2014年12月09日

池田理代子日記1 ウェディングドレス…青春で得たキャリア編

20141209敬愛する池田理代子先生の後期作品「ウェディングドレス」…当時はこの作品を読んでもピン!と来なかったけど、今は年を重ねて痛いほど理解出来る。

結婚に対する願望、絶望、自立、友情…女性誰もが抱える葛藤がテーマになっており、これらが池田先生の視点で鋭く描かれているわ。漫画家として大成されている先生も、こんな葛藤と戦いながら日々仕事に追われていたのかしら・・なんて想像しながら読み進めていくうちに自分の姿と重なり、なんとも言えない寂寥感を感じてしまう。ストーリーは淡々とした日常を描いているのだけど、これが実にお見事なの。

高級洋装店のチーフである中年女性、徳子は同店に勤める6つ年下のお針子の美也子と同居していたわ。やがて彼女は兄と同居する事になり徳子のアパートを出る事に。寂しくなった徳子は美也子の兄に文句でも言おうと新居を訪れるけど、とても純粋でシャイな兄に毒気を抜かれてしまう。そのうち美也子が結婚し、ますます孤独感にさいなまれた徳子は兄に親しみを覚え、やがてその思いは恋心に変わっていったの。

だけど、兄は彼女に残酷な依頼をするのよ。「自分のフィアンセにウェディングドレスを作って欲しい」と。ショックを受けた徳子は、婚約者のドレスに細工をして恥をかかせようと企むけど気持ちは晴れない。そんな時、職場のボスから緊急の仕事の連絡が入るの。

「あなたのキャリアは何にもかえ難い、あなたの腕は黙って信頼出来る」そのボスの言葉に、嫉妬心からおかした愚行が己のキャリアを踏みにじる行為なのだと気付き、徳子はフィアンセの家へドレスを直しに行く事に。自分の青春全てを仕事に捧げてきた誇りと、女性としての幸せを得られない寂しさ・・そんな両局面の感情と戦う徳子の生身の人間臭さが身につまされるようであり、可愛らしく思えるわ。

彼女が部屋で独りミシンだけ踏んで、男性から愛を語られた事もない青春時代を呪い「みじめったらしいつまんない人生・・ばかばかしい30年・・ばかばかしい青春!!」と泣き叫ぶシーンは心臓をえぐられるような共感を覚えてしまった。彼女の劇中の発言はとにかく自然で”生きている”のよ。これは実際にそんなシチュエーションに遭遇したり、そんな絶望的感情を自分が感じない限り出てこない言葉や行動であることは確か。その点に於いても、池田作品の中で最も超リアル且つ人間臭い作品であると言えるわ。

ようやく女性もキャリアアップ出来る時代になったけれど、仕事と結婚、両方を成功させるというのは不可能よ。仕事が出来る事は幸せだけど、年を経て行くにつれ別の不安が募るもの事実よね。女性の幸せの象徴であるウェディングドレス…それをいつ身に付けるかは自分次第。仕事か結婚か、さぁどちらの道を選ぶ?

pipopipotv at 00:00│Comments(0) ご本 

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