2015年11月29日

松岡美術館日記 白金台のエルミタージュ編

20151114以前、白金台を散歩中に落ち着いた雰囲気の洋館を発見…入口には控えめな「松岡美術館」という文字・・・個人の美術館としては規模が大きいし、何よりこんな住宅街に隠れ家的にひっそりと存在するなんて粋だな、と思いつつ吸い込まれるように中へ。

モダンな室内に足を踏み入れれば「美人画展~麗しの女性美を求めて~」というこれまた興味深い展覧会が開催されていたわ…平日の昼間ということもあり、ご年配の方や着物姿の奥様の姿がちらほら。美術館というよりも邸宅に招き入れられたという様なゆったりとした風情よ。

あとで知ったのだけれど館内はゆっくり鑑賞してもらいたいという意志から監視員を配置せずモニターによる監視、作品の世界観を失わないよう解説版を置かずQRコードでの解説など、鑑賞する側がしっかりと楽しめるような工夫がされていたと知り驚いたわ。

しかもこの美術館の設立者である松岡清次朗氏はあの新宿美術学院を設立者で館内の撮影やデッサンが可能なのよ。建物は2階建てで、まず現代美術の展示室にはエミリオ・グレコやヘンリー・ムーアの母性たっぷりの巨大彫刻がお出迎え。これほどの大きさがありながら包み込むような安心感があり、まるで母体回帰したような気分だわ。

その隣は古代オリエント美術のコーナーで、エジプトで発見された歴史的な石像などが展示されていたの…中でも「彩色木棺」の色合いが美しく、赤や緑の発色の美しさは圧巻よ。しかし見ているうちに背筋がゾッとしてきてしまい、この木棺が何の為に使われたのかという意味を考え持ち主の念を感じずにはいられなかったわ。

更に奥の方には「王妃エネヘイ像」が展示されていたのだけれどかなり現代的なデザインで、エジプトの卓越した美的センスを垣間見た気がする。そして2階のメイン展示室では、その時のテーマである美人日本画がお目見えよ…とにかく美しく繊細なタッチで描かれた美人たちは溜息もので、中でも上村松園作の「春宵」には目を奪われたわ。下女に耳くちされた芸奴が描かれているのだけど、そのしなやかさと艶っぽさと言ったら・・・下女が芸奴に耳打ちするのは女の噂話や陰口なのか、こんな艶のあるストーリーが想像出来る作品が昭和11年に描かれていたなんて、いやあ、素晴らしいのひと言ね。

他も見所満載で書き切れないけれど館内から見える広大な庭園はどんな展示品よりも芸術的と言えるわ…手入れの行き届いた緑、灯篭、そして緑からふと覗く鶴の置物・・・時折展示物から目を休めてベンチから庭園を眺めると、なんとも贅沢な気分。このまま何時間でもここにいたいと思ってしまう。

しかしこれだけの美しいものに出会ってしまうと、まるで自分もその美のエネルギーを得られたような気分になるわ…”美”は感覚を研ぎ澄まし潤わせるための特効薬なのね。美しいものを求める皆さん、芸術の秋ですしこの空間で癒やされてみてはいかが?

pipopipotv at 00:00│Comments(0) アート 

コメントする

名前
 
  絵文字