会をもらえたわ。預金通帳を見る前に是非見てみて!

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2013年11月01日

恋するリベラーチェ日記1 最高のラブストーリー!!編

20131101

本日から日本公開のマイケル・ダグラスにマット・デイモン、監督がスティーブン・ソダーバーグという強力タッグで生まれた「Behind the Candelabra ~恋するリベラーチェ~」の試写会に行って来たわ。期間中この作品がエミー賞14部門にノミネートされた事もあり(結果は11部門受賞)立ち見が出るほど。

1950年~70年代に実在したエンターテイナー、リベラーチェの生涯を描いているのだけど、そこはリアルさを追求する事にかけて評価の高いソダーバーグ監督!見事に彼の内面を描ききっていたわ。

物語は、リベラーチェの黄金期から亡くなるまでの1960年から80年に焦点を当てているの。幼い頃からピアノを習い、その類い希なる才能を開花させたリベラーチェ…やがてコンサートホールでの演奏を辞め、ナイトクラブを巡業しクラシック奏法でポップスをアレンジする「クラシカル・ポップス」という独自の音楽スタイルを確立していったわ。

やがて彼はハリウッド・ボウルでフィルハーモニックと共演するまでに上りつめるのだけど、それまで黒い燕尾服が主流だったピアノ奏者の常識を覆し、全身光り輝く真っ白のゴージャスな燕尾服を着用したの。それ以降は数10キロのもある毛皮やダイヤを施した豪華な衣装、特注のピアノに大きな燭台をトレードマークとし、演奏力と軽快なトークで人々を魅了するエンターテイナー王として君臨したわ。

毎日何ステージものショウを行い、観客を楽しませる事に費やす日々…そんな彼が唯一安らげるのは恋人とのひとときなのだけど、同性を愛するリベラーチェにとっては厳しい時代、彼はようやく自分が心を許せる半身ともいえる存在に出会うの。それが彼の運転手であり、愛人であり、息子でもあるスコットよ。

若いスコットはリベラーチェのステージを見て感動し、彼の心の奥にある孤独を感じ取ってからどんどん惹かれていくのよ。やがて両思いになった2人は豪華な生活を楽しみ幸せを噛みしめるのだけれど、スコットは前恋人同様自分もリベラーチェに捨てられてしまうのではないかなど疑心暗鬼になり、薬に手を出してしまう。

一方リベラーチェはプロ意識の高さから整形を施したり、若いコーラスグループをプロデュースしたりと大忙しですれ違い、喧嘩が耐えない状態に。やがて2人の間には溝が出来、別れることになってしまったわ。しかしその時既にリベラーチェはエイズに侵されており、死の床で会いたいと懇願したのはスコットだったの。スコットは彼を見舞い、彼がどれだけ自分を愛していたのか、自分がどれだけ彼を愛していたのかを悟ったわ。

一緒にいるときが最高に幸せ、愛する人と共にあるときの自分が好き、そんなリベラーチェの言葉が心に突き刺さり、とにかく切なくなってしまったわよ。どんなカップルでも最初は惹かれて浮かれ気味になり、やがて衝突する。そこからお互いをどう思っているか真価が問われる状態に陥る訳だけど、このカップルも全く同じよ。自分の自信がちょっぴり欠けてしまった時、そこから不安や疑心暗鬼という病が少しずつ浸食してくるのよね。それはやがて全身にまわり、その人自身を破滅させてしまう・・・唯一治せるのはパートナーの愛情だけ。

リベラーチェは自分の老いを、スコットは自分の自信の無さを恐れた結果すれ違ってしまったけれど、どちらも愛情におっかなびっくりだったに過ぎないかも・・・これは究極の純愛と言えるわね!とにかくマイケル・ダグラスのリベラーチェぶりには驚かされ、一瞬彼だとわからないほどの名演技よ。

マット・デイモンのスコットは若い恋人故の細やかな心の推移が手に取るように伝わって来るし、本当は2人とも同性愛者なのではと思えるほどの自然な振る舞い・・・神懸かってるわ!脇役陣も素晴らしいけれど、特に色を添えていたのはロブ・ロウ演じる整形外科の医師よ。自らの顔にも手を入れてるという設定らしくイケメンで、言葉静かに淡々と追加の手術を進めて行く様が面白い。

生々しい描写も有りながら、そんな笑いのスパイスも有り、テンポ良く進んで行く展開にただただ釘付けだわ。自分の一生の仕事を重んじ、精一杯やり遂げる、でも最期は愛する人に見守られて旅立ちたい・・・誰もが強く望むことだけれど、リベラーチェは自分の力でそれを実現したのよ!本当に素晴らしい・・・!さて、あなたは最期の時を誰と共に過ごしたいですか?思い当たる人がいてもいなくても是非。

【恋するリベラーチェ公式】
http://liberace.jp

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