映画&TV

2017年05月19日

スタートレック日記23 ディスカヴァリー編

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以前からCBSからアナウンスがあったスタートレック新TVシリーズ…その予告編がいよいよ公開…新シリーズのタイトルは「STAR TREK:Discovery」

時代設定はカーク時代の10年ほど前のようです…艦長は女性で日本でも「グリーン・デスティニー」で有名なミシェール・ヨー。

配給新時代を反映してNETFLIXからの配信となりそうです。近作でも2001~2005で打ち切りとなった「エンタープライズ」までさかのぼってしまいますからファンにとっては待望の新作。

やはりスタートレックシリーズはTVシリーズが原点…登場人物の詳細な設定は2時間の映画では無理な世界観で、どうしても映画の場合はアクション重視の見せ場でスタートレックの本道である深いドラマは描けません。

近作「エンタープライズ」は視聴率も悪く物語も粗雑だったために4シーズンで打ち切りとなり新規計画もなく時間が経過し、それに業を煮やしたコアなファンがクラウドファンドで資金を募り過去のスタトレ俳優陣をキャスティングしてとても質の高い作品が提供され始め話題になっていました。

更に億単位の資金調達に成功し「AXANAR」の制作が開始されそうになると本家がストップをかけはじました。要は一向に新シリーズのリリース計画がないのでファンが勝手に作る!!を背景に「本家がやらねば!!」とプレッシャーを受け企画が始まったとも言えます。

今でも世界各国のイベントで出演メンバーが招待され盛り上がってるスタートレック…12年のブランクで是非再び伝説を継承する素晴らしい作品を期待したいですね。


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2017年05月01日

SING日記2 嫌味のない豪華絢爛ショウ!!編

20170501最近見たいアニメ作品があってもキャスティングに納得のいかない吹替版が主流になりつつ食傷気味…「ペット」も楽しみにしていたけれど字幕版が公開されず涙をのんでスルー・・・しかし「ペット」同様、秀逸な3Dアニメを送り出すイルミネーション・エンターテインメントのミュージカル・アニメ「SING」を字幕版で見る事が出来たわ!!

当初トレイラーが公開された時、以前自分がPODCASTで発表した作品と被る部分が多かったので気になっていたのよね…自分は一人で何人も演じ歌わなくてはいけなかったので大変だったけれど本編は大好きなリース・ウィザースプーンスカーレット・ヨハンソンなどが出演しているので、彼らがどう演じ歌っているのか楽しみだったわ。

ストーリーはマシュー・マコノヒー演じる劇場主コアラのバスターが劇場の再起を賭け歌のオーディションを企画するところからスタート…劇場事務員のイグアナのミス・クローリーのミス(笑)により優勝賞金1000$を10万$と記載したチラシが風で街中にまかれオーディションを受けようと沢山の動物達が集結。

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歌好きでギャングの世界から足を洗いたいと望むゴリラのジョニー、歌はずば抜けて上手いがあがり症の象ミーナ、「TED」でもお馴染みセス・マクファーレン演じる、プライドの高いストリートミュージシャンの鼠マイク、リース演じる子だくさんで地味な主婦なブタ、ロジー、ヨハンソン演じる彼氏に振られ傷心のパンクロッカーのヤマアラシ、アッシュと、それぞれ事情を抱えつつ大好きな歌で挑んでいくの…展開はありがちかと思いきや「エンタメの世界あるある」リアル事情がきちんと描かれているのが素晴らしい。

バスター自身、父親が自分の為に建立してくれた劇場を続けていきたい一心で銀行やスポンサーと渡り合ったり、象のミーナの引っ込み思案な性格に起因していると思われる家族の応援や期待、当初は彼氏と共にステージに立つもその才能を見出されソロになったアッシュの苦悩と彼氏の嫉妬、夢があっても現実の生活から抜け出すことの出来ないロジー、家業を継がなくてはいけないが好きなことを諦めきれず空回りのジョニー、才能や経験があるだけにプライドだけは高いマイク…などなど思い当たることが盛りだくさん。

彼らの背景があるからこそ現実味が増し単にドリーミィなサクセス・ストーリーではないのがヒットの要因でもあると思うわ…それぞれの動物達にぴったりの楽曲やパフォーマンスはまさに現代のアーティストを体現しており3匹のウサギ・ガールズユニットはお尻フリフリでセクシーなニッキー・ミナージュを、ロジーは家事をしながらテイラー・スウィフトにケィティ・ペリーと当たり前の選曲が彼らのキャラクターを代弁。

そして最も印象的だったのは5匹のレッサーパンダ・ガールズがきゃりーぱみゅぱみゅの楽曲で踊り、呼ばれていないのに集団でどこでもそろって出てくる・・・これぞまさに日本を風刺していてお見事!!単に「日本の楽曲が用いられて凄い」なんて語る日本のライターもいるようだけど、どこでも笑顔、個々の実力より集団での行動…子供のように可愛らしいという日本のアーティストの軽薄さを表現しているという事に気付かないといけないわ。
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更にスポンシングする立場のキャラが羊にリャマとふわふわ系の動物というのも面白い…そして登場してからずっと象のミーナの髪型がずっと気になっていていたけど、やっと思い出したわ!!性格、更に歌の実力という設定もまさに「スクール・オブ・ロック」のトミカそのもの…色々な音楽映画がオマージュされているから、こういった発見する楽しさもあるのよね

この作品は人間世界の世知辛さと滑稽さを動物に置き換えることで、コミカルでより直感的にテーマが伝わって来るわ…「LA LA LAND」同様、表面上の可愛らしさだけに目を向けるのではなく、その奥にあるシニカルな意味合いを考えるとより一層楽しめると思う…しかし10代で傷心のアッシュにヨハンソンのハスキー・ボイスが若干気になる・・・ま、そこもご愛敬ということで。是非、音響の良い字幕版でご覧下さいね!!

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2017年04月26日

風雲児織田信長日記 歌舞く戦術家編

20170405子連れ狼」「柳生一族の陰謀」など、数々の素晴らしい日本時代劇を送り出し、その存在感と演技力は神懸かっているとしか言いようのない”侍”役者「萬屋錦之介」…そんな彼の若き日の1959年「風雲児 織田信長」を見てみたわ。

今もなお織田信長は様々な解釈で演じられているけれど錦之介演じる信長は豪快ながら実に感情豊かで人間臭いの…当時27歳の錦之介は若々しくどこか線の細い感じはあれど、その目力は半端なく強く見るもの全てを射抜くよう…少し歌舞伎を意識したアイラインはその眼光の鋭さを強調していて良いけれど、それより彼の信長として生きる溢れんばかりの生命力が目で表現されていることが恐ろしい・・・怪優たる片鱗は既に確立されていた!

物語は皆さんもよくご存じの通り、織田信長が父の葬儀に現れてから桶狭間の戦までの半生を描いたものよ。信長は大胆な戦略や奇行で人を油断させ本懐を遂げるというアイディアマン。その歌舞いた姿で周囲を欺いていたけれど父同様に信頼していた家老、平手政秀の命を懸けたメッセージを受けてからは当主として本来あるべき姿にシフトするの…政秀を失い、その悲しみに号泣するシーンは全体の割合からすると長くとられているものの、どこか他力本願だった信長が独り立ちする重要な分岐点なので長くは感じなかった。

それよりも大事な人を失ってしまった信長の泣きじゃくる人間臭さ可愛らしさが心を打つわ…更に、劇中彼は至るシーンで笑うのだけど、その笑いの意味合いが見事に演じ分けられている事にも感動してしまう…この笑いこそが、信長の成長する過程を見る側に理解させているの・・・素晴らしいわ。

共演の濃姫演じる香川京子も信長に引けを取らず貞淑且つ知的なアイディアウーマンを演じきっており、その美しさ立ち居振る舞いや着物の着こなしは完璧…しかしながらこの時代の役者さんは皆、この時代に生きていたのではなかろうかと思ってしまうほど着こなしも所作もきちんとして美しいのよね。

当たり前の事ではあるけれど現代の時代劇に於いてはこの点も中途半端で今ひとつ・・・残念なことだわ。画面作りにしてもこの時代の屋敷の奥深さや広さがきちんと再現されていて、敵に押し入られても槍の届かない距離感というものが画面から感じ取ることが出来たの。

昔はCGなんてないし、きちんとセットを作り込んだということもあるだろうけれどこのワイド感は納得よ…更に戦術に於いては信長は今川義元の4万の大群がなだれ込んできた際、自分の手勢が5千ほどでしかなかった為蜂須賀小六に協力を依頼したのだけど、これはまさしく「300」の世界ではないかしら・・・!!

大きな敵を倒すにはその信念だけでは厳しく、戦略を立て効率よく勝利に導かなくてはならない…これはどの世界にも共通して言える事で自分の仕事に対しても身につまされてしまったわ。…今から遡ること50年以上も前にこんな作品が創られていたなんて・・・改めて当時の日本映画界の凄さを感じるのよ…よく泣き、よく笑い、よく歌舞く。まずは自分が人生の風雲児にならねば・・・!!

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2017年04月01日

SPY日記2 史上最強の女、再び!!編

20170401メリッサ・マッカーシー・・・最終兵器の代名詞であり常に期待を裏切らないわ。

「ゴースト・バスターズ」「デンジャラス・バディ」そして大好きな「ブライズ・メイズ」を手掛けたポール・フェイグ監督の2015年作品「SPY」…メリッサと監督の強靱なタッグは今回も破壊力絶大よ!!

予告編で期待大だったのに愚かにも日本未公開ではあるけれど吹替版はかなり良い感じで大満足…キャスティングも毎回天晴れでCIAイケメン・エージェント、ブラッドリーにジュード・ロウ、同じく単細胞の筋肉系エージェント、リックにジェイソン・ステイサム、気の強い美人敵ボス、レイナに「ブライズ・メイズ」で好演のローズ・バーン、裏切り者の美人エージェント、カレンに「ゴッサム」でお馴染みのモリーナ・バッカリンと適材適所よ!!

でも最も気になったのはメリッサ演じる内勤分析官スーザンの親友ナンシー…メリッサが小柄でふっくらしているのに対しナンシーは背が高く顔が長いので、そのビジュアルのバランス感は絶妙よ。

物語はCIAの内勤分析官スーザンが核爆弾の隠し場所を知る男を追跡する憧れのエージェント、ファインをいつものようにサポート、でも真の黒幕であるレイナに見つかってしまいファインは殉職…スーザンは持ち前の勘の良さと分析力を活かしレイナがテロリストに核爆弾を売ろうとしている事を突き止め現場に出たいと志願…願い叶って凄腕エージェント、リックと共に現場に乗り込むも彼に罵倒され邪魔されるばかり。しかしスーザンは聡明な頭脳と行動力を駆使し、遂にレイナに近づくことが出来たけれど・・・という、これまた見事なアクション・コメディ。

本作もメリッサの魅力が余すところなく描かれ黒髪のボブにアイラインはなかなか似合っていたわ…でもやはり調査の為に変装した際のウィッグと猫シャツなどの”おばちゃんスタイル”が最高…どのパターンも彼女らしく着こなせているのが素晴らしいのよ!!

これまでの作品同様、美男や美人は酷い目に遭うか死ぬかで、地味で目立たない女性の一生懸命でパワフルな面が描かれていることに好感が持てるわ…どんな状況でも自分が最善だと思う方法を選び突き進む・・・スタイルが悪かろうが、年を取っていようが関係なく自分が女子であることを楽しむ、そんな姿勢が頼もしく可愛らしい。

黒幕レイナは冷酷でスレンダーで髪も決まっているけれどファッションがどこか外し気味だったり、素っ頓狂なメリッサを心のどこかで信頼していたりと”いつもの”憎まれ役ながら憎めないキャラ…メリッサとは異なるベクトルで自分を貫いていて、どことなく気が合うのもわかる気がするわ。

男性陣は全員良いところ無しで引っかき回すか味付け的な役であるのに対し女性陣は自由奔放にみえて強い…この構図が実に小気味良いバランスを作っているのよね。

相も変わらずメリッサ及び女性陣のトークはテンポ良く作品全体の核になっているわ…オープニングは「007」を意識した絵作りや楽曲で、これまたツボを突いていて大爆笑…個人的にはスーザンが危険を知らせるためにライブ会場のマイクを使うシーンでそのマイクに流行のピッチ補正ケロケロ・エフェクトがかかっていて使えなかったというオチも大ツボよ。

エンドロール後にこれまたどんでん返しがあるので是非じっくり見て頂きたい!!ガールズ・パワーというと軽く聞こえてしまうかも知れないけれど、この映画も生命力の強さを存分に堪能できるので、疲れている時にオススメです!!

次回はこれも日本未公開な「THE BOSS」をご紹介しましょう!!

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2017年03月27日

コードネームU.N.C.L.E日記 元祖スパイ・コンビ編

20170309このところスパイやアメリカとロシアの関係について取り沙汰される事が多くなったわね…旬という事でもないけれど重い雰囲気を払拭すべく2015年「コードネームU.N.C.L.E」を鑑賞。

1960年代アメリカや日本で放送された大人気のスパイTVドラマ「ナポレオン・ソロ」のリメイクなのだけど「スーパーマン」ヘンリー・カヴィルに「エクスマキナ」アリシア・ヴィカンダーがキャスティングされているという事で期待度は上昇。

更にガイ・リッチー監督の味付けによりオリジナルの風合いを活かしつつ、お洒落で痛快な仕上がりになっていて大満足よ…凸凹コンビが繰り広げる痛快劇の元祖でありシャーロックにワトソン、トミーとマツ・・・そのテンプレートから派生した作品は数知れず。

物語は1960年代の東西冷戦時代、ヘンリー演じるCIA凄腕エージェント、ナポレオン・ソロと、これまたKGB強靱なエージェント、イリヤ・クリヤキンが政治的な対立を超えて協力し核兵器拡散を企む国際犯罪組織を阻止する任務を請け負うの…更に組織に誘拐された科学者の娘、アリシア演じるギャビーを2人で護衛することに…凸凹プラスヒロインのトライアングル・チームは犯罪組織に立ち向かう王道なストーリーよ。

この3人、ビジュアル的にも完璧すぎながら嫌味が無く自然体なのよね…特筆すべきはファッション・・・変装の為ショッピングをするシーンはなかなか興味深く、ブランドに詳しい男性2人のコーディネイト論争に現実的なヒロインの応酬、そして何よりファッション誌さながらにツィッギー・スタイルのワンピースにジョッキー帽を身につけたギャビーのキュートさは神懸かっていたわ。

ナポレオンのドン・ファン的かっちりスーツスタイル、クリヤキンの行動派ハンチングもその人間性をを体現していてお見事よ…そして敵方の妖女ヴィクトリアのゴージャスなドレスやアップヘアやメイク、ポンチョ・コート等の着こなしは圧巻。

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ギャビーがポップな白ならヴィクトリアはシックな黒、という様に視覚的に対照的なのも良いわ…ストーリーやキャラクターを掘り下げるというより、その小気味よいスピード感と絵作りのセンスの良さ、そして様々なアプローチの音楽が効果的に登場してシーン毎に楽しませてくれるの。

個人的にヘンリーはスーパーマンのイメージが強いので、こういったコメディタッチはどんな色合いになるのだろうかと想像が付かなかったけれど、その全身から滲み出る生真面目さや品格が良い味を出していて納得。

エンタメ性十分のアクション+エスプリの効いた会話、スパイス的恋愛劇、ファッションと見どころは多いので、気分転換と美しいものを愛でたいと思う方には是非オススメ!!まだ晴れ間の見えないトランプ政権の現状にはうんざりだけど、この凸凹コンビが実在したら・・・面白い事になりそうね。

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2017年03月17日

エクソシスト日記 憑かれても立ち向かえ!!編

20170306ホラー映画の金字塔である「エクソシスト」・・・1973年公開されて以来”悪魔祓い”という存在を広く世の中に知らしめ、今なおオマージュされ続けているわ。

公開当時は122分という上映時間だったのだけど先日134分のディレクターズ・カット版が放送されていたので、恐る恐る・・・。

初めてこの作品を見たのは幼少の頃だけど映像の恐ろしさよりとてつもない悲しみを感じたのを覚えている…そしてマイク・オールドフィールドの名曲「チューブラー・ベルズ」の旋律は高潔で美しく全く色褪せることがないのよね。

ワシントンに住む女優クリスの娘リーガンの態度が急変し、卑猥な言葉を発したり容貌が恐ろしく変貌してしまうの。どんな医師に診せても回復せず、その間リーガンの行動はエスカレート。科学的検査では何も解明されず、医師の一人から悪魔祓いを勧められ、藁をも縋る思いでクリスは若きカラス神父に救いを求めることに。

カラス神父は古生物学者でもあるベテランのメリン神父に協力を要請しリーガンに取り憑いた悪霊と対決する・・・と、皆さんお馴染みの内容だけど、ラストで神父か悪霊かどちらが勝利したのかが曖昧で、悪霊が勝利したのではないかという解釈も出来る為世間に波紋を投げかけたわ。

ディレクターズ・カット版ではその結果をはっきりさせるべく、ラストがカラス神父の友人であるダイアー神父とキンダーマン警部の会話で終わっているのよ。そして名物、リーガンのスパイダーウォーク・・・!!これは本当に素晴らしい不気味さだわ。

当たり前だけどCGなどあるはず無いこの時代、ふとしたところでサブリミナル映像である悪霊の恐ろしい顔を挿入したり、BGMは殆ど入れずにドキュメンタリー風に進行させたりする演出には感動。更に神懸かったメイクで獣のような恐ろしいリーガンの表情にも凍り付くけれど、当時最新鋭であったろう様々な検査をするシーンには目を覆うほどの恐怖を感じたわ…非常にリアルな描写の中、悪霊という非日常的な存在が生々しく感じられるようになるのがお見事。

この映画には監督にまつわる様々なエピソードが残されてはいるけれど、この過剰な情熱が伝説的作品を生み出したのだろうと考えるわ…単なる”ホラー”というカテゴリーに留まらず、それぞれの人間が抱える問題や感情、そこにスッと入り込んできた悪霊は”招かれた”立場なのではないかと見る側に考えさせる人間ドラマこそが、この作品を伝説と言わしめる所以なのでしょうね。

ひとつ疑問なのはリーガンの枕の下に置かれた十字架は誰が置いたのか、ということ…下男カールもお手伝いもシェロンも知らないと言うし枕なら近しい人でないと不可能・・・もしかしたら、神父同様恐ろしい死に際を迎えた映画監督のバークかも。彼はリーガンの母に気があったし家にも来ていたので、彼女を心配してクロスを忍ばせ、その結果悪霊に・・・という解釈が出来る。

更にバークが下男カールに絡み罵るシーンが印象的だったのだけど、それには理由があるのではないかしら?カールはもしかして悪霊の下僕なのでは?などという解釈も出てくる…しかしながらリーガンが十字架で卑猥な行為をしたり猥褻な物言いをするシーン、更に悪霊が自分を悪魔だと偽るシーンで神父が彼に突っ込みを入れるなど、小説が原作とはいえ実にリアルでノンフィクションかと思えるほどよ・・・凄い!!

全ての人が悪霊と立ち向かう事で自分自身と対峙する結果になりリーガン自身も己の中にある寂しさや苦しみを憑依という形で思い知ることになったわ…この映画が永く語り継がれ、更に今なお色褪せないのは”ヒューマンドラマ”だからなのね。

以前ご紹介した映画「死霊館」もやはり人間の心をテーマに描いていて本当に素晴らしかったわ…世の中にはエンタメ色の強い脅かし演出のホラー作品が沢山あるけれど、それはお化け屋敷と一緒…人間の心の動きとその背景をじっくり捉えることで人外のものが存在する意味を理解出来るのかもしれないわね。あ・・・どこからか「チューブラー・ベルズ」が聞こえてくる・・・ひぃ。

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2017年03月15日

ワンダーウーマン日記2 秘密が見えてきた編

20170305そろそろ公開日が近くなってきた「ワンダーウーマン」…その最新予告編が公開されましたのでご紹介。

昨年夏の最初の予告編でガル・ガドットの見事な剣さばきに圧倒されつつも、その剣や縄、ブレスレットにどんな謎があるのかとても気になっていましたが、今回は彼女のルーツをちょっとだけ見せてくれます。

幼少の頃から戦士として過酷な鍛錬の日常と師匠でもある叔母のアンティオペ将軍の関係、様々な武器としてのアイテムの意味、人間との関わり等が作品の核になっているのがよく分かりますね。

監督のパティ・ジェンキンスは女性ですからありがちな男視点の演出ではなく個人の関係性にテーマがあるのだなと感じ取れる予告編…これは益々期待大ですよ!!…ドン!!ドン!!ドン!!

日本公開は8月!!

【offcial web】
http://wwws.warnerbros.co.jp/wonderwoman/



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2017年03月06日

LA LA LAND日記2 な、な、なんと怪作・・・!!編

20170302前作「セッション」では私達に一生忘れることの出来ないほどの良い意味で”トラウマ”を与えておきながら、今回もどうにもならない程の大きな楔を心に打ち付けてしまった。その映画こそ「LA LA LAND」よ!!

米公開と同時にかなり高い評価を受けていたので、チャゼル監督の感度の高さや切れのある作り込みが再評価されているのだとしか考えていなかった。

アカデミー賞受賞発表でも作品賞と発表され「ムーンライト」の間違いだった事件で一際記憶に残ってしまった歴史的作品…作品賞以外に6部門受賞と華々しかった。

予告編やポスターは主演のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンのポップな色合いのダンス・シーンがピックアップされていたのでミュージカル・ラブロマンスなのだという認識しか持たなかったのだけど・・・やはりその予想は甘かった!!とてつもなく重く嫌な気分を抱え劇場を出る羽目に。

その後も数日に渡って内容を反芻し、何故ここまで心臓を抉られるのかを考え続けたの…自分が単にこれまで音楽や表現というものに対して真剣に向きあい己を削ってきたから主人公達のリアル過ぎる感情や行動にシンクロしたからというだけではない。

「セッション」も「LA LA」も共に”本能的な生命力の強さ”を描き切っているからなのだと気付かされたわ…更に面白い事に2作に共通点が…まずは主役の2人についてよ。

前作では一流のドラマーを目指す青年ニーマン、今回はジャズを愛し自分の店を持とうとするライアン演じるピアニスト、セブ・・・彼らは思うに監督自身を投影しているのではないかと考えられるのだけど、音楽に対してこだわりを持ち芯が強いけれどどこか女性的で優しい。

一方前作でニーマンの指導者であり、最終的には彼と同じ目的を持つ鬼教官フレッチャー、今作で女優を目指し邁進するエマ演じるミアは目的に向かって行動力もあり男気溢れる決断力、そしてとてつもない目力を持つ…どちらの作品でもラスト近くでお互いのパートナーを見つめるシーンがあるのだけれど、この点も意味合い的、演出的に共通したものがある。

音楽を題材にしてはいるけれど、彼らの目標に向かって努力し、落胆し、傷付きながらも這い上がろうとする生命力は底知れない…役者陣も素晴らしいけれど、こういった手法で表現するとは・・・恐るべし、チャゼル監督。

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物語はジャズを愛するピアニスト、セブと女優を目指すミアが出会った冬、そして恋に落ちた春、それぞれの夢を叶えようとする夏、すれ違いと落胆の秋、そして5年後の冬という季節で括られ構成されているの…ストーリーは単純に思えるかもしれないけれど一筋縄でいっていないわ。

ハッピーエンド・・・ではあるけれど、その奥に潜む意味合いは深い…そして監督自身音楽畑出身だけあって時間経過の表現やストーリーのテンポがお見事!!…映画が1つの曲の様にAメロ、Bメロ、サビ・・・と絶妙なタイミングで進行し、これが観客を引き込む要因のひとつなのかもしれない。

そしてミュージシャンなら誰でも経験のある、巻き戻して細部を聴き込む作業、音楽に興味の無い人間につい熱く語ってしまう音と音の真剣勝負、仕事としてやむなく営業の音楽をこなす虚しさなど、細やかな演出が盛り込まれているのには感心させられたわ。

セブが生活の為に参加したジョン・レジェンド率いる営業用バンドの楽曲やアレンジも「らしく」て見事だし、そのバンドの撮影でのカメラマンの注文も思わず苦笑いしてしまうほどリアルで、経験者でなければここまで描けないなと唸らされてしまった。

そしてJKシモンズを堅物店主として登場させるとは・・・上手すぎる…とにかくセブとミアのミュージカル・シーンは文句無しに美しいけれど、そのシーンが美しく幻想的、ポップであればあるほど後半の展開にじわじわ効いてくるので覚悟して下さい。

これ以上書いてしまうとネタバレしてしまうので自分を制止するけれど、ミアがオーディションで叔母の話をする際「The Fools Who Dream」という曲に繋がっていくシーンはこの作品の中で一番の見どころだとお伝えするわ。

ミアが淡々と「ミュージシャンや画家、詩人、夢を追う全ての人・・・それがどんなに愚かでも、厄介な私達に乾杯を」と歌う歌詞に恥ずかしながら号泣してしまった。

夢を追うだけでは食べていけない、家族や病気、様々な理由で自分の人生を変えなくてはいけないという状況は幾度も訪れるもの…端から見れば愚かしく見えるだろうけれど自分の人生を切り開こうと藻掻くことを恥じることはないのよね…ただ何かを成し遂げる為には犠牲を払うのは必然…個人的にはその部分を経験し理解しているからこそ、この映画の根底にある重みを感じ取ることが出来た気がする。

長々書いてしまったけれど、この映画は決してデートで見てはいけないわ…自分自身と向き合い、これまでの己の生き様を再認識するという意味合いで”挑んで”頂きたい…どんなに愚かでどんなに厄介と言われようと自分の人生は己が祝福しなくてはね・・・!!

【LA LA LAND official】
http://www.lalaland.movie

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2017年02月17日

ミス・ペレグリン日記2 ダーク・グリーン・ファンタジー編

20170207公開中の「ミス・ペレグリンと奇妙な子供たち」…予告を見る度に「300:帝国の逆襲」同様、エヴァ・グリーンありきの作品だな・・・と思っていたけれど、その良い予感は的中!!…更に要所要所に配置された贅沢且つ素晴らしいキャスティングには唸らされたわ。

ティム・バートンお得意のダークファンタジー・カラーで描き出された”奇妙”さは役者陣の演技力により実に自然で、ラストまで前のめり…個人的にはギレルモ・デル・トロが手掛けたなら「パンズ・ラビリンス」の様に更にダークさが増して面白かったろうなと思うけれけど、ティム・バートンのお伽噺的世界観も楽しめたわ。

主人公の16歳の少年ジェイク…彼は、幼い頃から祖父エイブに昔から奇妙な物語を聞かされて育ったお爺ちゃん子だったの。ある夜、ジェイクは両目を失って倒れているエイブを発見…虫の息で祖父は「ケインホルム島へ行け、鳥が全てを教えてくれる」と謎の言葉を残し亡くなってしまう…ジェイクは昔祖父が話してくれた物語を思いだしエイブ宛にきたメッセージカードを頼りにケインホルム島へ向かったわ。

そこにはハヤブサが人間の女性に姿を変えたミス・ペレグリンが管理する施設が存在していたのよ…軽すぎて重しなしでは飛んでしまう少女、透明人間、体内にハチを飼う少年、二口少女など、様々な能力と個性を持ちあわせた子供達がペレグリンの保護の元幸せに暮らしていたわ。

しかしホローガストと呼ばれる悪の異能者バロンが、ペレグリンを追い続けていたの…彼は永遠の命を得るため彼女の時間をループさせる力を欲していた・・・という物語…ベストセラー小説を映画で全てを描ききるのは難しいけれど、ホローと呼ばれる怪物が能力者の子供の目玉を食べると人間になれるのか、ハヤブサが何故人間の女性に変化するのか、などの気になる部分は深く描かれていない。

20170208しかしながらエヴァ・グリーン演じるペレグリンは圧倒的存在感…一瞬にして心を奪われてしまう。子供達を育て守ろうとする毅然とした姿は見物で懐中時計を瞬時に取り出す仕草、パイプをくゆらせる口元・・・俊敏な動きはやり過ぎると滑稽だけど、その速度が完璧で素晴らしい。何より彼女の特徴である大きな目がサッと動く様は脳裏に焼き付くほど。目の動きを強調する為アイラインが涙点までクッキリ描かれておりハヤブサらしさを残す束感のあるヘアアレンジ…何よりパワーショルダーのワンピースはまさに”ペレグリン”を体現していたわ。

子供達の衣装も同様にそれぞれの個性を表現し、軽い少女エマが身につけるドレスはシフォンの青くエアリーなワンピース、重し代わりに履いている重厚な靴はスチームパンク、片目から夢を投影するお洒落好きホレースのスリーピースは体にフィットし、彼のこだわりが見えたりと衣装やヘアメイクだけでもバートン・ワールドを垣間見ることが出来る。主役のジェイクは「ヒューゴの不思議な発明」で子役だったエイサ・バターフィールド。

でもやはり祖父エイブを「プリシラ」等でお馴染みのテレンス・スタンプ、ペレグリンと同じ仲間のミス・アヴォセットに「007」のゴットマザーMことジュディ・デンチ、悪役バロンに「アベンジャーズ」のフューリー長官ことサミュエル・L・ジャクソンという実力派が杭を打ち込んだことで物語に重みが出たのは間違いないわ。

子供達のキャスティングも素晴らしく子供らしくはしゃぎながらも日々悩み考えて成長していく微妙な過程が演じ切れているのが恐ろしい…当たり前だけど、ここには劇団ひまわりは存在せず、各自が各自の役を理解し演じきっているのよね。

劇中後半ペレグリンが子供達を助けようと彼らに別れを告げるシーンには言葉なし・・・その後スッと回転して鳥に変化する姿の美しさ、潔さは一見の価値有りと言いたい…ビジュアル的にも演出的にも存分に楽しめる作品であるという事は間違いないわね。

この映画を見て、ふと「Xファイル」のTVシリーズ「サーカス」に出てきた異形の人間達を思い出したけれど、この子供達にはそんな陰鬱さはなく、それぞれの生きる時間を楽しんでいるというのが良い…バートン・ワールドは常にハッピーでカラフル、それが救いになったのかなと考えさせられたわ…敢えて言うなら『ダーク・(エヴァ)グリーン・ファンタシー』ね。

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2017年02月15日

SNL日記1 ブラックノイズ編

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トランプ大統領就任後、移民問題を含め世界から一斉にブーイングが起きていますが本国アメリカでは既に40年以上の歴史があるサタデーナイトライブ(以下SNL)も一躍をになってます。

元々米ではポリティカルや人種偏見等々をネタに非常に上質でブラックな笑いを提供していますが特にSNLは群を抜いて際立ってます…トランプに関しては名優アレック・ボールドウィンが選挙当時から彼の粗雑な一面を的確模写し本人からtweetで攻撃を受ける名誉的な存在になりつつありますし。

と言う訳で日本では馴染みの無いSNL近年の傑作編をピックアップしてみようかと。

近年ですと以前ピックアップしたクリステン・ウィグが物凄い存在感なんですが今回は黒人でSNL歴の長いケナン・トンプソン(Kenan Thompson)が主演…SNLではadシリーズが沢山あって本物のCMレベルクオリティで企画制作されてるのが素晴らしいのです。

内容は快眠グッズ…出張先のホテルで眠れないあなたに・・・をテーマに開発された商品…モード切替は二つ…ホワイトノイズとブラックノイズ…ホワイトは心地良いアンビエンスなんですが黒人には今一…で、ブラックモードに切り換えると、何と窓の外の銃声や、壁越しのお隣のケンカ等々…大爆笑なのが重低音や金曜日…それは見てのお楽しみで!

商品名は「i-sleep PRO」もうたまらないおかしさです…これを黒人のケナンが演じてるので超ブラックな脚本に仕上がって流石としか言いようがありません。逆説的な立場から社会的な課題をピックアップする手法は素晴らしいし、SNL演者も最高水準…次回は旬なメリッサ・マッカーシー演じる報道官ネタをピックアップしましょうか…フフ。

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2017年02月10日

ドクター・ストレンジ日記 デキる男は上から目線編

20170205全世界の女性ファンが公開を待ち望んだマーベル映画通算14作目「ドクター・ストレンジ」・・・ドクターはスーパーヒーローの中でも「アイアンマン」「アントマン」同様、普通の人間でありながら努力を重ねてパワーを得るタイプね。

元々天才外科医であった彼はその能力を活かし単なるソルジャーでなく最強の魔術師として戦いに臨むのが面白い…でも他のヒーロー同様、根底には人を愛し人を助けたいという思いが強く根付いているわ。

しかしながらこのドクター、外科医の腕は天才的で難しいオペでも楽しむほどの余裕さえ持っているの…ここが「アイアンマン」と共通する点なのだけど、その並外れた己の才能に自信を持ち常に傲慢。非常にリッチだけどその性格から恋人は去ってしまう・・・色々な意味でクールな男よ。

でもそんな彼にも転機が!!…事故で腕に大怪我を負い手術どころか日常生活にも支障が出てしまうほどの後遺症が残ったの…この点も一命をとりとめたトニー・スタークと同じ境遇ね…やがてドクターは自分の体を元に戻そうとありとあらゆる事を試みてはみるものの効果無し。

偶然チベットでどんな怪我でも治せる魔術師エンシャント・ワンがいることを突き止め彼女に会いに行くことにしたの…最初は疑っていたけれど、エンシャント・ワンの術を目の当たりにして驚愕したドクターは彼女に弟子入りし7年の修行の末魔術をマスターしていったわ…やがて、ワンの元弟子カエキリウスが禁断の術を用いて暗黒次元の力を呼び、己の欲望のために世界を闇に染めようとすることを知った彼はその企てを阻止すべく仲間の弟子と共に立ち上がる・・・というお話よ。

ドクター・ストレンジをベネディクト・カンバーバッチ、ヴィランのカエキリウスを「007/カジノロワイヤル」でル・シッフルを演じたマッツ・ミケルセンという腐女子の脳が更に活性化される最強キャスティングもお見事!!…中でもエンシャント・ワンを演じたティルダ・スウィントンの性別や年齢を超えた神秘的な美しさは役そのものと言って良いほどよ。ドクターは時間軸を操作出来るので「インセプション」の視覚効果を彷彿とさせるシーンが登場し見応え十分…ただ時間空間に立ち尽くす姿は「STAR TREK/Into Darkness」のカーンを彷彿とさせる・・・美味しいところ取りというべきかしらね。

展開に少し疑問が残る点はあるものの役者陣の演技力と演出の素晴らしさで上書きされたわ。要所要所にマーベル作品お得意のギャグ・テイストも織り込まれテンポも非常に良い…マントがなついて主人を選ぶ、なんて思いつきそうで思いつかないわよ。

前半ドクターが現役外科医の頃患者の家族が彼に感謝の意を表そうとハグしようとしてそれを拒否、中盤、事故により全てを失い自暴自棄になる…後半、藁をも縋る思いで厳しい修行をこなし、敵と対峙して医師としての真の目的を見い出す・・・こんな風に人間として弱い部分をなぞりながら本当の意味で強くなっていく過程をさり気ない演出で見せていくのも素晴らしい。

カンバーバッチの演技は毎度のことながら引き込まれてしまうけれどヴィジュアルも原作そのままであるし、今後はシャーロックからストレンジが定着するのかも(個人的にはカーンですが)…作品を見終わって改めて時間の概念、肉体の概念というものについて考えさせられたわ。

今現在過ごしている時間がすべてと考えてしまえばそれまでだけど、もし別の次元で別の自分が生きているとしたら??時間を思うところまで戻せるとしたら?それが出来ないからこそ、人間は一生懸命生きようとするのかもしれないわよね。

でも昔のドクターの様に才能もビジネスセンスもお金も持っていたとしたら??うーむ、やはり上から目線の女になっていたかも…どちらにせよ凡庸を好まない自分としては生き様だけはストレンジでいきたいものだわ!!

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2017年02月01日

BESSIE日記 クイーン演じるクイーン編

20170201「ドリーム・ガールズ」「キャデラック・レコード」「Ray」・・・ブラック・ミュージシャン達の暗黒の歴史を描いた作品は数多くあるけれど2014年作品ブルースの女王、ベッシー・スミスの伝記的HBO制作TV映画「BESSIE」は更なる波紋を投じた1作ではないかしら。

HBOはミュージシャンの伝記的作品を手掛けることには定評があるけれど、その理由としてどの作品も彼らのリアルな現実と心の動向を微細に描いているからなのよね…この作品も同様に素晴らしくエミー賞TV作品賞受賞・・・当然と言えば当然の結果と言えるわ。

物語は1913年のアトランタの舞台裏からスタート…甘い雰囲気かと思いきや、男に暴力を振るわれ反撃した彼女は流血したままステージで歌う…という衝撃的なオープニングに惹きつけられたわ!!

ベッシーはテネシー川の畔の貧しい黒人街で生まれ早くから両親を亡くし厳しい姉の元で育ったの…兄と共にシンガーとしての才能を奮うべくステージに立ちオーディションを受けるけれど、紙袋よりも肌の色が黒ければ不採用という時代・・・なかなかチャンスをつかめなかったわ。そんな時、当時大人気のブルースシンガーであるマ・レイニーのステージに感動したベッシーは半ば押し込み状態で会いに行き、プレゼンテーション!!…レイニーは彼女の根性と情熱を感じ取りステージで歌わせるようになるけれど、彼女はやがて”自分の歌”を歌い始め師匠であるレイニーを超えることになったわ。

やがて押しも押されぬ大ブルースクイーンとなったベッシー…常に彼女の傍らには美人ダンサー、ビジネスセンスに長けた夫、酒屋の商人など無上の愛を捧げる恋人達が存在する…贔屓目に見てもベッシーは凄い美人でもスタイルが良いわけでも無いけれど彼女の魅力は性別を超越した暖かさ、懐の広さ、そして芯の強さなのかもしれない…だからこそ多くの男女が彼女を愛し夢中になったのかもね。

個人的にはステディを選ばず沢山の愛情に満たされていたベッシーは欲張りで腹立たしいし芸の肥やしというにはあんまりではないかと思うけれど、それを歌の原動力にしていたのは理解出来る…ラブシーンでは、どのお相手も不思議と彼女が相手を”抱いて”いるように見えたというのもその表れかも…何ものに対しても主導権を取りパワーを得ようとする姿勢・・・そう考えると全て合点がいくし見事な演出だわ。

時に愛を分かち合い傷つけ合いながらも、歌姫ベッシーは彼らの愛によって完成されていたのね。この人間描写の素晴らしさもさることながら、時代背景の忠実な再現も興味深い。

この時代、黒人の肌の色を紙袋の黒さと比較するテストがあったとは人種差別というものが激化する以前だというのに非常に屈辱的よ…でもそんな中、今で言う自家用ジェットである自家用列車を保持したり、大きな屋敷を購入したりとベッシーの出世ぶりは想像を超えるもので、近年成功した黒人ラッパーの比では無いかも・・・。

レコーディングのシーンではマイクは皆無、大きな集音用の筒に向かって歌いダイレクトカットという初期の方法が再現されていて実に面白いわ。ヘッドドレスにワンピースもこれまた時代に忠実にデザインされ見応え十分よ。

勿論キャスティングも完璧でベッシーにシンガーでもあるクイーン・ラティファ、マ・レイニーにモニークと、まさに現代に蘇ったかの様なシンクロぶりに唸らされる…ネタバレになるけれど、こういった伝記的作品は最終的に死で幕を閉じるのが定石かと思いきや、ベッシーの男気溢れる生き様と歌、奔放な愛を満面に描き出したまま幕を閉じたことで安堵したわ。

歌はその人自身を体現するもの・・・これほどまでに自由で伸びやか、大地を覆い尽くす様なパワーとセクシーさを兼ね備えた歌声は唯一無二よ…クイーンが演じるクイーンの前に私達は平伏すしかないわ!!

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2017年01月25日

反トランプ日記2 公共広告編

20170108先日のトランプ大統領就任式の翌日の世界規模の女性によるデモ行進が凄い事になってましたね。

一部ではトランプも大統領になれば変わるのではの一部の期待もありましたが、その侮蔑的な話法は結局変わりませんでした。

自分に攻撃するの者には容赦なく噛みつき、傷付け、コケにする…100歩譲って選挙では許されるかもしれませんが大統領の肩書きがついた今は別です。それを察してデモは勢いづき前代未聞の展開になっています。

その数日前に、歌姫のケイティ・ペリーがプロデュースした公共広告をリリースしました…それはトランプの公約にあるムスリム登録制度…これがいかに非人道的な行為かを思い起こされるお話の映像です。

この登録制度は戦時中に米国内在住の日本人が敵国の人間というだけで強制収容された歴史と同じではないか?をテーマに89歳の日系アメリカ人であるハル・クロミヤがストーリーテリング。

「私たちは農家を営むアメリカ人でした。しかし強制収容所では憲法が保証する私たちの権利は取り上げられました。全ての始まりは恐れと流言でした。そしてそれが日系アメリカ人への敵性市民登録につながり、次にタグとなり、そしてすぐに強制収容所になりました・・・」

作品の結末はご覧になって頂ければ驚きますので是非。

歴史を繰り返さない、させない…そんな思いが伝わってきます。丁度このブログを書いてる時にあのローマ法王でさえ「国境に壁や鉄条網を張り巡らせて外国人を締め出すという考え方はヒトラーのような「救世主」を生み出しかねない」と警告を出しました。

この軽薄な大統領、アメリカ国民のみならず平和を愛する全ての人が警戒しないといけませんね。


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2017年01月20日

スイート・ホーム・アラバマ日記 メラニーは故郷に行く!!編

201701062000年「Election」でその実力を存分に見せつけた今や押しも押されぬ女優であり映画プロデューサー、リース・ウィザースプーンの2002年作品「スイート・ホーム・アラバマ」…邦題は「メラニーは行く」・・・「Election」や「キューティ・ブロンド」に続き我が道を行く強い女性を演じきっているわ。

その可憐で瑞々しいビジュアルは勿論のこと女性として仕事も恋愛も一直線に突き進むその姿に憧れずにはいられない。物語上嫌味な部分がなにひとつ無くスッキリとした爽快感が残るラブコメディと言えるわね。

物語は故郷アラバマから出てNYで活躍する若手デザイナー、リース演じるメラニーが主人公…彼女は市長の息子アンドリューからプロポーズされ、幸せの絶頂・・・しかし彼女には故郷に離婚に応じてくれない夫ジェイクがおり離婚の手続きを進めるため故郷を訪れる事にしたの。

日本ではなかなか考えられない事だけど、こういった小さな田舎町では故郷にずっと根付いたまま生きていくか、故郷から出ていくのか、2つの生き方しか無いのよね。

前者は町の住人全員が家族の様に付き合い共に生活している…しかしメラニーは後者を選び、洗練されたNYで自分のセンスを磨きキャリアも最高の恋人も手に入れたわ…でもタイトルが示すように最終的に彼女は故郷を選ぶことになるのだけど、その展開が実に見事!!

メラニーはNYではデキる女だけどアラバマでは問題児で人の池のナマズを盗んだり酒場で羽目を外したり・・・中でも最悪なのは猫に爆弾を背負わせ銀行を爆破させたという伝説が…でもそれには事情があって、この劣悪な事件の発端は癌で長くない猫を安楽死させるつもりだったという理由からであり、このエピソードから猫に爆弾?という非現実的な面白さとメラニーの人間性が理解出来るのが良い。

それを夫ジェイクが愛おしそうに新しい彼に語るシーンは、女性として甘酸っぱく切ない気持ちになってしまう名シーンよ…メラニーの他の悪戯も住民全員が愛情を以て語っており地元の絆というのはなかなか良いものだなと思えてくるわ。

彼女は都会のキャリアウーマンとしての成功を誉れとし自信を持っていたので久々に故郷に戻った際昔の仲間との会話からギャップを感じたり、故郷に根付く生き方を否定的に捉えていたのよね。しかし夫や家族がそれぞれに一生懸命生きている様を目の当たりにし再度自分の生きるべき方向を見出したわ。

自分の仕事を貫いたのは勿論のこと、10歳の頃プロポーズされ結婚、NYに行ってもメラニーを見守り続け仕事を成功させていた夫との愛を貫いた南部女の一本気さは、町そのもののパワーなのだと痛感させられたわ。

何でもそうだけど、ひとつのことを貫くというのは本当に難しい事よ…日本にいればどこに行こうが何をしようが別段誰も気に留めないし、何をやろうと自由・・・だからこそ人間関係も稀薄なのかもしれないわね。そう考えると少し淋しいような気もするけれど、残りの人生”猫爆弾”のエピソードが残るくらい自分の人生をしっかり刻んでいかなくては。

そうそう、タイトル「スイート・ホーム・アラバマ」の通り、レイナード・スキナードの名曲「Sweet Home ALABAMA」が重要な場面で流れるのは流石です。

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2017年01月16日

反トランプ日記1 SNL編

20170104

先週ゴールデン・グローブで功労賞的なセシル・B・デミル賞を贈られたメリル・ストリープの受賞スピーチが凄かったですよね。

「権力を持っている人が、その地位を利用して他人をいじめると私たち全員が負けることになります」…私たちの国で最も尊敬されている場所に立とうとしている人が特権・権力、そして反撃する能力において自分のほうがはるかに上回っているにも関わらず、体の不自由な記者の真似をしたのです。

私はそれを見たとき胸が張り裂けそうでした。私はまだ自分の頭の中からそのときの記憶を消し去ることができません。なぜならそれは映画の中の出来事ではなく現実の出来事だったからです。

誰かに屈辱的なことをする。公の場で権力を持っている人がそのような行為をした時、他のすべての人生に影響してきます。他の人たちも同じような行動をとっても良いと許可を与えることになるからです。無礼は無礼を招く。暴力は暴力を呼び起こす。権力者がその地位を利用していじめをすると私たち全員が負けることになります・・・」


間もなく米ではトランプ大統領の就任式ですが前代未聞の出来事が次々起きています。先のメリルのスピーチに対して「彼女の演技は過大評価されてる」など個人攻撃が開始されてるのは皆さまもご存じかと思います。

選挙期間中から人を中傷し侮蔑的な発言で人気を得てきた人物が結局そのままの人格で大国のTOPになるのです…怖い事です。そんなトランプを皮肉ったキャンペーンCMをあのSNLが制作したのですがこれが実によく出来てるのでご紹介…作品的にも上質でSNL的ジョークは的を射てます…タイトルは「Voters For Trump」

日本では報道されませんがヘイトクライム犯罪が急増しメリルの言う通り、無礼が無礼を招き始めてしまいました。先日の記者会見も酷かったですよね。就任式には各地で大規模な反トランプデモが予定とかこんなにピリピリ状況は異常事態です。

ブログではあまり政治ネタはピックアップしないようにしてるのですが今回は別物…政治という言うより大国TOPに立つ人間性の在り方ですからね。(`_´)


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2017年01月13日

ピッチパーフェクト2日記 完璧なるビッチ編

20170103スマッシュ・ヒットとなった「ピッチ・パーフェクト」から3年後…2015年「ピッチ・パーフェクト2」

今回は製作・出演のエリザベス・バンクスが監督としてメガホンを取ったという事でも話題になったわ。更にパワーアップした歌姫たちの新たなる挑戦、将来や夢などがふんだんに織り込まれたストーリーに仕上がっていて、見どころ聴き所も満載よ。

全米大会初優勝を飾った女性アカペラチーム「バーデン・ベラーズ」はオバマ大統領の誕生日の式典のステージでライブを行うという栄誉を授かったけれど、メンバーの”太っちょ”エイミーの失態により活動禁止へ…名誉挽回のチャンスとしてアカペラ世界大会で優勝しようとチーム一丸に・・・と思いきや、卒業後の進路の不安、プレッシャー、憧れの仕事へのチャンスなどで全員の心はバラバラに。

そんな時元ベラーズの母親を持つ作曲家志望の新入生エミリーが新メンバーとして参加することになり、世界大会に向け特訓すべく元リーダー、オーブリーの経営するキャンプ場で全員合宿を行うことになったわ。

ストーリー的には展開もわかりやすくラストも想像通りの大団円だけど、これが”そつなく”仕上がっているのがさすが!!学生時代の甘酸っぱいエピソードはあるものの女性として如何に道を拓いていくか、それぞれの事情や生き様に焦点を当てているので好感が持てる。

日本だと卒業したらどうしよう、就職出来ないと世間的に云々・・・という甘えがあるけれど、どんな道であったとしても覚悟を以て臨む彼女達の意志の強さに襟を正される思いよ。

全編通しバンクス演じるアカペラ大会のコメンテーター2人組のどぎついコメントがスパイスになっていて良い…レベル・ウィルソン演じるエイミーも作品毎に存在感を増しボディ同様強靱なキャラクターよ。

今回オバマ大統領やスヌープ・ドッグなどゲストも豪華だけど、世界大会でベラーズ最大の敵となったドイツの男女アカペラ・デュオ「ダス・サウンド・マシーン」のステージもゴージャスで良かったわ…映像と見事にシンクロした”ドイツらしい”精度の高いパフォーマンス、衣装も見応え十分で実際に見てみたくなるほどよ。

バーデンの現リーダー、アナ・ケンドリック演じるベッカはDSMのメンバーであるピエターに何か挑戦的に言ってやろうと試みるもいつも褒め言葉になってしまう、というシーンが3回出てくるのが実に納得出来るし面白い…アカペラ大会では常に既存の曲をアレンジして行うものかと思いきや今回オリジナルの曲も初お目見えというのが興味深い。

その背景としてプロの歌い手を目指すベッカ、作曲家を目指すエイミー、それぞれの得意分野と音楽への取り組み方、ビジネスとして音楽をやっていく術や信念などもきちんと描かれているのも素晴らしいわ。

人に聴かせる以上技術や戦略はあって当然…しかし中心に存在するのは人の心を奮わせて止まない感情・・・その為に鍛えるべきは己自身、というこれまた当たり前ではあるけれど永遠のテーマが彼女達の生き方を通して伝わって来るのよ。

自分自身レコーディングの際、ピッチに注意をはらわなくてはいけないシーンに遭遇し、そこばかりに気を取られ思う様な結果が出せなかった経験があるの…確かに大事な事ではあるけれど、そんな部分だけに囚われずベッカ達のようにもっと先を見据えて作品作りに臨みたいと思うわ…良い意味で、ピッチも安定した格好良いビッチにならないとね!!

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2017年01月10日

ドライビング・ミス・デイジー日記 心の暖炉がホッコリ編

20170102今年もアカデミーを筆頭に賞の季節となりました…関係者に今なおリスペクトされ続けている1989年公開の不朽の名作「ドライビング・ミス・デイジー」をピックアップしないといけませんよね。

アカデミー賞では作品賞、脚色賞など数々の受賞を獲得したけれど特筆すべきはこの映画を息吹かせた女優ジェシカ・タンディの主演女優賞ね…なんと彼女は歴代最高齢である80歳で受賞・・・でもそのパワー、美しさはその後も留まることを知らず、芸を極める情熱に年齢など関係ないのだと思い知らされたわ。

この作品の2年前に「NY東8番街の奇跡」ではUFOと心を通わせるマダムを演じ、今回は頑固ながらも次第に心を開いていく老婦人を演じ切っているのが実にお見事。大好きな「トロピック・サンダー」でも劇中で爆破担当スタッフがこの映画を引き合いに出していたのは記憶に新しいけれど映画界において金字塔的作品であることは間違いないわ

タイトルから想像したのは運転下手のマダムが奮闘しそこから何か事件が起きたりするストーリーだったのだけど、意外にもそんなエンタメ性の高い展開は無く終始会話劇だという事に気付いて仰天…何かが起きそうで起きない絶妙な匙加減、ただゆっくりと時間が過ぎその中で紡がれる日常がしっかりと描かれている。

これはやはり役者の力量が最も重要でデイジーを演じるジェシカと彼女の運転手ホークを演じるモーガン・フリーマンやSNLのダン・エイクロイドの演技力あってこそ成立したのだと痛感させられたわよ。

物語は元教師でユダヤ系の老婦人デイジーが運転をしようとして大事故を起こしかけてしまう。そんな母親の身を案じた息子ブーリーは運転手に黒人のホークを雇うことに…元来頑固な性格のデイジーは彼と馴染まず・・・しかしホークの持ち前の真面目さと明るさにデイジーの頑なな心もほぐれ2人は唯一無二の親友となるの…時代背景として黒人、ユダヤ人の人種差別が描かれているけれど「HELP」同様これがまた実にさり気なく生活の中に織り交ぜられているのが素晴らしい。

ストーリー上、人種差別という重いテーマを取り込めば若干ドラマティックになりがちだけど、警官の何気ないおしゃべりやデイジーとホークのキング牧師に対する考えの相違から起きるちょっとした喧嘩、今なお続く黒人の教育環境についてなどが会話から理解出来る。

特に印象敵だったのはデイジーに長年仕える黒人家政婦のアデラが亡くなった後、彼女を偲びデイジーが『彼女は幸せだった』と話すシーン…ホークは複雑な表情を浮かべて少し間を置き「はい」と答えるの…この2人の会話の中にアデラは黒人として不幸せだったという思いとデイジーのもとで仕事が出来たのが幸せだったという色々な思いが交錯しているわ。

デイジーは頑固ではあるけれど、それは教師としての気質ということでなく元々慎ましやかなので裕福でもそれを成金と思われないかと危惧している・・・ただ正直で素直なだけ…前半の嫌味たっぷりな頑固ぶりは彼女の若さの象徴であり生き様だったのだと物語が進むにつれ気付かされたわ。

普通ならこんな嫌味な婦人に仕えたくないと思う反面、仕事を失いたくないから我慢するというのが自然の流れ…しかしながらホークは彼女のその正直且つ可愛らしさを見抜いていたので毒をまかれても楽しみ、常に自分のペースを守るという自然体でいられたわ。何を言われても小気味よいユーモアで返し、常に笑う・・・なかなか出来るものではないけれど、これまで辛いことを乗り越えてきたからこそ出来るのよね…そんな彼だからこそデイジーの大親友になれたのかもしれない。

人間は親子でも夫婦でも友人でも時に傷つけ合いいがみ合ったりしてしまうのは当然…でも相手が何を考え思うかを一歩先読みし理解出来れば、腹も立たないだろうし辛くもないのかも。その為にはまず自分をきちんと見据え確立していかないといけない・・・2人の生き様を通して諭された気がするわ。

デイジーやホークの様に自然に時を重ねていくことが出来たらどんなに素敵だろう・・・ありとあらゆる利害を取っ払った友達とは、どんな関係よりもずっと深い…ラストシーンの2人を見て自分の中にあるトゲトゲとした感情が一気に柔らかくなっていたわ…改めて人間同士生きる事の良い部分を見つめ直すことが出来た気がする…そしてハンス・ジマーの音楽も作品にひと花添えて、心にホカホカと染み入ってくるわ。とにもかくにも恐るべし「ミス・デイジー」・・・彼女のドライブは不滅です!!

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2016年12月29日

オデッセイ日記 孤独とユーモアと編

201612162016年ゴールデングローブ賞をはじめ数々の賞に輝いた映画「オデッセイ」…個人的にはリドリー・スコット監督と主演の実力派怪優、マット・デイモンのコラボ、そして大好きな天才コメディエンヌのクリステン・ウィグなどドシリアスな名演に注目して鑑賞したのだけど、やはり期待を裏切らない素晴らしさだったわ。

物語は火星での探査任務中に大砂嵐に襲われた宇宙飛行士達がミッションを中断し火星から待避…運悪くマット演じるマークが折れたアンテナにぶつかってしまい、彼が死亡したと判断したクルー達は泣く泣く出発。しかし彼は奇跡的に生きていたのよ…つまりオリジナルタイトル「The Martian」 はそのまま火星人…こちらの方が素晴らしいですけどね。

一人火星に取り残されたマークは残された僅かな物資を使って生き延びようとあの手この手を尽くすの…元々植物学者だった彼はその知識を活かしジャガイモの栽培に成功…何とか次の探査機が訪れる4年後まで生きようと努力はするけれど火星の厳しい環境がアクシデントをもたらしてしまう。

諦めていた頃、遂にNASAと通信可能に!!しかしマークを救出するためには様々な問題が・・・NASAやクルー達の知恵と情熱は彼を救えるのかというストーリーで物語的には非常にシンプル…しかし未知の環境、悪条件という最悪なカードしか残されていない状況で人間は何を思いどう行動するのかという点が興味深く描かれているのよね。

マークを通して人間の生きようとするパワーとは美しく、力強いものだと改めて思い知らされたわ。でも物資的な恐怖もさることながら、ここで最も恐るべきもの、最大の敵はやはり”孤独”・・・彼は記録のための録画で、いつ会えるかわからないクルーに向かって語りかけていたのだけれど、これは食料を確保するのと同様に重要な業務だったのではないかしら。

更に彼に元々ユーモアのセンスがあったのも大きなポイントね。自分自身経験があるのだけれど、かなり滅入った精神状態で孤独な状況の際、独り言で面白くなくても冗談を言ってみるの…するとその冗談に自分の精神が同調していき気分が明るくなっていくのよ。本来なら泣きたい気分になるだろうし多少は人間らしく荒れた瞬間も見せてくれたけれど、そこはさすが宇宙飛行士・・・というかマークが本来持ちあわせている前向きさとユーモアが彼自身を救ったと言えるのではないかしら。

殆ど中盤までマットの一人舞台が続くのだけれど、とにかくお見事!!個人的に心にグッときた名シーンはマークが賭けに近い救出作戦を実行すると決め火星を出発した時NASAの司令塔から「パイロット」と呼ばれて返事をするときの表情!!!…もしかしてこれから先の無茶な作戦で死ぬかも知れない、でも火星を旅立つという喜び、仲間への感謝・・・様々な思いを抱いてその呼びかけに答えながら男泣きするマット・デイモンは神懸かっていたわ…このシーンだけでも映画を見て良かった!!と思えたわよ。

そして個人的ヒロイン、クリステン演じるNASA広報統括責任者のアニーも要所要所で良い味が出ていたわ…更にスレンダーになったボディにポーカーフェイスは知的さを強調していて役柄にピッタリ…NASAとしての立場を頑なに守りつつも密かにマークを案じる”抑えた”演技が光っているので要注目よ。

リドリー監督と言えば「エイリアン」などで主人公が傷を自分で治療するというシーンを思い浮かべるけれど、今回もマークは破片を取り除き皮膚を縫い合わせるというシーンがあり、このリアルな描写が”傷付いても生き抜くんだ”という人間の強さを代弁しているのだなと納得。

更に故ボウイの「スターマン」が効果的に用いられたり70年代ディスコミュージック好きの船長が残した”イカしてない”音楽データがマークを癒やしていたりと、音楽の立ち位置がバックグラウンドだけでなく意味を持つものとして用いられているのも興味深いわ。しかもラストで「I Will Survive」とは・・・くぅ、です。

人の人生とは常に孤独と負けカードがついて回るもの…どんな場所であれ、どんな状況であれ、納得いくまで自分自身が終わらせないこと…そして笑い飛ばす精神の強さを培うこと…どんなサバイバルであったとしても生き抜こうとする意志の強さが最後は己を救うということなのね…2016年を振り返るにふさわしい秀作です!! それでは皆さま良いお年を(^_^)

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2016年12月23日

Mifune: THE LAST SAMURAI日記 ジェダイマスター編

20161202STAR WARSシリーズのスピンオフ的作品「ローグ・ワン」が現在日本でも公開中ですが、元々ルーカスがこの物語を制作するにあたりインスパイアーされたのがSAMURAI SPIRITって事をご存じかしら。

そんなSAMURAI SPIRITを演じてきたのが三船敏郎…その彼のドキュメント映画がスティーブン・オカザキによって制作されたのよ…タイトルはズバリ「MIFUNE: THE LAST SAMURAI」

彼の剣術は流麗と言うよりワイルド…一番好きな萬屋錦之介が美しい型の世界の鋭さを見せるのとは対照的に刀を完全な武器として扱ってるのよね。

錦之介が刀に神的な魂を宿らせ対峙する構えに対し、三船は己が相手を魂レベルで制圧する剣…正にジェダイマスターそのもの。

特に黒澤監督作品は素晴らしくて「羅生門」「七人の侍」他、どれを取っても完璧すぎて驚きよ。近年の邦画はTVの延長線上的な作りなので、この時代の日本映画は本当に凄かったのだなとあらためて感じる次第。

チャンバラによってバラエティ化する前の本物の剣劇は今やSTAR WARSによってSPIRITが受け継がれ国内では見た目だけの存在になってしまったようね。是非この「MIFUNE: THE LAST SAMURAI」をご覧になってSAMURAI SPIRITを復活させて!!若い衆!!



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2016年12月16日

TALE OF TALES日記 最も美しく残酷なお話編

20161210日本版ポスターの酷さについてお話したサルマ・ハエック主演で現在公開中の「TALE OF TALES/五日物語」…作品自体はトレイラーで度肝を抜かれた衝撃そのままに素晴らしかったわ!!

サルマと言えば最近では映画「ソーセージ・パーティ」でレズビアンのタコスのイメージが今なお濃く残るけれど、やはり実力派女優・・・今回は美しく気高い女王を演じきり、そのレンジの広さを見せつけてくれたわ。

邦題は「五日物語」…原作は世界最古の民話集「ペンタメローネ 五日物語」を元に幾つかのお話をピックアップしたものだそう…本編は3つの王国に登場する3人の女性に焦点を当て、それぞれの物語が交錯するのよ。ネタバレしてしまうと興醒めな作品なので今日は展開の導入部分だけご紹介…監督は「ゴモラ」のマッテオ・ガローネ。

まずロングトレリス国では、サルマ演じる不妊で悩む王妃が予言者に従い念願の王子を懐妊…懐妊するために海獣の心臓を食したり、心臓を調理した下女が王子そっくりの息子を同時に身籠もり、その後は王妃の偏執的な愛情が炸裂・・・。

続いての主人公はノミを溺愛するハイヒルズ国の王の娘で、彼女は自分を愛してくれない父に愛想を尽かし結婚を望んでいた…王は難問を解いた男性に娘を嫁がせることにしたのだけど、正解を出したのはなんと醜く凶暴な鬼だった・・・。

最後は好色なストロングクリフ国の王に勘違いで見初められた老婆姉妹よ…老婆の姉の歌声は美しく、王は彼女を絶世の美女と思い込んでしまう。王の心を掴もうと姉は策を巡らし、妹はそんな姉の後を追い・・・と、どの物語も不気味で奇妙なものが登場すると同時に顛末はギョッとさせられるものばかり。

グリム兄弟が描いた「グリム童話」も不気味なストーリーが多いけれど、それ以前にこの様な民話が存在していたとは・・・作者はなんと想像力豊かで自然や人間について深く理解出来ていたのかと感心してしまう。

3つの物語は全て女たちの欲深さ、依存心、孤独がリアルに描かれていて非常に恐ろしい…王妃は王子に、老婆の妹は姉に依存して墜ちていき、王子と王女は親から脱却し心身共に超えていくという対比が教訓的というか戒めの様で興味深いわ。

展開に救いが一切無く、欲を持つものは悉く破滅するという潔さが身につまされて良い…更にこの幻想的な世界を創り上げている衣装とメイク、ゴシックで重厚感のある色合い・・・物語に引き込まれるには十二分、おどろおどろしく崇高な美しさよ。

古典を文章で辿れば背景や慣習など細かい点は不明なので想像力で映像を創り上げるけれど、これは想像以上・・・きっとこうだったのだろうなと確信できるビジュアルにただただ圧巻よ。

海獣も巨大化したノミも劇中で何か意味を持つのかと思いきや、人間の欲深さの前にはただのマスコット的存在でしか無いの。生には死、美には醜、この世は全て相対する部分が存在しバランスが保たれているわ…時を重ね様々なものが進化していったとしても、人間が生き続ける限りこの濃厚な物語は紡がれていくに違いない。

オススメなので是非劇場へ!!
20161209


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