アネット・メサジェ

2015年11月13日

アネット・メサジェ日記 剥がされた後に残るものは・・・編

20151107今から7年前…六本木ヒルズの森アートミュージアムで面白い展覧会が開催されているとご招待を受け訪れたのが”アネット・メサジェ”というフランスの女性アーティストの個展「生と俗の使者たち」。

そのタイトルから只者では無い・・・と感じていたけれど実際に作品と出会った瞬間”大好き”センサーが全回転!!…最初の洗礼は、天井一面にぬいぐるみの頭を付けられた鳥の剥製がお出迎え。頭部は明るい笑顔の可愛いらしいぬいぐるみなのに体はリアルな鳥・・・ぬいぐるみの色合いがとてもポップで明るい分気味悪さ倍増で、とても重いものを感じたわ。

その後、広い館内はアネット・ワールドが炸裂!!…「残りもの」というテーマの作品では様々なぬいぐるみの手や耳などが壁に貼られ、その中心には頭から腹を一直線にを裂かれ中の綿を出された大きなぬいぐるみの残骸が手を繋いで4体並んでいたの。とにかくダイナミックで圧倒…まさに臓器を出した後の"残りもの"なのよ。

次に「つながったり分かれたり」という作品では人間のようで人間でないような布を縫い合わせて作られた奇妙な形状の物体がキィキィ音をたてながらオートメーションで上から下へと動いていたの。その動きを見ているうちに「ああ、人間なんて単純で浅はかなんだな」と思い知らされたわ。布で出来た"生き物"達が同じ速度で操作されているのに布の重みや形状の違いでそれぞれ勝手な動きをしていているのを見ていると布達に人格があるようでまたぞっとしてくる。

最も印象深かったのは「寄宿者たち"シリーズ」…真っ暗な空間に然程大きくないガラスケースが3つ置かれているのだけど、照明が当たっていないため何も見えないの。よく見てみようと近づいてショック…そこには剥製の小鳥が一羽ずつ、手作りの可愛らしいニットを身に付け横たわっていたのよ。そしてタイトルは「休息」…その右下にあるガラスケースには小鳥の体にラジコンのような操作盤を付けたり、拷問のような事をさせている"玩具”が・・・あまりにも衝撃が大きく残りのひとつは忘れてしまったけれど、この作品は脳裏に焼き付く1作となったのは間違いない。

シニカル且つポップな仕上がりになっていても、これらの作品から発せられるメッセージは非常に重く確かなものばかり…人間は生まれて間もない無邪気な時代、ものを収集したり身体への関心を強く持つわよね…そして命の重みを理解せず平気で残酷な事ををしてしまう。

中には大人になってからもその感覚を持ち続ける厄介者もいるけれど・・・。きっとアネットは誰の心の中にも存在する"負の部分"を、可愛らしいぬいぐるみや生き物を用いて表現したんでしょうね…彼女なりの皮肉が凄く心地良いわ。

俗にまみれてしまった人間が聖なる時期を省みる時、初めて自分の心の奥深い部分を理解する事が出来る・・・そんなメッセージを投げ掛けてくれたアネットはやはり"使者"だったのかもしれない…今再び彼女の作品を体感出来たら・・・俗まみれの自分は何を感じるだろうか。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)