スタンリー・キューブリック

2014年10月27日

シャイニング日記2 IKEA編

20141103すっかり日本でもハロウィンのイベントが定着し始めたようで、イベント会場でもお化けパンプキンがあちらこちらにディスプレーされてるようね。

そんなすっかりお化け宣伝モードの中で、衝撃!!いや笑劇的な動画広告にビックリよ。それはあの北欧メーカーとして日本でも有名なIKEA…それが「IKEAハロウイン」としてリリースしたのが、あのキューブリックの名作「シャイニング」なのよ。

「シャイニング」で有名な一場面と言えば、ラストで斧でドアをたたき割るシーンがピックアップされるけど、マニアとして一番不気味なのがやはりあのシーン…そう、子供が三輪車に乗って無人のホテル内を走り回ってると・・出たぁ~双子のリリーズじゃなくて、双子の姉妹が突然現れる恐怖のカット。

「IKEAシャイニング」はそこをチョイス!…広いIKEAの店内を三輪車で爆走してると・・後は見てのお楽しみ…IKEAとしては、この映像で広い店内・深夜11時までの営業・ハロウィングッズも完璧です!!を見事に映像の中に盛り込んでるから凄いのよね。

IKEAは数年前から社員による店舗内でのドラマ仕立てな映像を制作していて、キャストも含めて全部手作り…数をこなしてるうちに腕前も上達していてプロモ顔負けよ…カメラはスティカム的なブレを吸収する機材も使ってるし、何気に画面の隅々まで凝った演出には拍手を送りたいわ!!

因みに、作品はIKEAシンガポール制作とのことで、オチも完璧よ…もし、キューブリックの「シャイニング」をまだ見てない方は必ず見るべし!!…フフ。

(オリジナル映像は既に無くなっていたので、本家「シャイニング」のカットがインサートされた編集版を)


pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2014年06月07日

シャイニング日記1 シンメトリーの恐怖編

20140607鬼才キューブリックの代表作のひとつである、1980年公開の映画「シャイニング」…狂気に満ちたジャック・ニコルソンの表情はあまりにも有名だし、今作がホラーという枠を超え様々な新境地を切り開いたことで今なおオマージュされ続けているわ。

改めて見てみると、人間の奥底に潜むどす黒い部分がじっくりと侵食していく様が見事に描かれ、これぞまさにキューブリック色!としか言い様のない"後ひく"素晴らしさ。

ストーリーは、冬の間閉鎖されるホテルに、ジャック・ニコルソン演じる小説家志望の父ジャックと母ウェンディ、息子のダニーが管理人としてやってくるの。そのホテルは過去に同じく管理人をしていた男が自分の家族を惨殺したという事件が起きていた・・・というものよ。

ほぼホテルの中のみのシーンで構成されているのだけれど、ジオメトリックな絨毯の柄、モダンさの中に鋭利さを感じる家具、一見暖かみがあるようで怖さを感じるエレベーター、もうひとつの世界の強烈な色遣いなど、細やかな色遣いと質感にただならぬ意志を感じさせられるわ。

例え物語を知らなくても冒頭の何でもないシーンから目が離せないし、見る側の恐怖心をあっという間に引きずり出してしまう・・・これぞホラーたるホラーと言うべきかしら。

この作品から開発されたばかりのステディカムが導入されたことで、画面に更なる緊張感が生まれたのも特筆すべき点のひとつね。息子ダニーが誰もいないホテル内をカートを乗り回し、角を曲がったところで過去に惨殺された双子の姉妹に遭遇するシーンは、歴代に残る不気味さ!このシーンが、幼いダニーの視点からスタートするのも本当に怖い。その後双子の惨殺シーンを目の当たりにさせられるのだけど、"人が殺されるというものはこういう状態なんだろうな"というリアリティに納得し、感動してしまったわ。

キューブリック自身が以前カメラマンとなったきっかけを考えても、彼の死の捉え方は半端ないものに違いない。双子に、エレベーターに、ドア、殺されてしまった料理長ディックの部屋の絵と、様々なシンメトリーが恐怖のシンボルとなって存在するのがとにかく素晴らしく、美すら感じるわ。

キャスティングについても、ジャック・ニコルソンの怪優ぶりをはじめ全員申し分ないけれど、母ウェンディを演じたシェリー・デュヴァルからは目を離せなかった。彼女のルックスがはまりすぎというのもあるけれど、最初は小説を書く夫に怯え、やがて夫に襲われ子供を守る強い母となるその推移が実に自然に病んでいて完璧。こんな状況なら誰でもおかしくなる、でも子供は守らねばという本能のみがフル活動している様が良い!

原作では霊的な存在と少年の超能力が前面に描かれているけれど、今作は人間の狂気や内面を色濃く出しつつ霊的な要素もうまく配合させていて、何度見ても飽きないわ。

当時原作者のS.キングが納得せず、様々な反論をしてきたそうだけど、これほどの作品を作られてしまっては何も言えないわよね。エンディングに関しても何パターンか存在するけれど、やはり霊たちと契約を結び、彼らの一員となったジャックがタキシード姿で微笑むラストが一番しっくりくるわ。

作品を作る上で、常に妥協を許さず、創意工夫を凝らすというのは当たり前の事だけれど、テーマをぶれさせないという事がどれほど大事なのか改めて思い知らされた1作ね。ただホラーを楽しむのではなく、己の中の恐怖を見出す・・・それこそが私達の「シャイニング」(霊感)なのかもしれないわ!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2)

2013年12月06日

レトロ&オルタナティブポスター日記2 光と影編

20131206前回のオルタナティブ系映画ポスターで、作品哲学の抽出は簡単そうで難しいってお話したけど、今回はマケドニアのアーティストMarko Manevの作品を何点か紹介するわ。

特にMarko Manevに関しては詳しくないのだけど、その作品がとても印象的だったので4作品をピックアップ。

先ずは「ブレードランナー」…舞台となるあの本社ビル窓からレプリカントのレイチェルの後ろ姿…どことなく無の世界を感じさせてくれる…漠然たる不安感を見事に表現してるわね。

2作目は「2001年宇宙の旅」…モノリスに群がる猿たちを進化へと導く聖書的な構図は、神感を素晴らしく表現してる…このレイアウトには明らかに十字架を暗示させてるわよね。

3番目は「エイリアン」…遠近法に奥に対峙するリプリーに闇から襲いかかろうとするエイリアンの緊迫感がとても良く表現されてる。

最後は「ウォッチマン」…元々抽象化の難しい作品だけど、センターに白抜きのDr.マンハッタンを配置し、歯車と宇宙で空間における定理の存在とその基本単位でもあるDr.マンハッタンが原作者アラン・ムーアのグラフィックに勝るとも劣らないアートよ。

4作品に共通する階調表現は、作品事の光と影の意味する構図をその階調の中に想像させる手法だけど、出来上がった作品は単調なれど、その制作過程は奥深い思考が必要とされるわ。

将来デザインの道を考えてる皆さん…是非参考にどうぞ。


http://www.markomanev.com
【Marko Manev web】

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2013年03月18日

スタンリー・キューブリック日記3 リスペクト編

ネットで面白くて素晴らしいアートなVideoを見つけたわよ!

それはスタンリー・キューブリック監督の作品履歴(フィルモグラフィー)をスタイリッシュにアニメ化した映像で、各作品のシンボリックな部分を上手く表現してるのね。

作品を簡潔に抽象化するのって実はとても難しい事なのだけど、元々キューブリックのワンカットは1フレームのパワーが強烈なので作成する方もそこを捉えさえすればこのような表現が可能なのね。

素晴らしいの一言に尽きるわ!

STANLEY KUBRICK A FILMOGRAPHY from Deadly Puppies on Vimeo.



pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2013年03月08日

スタンリー・キューブリック日記2 最後のラビリンス編

20130311キューブリックの遺作展をピックアップしたので、彼の最後の作品となってしまった1999年の作品「Eyes Wide Shut」に触れようかしら。

物語はニューヨークに住む内科医(T・クルーズ)とその妻(N・キッドマン)のお話よ。夫は妻の精神的浮気の告白を聞き、今まで感じたことのない嫉妬心と妄想を抱いて街をさまようの。そのうち、ふとしたことがキッカケで、淫靡な集会の扉をくぐるのだった…というものよ。

と、その前にキューブリックの歴史を振り返りましょう。


彼は映画界だけではなく直接的にも間接的にも各分野のクリエイターに多大な影響を与えてるわ。キューブリック青年は17才の時にルック誌に写真が売れてからルック誌でカメラマンとして働きながらコロンビア大に通いつつ映像を学ぶの…そして人生の大半をイギリスの田舎で過ごしていたようね。スチール写真の影響でドキュメンタリー作品からスタートした映画人生、彼がメジャーになるキッカケになったのがカーク・ダグラス。



キューブリック初の大作「Paths of Glory -突撃-」に主演したダグラスは「スパルタカス」出演時に最初の監督が降板したさいキューブリックを後任監督に指名したとの事。



1960年代の米のTVや映画はピュアーな恋愛が中心のいたってノーマルな世界。そんな時に「ロリータ」を発表し世間をかき乱す…あの時代に現代の憂鬱を描写してしまったのだね。そして「博士の異常な愛情」で究極の恋心!?を導き出し第一幕終了。



第2幕は今世紀を代表する傑作「2001年宇宙の旅」…キューブリックは精神世界へと見るものを誘い「時計じかけのオレンジ」「シャイニング」で暗転…しばらくこの暗転は続くのよ。



7年後、突然幕が上がる。「フルメタル・ジャケット」…戦争映画だった”フルメタル・ジャケット”とは軍が標準装備する弾丸の名称で、人間の体を貫通する弾丸なのよね…冷たく光る”フルメタル・ジャケット”の鈍い輝きに恐怖が映り込む。第三幕のテーマは?と悩む暇もなく突然また暗闇に・・。



12年後、最終幕が上がり始めたがそこにキューブリックの姿はなかった。置き手紙のようにフィルムを一つ残して・・。



『キューブリックは映画界の神様でしたから絶対に近づくことができない存在でした』と関係者が語ったそうよ。そんな彼を支えてきたのがワーナー・ブラザース・ピクチャーズ社。「時計じかけのオレンジ」以来25年以上キューブリックを支援、制作費を提供すると同時にいかなる無理な注文にも答えていたとか。



「フルメタル・ジャケット」の場合はイギリスの自宅近くに東南アジアを再現するセットを作り、「シャイニング」では空撮が必要な場合でもコロラド州にいる撮影スタッフにロンドンから無線で指示を送るなどしてイギリスを離れる事はほとんど無かったそうよ…スタジオに行く時でも自宅から車で時速50キロ以下で運転させるなど、イギリスの田舎に完全に自分が管理できる世界を構築していたとか。



芸術に関しては決して譲らないキューブリック。ワーナーも制作に関しての全ての権限を彼に与え、見せてもらえるのは完成品だけで、意見の出しようなどなかったとか…また、同じシーンを100回以上取り直しさせても俳優達は一切文句を言わないのね。



遺作となった「Eyes Wide Shut」は当時夫妻だったキッドマンとクルーズが本能的に異常で危険な心理学者を演じるスリラー作品。スタッフは小規模ながら70億円の予算で制作、ワン・シーン60テイクも撮るなど(19ヶ月間も撮影していた)、最後まで完全主義を貫いたそうよ。



イタリア人監督ロベルト・ベニーニは『キューブリックはフェリーニやカフカのように私たちに夢を与えてくれ、物語の楽しさを教えてくれた』と・・。



完全主義者と称されるキューブリック、『私には安っぽく思われるこの言葉を、私を攻撃するために用いるのはいかにもジャーナリスト的だ。我々は何かを創ろうと試みる時、それが最良のモノとなる事を望む。私は時間も金も浪費する訳ではない。良いモノを創りたいだけなのだ』と語っているのも象徴的。

映画を芸術の域に高めたキューブリック…時代はまだキューブリックに追いついていない気がするわ。そして、彼の脳裏にあった映像には誰も近づけないのかもしれないかも・・。



と言うことで「Eyes Wide Shut」…ジャケットやタイトルから想像するに、期待?欲望?謎?…と人間の煩悩がめくるめくよう。本編を見終わって思うのは、全てはキューブリックの計算通りなのかも!?という事よ。普段の生活で人が考えたくない“欲望”“SEX”“嫉妬”“強迫観念”を追及した洗練された作品だわ。この嫉妬と強迫観念に苦しむ男をテーマに、人間臭く、個人的で、そして楽観的に2時間半の時が刻まれるのよ。

映像的には“エロティック”という言葉を、そのものでなくアート的な感覚でコーティングした美しさがあるわね。色彩的な構図は言わずもがな。ピアノの単音だけで聴かせる効果音には驚愕よ!キューブリックの才能が遺憾なく発揮されている今作、是非愛する人とご鑑賞あれ。



一度見ただけでは「Eyes Wide Shut」の奥が見えないわ・・。キューブリックが見る者に問いかけた最後のラビリンスよ。もう彼の映画が見れないのはとても残念ね。



“キューブリックよ永遠に”

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2)

2013年02月26日

スタンリー・キューブリック日記1 素晴らしき遺産編

20130230今年のアカデミー賞は「アルゴ」や「ライフ・オブ・パイ」等が受賞したけど、映画そのものを語るのに、この方抜きではダメよね!そう!Mr.スタンリー・キューブリック

映画やエンタメの世界で彼をご存じない方はまさかいらっしゃらないですよね。

他界されたのは1999年。

そんな彼の遺品展がロスのLACMA(Los Angles County Museum of Art)で開催中です。

もうこれは見るしかないでしょ! 

今日は多くを語らずキューブリックワールドへ。

数多くの展示と映像によるエキジビションが今年の6月まで開催中ですので、もしLAに行かれる予定のある方は是非足を運ばれてはいかがでしょうか。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2)