2017年07月
2017年07月13日
HAT MANIA日記2 モディスト達の饗宴編

なかなか持ち場を離れられなかったので足早に試着・・・という状況だったけれど、普段お会い出来ない皆さんとお話をする機会を得られて、嬉しく楽しく幸福感に満ちた時間を得られたの。
まずは老舗の”maxim”…今年で創業77年という歴史的なブランドで、東京オリンピックや万博の制帽などを手掛けているけれど、こちらの伝説的のモディスト大平千鶴子さんは、作品だけでなくご本人の存在感も重厚で素晴らしいのよ。今回お会いするのは2度目なのだけど、そのパンキッシュなヘアとファッションはとてもクールで見惚れてしまう…作品は非常に女性らしく、どこかクラシカルなデザインでありながらアクセントになるモチーフの色合いがエメラルドともブルーとも言えないヨーロッパ的な美しさで、モダンな絵画のよう…今回は帽子についてお話する時間が出来たので、非常に光栄だったわ。
そして個人的に惹かれたのが、これまた青山にある老舗の帽子学校”サロン・ド・シャポー”のアトリエ発の”tete salon de chapeau”・・・チーフの中島千夏さんは柔らかい物腰のメガネ美人。ゆっくりと丁寧に作品の説明をして下さり、全ての帽子を身につけてみたくなってしまう。兎にも角にも可愛い!被りたい!と思う女性のツボを突いた作品が多く、若い方でも年配の方でもたちまちレディになれる…円形の麻の中にお花を閉じ込めたカチューシャ、大きなリボンを後ろに垂らしたキャスケットなど、ユニークな発想の中に可愛らしさと優しさが共存していているのが素晴らしい。
そして、これまたキュートで笑顔の素敵な窪田恵美子さんのブランド”emi kubota”…デザインや色遣いのポップさには目を奪われるわ。エレガントさと遊び心が見事に融合した作品は、飾っているだけでも見応え十分。帽子を飾るお人形には可愛い赤いおちょぼ口が施され、どことなく窪田さん似・・・色のセレクトもさることながらそのフィット感とバランス感は絶妙なのよ。手で創る作品であるからミリ単位での調整はどれだけ神経を研ぎ澄まして行われているのか…高度な技術に裏打ちされた感性の素晴らしさ!個人的に気になったのは、オレンジとブルーの夏らしいツートン・カラーと細やかな装飾の見事なセッションよ。
更にポップではあるけれど、大人の女性がカジュアルにもお洒落にも楽しめる、火の国美人、國廣志保さんのブランド”daep”…今回はピクニックをテーマに日差しの下で楽しめる作品がテーマで、特に気になったのはハンチングよ!水玉柄にサイドに立ち上がったフリルが付いたハンチング、ビジュアルもキュート…丸顔には危険なハンチングにも関わらずピッタリはまったわ…これもやはり國廣さんマジックなのね。

どの作品も思う事だけれど、やはり作り手の人柄が反映されている・・・モディストの哲学は勿論だけれど、彼ら彼女らの帽子を思うエネルギーが宿っているのよね。ジャンルに関係なく、これこそものづくりの原点ではないかしら。モディストの皆さんは本当に明るくパワフル、そして美しい・・・!!
この空間が華やかな理由は作品の力だけではなく彼らの帽子への愛情が満ちているからなのね…これだけの実力派モディストとの交流も名誉ながら個人的に有り難いのは、帽子作り75年の技術を活かしクリーニングメンテナンスを行っている「クリーンハット」さんとの出会い。帽子の型崩れや部材の劣化などどこに相談したら良いかわからず悩んでいたので、今回お知り合いになれたのは大きな収穫よ。代表の横井真弓さんは可憐な方で、丁寧且つ的確にアドバイスをして下さったわ。他にも水沼輝之さん率いる、型から制作されるカスタム・オーダーの「WABISABISM」はご本人同様、容姿端麗男気溢れる作品で魅了されてしまい…あぁ、もうご紹介しきれないわ!
大事な帽子は長く使いたいもの・・・その為にも彼女のように安心してお任せできるドクターは不可欠…帽子は生きていく上で絶対必要なものではないし、日よけや防寒にすぎないと思う人も多い…手に取り頭に被せた瞬間、着ていた洋服やメイク、髪型までもが変化を遂げてしまうの。そういえば、お客様がこんな素敵な事を仰っていたわ。
「帽子は、自分をワンランクもツーランクも上等な淑女にアップさせてくれる。」・・・なるほど、本当にその通り!!自分が帽子に魅せられたのもその魔力のせいかもしれないわね。ようやく日本でも帽子を身につけることが習慣になってきたとはいえ、セレクトから楽しみ方等々突き詰めるのはマニアの域のように思われがちよね。
もっと気軽にお洒落として帽子を楽しめるようになれば、人生はもっと豊かになれるはず・・・!!その為にも三越さん、是非このイベントを継続して下さい!!
2017年07月04日
自慢日記 スマートなプレゼン編

自分の話にそれを裏付ける証拠があれば有能であると認識され好印象…しかし単に誇張しているだけの勘違い自慢だとすれば最悪よね…自分の実績について口を閉ざせば謙虚な人だと見られるけれど、海外ではやや能力に劣るという評価もされかねないわ。
自慢にはリスクが伴い、悪く言えばナルシストか品性が無いと見られがち・・・更に順応性に欠け人間関係にも難があると見られ女性の方が男性より厳しい目で見られることが多い。
「自慢」を掘り下げるべくブラウン大学で面白い実験が行われたわ…18歳から65歳までの198人を対象に、試験を受けた男性が自分の成績をどう予想したか調査したの。
被験者は”良い成績を予想しその通りだった人””良いと思ったが実際には悪い””失敗したと思ったのに結果良かった””失敗したと思ったらその通りだった”という4つのパターンに別れたそうよ。
その結果心理学者が”謙虚の矛盾”と呼ぶ相反する心理が存在することがわかったの…自慢屋はそうで無い人に比べて能力は高く、品性はあまりないと見られるがそれは裏付けがある場合のみ。
裏付けが無い場合、自慢屋は能力が無く品性も無いと見られてしまう…自慢しない人は品性はあるけれど、能力は低いと見られる・・・冒頭でのお話が立証されたわ。
ここで焦点となるのが、”能力があると見られたい”か”品性があると見られたい”か、よ。仕事の時は裏付けがあるなら自慢することは必要ね…でもデートや好きな相手の前なら控えめでいる方が良いはず。
専門家は、自慢を上手に行うなら状況を選び手柄の横取りや嘘はつかず大袈裟に言わない…人を飽きさせないよう話の中に価値の在る自慢を混ぜて聞かせる”私”という主語を使いすぎないというポイントを挙げたわ。
確かにこれらは納得出来るわよね…でもこういう風に相手に不快感を与えないように伝えるというのは慣れしかない。生きていく上で自分のプレゼンは必須だけど、どうスマートに自慢するかが今後の自分に大きく影響してくるわ…まずは猫自慢からはじめよう・・・。
そうそう、いくら自慢てんこ盛りでも嘘つきは御法度よ、居るでしょ、トランプって言う大嘘つきが…( ̄ー ̄)フフ。
2017年07月01日
HAT MANIA日記1 misa harada編

今回で2回目の開催となる日本橋三越本店のスペシャル・イベント「HAT MANIA」…三越バイヤーセレクトによる老舗ブランドから個性的な若手ブランドまで厳選された20ブランドによる帽子の祭典よ。
前回は創業1940年の老舗maximさんが手掛けたオリンピックやJALなどの歴史的帽子の展示もあったりしたのだけれど今回はイギリスの「ロイヤルアスコット」をテーマにしたモディスト陣の作品の展示・撮影スペースなども設けられ華やかな雰囲気に。
実は私、帽子好きが高じこのイベントで敬愛する原田美砂さんのブランド”misa harada”を担当させて頂いたの。ミサさんの2017年SSのテーマは海中の世界を表現した「Under Water Love」・・・前回ご紹介させて頂いたけれど、会場はビーズで出来た美しい南国の鳥のアップリケのパナマ帽やハンドカットされたスパンコールの花があしらわれたラミー・ストローハット、入手困難なノッテド・サイザルのワイド・ブリム、更に波をモチーフにした優雅な曲線のヘッドドレスなど、リゾート感がありながら非常にエレガントで日常でも取り入れられる作品も盛り沢山。

今回は通常ドレスとセットになっている美しい大輪の花のヘッドドレスが単品で販売という特別企画もあったりして皆足を止められ溜息を漏らしていらしたわ。最終日迷った挙げ句、大きなリボンにチュール付きのヘッドドレス「THAMES」と高級天然素材のシナマイにビーズの花を縫い付けたキュートなベレー「DORY」をお迎えする事にしたの…やはりミサさんの帽子の魅力には抗えるはずもなく・・・。
会期中様々な作品を身につけさせて頂いたのだけれどミサさんの作品を引き立たせるための洋服やメイク、靴選びは慎重に行ったわ…彼女の作品の世界観をどう表現すべきかで興味や購買意欲などに大きく影響してしまうから。
作品の説明をする前にまずビジュアルは重要…ギャルソンのロングスカートにバックにネクタイを垂らした細身のシルエットのブラウス、レースのワンピースなど、百貨店と言う事もありモダン且つエレガントさを心がけるようにしたの。しかしながらミサさんの帽子はドレスアップしても逆にラフでもキッチリ決まる…それだけパッと被ってもラインが確実な所に来るような計算されたデザインであり、どこか男気のある中にあるエレガンスさがあるからカッチリ締まるしポップで可愛らしい…さすが!!としか言い様が無いわ。

来場者の方はそれこそ帽子を作る職人さんから帽子好きのご婦人、更に帽子に興味はあるけれどどれを選べば良いかわからないという方まで幅広かった…ミサさんの作品の力の素晴らしさは理解していたけれど、その色遣いやデザインだけではなく、そこに宿る思いこそが女性達の美しい部分を引きだすのだと改めて痛感…本当に帽子は奥が深い・・・!!会場内は他にも素晴らしいモディストの作品が所狭しと咲き乱れていたので、次の機会にご紹介させて頂くわね!!