2013年03月29日

日野日出志日記1 鬼才の挑戦編

20130329「地獄変」…これほどまでに強烈な作品が発表されていたとは、ただただ驚くばかりよ。

尊敬してやまない日野日出志氏が29年前に発表された代表作のひとつなのだけど、あとがきには「このこわい物語は事実ではなく、著者の創作である」という編集部からの一文が…ホラー漫画なんだから当然なんだけどあえてそう書かないと読者が怯えてしまうという判断したのね。



その内容は実に哲学的で、表現はグロテスクで美しい!ある絵師が血の匂いとその美しさに魅せられ、地獄絵を描き続けているというところから物語は始まり、やがてその作品達がどうやって描かれたかを語っていくというストーリーなの。



家の前にある刑場で落ちてゆく首を見ながら絵を描く主人公、暴力を振るう彼の父、狂った母、肉の塊と化した弟、夜な夜な死者を相手に居酒屋を切り盛りする妻、目玉や死体を集める可愛い子供たち…様々な人間が登場しそれはそれはおぞましい光景が展開するのだけど、その背景には作者の戦争や暴力に対する思いや人間の暖かさを欲する思い、死に向かって加速する自分の中の思いなどがふんだんに折り込まれていて、その深さに思い知らされたわ。



血を吐きながら絵師はラストで「皆死ぬ!」と狂ったように叫び、私たち読者に斧を投げつけるの。紙に印刷された絵のはずなのに、なぜか今でも斧は自分の方に向かって飛んでくるのでは・・と今でも恐怖を覚えるのは、自分が死に向き合えるようになったからなのかもしれない。



これほどまでに内面的な怖さをここまで表現されるなんて、最早為す術無しよ!内容についてもっと書きたいけど、やめておくわね。是非機会があれば皆さんに読んでいただきたいから。



しかし、この当時この作品を生み出した日野先生も鬼才の域を超えてるけど、老舗出版社"ひばり書房"もかなりのチャレンジャーだと思う。この絵師はきっと先生自身…彼の叫びは当時の先生の心の叫びであったであろう事は間違いない!アーティストは自分を削り作品を生み続け、狂気と苦しみの中で表現し浄化を望む・・まったくこの絵師と同じね。

pipopipotv at 00:00│Comments(2) ご本 

この記事へのコメント

1. Posted by HBriver   2013年03月29日 12:00
これは読みたいですね。
AMAZONで買いたい帳にメモメモ。
人間の本質に迫り、読む者の心を鷲摑みにする日野日出志氏、
大好きです。
2. Posted by ピポ子   2013年03月29日 16:13
5 こんにちは!
兄さんは絶対好きな作品です!
是非探してみてね!

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