2015年01月10日

Ray日記 心の眼を開け!!編

201501082006年「ドリームガールズ」で敏腕プロデューサーを好演したジェイミー・フォックスが本人が憑依したかの如く演じきりアカデミー主演男優を受賞した2004年「Ray」…これまたエンタメに関わる人間にとって必見の作品ね。

物語は言わずと知れた巨匠レイ・チャールズの伝記で、本人は作品の完成を待たずして亡くなってしまったわ。

7歳の時緑内障がもとで失明し17歳でシアトルに渡りその才能を開花させたレイ…バンドと共にツアーを敢行し、盲目の天才と呼ばれレコード会社とも契約。ゴスペルシンガーのデラ・ビーと運命的な出会いを果たし結ばれるけれど、その一方で麻薬に溺れ、女性との浮き名が絶えないなど波瀾万丈な人生を赤裸々に映像化しているわ。

とにかく驚かされたのは、その生々しいまでの描写台詞ね。

調べてみるとレイ自身がアドバイザーとして参加していたそうで、そのシーン毎の状況をよりリアルに再現できた要因のひとつであることは間違いないわ。バスで黒人席と白人席がロープで区切られていた1940年代…そんな過酷な時代の中、弟の溺死というトラウマ、更に光を失い、貧しさの中で愛する母も亡くなるという3重苦以上の状況でレイは己の人生を切り開いていくのだけど、その生きていく術は強く優しい母から授かったものよ。

目が見えなくても助けるのは最初だけ、そこからは自分の力で這い上がるという事を厳しく教えてくれた母心には本当に頭が下がるわ。その甲斐あって彼はショウ・ビジネスの世界を見事に渡り、盟友ともいえるアトランティック・レコードのプロデューサーと共に数々の名作を生み出したのだけど、この縁もレイの人脈を”嗅ぎ分ける”才覚があってのこと。更にABCレコード移籍の際には原盤権の獲得を条件に出す等、そのビジネスセンスも類い希なるものよ。

この厳しい時代に誰にも出来ない事を成し遂げ、結果が出ればきちんと権利を主張する…今の時代でもここまで出来るものではないわ。

そんなレイもシアトルに出てきた頃は、ライブバーの女主人にギャラだけでなく己の体も差し出さないと行けない時期もあったの。その時の女主人の台詞がとにかく生々しくて、敢えて記述は避けさせて頂くけれど、机上で台本を書いていたのでは思いつかない究極のリアリティがあり素晴らしかった。そういう思いをしながら自分を守る術を身につけていった彼は、後に女性への”嗅覚”も研ぎ澄まされ、手首から腕を触るだけで良い女を見分けるという技も身につけたわ。

愛人達の殆どはコーラスガールで、中でも麻薬で死亡したマージーが歌う「ヒット・ロード・ジャック」は印象深い。正妻のデラとの家庭を壊す気は無いと言われ、彼への思いを捨てきれられない彼女はレイとこの曲のリハーサルを行うのだけど、涙ながらに今の自分の状況そのままの歌詞をピアノに合わせていくシーンは今なお記憶に鮮明に残っているの。面白い事に、レイは愛人をメインボーカルにする曲は彼女達の心情や状況そのままの歌詞にして歌わせているのよね。だからこそ曲の真意が伝わるし、ヒットに繋がったのかもという気がしてならない。

自分も常日頃から思う事だけど、己が感じ伝えようと思ったことをその経験から描くというのはとてつもなく濃度が濃いものが出来上がるものよ。だからこそ唯一無二のものになる訳で、誰にも真似できないものが生まれるわ。もしかしてこの孤高の天才はそれをわかっていて創り続けていたのか・・・?というのは邪推にしても、ビジネスはビジネス、プライベートはプライベートときっちり分別する強固な姿勢でいたからこそ成功を掴んだのだなと言うこともよくわかる。

目を補うための記憶力が仕事の集中力を導き出しているかは不明だけれど、音を操る事でレイは様々な事から解き放たれて自由であるということだけは間違いないわ。彼はアーティストとしてもビジネスマンとしても超一流・・・敵うわけがないわね。

公民権運動の激しかったアメリカの時代背景、レコーディング、ショウビジネス、当時の衣装、すべてに於いても見所満載だけれど、両の目が開いていたとしても心の眼を開かないことには、自分の夢を追うどころか自分を守る事すら出来ないということを思い知らされたわよ。

何度も見直してしまうほど心に強く刺さってくるシーンが多く、なんとも自分の不甲斐なさを恥じてしまいそうになるけれど、エンタメの世界に生きようと覚悟を決めた人は必見!です。さぁ、心の準備はよろしいか・・・?

pipopipotv at 00:00│Comments(0) 映画&TV 

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