シモーネ
2014年05月06日
EPICA日記5 10年の歩みに子供を宿して編

全26曲、地元オランダでの2013年3月のLIVEを完全収録…そしてEPICA結成10周年記念ステージでその規模が凄かった…大規模なフルオーケストラと大合唱隊にど派手な照明に火柱などの仕掛けも十分と、正に10年間支えてくれたファンに恩返ししてる圧巻ステージ。
重厚なストリングのオープニングに始まり前作から「Monopoly on Truth」で一気にブレイク…更に驚きがあったのね、実は歌姫シモーネはこの時妊娠中で下っ腹が若干ふくっらしてるのだけど、スタイルにひるむこと無くボンテージで登場よ!

それと身の回りのケアー…特にシモーネの場合は衣装のシワ伸ばしとか男には分からない世界が…このような事をないがしろにすると一気にバンド間の信頼は薄れてしまうのよ。
国内のアーティストと違って海外は超売れっ子のアーティストならいざ知らず、基本的に移動も含め自己管理だからそれは大変…途中のMCでシモーネも10年を振り返って、「5年は空港暮らしよ・・」と冗談交じりに語るほど過酷なのよね。病気やトラブルも乗り越えたこの10周年LIVEはそう言う意味でも素晴らしいわ。

と、ここでゲスト歌姫が登場…でかいなぁ~と思ったらやっぱりあの人、NIGHTWISHの現歌姫フロール・ヤンセンではないですか・・曲はカトリック聖歌の「Stabat Mater Dolorosa」…この2人の声楽としてのレベルの高さが分かります。しばらくしっとりとした雰囲気で進み「Serenade of Self-Destruction」で再びリズム全開からオーケストラによるEPICA楽曲メドレーで前半終了
オーケストラは休むこと無くシモーネ3度目の衣装チェンジで13曲目「The Divine Conspiracy」へ…グロウルとシモーネの見事なかけ合いで後半がスタートです。にしても、彼女は妊娠数ヶ月なんですがこのパワーはには恐れ入ります。

シモーネ嬢の4度目の衣装チェンジでEPICA初期の楽曲からオーケストラセクションでのSTAR WARS「帝国の逆襲」…中盤はEPICAの歴史をたどる編成(旧メンバーも交え)で盛り上げたら、再びフロール・ヤンセン登場…22曲目「Sancta Terra」で豪快なデュエットが!赤毛と金髪のそれはそれはダイナミックな連獅子が見られます!
いよいよ終盤は「Design your Universe」からオーケストラも飛ばしまくります…アンコールも含め最後までファンを魅了させた構成はお見事です。オーケストラを組み込んだステージは欧州で多くなって来ましたが、ここまで一体化してるのはやはりこのスタイルの歴史を積んできたEPICAならではしょう。間違いなくこのLIVE映像&音楽は一家に一枚の歴史的な傑作と言って過言ではありませんよ!
ターヤも同様に歌の基本ができてる人がこのようなLIVEをすればそれは凄いことになるのは当たり前で、その場に来てる次世代のアーティスト候補に与える影響は絶大…これが文化の伝承につながると実感したステージでした。いやぁ~凄い凄い!
ツアー後に無事出産したシモーネはEPICAの新作にとりかかり、明日リリース!期待していいですよ!
そうそう、シモーネの旦那はKamelotのKeyで彼女が出産期間に入るとEPICAのKeyがKamelot Liveに代役で入り旦那は彼女の元へ・・っと、ちょっといい話を付け加えておきましょうね…フフ。
2014年05月05日
EPICA日記4 静まらない鎮魂歌編

リリースは2012年…既に2年前の時を経ている訳ですが「Retrospect」を紹介する上で必須かと・・。
全14(ボーナストラック1曲)曲…前作「Design Your Universe」の延長線的な仕上がりで、シモーネの声の艶を活かすアレンジで相変わらずのタイトなリズムが際立ってるわ。
シモーネやターヤなどクラシカルな声楽出身の特徴の細かいビブラートで多少こもり気味な歌唱法は両者とも初期の作品の特徴で、それがシンフォニックメタルの出始めのスタイルだったのだけど、シモーネもターヤも徐々にロック的な歌唱法に移行して共に発声法が大きく変わって、声楽とロックの良い部分を取り込んで常人には真似のできない領域に達してる。
EPICA(シモーネ)の場合、それが如実に表現され大傑作と評価された2007年の「The Divine Conspiracy」なんだけど、この「Requiem For The Indifferent」ではアルバムのテーマとしての歌の叙情感に磨きがかかってるのよ。
EPICAはシンフォニック系と言ってもNIGHTWISHのように生のオーケストレーションは強くないのが特徴…イントロ的1曲目から2曲目でメインテーマでもある”意識の占領”をギミックなリズムにグロウルとシモーネの美声が心地良く展開する…3,4曲の逃げ場の無い心情を荒々しく、時に悲しく歌いあげてる。
5曲目で内なる戦いとなり、タイトル曲となる「Requiem For The Indifferent」につながる…シモーネがとてもエジプシャンメロディが大好きなので、そのコードを軸にEPICA的展開が広がってゆくのです…直訳すると"無関心への鎮魂歌"となりますが、舞台の歌曲的構成で独裁者、民、女神的に重厚なコーラスも入ってアレンジされてるお見事な9分の大作ね。
次曲「Anima」は男の心の深部にある女性的な繊細さをピアノで表現…物語は後半へ続き8,9,10で独裁者と戦うべきか否かをこれも先と同様の歌曲的構成で心の迷いを楽曲化してるわ。
そして11曲目からいよいよ戦いね…アレンジ的にも攻撃モード突入的にシモーネの歌も民を勇気づける女神的な優しさと強さを表現よ…転調とブレイクで鳥肌的な展開に…この曲明日ご紹介するLIVEでは圧巻よ。
クロージングとなる13曲目の大作「Serenade of Self-Destruction」…勝利への雄叫び的なこの楽曲…とてもアレンジが秀逸で管弦楽器とコーラスがとても特徴的…オーケストレーションが緊張感を与え、ギターやリズムは逆にそれを補完するためのパートとしてアレンジされてるのね…これもLIVEではフルオーケストラが入るので再び鳥肌もの…静まらない鎮魂歌がリフレインするのでした・・。
ラストはボーナストラックなので省くとして、この13曲の音楽物語は素晴らしい完成度…で、更にビックリしたのがEPICA10周年を記念してLIVEではフルオーケストラを従え行われたLIVEなのよ…この詳細は明日のブログでピックアップ…これがおったまげLIVEだったのです。
2013年11月06日
EPICA日記3 Retrospect予告編

EPICAと言えば、看板歌姫のシモーネを中心に既に10年以上のキャリアを持つビッグバンドに成長したわ。その節目となる10周年LIVEが地元オランダで行われ、その模様を収録したLIVEが映像と共にリリース。
発売に先駆けてオフィシャルの映像がアップされたのでお届けよ。
何しろ節目のLIVEと言う事で、バックにフルオーケストラを従え、舞台演出もシンフォニックサウンドにふさわしい素晴らしい出来上がり…まだ全てを見てないのだけど、この1曲だけでも鳥肌ものね。
感じるのは、以前ピックアップしたターヤもそうだけど、日常的このクオリティのステージを体験した若い子達から次のアーティストが生まれてくるのは必須…ただただ羨ましい限りね。詳しいレビューは物が届いたら改めてご紹介致しますわよ…先ずは一曲…フフ。
2013年01月07日
EPICA日記2 知らなかった大傑作編

それまでのEPICAはキレ味よりもアンサンブル重視の実験的なシンフォニックロック系だったのだけど、一気に開眼。エンジニア&プロデュースはサーシャ・パース…今振り返るとこの頃の彼のMIXが素晴らし過ぎるのよ。近作ではどのアーティストにも共通してるのが中低域にキレがなくなってぼんやりした感のある作品ばかりで、もしかしたら耳死んだ!?と心配してくらいなMIXなのがちょっと心配。
このアルバムで何が開眼したかと言うと、まずVocalのシモーネの発声法が大きく変化してる。これはターヤにも同じで、クラッシックの声楽からロック系の発声法を自分なりに消化して結果として生まれたこの分野の歌姫独特の成長過程なのよ。特にハイトーンに顕著で抜群の安定感の長音にロック系の音圧系の発生が見事にマッチングして完全なロックシンフォニーの歌姫へと脱皮するのね。
楽曲的にも時系列的に入り組んだ楽曲アレンジではなく、非常に密度の濃く仕上がっていて、それが一番感じられるのが5曲目のシングルカットにもなった「Never Enough」ね。シモーネの一皮むけた声を最大限表現するためにオーケストレーションも派手すぎず、転調転調でクライマックスにゾクゾクさせながら行ききる展開は完璧です。
そして19分楽曲の「The Embrace That Smothers」…タイトル通り強烈な抱擁が組曲として展開…彼らは生のストリングスとシンセのストリングスの混ぜ方がとても特徴的で、緊張感のあるパートと落ち着く部分で上手く使い分けてる。シモーネがエジプシャン系の歌姫に影響されてるので、あの独特のコーラン的な節回しやメロディラインは楽曲に神秘性を与えているわ。
ドラム・ベース・ギターも一気に一体感が出て完全にEPICAサウンドが確立していて、世界観・音の方向性・バンドイメージのスタイルが完全に一つになった瞬間でしょうね。アルバムタイトルにもそれが表現されてると言っても良いでしょう…「The Divine Conspiracy」直訳すると「神の陰謀」…自信作って事よ。
バンドは一夜にして出来上がるものじゃなくて、傑作と称される作品にたどり着くまでに紆余曲折があって、それを乗り越えた人達が息の長いグループアーティストへと到達できるのよ。結局自分達の音楽性を信じて継続することが最高の結果を導き出すのね。この昔のアルバム聴いていてそれを強く感じたのでありました。
あまり個々の楽曲には触れなかったけど、一度聴いてみなさいな!その完璧さにビックリするから!ここまでの作品は滅多に無いわよ…フフ。
【EPICA web】
http://www.epica.nl
【EPICAチャンネル】
http://www.youtube.com/user/epica
2013年01月06日
EPICA日記1 歌い手はレッド・ヘア編

実はEPICA体験はこのLIVEアルバムが初めてだったのね。とにかくボーカルのシモーネ・シモンズ嬢がとても魅力的で美しいわ。キャメロットのLIVE映像やプロモで必ず登場する彼女、レザージャケットに超ロングの赤毛をバッキングに合わせて連獅子のように振乱すお姿はセクシーで萌え萌え度120%!
2CDのLIVEは超豪華なの…なんと40人編成のオーケストラをバックに従え、更に30人規模の合唱隊を交えてのステージは圧巻ものよ。これは2008年のミショコルツ国際オペラ祭でのLIVE収録なんだけど、CDはクラシカルセットとEPICAセットに別れていて、クラシカルセットではクラッシックの名曲や映画音楽等をEPICAがシンフォニックメタルにアレンジしてダイナミックに演奏しているのね。ドラムの2バスと生弦の切れ味の良さが爽快だわ!
EPICAセットになるといよいよシモーネ嬢が本領を発揮。オランダが母体のEPICAは2003年にデビュー、シモーネ嬢もこの頃加入したという事よ。そして彼女のプロファイルにも感心したわ!15歳の時にNightwishのサウンド、特にターヤに衝撃を受けて声楽を学ぶようになったそうなのよ。確かに、ターヤ姫もシモーネ嬢もメゾ・ソプラノね。メゾ・ソプラノってとても心地良いわ。ソプラノはどうも響きすぎて疲れるけど、ターヤ姫やシモーネ嬢の声は落着くのよね~。
"ミス・レッド"のLIVEでの歌いっぷりは勿論素晴らしい。楽曲的にはメロディアスよりもゴシック色が強い感じでオーケストラの厚みがある分、ある種の空間を見事に作り出しているわ…これだけのものをLIVEで出来るのがとても羨ましい~。誰もが知ってるメジャーなバンドでなくてもここまで出来るのよ(特に収支の問題)ね!
最近の欧州は、音楽に対しての取り組みと前向きさが半端ないなと思えてくるのね。独自のビジネスモデルも確立し始めたし、技術面も進化が凄まじいわ! それと比較して日本のレコーディングスタジオ現場は20年前のスタンダードが未だ継続され、デジタル化で一見効率だけは向上してるけどクリエイティブと言う観点から見れば進化は止まってるのが現状…残念ね。

市場的にも米を意識しない戦略が背景になるから、ヒットメイキング的なアレンジではなくて、哲学的・文学的に歌詞にそくした構成になってるの。シンフォニック系は曲よりも歌詞の世界観を表現すると劇的な展開系になるって事ね・・だから聴いていて無理がないのよ。表面的なバンドはただギャーギャー、ゴリゴリとゴシック気取りで中身がないから見た目に頼るしかないのね・・。
P&Eがサーシャ・パースだけに音的な仕上がりはKamelotの前作「ゴースト・オペラ」と近いわ。特にイントロ部分からの展開はかなり意識してるようね。元々、KamelotとEPICAのシモーネはとても仲良しだから両バンドで切磋琢磨しながら成長しているわ。
前半でも書いたけど技術面が素晴らしいの。これはドイツのスタジオでのレコーディングだけどデジタルだからこそ可能な編集。生弦と歪み音のバランスの良さ、絶妙なマイクアレンジ、メタルながらしっかりと奥行き感のある音圧マスタリング…等々、どれを聴いても音場感の一緒な日本のレコーディングとは比較にならないくらい先を行ってるわ。
毎度同じ事を言うけど、デジタルになったからと言って安易なレコーディングする最近の日本の傾向は駄目よね。デジタル=手軽で高音質ではなくて、デジタル=感性の微細な補足がしやすくなったと考えなきゃ。実は時間の節約ではなくてデジタルは時間が大いに必要になるの…そう、逆なんですよ皆さん!
さて、「Design Your Universe」…組曲を核に濁った水面に磨きをかけるようなシモーネのソプラノと地殻変動が起きそうなうなり声が、時にメロディアスで時に悪魔的。神経を喚起させる生弦とリズム…いいわ~。でも、驚いたのは明日紹介する2007年リリースの「The Divine Conspiracy」…実はこれが大傑作だったと言うお話よ…フフ。