テリー・ギリアム

2014年12月03日

ゼロ・セオラム日記3 世界では公開済編

20141203今年の初めに紹介したテリー・ギリアム監督最新作「ゼロ・セオラム」…米で9月にそれ以外の国でも順次公開されたのですが、どうやら日本では未定!?のまま年を越しそうな気配…楽しみにしていたのですがとても残念。

各評価を読む限り、かの「未来世紀ブラジル」に匹敵する素晴らしいギリアム監督の秀作との事…ゼロの定理の謎を追う主人公ハッカーのサスペンス仕立。

物語はマット・デイモン演じるマンコム社のチーフが人類の存在意義を決定するとされる「ゼロの定理」の解明をクリストフ・ヴァルツ演じるコンピューターハッカーのコーエンに依頼…謎の美女も一緒になって事の解明にあたるのですが、核心に迫るにつれ不思議な現象に遭遇・・そして。

時代背景はとても楽天的なユートピアな世界なのですが、主人公のコーエンだけは真逆の暗黒面を感じ取ってしまうという前提の元にユートピアを描いたテリー・ギリアムの世界観です。

と言う事で最終予告編で本編を想像しつつ、再度「未来世紀ブラジル」の悲しいヴァージョンでも見直しましょうかね。

【The ZERO THEOREM official】
http://www.thezerotheorem-movie.com

【追記 2014/12/31】
邦題「ゼロの未来」で2015年5月16日に公開が決定したとの事です。
 

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2014年02月14日

ゼロ・セオラム日記2 予告編

20140212昨年ブログでもお伝えしたテリー・ギリアム監督最新作「ゼロ・セオラム」の正式な予告編がリリースされたので早速お届け。

「未来世紀ブラジル」でサイバーパンクなマニアの心を鷲づかみにした彼の新作だけに期待大ね。お話はゼロ・セオラム=ゼロの定義の謎を主人公のハッカーが解き明かそうとするサスペンスとの事。

ギリアムによれば、現世界のSNS等のつながりに対するメッセージだそうで、テーマは日常が24時間オープンになってしまった社会での個人でアイデンティティの存在だそうです。

予告編を見る限り、それはそれは変な人がいっぱい出てきそうですが、ギリアム的観点から善悪という視点ではなくて、立場という逃れられない大人の事情をブラックに描いてると感じますね。

メジャーな俳優としてはマット・デイモンが組織の管理者として出演…世界的には欧州で4月頃に公開され次いで北米…日本公開は未定ですがDVDスルーだけはしないでね。


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2013年10月09日

ゼロ・セオラム日記1 テリー・ギリアム的電脳世界編

20140210テリー・ギリアムと言えばあの「未来世紀ブラジル」「Dr.パルナサスの鏡」で独自の世界観を構築して、その中で本能的に蠢く人間界模様を軽妙なダークさで描くことで確固たるファンをを得ている監督よね。

そんな彼の新作が2014年に公開予定の「ザ・ゼロ・セオラム」。

「ザ・ゼロ・セオラム」とはゼロ定義…つまり主人公のハッカーがこの定義の謎を解こうとする近未来のクライムサスペンスっぽいお話らしいわ。

先月のトロント映画祭でプレミア上映されて上々の評価との事…予告編ではないけど、その一部を監督自身が初公開したのでご覧あれ!期待大!!



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2012年12月28日

Dr.パルナサスの鏡日記 リアル・ブラック編

20121224その衝撃的な個性にノックアウトされてしまった名作「未来世紀ブラジル」の監督、テリー・ギリアムの「Dr.パルナサスの鏡」をダークな年末を過ごしたいあなたにオススメするわよ!



お話は以前に悪魔との賭で不死を手に入れたDr.パルナサス。その代償として自分の娘を16歳の誕生日の日に悪魔に捧げないといけない。何とかそれを避けたい博士はある行動に出る…!という物語よ。



主役の博士から命を助けられる商才豊かなトニーを演じるのが、今は無きヒース・レジャー…ヒース・レジャーと言えばあの「バットマン:ダークナイト」で狂気のジョーカーを見事に演じきった素晴らしい役者さんよね…この撮影中に他界してしまったので、未完成のままでお蔵入りかと思われていたけど、友人でもあったジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人の協力で別世界のトニーを演じる事で無事作品は完成。違和感ない仕上がりになってたわ。ちなみに、彼らはギャラをそのままヒース・レジャーの娘に寄贈したとの事よ。ヒースは本当に役者として、人間として愛されていたのね…素晴らしいわ。



あの「未来世紀ブラジル」ではフィルムをスタジオ側に散々いじられ結末まで変えられてしまい、作品の持っていた本来のテーマが伝わりにくいまま公開・・ご立腹のまま「映画制作が嫌いになった!」という状態に陥ったギリアムが送り出した今作。期待を裏切らないその独特の世界観にまんべんなく酔わされたわ。



ベースにはパルナサス博士の一人の人間の本音部分(欲)と、家族を持った後の母性的な部分(愛)があって、その欲に絡みつくコミカルな悪魔が博士の心を通じて様々な人間の本性をえぐり出すのよね。その描き方がギリアム・ワールドなのよ。



それを表現するのに大きな役割を担っていたのが、お話の核となる旅芸人Dr.パルナサス一家の移動式旅小屋。見せ物小屋的で一見楽しそうだけど、どこかもの悲しい部分や暗の部分が背景にペーストされてる。そのギミックな作り込みがギリアム・ワールド。



衣装や小道具、メイクも一見ヨーロッパのクラシカルなデザインなんだけど、よく見るとモダンなの。中でも日本の着物とドレス生地をうまくコラージュしていたり、僧侶が舟形鳥帽子をかぶって登場したのには驚かされたわ。色々な個性の強い要素が含まれているにも関わらず、それがひとつの世界の色合いとして成り立っているのよね。このセットデザインの混沌さがギリアム・ワールド。



そして、その混沌さが登場人物のそれと上手く対比してるのよ。酔っぱらいから色情婦人、えせヒューマニストからイブ的快楽…。タイトルにある『鏡』はそれらを増幅させるアンプのような存在で、醜い自分をもっと好きになるというブラックなユーモア…これこそギリアム・ワールド。



そんな世界観で終始登場する悪魔を演じるのが歌手としてピポ子の崇拝するトム・ウェイツ。本人のキャラをそのまま出し切って一癖も二癖もある"はまりすぎキャスティング"ね。トムが普段から表現している世界にに見事シンクロしてる。でも、ここでの悪魔は結構愛があるのよ。自分が楽しむ余興の世界を演出してるの。これまたギリアム・ワールド。



そしてその結末は…やっぱりギリアム・ワールドよ。



役者陣もとにかく大健闘!博士の愛娘を演じたリリー・コールは『マーク・ライデン』の画集からそのまま抜け出たよう。改めてキャスティングの重要性というものを思い知らされたわ。



この世は常に相対するものがありシーソーのように作用するから、生きる事に意味がある・・一見摩訶不思議で美しい世界を見せているかと思いきや、人間の内面をまたもやズルズルと引きずり出したギリアム監督!やってくれましたね!もっと語りたいのだけど、多くの方に見て頂きたいのでこの辺で…フフ。

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2012年12月13日

未来世紀ブラジル日記 憂鬱な幻想カルト編

20121212近年カルト系映画の代表作としてよく耳にするタイトル「未来世紀ブラジル」…見よう見ようと思ってなかなか見る機会がなかったのだけど、やっとその時が!



テリー・ギリアム監督の気合いの入った作品と聞いていただけに期待大。タイトルも摩訶不思議、ジャケットもシュール、テーマは「ぶざまなほど統制された人間社会の狂気と、手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求」という内容よ。



始まってからずっと「あ、ここ見たことが・・」と記憶に引っかかるシーンが続出し、いかにこの作品がオマージュされたり、してたりしているのかが理解出来たわ。



舞台は"20世紀のどこかの国"、情報省はテロの容疑者を誤認逮捕してしまうの。唯一その真実を知る美女ジルが抗議しても無視されるばかり。一方情報局に勤めるサムはこの事実を隠蔽するため試行錯誤していたの。



しかしサムは、ジルが毎晩夢の中で恋い焦がれる美女にそっくりだったことで、エリートの道を踏み外してしまう…?と簡単に言うとそんなストーリーだけど、階級社会への批判や皮肉が存分に表現されているわ。



強烈な登場人物、夢の中に登場する禍々しいあやかし、そして階級構造のアイコンとして登場する"ダクト"…どれをとっても常人の発想でない!この世界は、山のような書類の手続きが必要で融通が全く利かないし、そのくせ町中は至る所にゴミ箱が設置され、ゴミを落とすと怒られる。



こんな矛盾もエッセンスとして織り込まれてるのが憎いなぁ~。



特に気になったのは、美容整形を繰り返すサムのママね。地位と有り余る財産を持つ彼女は美に取り憑かれ、息子に固執し、滑稽だけどどこか悲しい…女性として凄く理解できるし惹かれるわ。



『未来』とタイトルでうたわれてはいても、背景もファッションも実にアンティークで可愛らしいし、この独特で強烈な視覚効果はかなりショック!



『ブレードランナー』同様、公開当時はスタジオ側の要望でエンディングがハッピーエンドに修正されてしまったけど、DVDはオリジナルの重いエンディングバージョン。いや~でもこのオリジナルラスト以外考えられないわ!!



逃避と妄想を夢つながりで巧みに織り込む映像表現はお見事ね。そして、その夢が痛みを和らげる唯一の手段・・。見終わってしばらく、名曲「ブラジル」が頭の中をグルグル回っておりました…オススメの一本よ。

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