つげ義春

2015年01月28日

マンガ黄金時代日記 人間臭さと個性の衝突編

20150124漫画が"生もの"として特に息づいていたのは、60~70年代ではないかしらね。

その時代の作品を集めようとすると時間もお金もかかってしまうけれど、素敵なオムニバス本をオークションで見つけたの…その名も「マンガ黄金時代 60年代傑作集」よ!!

手塚治虫、つげ義春、石ノ森章太郎は勿論、マニアックな作家の作品がズラリ…内容も時代を反映したものから、シュールなものまで読みごたえ抜群。

特に気になったのは楠勝平氏の「おせん」という作品。

家族の為に朝晩働き、貧乏長屋で暮らす"おせん"は気っぷが良くて明るい町娘。大工の"安"はそんな彼女の優しさに魅かれ、自分の気持ちを伝える為家に呼ぶのよ。実は安の実家は大金持ち・・しかし、事態が飲み込めずはしゃぐおせんはふとした事から部屋にあった高価な花瓶を割ってしまい、弁償できない恐怖から「私じゃない!」と叫んで逃げてしまう。

安はそんな彼女の態度に激怒するの。でも彼の父親は『おせんの行動は彼女の本質でなく、貧しさからきたものなのだから理解しろ』と諭したわ。幼い頃から苦労知らずに育ってきた安に、おせんの行動は理解できなかったのよ。雨の中、おせんは安の後ろ姿を見ながら涙する・・・というストーリーよ。

話自体はシンプルだけれど、シンプルであればあるほど難しいものよね。人の心の描写が実にお見事で、お金を巡り育った環境や考え方の相違がこれほどリアルに描かれているなんて、本当に良い時代だったのだなと痛感。今の時代だと差別だの、派手さが足りないなどと出版に持ち込むことすら難しいかもしれないもの。

どの作品も「誰誰風」などと画風が被るものはひとつも存在せず、内容もキャラクターの個性も主張しあって暑苦しいくらいよ!これだけの密度の高い作品が生まれ続けた60年代・・諸先輩方の挑戦にどう立ち向かうべきか、あとに続く私達は方向でさえ見失っているような気がするわ。

紙面から漂うインクの香りは人間くささそのもの・・・さて、PCの画面からもその匂いを漂わせることは出来るのかしら?

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0)