2017年02月01日

BESSIE日記 クイーン演じるクイーン編

20170201「ドリーム・ガールズ」「キャデラック・レコード」「Ray」・・・ブラック・ミュージシャン達の暗黒の歴史を描いた作品は数多くあるけれど2014年作品ブルースの女王、ベッシー・スミスの伝記的HBO制作TV映画「BESSIE」は更なる波紋を投じた1作ではないかしら。

HBOはミュージシャンの伝記的作品を手掛けることには定評があるけれど、その理由としてどの作品も彼らのリアルな現実と心の動向を微細に描いているからなのよね…この作品も同様に素晴らしくエミー賞TV作品賞受賞・・・当然と言えば当然の結果と言えるわ。

物語は1913年のアトランタの舞台裏からスタート…甘い雰囲気かと思いきや、男に暴力を振るわれ反撃した彼女は流血したままステージで歌う…という衝撃的なオープニングに惹きつけられたわ!!

ベッシーはテネシー川の畔の貧しい黒人街で生まれ早くから両親を亡くし厳しい姉の元で育ったの…兄と共にシンガーとしての才能を奮うべくステージに立ちオーディションを受けるけれど、紙袋よりも肌の色が黒ければ不採用という時代・・・なかなかチャンスをつかめなかったわ。そんな時、当時大人気のブルースシンガーであるマ・レイニーのステージに感動したベッシーは半ば押し込み状態で会いに行き、プレゼンテーション!!…レイニーは彼女の根性と情熱を感じ取りステージで歌わせるようになるけれど、彼女はやがて”自分の歌”を歌い始め師匠であるレイニーを超えることになったわ。

やがて押しも押されぬ大ブルースクイーンとなったベッシー…常に彼女の傍らには美人ダンサー、ビジネスセンスに長けた夫、酒屋の商人など無上の愛を捧げる恋人達が存在する…贔屓目に見てもベッシーは凄い美人でもスタイルが良いわけでも無いけれど彼女の魅力は性別を超越した暖かさ、懐の広さ、そして芯の強さなのかもしれない…だからこそ多くの男女が彼女を愛し夢中になったのかもね。

個人的にはステディを選ばず沢山の愛情に満たされていたベッシーは欲張りで腹立たしいし芸の肥やしというにはあんまりではないかと思うけれど、それを歌の原動力にしていたのは理解出来る…ラブシーンでは、どのお相手も不思議と彼女が相手を”抱いて”いるように見えたというのもその表れかも…何ものに対しても主導権を取りパワーを得ようとする姿勢・・・そう考えると全て合点がいくし見事な演出だわ。

時に愛を分かち合い傷つけ合いながらも、歌姫ベッシーは彼らの愛によって完成されていたのね。この人間描写の素晴らしさもさることながら、時代背景の忠実な再現も興味深い。

この時代、黒人の肌の色を紙袋の黒さと比較するテストがあったとは人種差別というものが激化する以前だというのに非常に屈辱的よ…でもそんな中、今で言う自家用ジェットである自家用列車を保持したり、大きな屋敷を購入したりとベッシーの出世ぶりは想像を超えるもので、近年成功した黒人ラッパーの比では無いかも・・・。

レコーディングのシーンではマイクは皆無、大きな集音用の筒に向かって歌いダイレクトカットという初期の方法が再現されていて実に面白いわ。ヘッドドレスにワンピースもこれまた時代に忠実にデザインされ見応え十分よ。

勿論キャスティングも完璧でベッシーにシンガーでもあるクイーン・ラティファ、マ・レイニーにモニークと、まさに現代に蘇ったかの様なシンクロぶりに唸らされる…ネタバレになるけれど、こういった伝記的作品は最終的に死で幕を閉じるのが定石かと思いきや、ベッシーの男気溢れる生き様と歌、奔放な愛を満面に描き出したまま幕を閉じたことで安堵したわ。

歌はその人自身を体現するもの・・・これほどまでに自由で伸びやか、大地を覆い尽くす様なパワーとセクシーさを兼ね備えた歌声は唯一無二よ…クイーンが演じるクイーンの前に私達は平伏すしかないわ!!

pipopipotv at 00:00│Comments(0) 映画&TV 

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