2016年12月09日

フローレンス・フォスター・ジェンキンス日記2 好きこそものをやっちまえ!!編

20161203

以前もご紹介した現在上映中の映画「フローレンス・フォスター・ジェンキンス」…事実に基づいたストーリーなので展開はわかっているものの、後は錚々たる役者陣がどう味付けをするのかが楽しみだったの。

主役フローレンスを演じる”千の仮面を持つ怪優"メリル・ストリープ、そして彼女の夫シンクレアを演じた”永遠の貴公子”ヒュー・グラント、そしてそしてそんなベテラン陣に挟まれフローレンスのピアニスト、コズメを快演した”ビックバン★セオリーのコロポックル”サイモン・ヘルバーグ・・・このキャスティングなくしてこの映画は成立しなかったと言って良いかも。

物語は1940年代NYが舞台…社交界のトップであるマダム・フローレンスは夫のシンクレアと共に財産と情熱を愛する音楽に捧げていたのよ。やがて彼女はソプラノ歌手になりたいと思い立ちピアニストのコズメを伴奏者に抜擢しリサイタルを行うようになるの…しかしフローレンスには致命的な欠陥があり、それに気付かない・・・シンクレアは妻の夢を叶える為客を信奉者だけにしたり評論家に金を握らせ酷評させないようにしたりと献身的に立ち回っていたわ。

そのうちフローレンスは自主制作レコーディングをして盤を配ったり音楽の殿堂カーネギーホールで歌う事を決めてしまう…シンクレアとコズメはギリギリまで世間の彼女に対する真の評価を隠そうと奔走するけれどフローレンスの音楽を愛する純粋な心を尊び、共に力を合わせることにしたわ。戦時中のお話だけど彼女の様に支援をする人達がいたからこそ芸術の火は現在も絶えること無く受け継がれているのよね…本当に素晴らしい事だわ。

それにしても、歌を歌える人が歌えない演技をするというのは大変な事だと思う…フローレンスの最初のレッスンは”超”見どころのひとつで、無理に前喉を締めたまま発声したり、ピッチの微妙なずれや高音へ切り替わる際のちょっとしたひっくり返りぶりには恐怖を感じるほど。技術や経験が身につけばつくほどそんなことをすればわざとらしくなってしまうのに、さすが怪優メリル・・・本当に初めてじゃないのか?と思えてしまう。だって前作「RICKI & THE FLASH」ではロックシンガーだったのですもの!!

更に夫の前では恋する少女の様に愛らしく舞台の相棒であるコズメを弟のように愛しみ親友として頼る…その天真爛漫な生き様には好感が持てたわ。好きなものは好き、やりたいことはやる、そんな彼女の素直さが周囲の人々の心を動かしたに違いない。最初は資産家の道楽と思われていたかもしれないけれどフローレンスの音楽を愛するというぶれのない心が結局は後世にまで語られる事になったんですものね。そこまでを十二分に理解させてくれるとは・・・やはりメリルは凄すぎる。

そして注目株といえば、やはりサイモン演じるコズメ!!「ビックバン★セオリー」では主人公シェルドンの友人であり、変わった嗜好の持ち主であるエンジニア、ハワードを演じている彼が劇中でもその鍵盤捌きの素晴らしさを今回の作品で活かしているわ。更にどこかシニカルでずる賢い一面を持ちながら芯が強く良いヤツ、という役柄のイメージも十二分に活かされているのが素晴らしい。

最初はギャラにつられ、そのうち音楽家としてのプライドやキャリアに揺れ、最終的にはマダムを支えようと躍起になる心の変化が表現され、マダム夫婦のシリアスな大人の事情の間で小気味よいテンポと色合いを出していたわ。こんな大役をこなすとは・・・さすが、我らがハワード!

そして久々にスクリーンで目にするヒュー・グラントは、その笑顔の威力は衰えるどころか増していたわよ。実際のシンクレアは元シェイクスピアの三文役者だったからこそ妻の芸術を愛する気持ち、舞台に立つ気持ちを理解出来たのかも。そういう意味合いでも普通の夫婦と違う次元で結ばれていたに違いない。

ひとつ残念だったのは物語自体を「いい話」にしようと無理矢理な展開にもちこんだ点かしら…マダムを嘲笑していた若妻が急に金八先生ばりにフローレンスを庇ったり、シンクレアが愛人からフローレンスへ急遽真実の愛を見出したり、気持ちはわかるけれど急カーブで弧を描いてしまったことで違和感があったのは否めないわ。

しかしながら歌がうまい、下手などというのはあくまで聴感的、技術的なことに繋がるだけなのかもしれない…プロと呼ばれる以上は色々な点をクリアした上で個性や人間性を構築しお客様に楽しんで頂く訳だけれど、フローレンスは別にプロ云々という部分を目指していたのではないし、全て自分のお金でやり切っていたのだから誰に文句を言われる事は無いのよね。

ただ人に聴かせる上で不快に感じさせてしまうという、ある意味強烈な個性に自身が気付かなかったというだけ。劇中で彼女は辛辣な評価に初めて打ちのめされながらも「カーネギーでコンサートを行ったという事実は変えられない」と語るのだけど、この言葉には大納得…例えどう思われても、やりたい事を己の力で成し遂げた・・・なんて格好良いのかしら!

世の中には若く恵まれていても、自分には無理、とか無難に生きる方が良い、など後ろ向きの人が大勢いるわ…自分の可能性を自分で踏み潰し失敗を恐れて一歩も踏み出さない人が殆ど…個人的そういう考えが嫌いだし、年を重ねた今でもまだまだ生き切れてないと思うばかり・・・マダム・フローレンスの域にまで到達するのは難しいかもしれないけれど、まずは自分を信じて「好き」をエネルギーを変えて燃焼させていかないとね…何かをやるには時間もお金も要る、そんな事を言ってばかりいたら”自分が主人公”という作品は生涯リリースできないわよ!!

pipopipotv at 00:00│Comments(0) 映画&TV 

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