さらいや五葉

2012年08月15日

さらいや日記 二次元に活きる…編

20120709漫画家オノ・ナツメさんの代表作のひとつである「さらいや五葉」。彼女は別名でBL系の作品も発表しているけど、その画風と世界観は非常に独特ね。

初めてオノさんの画を目の当たりにした時「モチモチの木」という絵本の滝平二郎氏の切り絵を思い出したわ。扉絵は切り絵のように潔い筆の線で描かれているけど、本編は繊細な線で綴られている・・・このギャップが見事なリズム感を生み出しているのよね。

物語は江戸時代、気弱な浪人政之助が偶然であった遊び人風の男、弥一に用心棒になるよう依頼される。しかしこの弥一こそが拐かしを生業とする賊"五葉"の首領だったの。他には娘と料理屋を営む元盗賊の梅造、一匹狼の盗賊だった松吉、妖艶な美女おたけ、という個性的な面子揃い。故郷への仕送りから仕方なく五葉の仕事を手伝う政之助だったけど、彼らの内面を知るうちに深い友情が生まれ自らも成長していく、というストーリーよ。

どのキャラクターも白目の部分が殆ど無く黒目部分がべったり、非常に簡潔なラインで描かれているにも関わらず色っぽい。実に味わい深く繊細な描写が多いのよね。政之助の妹が上京してきた際、おたけの美しさに惹かれて今まで行ったことのない風呂屋についていく、というエピソードがあるのだけど、大人の女性に憧れる世間知らずの可愛い妹の心の動きが、その表情や立ち居振る舞いから見事に描かれていたわ。そして面白い事に、おたけの着物のラインがどことなく現代風で他の女性陣と一線を画しているのも興味深い。

今作はアニメ化されたけど、個人的には違和感があったの。このオリジナリティ溢れる線画は紙面では効果的だけど、彩色し立体にすると全くの別物で変なバタ臭さが残ってしまって・・・これだけ癖がある線だと難しいわよね。最初は気弱で口下手な政之助が、やがてどっしりとした男性に成長していくのを見て、母の様な気持ちで見守ってきた読者は少なくないはず。母性本能をくすぐられると同時に、生きていくことの儚さや意味合いを改めて考えさせられる作品だと思うわ。今度は動画ではなく、敢えて紙芝居のような手法で楽しんでみたいなぁ。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2)