スピルバーグ

2015年04月24日

マイノリティー・リポート日記 誤差が導き出す真実編

201504162002年スピルバーグ作品「マイノリティー・リポート」…SFである事は間違いないけど、劇中で登場したアイテムがほぼ実現化しているというのは凄い!物語自体も良く出来てるけど、その点にも再確認よね。

物語は2054年のワシントンが舞台で"犯罪予防局"の第一線で働く男が主人公なの。ここは、3人の"プリコグ"と呼ばれる予知能力者の透視した犯罪場面を映像化して解明し、事件が起こる前に殺人を防ぐという最先端のシステムが装備されてるの。たちまち犯罪率は90%減少という成果を導き出したわ。

ある日いつものように仕事をしていた男は、自分の殺人予知現場のデータを見て愕然とし追う側から追われる側になってしまう!男はやがてこの完璧なシステムに僅かな誤差を見いだし、企てられた真実を見つけ出そうとするけど・・・という内容よ。

驚いたのは、今現在iPhone等を扱う際当たり前のように行なっていた"モーションコントロール"という動作が劇中で同じように行われてるわ!その他にも網膜認証、デジタル広告など、実際に目にしたり耳にしていた事が既に13年前のこの作品内で展開…何という発想力かしらね。

特に興味を引かれたのは、個人に対して"追ってくる"そして"話しかけてくる"ターゲット広告!!…網膜で個人データが読み込めてしまうから、カード会社の宣伝のポスターから美女が笑顔で現れ『旅行はいかが?』と声をかけてくるし、商店では『この間お買上のタンクトップいかがでした?』なんて声がしてきちゃうの。このシステムもそう遠くない将来現れるかもしれないわね。話しかけられた照れそう・・・ドキドキ。

そんな最新のツールとは対照的に、人々が身を寄せ合い生きている貧民窟や愛嬌のあるクモ型網膜探査機など、人間の体温を感じられる部分がコミカルに描かれていて、所々でスピルバーグ節を楽しんだわ。人間はこの世界に生を授かり、ありとあらゆる知恵を使って快適に生きようと努力する。

結局どんなに世の中が様変わりしても、変わらないもの・・・それは人間の"生きようとするエネルギー"なのかもしれないわね。

因みにこの作品…TVシリーズとして計画されてるらしいから、最新版では更なる現実感のある近未来を見せてくれそうで期待大ですね、そうそう同様な近未来と言えばテリー・ギリアム「ゼロの未来」も間もなく日本公開…こちらも注目ね…フフ。

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2014年11月04日

激突日記 衝撃のスピルバーグデビュー編

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素晴らしく上出来なポスターを見つけたのでピックアップ…illustratorのケイシー・キャレンダー氏による作品で、映画の緊張感が伝わってきますね。

1971年「激突」はスピルバーグ25才の時の商業映画デビュー作品なんですが、元々はTV映画用に作られた作品なんですね…主演は当時日本でも宍戸錠氏の吹替で話題だった田舎警部が都会で大活躍する「警部マクロード」のデニス・ウィーバー。

物語は至ってシンプル…普通の男が仕事でハイウェイを急ぐですが、トレーラーに邪魔されてちょっとイライラ…スキをついてトレーラーを追い抜き意気揚々、それをキッカケにトレーラーは執念深く彼を追い詰める展開に。

描写的に凄いのが、トレーラー運転手は一切映らず、どうしてそこまで執念深く追い詰めるのかの動機を見せないまま息詰まる編集は当時リアルタイムに見ていた人達から『革命的な作品!!』と評価されました。確かに作品に登場するのは普通の人と化身となったタンクローリーだけ。

一体この結末はどうなるのか…まったく読めないままに終結していくのですが、見終わっても確かに『え~』って感じで、ホラーなのかサスペンスなのかアクションなのか・・、物語より連続する画面から衝撃的な映像に唖然なんですよね。ここから天才スピルバーグの歴史が始まるわけですが、それも完全納得な作品…ここからあの名作「JAWS」につながります。

「JAWS」も同様なのですが、オリジナルタイトル「DUEL」、つまり決闘の次元に入った者達には生きるか死ぬかしか無いわけですね…この闘いの本能を余すこと無く表現したスピルバーグはやはり天才だったと言う結論に導く傑作です…まだ見てない方は是非ご覧になってね。

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2014年09月14日

プライベートライアン日記 人が人を殺める地獄編

20140911S・スピルバーグの作品というと、冒険活劇というイメージしかなかった自分…1994年公開の「シンドラーのリスト」を劇場で見た時は戦争の重々しさを感じただけだったけれど、その4年後に公開された「プライベートライアン」を見て、戦争に対する認識が一気に覆されたわ!

戦争映画は多々あれど、これほどまでにリアル且つ戦いの最中での内面の描写が出来ている作品があったのね・・・。冒頭の30分の戦争の描写は以降の戦争映画のフォーマットとなっている程緊迫感に溢れたもので、そこには紛れもない"生と死"のみが存在していたわ…あまりにも有名な作品だったのでつい後回しにしていたのだけど、その事が悔やまれてならない。

皆さんもよくご存じだと思うけれど、ストーリーは1944年のノルマンディー上陸作戦の最中。オハマビーチ上陸作戦を生き残った中隊隊長のミラー太尉は、パラシュート歩兵連隊に所属するジェームス・ライアン2等兵を戦線から探し出し帰国させるという命令を受けるの…ライアン家の兄弟4人にうち3人は戦死。

軍は唯一の生き残りである彼だけでも母親の元に返したいという配慮から、ミラー太尉にその任務を逐わせたの。兵士1人の為に危険を侵す任務に疑問を感じるミラー太尉と7人の部下達…ようやく見つけたライアンは、帰国を望むと思いきや戦場に残ると決意を固めるのよ。

結局彼の心意気に打たれたミラーと部下はその場にいた同志と共に戦い生還する事を選んだわ。結果、8人の精鋭のうち生き残りは2人・・・そしてライアンも無事故郷の地を踏むことが出来たのだけど、命を繋ぐことがどれほど困難でどれほど重要なことだったのかが戦闘シーンから伝わって来る。

これまでの戦争映画だと撃たれれば血を流し次のシーンへという展開が殆どよね…でも「プライベートライアン」は攻撃に遭ってから兵士達の体が飛び散り血の海が出来上がる経緯、片手を失った兵士が激しい戦いの最中にいながら放心状態で己の失った手を探していたり、混乱して叫びながら瀕死の兵士の足にモルヒネを何本も打ちこむ仲間の姿など、とてつもないリアリティが細部に渡りじっくりと描かれていて、時間を感じさせないほどだったわ。

更に神に祈りながら敵を撃つスナイパー、攻撃に遭い自分の最期を悟って混乱する医師、そして怖じ気づいた事で仲間を救えず、更に敵にも兵士としてすら扱われなかった最年少の伍長…このあたりの描写も実に生々しく、個々にピックアップしていなくても、彼らの性格や戦争に対する思いが理解出来るのが素晴らしい。

ミラー太尉を演じたトム・ハンクスを始め役者陣の演技はもう何も言うことなし。誰もが戦場を体験してきたのかと思える程よ。戦争を経験していない自分にとってこういった作品はすべてフィクションであるけれど、初めてノンフィクションとして捉えることが出来た気がする。それは、戦争が奪ったものは命だけでなく人間の感情や尊厳、そしてそれ以上のものを無意味にしてしまうのだと気付かされたからかもしれない。それが生きる上で最も恐ろしく虚しい事であるという事も・・・。

戦争は人間の最も愚かしい行為であると同時に"生"を学ぶ教訓であったりもするわ…普通に過ごしていればそんな事を忘れてしまうけれど、今作の様な心に響く"響作"が後の世まで伝えてくれるに違いない。是非今の子供達にこそ、見てもらいたい作品です。

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