デヴィッド・フィンチャー

2015年01月23日

D・フィンチャーの好きな映画日記 影響元編

20150119この世の中、何事もZEROからスタートなどあり得ない話…意識が芽生える頃から何かしらの影響を受けて感性が育つものよね。

今をときめく映画監督も好きだった映画から必ず何かを得て自分の中で消化吸収し、改めて自分のフィルターを通して作品で表現する・・この方式は映像に限らず音楽や絵画その他に共通するはず。

そこで、最新作「ゴーン・ガール」も好評なデヴィッド・フィンチャー監督の好きな映画を26本リストアップしてみたわ…彼は1962年生まれでILM(1981~83)を経て、自らプロパガンダFILMを設立し、TVCMやアーティストのPVを制作…90年代中盤から映画制作を手掛けるようになって今に至っている。

うちのスタッフがPV制作時代、ポーラ・アブドゥルのデビュー曲PVその他を手伝っていたので彼の映像に対する美意識に詳しく、なぜ映像・映画でカット数が多いのか等色々と話を聞いてみると、なるほど納得な世界観が見えてきたのよね。

そのデヴィッド・フィンチャーが好きな映画が以下の通り…これが完全に自分の好みと一致してるので驚いたわ。彼による傑作26選は、まさしく今のD・フィンチャーStyleに影響を与えているのが分かる。

「明日に向って撃て」(69)
「チャイナタウン」(74)
「博士の異常な愛情」(64)
「ザ・ゴッドファーザー PART II 」(74)
「タクシードライバー」(76)
「チャンス」(79)
「オール・ザット・ジャズ」(79)
「エイリアン」(79)
「裏窓 」(54)
「カメレオンマン」(83)
「キャバレー」(72)
「ペーパー・ムーン」(73)
「ジョーズ」(75)
「アラビアのロレンス 」(62)
「大統領の陰謀 」(76)
「8 1/2」(63)
「市民ケーン」(41)
「天国の日」(78)
「アニマル・ハウス」(78)
「マッドマックス 2」(81)
「危険な年」(82)
「アメリカン・グラフィティ」(73)
「ターミネーター」(84)
「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」(75)
「エクソシスト」(73)
「卒業」(67)

彼はアカデミー協会からちょっぴり嫌われているので、「ゴーン・ガール」も完全無視されている状況ですけど、今後も期待したいです…フフ。

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2014年06月14日

ファイト・クラブ日記 悩める男は傷だらけ編

20140616昨日の「GAME」その他で独特の映像美を見せるデヴィッド・フィンチャー。その彼が危ない非日常の世界を描いた1999年作品が「ファイト・クラブ」よ。主演はブラッド・ピットとエドワード・ノートン。

2000年前後の米作品の背景にある特徴を感じ取る事ができるわね…それはアメリカン・ドリームの反対側に存在する暗い一面をテーマにするものよ…「American Beauty」や、この「ファイト・クラブ」も同じ背景があるの。

アメリカ型経済原則では"勝ち組み"と"負け組み"がハッキリと二分され、その"負け組み"が実は大勢いるという事実が深刻な社会問題になっているわ。

最初に登場する退屈な日常に不満を持つジャック(ノートン)は、見た目は"負け組み"ではないエリート社員だけど精神的に病んでしまっている負け側の人間。それを癒そうと重病患者のカンセリングに顔を出すようになるの。病人に成りすます事で、自分の心を開放させる事が出来るかもしれないと思ったのね。そこで同じように病人に成りすました女(ヘレナ・ボナム・カーター)と出会いが・・。

やがてジャックは風変わりな石鹸売りのタイラー(ブラピ)と遭遇。二人で世間に幻滅した人間の集まり"ファイト・クラブ"を創設するのだった!クラブのルールは、他人にこの集団の存在を絶対に話さない事。当初は素手の殴り合いで不満を解消していたけど、やがて反国家的な軍事組織へと変貌していくというお話なの!なかなかブラピは登場しないけど、サブリミナル的に彼のショットが前半に挿入されているわ。

暴力をテーマにした社会的インパクトと言えば、スタンリー・キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」が真っ先に思い出されるけど、「ファイト・クラブ」はそこまで現実の暴力や無秩序の社会問題を深く追及しているわけではないの。かと言って、単なるストリート・ファイトの作品ではない。やはりそこには、病んだアメリカの一面がうかがえるのよね。

公開当時賛否両論が出たこの作品。『暴力がライフスタイルの一部として描かれている』との否定的な意見も多いけど、社会になじめなくなった男達の行き場の無い描写と演出には素晴らしいものがあり、脚本も良く、ブラピとノートンの演技にも冴えを感じるわ。ただ、この「ファイト・クラブ」がアンダーな一場面を象徴的にクローズアップしただけと感じてしまう部分も確かに多いけど、それは見る人の国情によってもだいぶ違ってくるの。特に欧米ではピリピリものかも。

デヴィッド・フィンチャーは企業CFやアーティストのプロモーション・フィルムの作成で有名な"プロパガンダ・フィルム"の出身よ。それだけに映像表現には奇抜なショットが多いわ。今回もファイトシーンには圧倒されちゃうわよ。過激なシーンも多いけど、一つのドラマとして見ごたえは十分ね。

そして個人的には、あの伝説的おでぶロッカー、ミートローフが役者として出ているのも興味深い~!!

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2014年06月13日

ゲーム日記 メビウスの如きエンディング編

20140615デヴィット・フィンチャーマイケル・ダグラス…この強烈な両雄がタッグを組んだ1997年公開「ゲーム」…そのタイトル同様、どんでん返しに続くどんでん返しに、見ている側が弄ばれていると言っても良いかもしれない。

いつもながら見事だと思うのは、冒頭から数分で主人公の状況や背景を映像で"浸透"させてしまう事ね。マイケル演じる実業家ニコラスは48歳の誕生日に、弟のコンラッドからゲームの招待状をプレゼントされる。

仕事中心に生きる彼はまったく興味を示さなかったけれど、「人生が一変するような素晴らしい経験が出来る」という言葉に誘われてゲームに参加することにしたの。ゲーム開始と鞄を紛失、仕組まれたスキャンダル、弟のトラブル、ゲームを企画した会社の消滅と奇妙な出来事が続き、最終的にニコラスは全財産を失い命を狙われ、最後は棺桶に・・・。

ニコラスの幼少時、父親は彼と同じ歳で自殺しており、それ以来彼は仕事の鬼となり投資家として成功していたわ。元妻は今や新たな夫と幸せに暮らしているし、屋敷には乳母が食事の世話に訪れるだけという寂しい生活。ニコラス自身何の為に生きているかわからない矢先にこの事件は起きたわ。命からがら無一文で棺桶から抜け出し、ようやくゲームを終わらそうと手がかりを掴んだけれど・・・。

ついストーリーを書ききってしまいそうなので、この辺にしておくわ。様々な事件に巻き込まれていくうちに、冷血そのものだったニコラスが怯え、焦り、癇癪を起こすという人間的な感情を見せ始めるのだけれど、こうした彼が徐々に自分を解放していく様を見ていると、なんだか母のような気持ちになってしまう。

「ゲーム」は一瞬ホッとさせる部分があるかと思いきや何か起き、またホッとしてから疑問を持たされるという繰り返し。弟コンラッドは"生きる"ことを忘れてしまった兄に、彼に最も有効な形で知らしめた、と救いのあるエンディングで終わって良いものか、ゲームはメビウスの輪のように現在進行中であり、コンラッドはニコラスに復讐しているのでは・・・?と色々な解釈が出来るのも面白い。

途中ニコラスの家に何者かが侵入し、部屋中サイケなペイントがされているシーンがあるのだけど、大音量でJefferson Airplaneの「White Rabbit」がかかっているのが、ニコラスの生活との真逆を示唆していて印象深かったわ。人間誰しも忙しすぎたり孤独に慣れすぎてしまうと、生きようとするエネルギーが激減して隙が出来てしまうもの。その隙を突かれてブラックホールに落ちてしまう前に、まずは側にいてくれる大事な人と食事でも行くべきよ。

さてさて、これからこのゲームに参加される皆さん、あなたははたしてどんなエンディングを目の当たりにするかしら・・・?

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2014年02月16日

ソーシャル・ネットワーク日記 非凡と凡庸の歪みに・・・編

201402142010年映画作品「The Social Network」…言わずと知れたマーク・ザッカーバーグのFaceBook誕生を描いた作品ね。公開当時に見過ごして、ようやく見る事が出来たのだけど、オープニングからデヴィッド・フィンチャー監督色が色濃く出ていてなかなか見応えがあったわ!…次作となる「ドラゴン・タトゥーの女」の時もそうだけどつかみのオープニングが素敵よ!

物語は、ハーバード大学に在籍する若きザッカーバーグがふとしたことからガールフレンドのエリカと口論になり、その腹いせにハーバード大のコンピューターをハッキングし全女子学生の写真を集め、友人のサベリンと共にルックスの格付けサイトを即座に立ち上げるの。

瞬く間にサーバーはダウンし、ザッカーバーグは保護観察処分に。彼のその才能に目を付けた大学のエリート、ウィンクルボス兄弟は、ザッカーバーグとサベリンに学生専用コミュニティサイト「ハーバード・コネクション」を立ち上げたいと依頼するの。

ザッカーバーグは快諾するものの、サベリンに資金を集めさせて、独自の考えに基づいた新たなサイト「The FaceBook」を制作してしまうの。制作途中から既にウィンクル兄弟は蚊帳の外・・・凡庸で苦労知らずの兄弟と非凡なザッカーバーグの考えは完璧にすれ違いに。ザッカーバーグのアイディアと構築力で産声をあげた「The FaceBook」は瞬く間に広がり、彼の戦略通りハーバード以外の大学へも拡大。

その斬新な発想に目を付けた「Napstar」の創立者ショーン・パーカーはザッカーバーグに近づき、意気投合するの。恐るべきビジネス嗅覚とを持ったショーンはたちまちザッカーバーグの良きビジネスパートナーとなり、彼の提案で「The」をとって「Face book」と屋号も変えるほど。やがてCFOとして精力的に動いていた親友、サベリンとも次第に距離が・・・。

やがてFBは社会現象を起こすほどの巨大サイトへと急成長するけれど、ザッカーバーグはウィンクルボス兄弟、親友のサベリンからも訴訟され、ショーンも別件で逮捕されることになったわ。今作は事実に基づいた創作であるけれど、ビジネスのなんたるかを垣間見れるのが興味深いわね。

特に投資家へのプレゼンに関しても日本では考えられない方法をとったりするの。映像的な部分は更にお見事!で、訴訟と回想シーンの切替の絶妙さが、見る側にFBの明暗の推移をスムーズに理解させてくれる。ザッカーバーグの台詞回しがやや早口になっている事で、彼の論理的な部分や偏執的な性格が表現されていると同時に物語のテンポが小気味よく仕上がっているのも秀逸よ。

ショーンを演じたジャスティン・ティンバーレイクの演技が素晴らしかった…でも本人を上回るグッド・ルッキングには、ちょっぴり苦笑いね。世間的に、ザッカーバーグもショーンも変人だ破天荒だのと言われているけれど、彼らは斬新な発想力があり、それを実現させる能力と行動力がある。ただ素直に「やりたいことをやった」だけにすぎないのだと痛感したわ。

訴訟相手の2人は真面目で努力家であるけれど、所詮は普通の人だったんだなと納得・・・皮肉なものよね。友達の少ない人=変わっているから孤立するというのが一般的なれど、同じ周波数を持つ人が少なかった、という方が正しいのではないかしらと思えてならない。

ビジネスチャンスはここそこに転がっているけれど、何かをきっかけにそれを拾い上げ磨き、ちょいと見せてみる、という単純な仕組みで世の中が動いていくのかもね。ザッカーバーグも、ガールフレンドへの怒りを燃料に暴走列車を走らせたのがきっかけですもの・・・さて、新しい猫の爪研ぎが欲しいから、何か考えてみようかしら…うふふふふ・・・。

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2013年07月16日

カルバン・クライン日記 最新CM編

20130714あ、「ドラゴン・タトゥーの女」の主演女優ルーニー・マーラが出てるカルバン・クラインの1分CM…とても画面が流麗で色気があったので調べてみたら、監督はやはり「ドラゴン・タトゥーの女」のデヴィッド・フィンチャー監督だったのよ。

DownTownというフレグランスのCMなのだけど、元々デヴィッド・フィンチャーはPVやCM出身の監督なのでお手の物なのだけど、何気ない画像処理はさすがよね。

モノクロ画面でダイナミックレンジが広く感じるので、もしかしたらREDのモノクロ専用マシンでの撮影かしらね…まぁ~ご覧あれ…フフ。



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2012年05月12日

ドラゴン・タトゥー日記 刺青に宿る無垢なる黒髪の天使編

20120513ご招待を受け「ドラゴン・タトゥーの女」限定公開版の試写会へ行ってきたわ。作品についてはポスターのデザインのみで全く予備知識が無く臨んだのだけど、結果それが良かったかも。

いきなりミュージック・ビデオを思わせるオープニング映像はとにかく凄すぎ。フィンチャーここにあり!とその存在感とセンスに脱帽よ。

メタリックな質感で統一された画面・・・回路の中を温かな流動物が這い回ったかと思えば、ケーブルが生き物のように蠢き迫り来る。やがて女性の顔が幾重にも 重なった手に捕らわれると花が咲き出し、束縛するものに抗するように蜂が飛び出して・・・という抽象的な映像にナイン・インチ・ネイルズ世代としては嬉し い、トレント・レズナーとカレン・オーの強力タッグ版「移民の歌」が強烈な印象を放っていたわ。

本編を見終わって、このオープニングが物語の全てを示唆していたのだと気付いた時にはやられた!のひと言ね。ここでは主役のリスベットの純粋さと強さが表現されていたのよ!!

物語はスウェーデンが舞台。財界汚職の告発記事を書き、誉棄損裁判で敗訴し四面楚歌のミカエルのもとへスウェーデンの財閥ヴァンゲルの元会長ヘンリックか ら依頼が来たわ。彼はミカエルに家族史の執筆を願うも、真の目的は40年前に失踪した親族の娘ハリエットの真相究明だったの。ミカエルはヴァンゲル一族の 暗黒の歴史を紐解きに難航し、天才的な情報収集能力を持つ少女リスベットをアシスタントにつけることにしたわ。

一見パンキッシュで人嫌い、風変わりなリスベットはこの事件に関心を示し共に調査を進めて行くけれど、徐々に血塗られた真実が浮かび上がり・・・という息飲む展開よ。

注目すべきはリスベット!彼女は見た目こそ人を寄せ付けない風貌だけど、非常に知的で純粋な女性よ。人並み外れた能力を持つ者特有の孤独、うまく表現出来な い感情・・・そのせいで人から利用されてしまうの。なんだかこれでは救いがないと思いつつ、彼女のがむしゃらで真っ直ぐな生き方に羨ましさも感じてしまっ たわ。

本作では目を覆いたくなるほどの暴行シーンがいくつかあったけれど、どのシーンも細部に渡ってリアルに描かれ、その重みや見てる側 の感情移入がスムーズに伝わって来たのもお見事ね。後見人に暴行をうけたリスベットがブレードランナーばりのメイクで復讐するシーンは、残酷ではあるけど 同じ女性として救われた気がする。

そして唯一友と認めたミカエルの為に走り回る姿は、本当に健気で愛おしさが募ってきたわ。まさに守護天使と言って良いかも。この作品も聖書にまつわるキーワードが至る所に登場するけど、それだけ宗教と国が深い繋がりと歴史を持っているのね。

日本にいるとあまりピンとこないけど、宗教がそれだけ生活と密接な関係にあるのだと痛感。サスペンスが苦手な自分にとって、複雑に幾重にも折り重なった状況 に翻弄され常に緊張していたけど、人物の背景が奥深く描かれていたので非常に楽しむことが出来たわ。そしてリスベットのメイクや髪、スタイルがとにかく クールで目が離せない!次回はリスベットのどんな一面が見られるのか、今からドキドキして待つとしましょう。

尚、6/13にリリースされるBlu-ray/DVDには日本では劇場未公開のこの本編が収録されるので必見よ!

[オフィシャルサイト]
http://www.dragontattoo.jp/

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