スタンリー・トゥッチ

2015年10月04日

プラダを着た悪魔日記 お約束の展開なれど・・・編

20151002丁度BSで放映中だったので見てしまった2006年「プラダを着た悪魔」…うむ、日本人がとても好きそうな映画ね。当初は女性の華やかな生き方と目映い衣装を身につけた女優陣の美しさに注目してしまうけれど、年を追う毎に見て思うのは、やはり女性が仕事を成し遂げようと思えば思うほどプライベートは壊滅状態になりそれは当然のことであると納得させられるわね。

ストーリーは頭脳明晰だけど凡庸なアンドレアは誰もが憧れるファッション雑誌の編集部に配属され、NY中で知らないものは誰もいないやり手女編集長、ミランダの下で働く事になるの。同僚も皆美しくセンス抜群で、一人浮き立つ彼女は彼らに非難され、編集長もアンドレアに無理難題の用事を言いつけてくる始末。

努力と気合いだけでは戦えず意気消沈するも、遂に彼女は戦う事を決意し美しいレディに変身するのよ。仕事も完璧にこなし編集長の信頼を得て重要なポストに就く事になったけど、最後アンドレアは自分の信念を貫き新たなステップを踏む・・・皆さんご存じの展開。

様々なアイテムを着こなすアンドレアことアン・ハサウェイの”動くファッション誌”ぶりは女性心をくすぐるけれど、ミランダが毎朝机の上に乱暴に置くアウターとバックの組合せは更に洗練されていて素敵よ。そしてアンドレアの同僚である強気な女性エミリーのヴィヴィアンのアイテムとメタリック・メイクも溜息ものだわ。

何より女性が仕事で成り上がるという"わらしべ長者”状態がとても小気味良くて、日頃のストレスが軽減されそう。そして恋話。美しくなると知り合う男性もランクアップするという方程式により、昔の彼はちょっと置いておく・・・とまあ「女性の理想」がてんこ盛りと言えるわね。

全体的にはハッピーすぎる内容ではあるけれどアンドレアが浮上する過程に於いて沈下するエミリー、ミランダが自分の地位を守る為裏切った同志のナイジェル、様々な思惑と人間関係が錯綜しているのが面白いわ。とにかく俳優陣の超絶演技にはあっという間に引き込まれ、この作品から更にステップアップしていく文字通り”わらしべ”状況になっていった若い俳優も多いのは頷ける。

ベテラン陣も圧巻で、「キャプテン・アメリカ」「ラブリー・ボーン」でもその怪優ぶりを見せつけたスタンリー・トゥッチの存在感は大きい。彼が今回演じたのはミランダの片腕であり彼女に裏切られた彼女の片腕ナイジェル。大きなリングをはめ、常に美に対し鋭敏である彼は厳しくもアンドレアの服を選び、彼女の支えになるというハートフルな人物よ。

ミランダを心から尊敬し仕事ぶりを認める彼は、裏切られても彼女を罵ること無くミランダが次のチャンスをもたらすだろうと思うほど信頼しているの…これって仕事をする上で非常に非情ながら大事な事かも。特に印象に残ったのは、”千の仮面を持つ”メリル・ストリープ演じるミランダがマスコミの前に出る直前に笑顔を作って車を降りるシーンかしら…どんなにプライベートがぼろぼろでも誰もが憧れて止まない地位を自分は築いているのだという自負、その自信に真のプロフェッショナルを見たわ。

そして忘れてはいけない、アンドレアの同僚エミリー…若きエミリー・ブラントが演じているのだけど、こちらもなかなかの好演よ。最初はおイモだと馬鹿にしていた同僚に自分の地位を奪われるのではと不安になったり、細いドレスを見るために断食したりと、コロコロと変わる表情が実にチャーミングで憎めないのが良い。この後映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」などで見事な筋肉を披露するアクション女優になろうとは・・・この作品で交通事故に遭ったシーンがきっかけ!?うーむ。

この話はもともと『Vogue』の編集長をモデルに書かれた作品なのだけど、女性がここまで地位と権力を手にするには相当の努力と犠牲が必要だったろうから、これほどまでに軽快に描くのは逆に難しかったのかもしれない。

劇中でミランダがアンドレアに、仕事を選んだのも、同僚を蹴落とす結果になったのもすべて「決めたのはあなたよ」と言い放つシーンにはズッシリきたわよ…確かに人間はどんな状態であれ自分で「決めている」のは間違いないもの。どんなに愚痴を言おうが、人のせいにしようがそれはすべて自分のチョイス・・・その重みを改めて思い知らされたわ。そしてもうひとつ・・・「女たるもの外に出る時は、メイクと服には気をつけなくちゃいかん!!」

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2014年06月15日

ハンガー・ゲームズ日記1 生き抜く現実編

20140618選出された少年少女達が最後の一人になるまで殺し合う、そんな残虐なストーリーが話題となった、2012年公開の映画「ハンガー・ゲームズ」…フィクションとはわかっていても現実社会に重なる部分が多く、"他人事ではなく"楽しめたわ。

物語は、パネムという独立国家となった近未来のアメリカが舞台…定期的に各地区から少年少女が選出され「ハンガー・ゲームズ」を行い、最後の一人になるまで殺し合うの。このゲームは反乱を抑止めするのが目的とされているのだけど、優勝者には巨額の賞金と栄誉が与えられるわ。主人公であるカットニスは貧しい地区に住む少女。

父を事故で亡くし得意の狩猟で母と妹を養っていたのだけれど、妹がゲームのプレイヤーに選出され彼女の代わりに出場することに。同じ地区から選出された少年ピータと共に恐怖のゲームに臨むのだけれど、他地区のプレイヤーは殺し屋としての訓練を受けていたりする者もおり一筋縄ではいかない。持ち前の弓矢の才覚と勘の鋭さ、意志の強さでカットニスは最後の一人になれるのか・・・!?というストーリー。

とにかく役者陣の豪華さといったら、ドキドキもの!主人公カットニス演じるジェニファー・ローレンスは半端ない演技力の持ち主だし、このショーをエンタテイメント的に盛り上げる司会者シーザーを演じるは、「ラブリー・ボーン」では異常者を演じ、「キャプテン・アメリカ」では純粋な博士を演じた、あの怪優スタンリー・トゥッチ、そしてゲームのオーガナイザーであり個性的な髭が特徴のセネカを演じるのは「American Beauty」のリッキーを演じたウェス・ベントリーと、見終わるまで気付かないシンクロぶり。次点として、カットニスの理解者でありスタイリストでもあるシナに、レニー・クラヴィッツというのも興味深いわ。

死のゲームに参加させられる事になってしまった少年達が、最初は恐怖と悲しみに打ちのめされるものの、リッチな環境に慣れ、全世界に注目され、やがて殺すという行為に快感を得、死と向き合った時に味わう絶望・・・己の強さに驕ってしまったが最後、自滅の道へ落ちていく心の推移が見事に描かれている。

一番の恐怖とは殺し合うことより、己の中にこういった感情が芽生え支配される事だわ。カットニスの強さは家族を守るという揺るぎない信念があるからで、ゲームを楽しもうとする輩とは明らかに一線を画しているの。この対比こそが最大のテーマになっているわ。

よく海外のオーディション番組で、若者達が勝ち抜く為ありとあらゆる作戦を立て、審査員や聴衆、スポンサーなどにアピールするというのをよく目にするけれど、感心すると同時にあざとさを感じるわ。本作はまさにそういったエンタメの世界だけでなく、現代社会で誰もが生きる為に身につける狡猾さを皮肉っているのが素晴らしい。

その象徴として、少年達のゲームを楽しむ観客、スポンサー、全てが道化のような衣装やメイクで登場しているのも良い感じよ。所詮この世は踊らせる者と踊る者、食うものとくわれる者の捕食関係で成り立っている。改めて、生きる事はサバイバルであるのだと思い知らされた1作よ!

既に続編「ハンガー・ゲームズ2」が昨年末に公開され、その後のカットニスの修羅場が展開されるけど、また後日にピックアップいたしましょうね…その前に、のうのうと生きていて、すみません・・・しゅん。

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2013年12月29日

ラブリー・ボーン日記 天国への階段編

20131227年末家族愛テーマのピックアップ3作品目は同じ家族でもちょっと次元の違った家族の絆のお話。それは「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督の「The Lovely Bones」…原作は近年の世界的なベストセラー小説として有名なアリス・シーボルトの「ラブリー・ボーン」。

物語は1970年代、衝撃的な14才の少女スージーの殺害から始まるの。平和だった家庭は徐々に崩壊し始めるのだけど、その様子を天国のような場所から見守るスージー。そしてそのスージーが本当の天国へたどり着くまでの過程を幻想的な映像を中心に描かれるのよ。

「天国に行ってからのお話・・」というコピーだけど、物語では現世と天国の中間的な世界、ダンテで言うなら煉獄的な要素もあって、天国一歩手前のような空間なのかしら。

物語はジャクソンの言葉を借りるなら「原作の親なら誰でも持ってる最悪の恐れ、それは子供を失うこと。それが結局は愛が人を救うパワーを描くお話へと変わる。だからこの本は多くの人々をひきつける・・」。だからこの映画は文面だけだど悲しくてショッキングだと感じてしまうかもしれないけど、とても明るい作品なの。

彼女がさまよう世界…それは次のステップへ進む準備が出来るまでの修行のような場所なの。現世に思いを残し、生々しい感情をあらわにして自縛してしまうか、愛を信じて旅立つか・・。映像的にはシュールでマジカルな彼女が現世で経験したものが特殊効果でアイテム化され、心の有り様がダイレクトに情景化されている。環境音楽のパイオニアのブライアン・イーノの音楽と響き合い、それは時には心地よく、時には寒々とするの。

現世では、彼女を殺した異常殺人犯と愛する子供を失って翻弄する両親と、成長するスージーの妹と家族を再生させようと頑張るおばあちゃん(スーザン・サランドン)が描かれているわ。

怖いのは殺人犯の描写よ。名優のスタンリー・トゥッチが演じるのだけど、監督曰く「真の恐ろしさは示唆されるもので目には見えない暗に分かっていた」。この役のオファー後に犯罪プロファイラーと協力して、極秘の犯罪者の自白映像を見たり、文書を見たりと、普通らしさを利用して自分の心を闇を隠す犯人を見事に演じているの。その犯人の家の様子も、陰気で物寂しい緑色を使って、殻にこもった精神病質の感じを演出してるわ。

主役の少女を演じるシアーシャ・ローナン。死後の世界で感情のままに演じる様は凄いわよ。合成部分が多い映画だけに撮影時は全て想定の元に演技するのだもの。オーディションに時間を割いて素晴らしいキャスティングをしたんじゃないかしら。

そう、現世のテイストがどこか「アメリカン・ビューティー」と似ていて、気になってSTUFFを確認したら、やっぱりデザイナーが同じ人だったわ。あの薔薇の感じ・・ゾゾっときたのよね。憑依的な描写も斬新!!

そんな感じで、現世と中間的な世界をシュールにつなぎながら、怒りと恐れ、そこからの脱出して欲しいと見る側に期待させながら物語は進んで行くの。そして、最後にある奇跡が起こるのだけど、それは見てのお楽しみ。

ジャクソン監督からメッセージでは…『私がこの映画を撮ったのは、原作の独創的な世界観と全ての登場人物の心の動きに、魂を揺さぶられたからです。この映画はショッキングな題材を扱っているため、ご覧になる皆さんに深い悲しみと喪失感をもたらす事があるかもしれません。しかし、最後にはきっと力強い希望を感じて頂けると信じています。どうぞ、この奇跡のドラマをご覧下さい』

生きてる家族、遠くへ旅立ってしまった家族…絆は永遠に続くもの・・忘れずに大切にしたい・・。

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2012年12月24日

ジュリー&ジュリア日記 人生を楽しむ名人になろう!編

20121223クリスマスは外にお出かけして美味しいレストランで過ごすのも楽しいけど、基本はお家の中で家族と一緒に料理しながらワイワイ楽しんで飲んで食ってが実は最高に楽しい一時なハズ!そんな時の為に見ておきたい映画はこれ「ジュリー&ジュリア」よ!

この作品は、アメリカ食文化に革命を起こした女性料理家ジュリア・チャイルドと彼女のレシピを1年で制覇しブログに載せる事にチャレンジしたOLジュリーの2つの実話を並行して描いたものなの。

2人の時間軸に50年の差はあるものの、共通点は沢山あるわ。信念を貫く根性、自分を理解してくれる優しい夫の存在、応援してくれる友人…彼女達は人生の目的を見い出し、努力し、そしてとことん楽しんでいるのよ。
 
ジュリーは当時男性ばかりのプロの料理教室で、基本的な器具の扱いすら出来なかったのに、目標を高く掲げ苦難を楽しむ事を忘れなかったの。天真爛漫に描かれていたけれど、常に前向きに努力し進んで行く姿が周囲の非難をかき消す結果となったわ。
 
一方ジュリアは、若妻らしく苦境が訪れると癇癪を起こしたりして旦那様に甘えてしまう。でも夫の家出によりいかに自分が愛され支えてもらっていたかに気付くの。この2家庭で繰り広げられる夫婦の強い絆は、独身女性にとっては目の毒かも・・結婚生活がこれほど素晴らしいのかと期待を持ってしまうから。
 
ともあれメリルと夫役のスタンリー・トゥッチは「プラダを着た悪魔」の共演が記憶に新しいけど、今回はうってかわった"羨ましい"夫婦を見事に演じていて惚れ惚れ!他にも当時の出版事情や印税の流れなど、現代と殆どあまり変わりないという事がわかってビックリしたわ。
 
しかし最も驚くべきなのは、ジュリーが料理を本格的に始めたのはなんと50代からという事実!30過ぎると「もう遅い」とか「今から始めても・・」というのが世の常だけど、彼女は50年以上も前に人生の折り返し地点で自分を輝かせたのよ…素晴らしい!!

それにしてもメリル・ストリープほど、可愛らしい女性を演じるのが上手な人がいるかしらね。どんな若くて可愛い女優さんよりもドキドキさせられてしまうわ。ど根性とはそれほど美徳ではない、好きな事を情熱を持って好きなようにやっていくというのが人生を輝かせ、最終的に自分を輝かせるのだということに気付かせてもらったわ。とにかく花嫁修業はお料理からね・・ボナペティ!

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2012年04月07日

キャプテン・アメリカ日記 ヒーローの条件編

20120331マーベル作品の中で、最も古株であるヒーロー「キャプテン・アメリカ」。2011年に劇場公開されたけど、他の作品同様、原作のイメージそのままに映像化されていたわ。

時代は1942年アメリカ。病弱な為兵士として不適格とされた青年スティーブは、自分の夢を諦めなかった。やがて彼の正義感と情熱が軍の目に留まり、極秘プロジェクト"スーパーソルジャー計画"に参加する事に。この計画によりスティーブの身体は大きく変貌し、あらゆる能力を身につけたヒーローに生まれ変わったの。しかし政府は彼を兵士として認めず、軍のマスコットに仕立ててしまう。

そんな中親友が所属する部隊が全滅の危機にあると知り、スティーブは独断で救出に向かったわ。その彼の前に立ちはだかったのはナチス化学部門ヒドラ党の支配者レッド・スカル・・・実は彼もスーパーソルジャーで生まれ変わっていたのよ。果たしてスティーブはヒドラ党を倒し、真のヒーローになれるのか!?というのが大筋なんだけど、面白いのはスティーブがもともともやしっ子という設定ね。

ヒーローになる為辛い実験を受け、ようやく無敵の肉体を手に入れても戦場に出られないジレンマに悩み、単身戦場に斬り込みようやく他の兵士から認められる・・・ヒーローとはいえど、常に努力をして結果を出していくという部分が人間臭くて良い。社会に生きる私達と何ら変わりがないので、シンクロする部分が多いわ。

同じ実験をしてもスティーブは善の魂を、レッドスカルは邪の魂を持っていたが為、2人の容姿は全く異なる変化を遂げたというのも面白い。スティーブはマッチョなイケメンに、スカルは顔の形が変わるほど醜い姿になっているのよ。

日本でこういう作品を作ると、ヒーローは常に爽やかで明るくヒールはどこか奇怪で暗い、というステレオタイプに描かれるけど、その背景にあるものがきちんと投影されてないので完全な子供向けになってしまうのよね。その部分をきちんと作り込めばきっと奥の深い物語が出来るのに・・・残念。

時代背景に忠実でありながら現代的な要素を取り入れた衣装も素晴らしいけど、当時カーキの軍服に映えたであろう女性のリップの赤さがとにかく印象的なの。戦場では凛と咲き、愛しい人の前では愛を語る・・・この赤さは時代を物語るだけで無く、女性の生き様を伝える重要なアイテムだと実感したわ。

とにかく見所が満載で、ラストで次の作品に繋がるシーンが・・・おっと、これ以上はお話できないわね。努力は一日にしてならず、ヒーローもまた然り・・・よし、お仕事しよう!

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