アヌーシュカ・シャンカール

2015年07月01日

アヌーシュカ・シャンカール日記5 父を超える日編

20150701定期的にアヌーシュカ・シャンカールをピックアップしてきましたが、今回は現時点最新の2013年アルバム「Trace of you」をご紹介

実は間もなくアヌーシュカの新譜がリリースとの情報が入り期待大なんですが、先ずは2年前にリリースされた「Trace of you」…前作「Traveller」でドイツ・グラムフォンからのメジャーリリースでは、以前の野心的な作品とはちょっと違い少し原点に戻った感のある素晴らしい内容で、シタールそのもの響を中心にアレンジがなされていました。

これはとても正解で「Traveller」から彼女を初めて知った方々にはとても分かりく、ちょっと取っつきにくいアジアンな世界をフラメンコなどを取り入れてワールドな世界に誘ってくれました。

更に「Trace of you」ではジャケットからもわかるようにエキゾチックな部分から一人の女性アーティストとして大きく一歩踏み出した感があります。それはアヌーシュカのシタールサウンドが全世界的に認知されてきた自信の表れがこのジャケットだと推測できますね。

いきなり1曲目「The Sun Wont’t Set」で姉のノラ・ジョーンズがゲストヴォーカル…以前にもまして姉妹の息がピッタリ合ってきたようで今までの中で一番両者リラックスしてます…2曲目「Flight」はその世界観をそのままに優しさがメロディに。

3曲目「Indian Summer」は母国の夏をイメージしてのどこか日本人にも懐かしい旋律が…このあたりで同じアジアを感じるのですね。4曲目「Maya」あたりからこのアルバムの本道が見えてきます…それは懐の深さ…1音1音の表現の深さが円熟期に入った感じで、父ラビ・シャンカールから完全に独立したアヌーシュカ。

5曲目「Lasya」ではテクニカル的にも難しい事をさり気なくこなし、適度に聞きやすいメロディにさり気ない独自性なリズムはもう誰にも真似はできない領域に到達。7曲目「Metamorphosis」はコーランを背景にラジオトーン的なシタールがとても面白くて、タイトル通り何か生命の営みを感じ、後半一気に広がる響は神がかり。

9曲目「Monsoon」はとにかく倍音が美しい。そしてアルバムタイトル曲「Trace of you」では再びノラ・ジョーンズ登場…歌詞的にはLoveSongで愛と優しさ満載の心地良い楽曲…イメージとしては円ですね…どこにも角がありません。

10曲目「River Pulse」はリズム担当のNitinSawhney作曲だけたってタブラ全開楽曲…卓越したアヌーシュカの演奏を堪能…そのノリで11曲目「Chasing Shadows」は終始アップテンポなインド的お祭り楽曲で本人曰く『伝統的なクラシカルインディアンアレンジ』・・・との事…あ~踊りたい。

最後11曲目「Unsaid」は再々登場ノラ・ジョーンズ…アヌーシュカによれば『父が他界して傷心の中、NYのスタジオでノラがピアノでメロディを…追随するように彼女がリリックを・・・』ラビ・シャンカールへの素晴らしい賛歌が美し過ぎます。

どうしても彼女はシタール演奏者として注目されがちですが、作曲家としてのアヌーシュカ、アレンジャーとしてのアヌーシュカは完全に父とは別格の偉大なアーティストになりました。偉大なアーティストを親に持ち、ましてや同じ道を歩むとなればそれだけで比較され多大なプレッシャーを受けつつも、それを見事に乗り越え、ある意味父を超えたと言っても過言ではないでしょう…円熟期に入った今、今後も素晴らしい感性を解き放つでしょう!!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2015年01月31日

アヌーシュカ・シャンカール日記4 旅の始まり編

201501262007年名盤「Breathing Under Water」をリリース後、偉大な父ラビ・シャンカールが2012年に他界…そして同年にリリースされたのが「Traveller」…アヌーシュカにとってドイツのグラムフォンから初のメジャーリリースよ。

「Rise」から意欲的に新しい試みを続けてきた彼女だけど、グラムフォンから世界に向けてお披露目の意味もあるのか「Traveller」は意外に保守的なアプローチで「改めまして、アヌーシュカ・シャンカールでございます」的な構成。このリリースから初のWorld Tourで興行的にも大成功を収めたステップアップ作品となったわ。

「Traveller」の最も注目すべき点はフラメンコとシタールの融合ね…以前イスラム教の研究をされている方が、フラメンコもインド古典音楽もルーツはジプシー音楽で繋がっているという説を説いていらしたのだけれど、このアルバムを聴いているとその説は正しいと思える。

4曲目の「Si No Puedo Verla」ではシタールとカンテが見事に融合し、共に存在感のある音なれどその人間的な暖かい息遣いを感じることが出来るわ。彼女のオリジナルなのだけど古から歌い継がれているフラメンコのシギリージャのようなアプローチで、伝統的でありながら新機軸、というべき素晴らしさ。

続いて5曲目の「Dancing in Madness」では、これまた脅威のシタールとサバティアード(フラメンコの靴音)の饗宴。共に生み出すグルーブはこれまた体温を感じずにはいられないわ。その後は教則的との言うべきテクニカルな面を打ち出したかと思いきやカンテオーラ(女性の歌い手)の登場と飽く部分が全く無し。

タイトル曲である「Traveller」ではシェーナイの高音が時折人間の発する音にしか聞こえず、これまた未体験の境地へ。個人的に気に入っているのは10曲目に収録されている「Casi Uno」ね。スペインの実力派シンガー、コンチャ・ブイガ嬢の大地に根付くような力強いボーカルは圧聴!最初アヌーシュカのシタールは語りかけるように登場…やがてコンチャ嬢のダイナミックな感情を包み込むといった風情に揺らめく炎のような毅然さを感じたわ。

しかしながらシタールがここまで違和感無く様々な音と融合出来たのはアヌーシュカの力量だけではなく、彼女自身が人間が紡ぎ出す音の美しさや強さ、儚さを理解出来ているからかも。

前作「Breathing Under Water」のアルバムと大きく異なり倍音が強調されているのだけれど、アヌーシュカ自身がそういった部分をリスナーに伝えたかったからなのかもと思えてならない。このアルバムをきっかけにまた新たなムーブメントが起きそうね。

さてさて、伝統的な部分を踏まえつつ新たな道を切り開く美しき女神アヌーシュカ・・・次は私達をどんな旅に誘ってくれるのかしら。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2014年12月27日

アヌーシュカ・シャンカール日記3 偉大なる名盤編

20141224月1でピックアップしてるアヌーシュカ・シャンカール…今回は2007年作品「Breathing Under Water」をピックアップ。

突然、圧倒的な存在感を示してくれた前作「Rise」から2年、次作はインド系アメリカ人音楽家Karsh Kaleとのコラボレーションアルバムを発表…Karsh Kaleはシャンカール同様に英米で育った作曲家で例えるならインド的ジャスティン・ティンバーレイクと言った感じでリズムメイキングを軸にタブラー演奏者としてもかなりな腕前。

そして、初めてのノラ・ジョーンズを迎えての共演が実現した最初のアルバムなのよね。参加アーティストはノラだけでなく、スティングも参加の結構豪華な作品なのよ。

近年はiPod等が主流のユーザーによるランダムな再生が当たり前だけど、この「Breathing Under Water」だけは是非曲順そのままで聞いて欲しいのよ…曲間の間合い、楽曲毎の関係性が素晴らしく、全13曲で心地良さが100倍。

リズムコンポーザーとの共作なので、リズムトラックは独特なインド感が漂いシタールをサンプリングしての2曲目「Slither」などは何人も真似のできない楽曲に仕上がってる。前後するけど1曲目「Burn」は西洋的なストリングスも交え、様々な音楽様式にシタールがどのように響くのか、そして歌をフィーチャリングする事でアヌーシュカの可能性を感じるわ。

アルバムタイトル楽曲でもある3曲目「Breathing Under Water」…西洋的なキッチリと様式化されたストリングスとシタールが醸し出す倍音の差異がとてもよく理解できる楽曲で、実はこのイントロ的なアレンジが4曲目「Sea Dreamer」へ絶妙な間でつながり、いきなりスティングのブレスからはじまる歌は鳥肌もの…一言でいってスティングの声はズルイ!!それぐらいインパクト大なアレンジで、この楽曲の存在を知らなかった事が悔やまれるくらいよ。

5曲目「Ghost Story」はノイズを旨みにインド旋律に怪しさを感じされるリズムメイクは秀逸…シタールも響を若干ミュートしたエフェクト処理でエレクトリックなポジションでストリングを壁に歌とタブラーリズムを際立たせてる。

6曲目「PD7」前作Riseの「Red Sun」を彷彿させるパワフルな楽曲…巧妙なリズムトラックにアヌーシュカのシタールとVoiceがデジタルに絡みつくアナログ生物的でなんだこの曲は!!と驚きで口あんぐり・・。

ビックリ楽曲の後となる7曲目「Easy」で遂にノラ・ジョーンズ登場…アルバムのテーマ旋律となるイントロにノラの歌声・・初共演もあってちょっと短めで手探り的なアレンジが逆に美しいのです。

一息ついた8曲目「Perfect Rain」ではよりPOPなフレージングでアヌーシュカよりKarsh Kaleがメインを取る楽曲…インド的こぶしが妙に清々しいのです。

10曲目「Abyss」ではシタールの倍音用弦を上手くリズムアレンジした楽曲…タイトルからして水の妖精をイメージした開放的で、常に生ある水の活力を優しく表現してるますね。

そして11,12曲「Oceanic」は、偉大すぎる父、ラビ・シャンカールをフューチャリング…この響が世界を魅了し世界のアーティストからリスペクトされてるのですね…感無量です。

エピローグとなる最後13曲目は「Reprise」…父のシタール音の残響がクロスするかのごとくアヌーシュカのそれが引き継ぎます。テーマ旋律を優美に奏で終幕…いやぁ~アルバムとしての完成度が凄すぎて吐きそうです。

実は2012年の次作「Traveller」でドイツグラムフォンレーベルから初のメジャーリリースになるのですが、じゃ~ここまではインディペンデントなアルバムに分類されるのか!?…とすると史上最強で偉大なインディペンデントアルバムで間違ないです。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)

2014年10月01日

アヌーシュカ・シャンカール日記2 ネオ・エイジアン・マッシブ!!!編

20141001類い希なる才能と美貌を併せ持つアーティスト…アヌーシュカ・シャンカール。

彼女の事は先日このブログでもピックアップさせて頂いたけれど2006年グラミー賞Best Contemporary World Music部門にノミネートされた2005年リリース「Rise」をご紹介。

その時のステージ演奏は「グラミー賞で演奏した初めてのインド人」と言う事でも世界を魅了したのよね。その噂の「Rise」…ひと聴きした瞬間に度肝抜かれたというのが正直な感想よ!

シタール奏者であるアヌーシュカのアルバムという点から、あの独特なシタールの音色を主軸に伝統的な打楽器を交えやや現代的なアプローチか・・・などと予想していたけれど、その考えは覆されたわ。

アルバム全体では楽器としてのシタールよりピアノの含め、彼女の持つメロディラインが感じられる構成が殆どの楽曲において要所を押さえるといった感で、タブラとドラム、キーボード、そして楽器として、祈りとしてのボーカルの饗宴は、敢えて呼ぶとするならネオ・エイジアン・マッシブかしら・・・。

人間の根底に潜む土壌的高揚、解放された快楽を暴かれると言った感じね。個人的にこの所フラメンコにコーラン、ホーメイという道筋が出来ていたので、今アルバムで最後のピースが埋まったという気がしてならないわ。古から続く歴史と伝統、そしてそれを現代に息づかせながらの改革は現代アーティストのお役目なのかもしれない。

そんなことを深く考えさせられた「Rise」…どの楽曲も素晴らしいけれど、特に驚愕的だったのは2曲目の「Red Sun」ね。シタールの音色と共にタブラが登場したかと思いきや、リズムとしてのボーカル2雄がリズムを弾き出すの。日本人が聴けば、空耳アワー的に「ティンカタカトン」続いて「ティンカタカトン?」という歌い出しで、しかも2発音目は何故疑問系?という会話の様に繰り出されるリズムの応酬。

恐らくタブラを叩くリズムがそのまま声として発されているので、歌詞ではなくその人の持つグルーブがそのまま音になっていると言えるのよね。楽曲後半はタブラにドラム、そしてこの人間グルーブ音が恐ろしい程融合し圧倒されるわ。音楽とはまさに音を楽しむと書くけれど、その言葉を見事に体現しているのよ。

この曲をコピーしようと思うなら、努力して真似ぶ事は出来るかもしれないけれど、その人の持つグルーブがそのまま出てしまうので自由にやった方が良いかも・・・しかしハードルはとてつもなく、高い。

次に耳を奪われたのは3曲目の「Mahadeva」…「マハーデーヴァ」とは偉大なるシヴァ神を表す言葉で、そのタイトル通りシヴァ神を讃える歌なの。ボーカルだけ聴くと特にメロディーラインがあるわけでなく、宗教的に淡々と低音で語るというものよ。歌い出しはコーランの"EZAN"のような呼びかけ、あとはずっと重低音のタブラに祈りドラムが加わり重厚感が腹に響くという感じだわ。

シタールは祈りと主にユニゾンしたり、展開が変わる瞬間にちょっとしたソロをとったりしてこれがまた心憎い!これほど宗教色が強くても伝統的な楽器を用いても、粋な間合いやリズム、現代的な要素をちょこっと加えるだけで新しいものが生まれるなんて・・・脳天を割られる格好良さ。

アヌーシュカは複雑な家庭環境や自身の辛い経験を乗り越え、今では亡き父の後を継いで社会にも大きく貢献しているのよ。シタールは彼女の容姿同様優しく美しい音色を奏でるけれど、「Rise」で新たなものを生みだし斬り込んでいくアヌーシュカの芯の強さをその音色から十分に感じる事が出来たわ。表現するというのはその人の生き様そのもの…例え子を為さずとも作品は永遠に残るのだから、まずは自分に恥じぬよう全力で挑んでいかなくてはね!!!超オススメの1枚です。

次回は2007年「水の流れ」をご紹介…ここで姉のノラ・ジョーンズと初共演が実現…フフ。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2)

2014年09月01日

アヌーシュカ・シャンカール日記1 魅惑のシタール編

20140901アヌーシュカ・シャンカールをご存じの方はどの位いらっしゃるのかしら??

シャンカールからピンと来た方も多いハズ!…そう!あのラビ・シャンカールの娘さんなんですね。「え、ラビ・シャンカールの娘はノラ・ジョーンズじゃないの?」と言う声が聞こえてきましたよ…実はアヌーシュカはノラとは母親が違う妹なんですね。

ラビ・シャンカールは2012年に92才で大往生…ビートルズや70年代の西洋音楽に多大な影響を与えたシタール奏者・作曲家として知られています。

ラビが60才代の頃の娘二人…どちらかと言うとノラ・ジョーンズにスポットが当たりがちですが、父の偉業を正統的に受け継いでいるのがアヌーシュカ・シャンカールなんですね。

ソロとしてのリリースは1998年「Anoushka」…この頃はまだ純粋なシタール奏者としてデビューとなりましたが、その後アルバムをリリース毎に成長し2011年「Traveller」ではフラメンコにインスパイアされツアーを大成功し現在に至ってます。

2007年「Breathing Under Water」最新作「Trace of you」では姉のノラも参加しシタールをバックにノラの歌声も実現し世界的なアーティストとして父と並び称賛されています。日本では2013年にWOWWOWでTraveller Tour Liveが放映され一気にファンが増えましたが、まだまだ知られていません。

それでは2012年Traveller Tour LiveのFULL CONCERT Live at Festival Les Nuits de Fourvièreを…後日アルバムもピックアップいたしますよ!


pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2)