2015年12月26日

北蓮蔵日記 リアルを超えた才能・・・!!編

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何気なくTVを見ていたら1枚の油絵が目に飛び込んできた・・・!!まるで映画のワンシーンを切り取ったように、まさに息づいているのよ。

作品はミッドウェー海戦で戦艦”飛龍”と運命を共にした山口多聞提督の最期の場面を描いた「提督の最後」…そして作者は北蓮蔵という明治から昭和にかけて活動していた画家だと知ったわ。

蓮蔵は幼い頃から絵が好きで山本芳翠、黒田清輝らに師事しその頭角を現すも作品はなかなか受け入れられなかったそう…やがて帝国劇場の舞台背景画を手掛け生計を立てていたけれど奮起し退職…その後は当時最も人気の高い戦争画を描き、遅まきの入選を繰り返しキャリアを積んでいったんですって。

彼の代表作のひとつであるこの作品は死を前にした提督とその片腕である加来上男大佐が乗員と水盃を交わしているシーンが描かれているのだけど、メインの二人の表情の穏やかさ、そして彼らと別れを告げる部下達の不安や悲痛な表情に心を抉られてしまう。

後方には燃えさかる炎、その中で敬礼をする部下達、それぞれの人物の立ち居振る舞いや表情が非常に丁寧に描かれており、筆でぼやかしている部分が無いので個々の心情まで見えてくる。しかも加来大佐の目線が描き手の方に向けられた”カメラ目線”になっていて絶妙なバランスを保っているのが素晴らしい。

戦艦の鉄の質感、炎の熱さ、決別の悲哀、すべてが生々しく、蓮蔵はまるでその場面を見て描いてきたのかと思いきや、ラジオで聞いた情報を元に描いたと知って驚愕!!

20151214他にも鉛筆だけで描かれた親の葬列に参加する「遺児」や明治天皇が岩倉具視を見舞った「岩倉邸行幸」、更に印刷工場の昼休みの工員達を描いた「午の憩」などの油絵は写実というよりリアル、リアルというよりその場に蓮蔵自身参加していたであろうと言えるほどの”実在”ぶり。

それぞれにまたカメラ目線もあるという構成力、そして何より半端ないデッサン力もあるけれど、その場の空気や温度、そして音や匂いまでも描ききるというのは脅威でしかないわ。

もし蓮蔵が今の時代を生きていたならば、バットマンノエルのように、その読解力と想像力で物凄い絵コンテを描く映画監督になっていたに違いない。

あまりにも早すぎた!!…そう思うのは間違いかしら!?…かつての日本にこれほどまでに表現力を持つアーティストが存在したというこの事実・・・同じ日本人として誇らしい事よ。

でも昭和初期では蓮蔵のようなタイプは異端であり、未知の存在だっただろうから受け入れられなかったのは仕方ないかもしれないわね。

舞台背景画に甘んじること無く、時間をかけてもしっかりと己の道を切り開いた蓮蔵・・・まずはその心意気と決断に深く感謝したい気持ちよ!!

北蓮蔵の絵のように年末はキリッと引き締め、新年は東京国立近代美術館に「提督の最後」を見に行くと致しましょう。さぁ皆さまも御一緒に!!

pipopipotv at 00:00│Comments(0) アート 

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