2015年11月

2015年11月29日

松岡美術館日記 白金台のエルミタージュ編

20151114以前、白金台を散歩中に落ち着いた雰囲気の洋館を発見…入口には控えめな「松岡美術館」という文字・・・個人の美術館としては規模が大きいし、何よりこんな住宅街に隠れ家的にひっそりと存在するなんて粋だな、と思いつつ吸い込まれるように中へ。

モダンな室内に足を踏み入れれば「美人画展~麗しの女性美を求めて~」というこれまた興味深い展覧会が開催されていたわ…平日の昼間ということもあり、ご年配の方や着物姿の奥様の姿がちらほら。美術館というよりも邸宅に招き入れられたという様なゆったりとした風情よ。

あとで知ったのだけれど館内はゆっくり鑑賞してもらいたいという意志から監視員を配置せずモニターによる監視、作品の世界観を失わないよう解説版を置かずQRコードでの解説など、鑑賞する側がしっかりと楽しめるような工夫がされていたと知り驚いたわ。

しかもこの美術館の設立者である松岡清次朗氏はあの新宿美術学院を設立者で館内の撮影やデッサンが可能なのよ。建物は2階建てで、まず現代美術の展示室にはエミリオ・グレコやヘンリー・ムーアの母性たっぷりの巨大彫刻がお出迎え。これほどの大きさがありながら包み込むような安心感があり、まるで母体回帰したような気分だわ。

その隣は古代オリエント美術のコーナーで、エジプトで発見された歴史的な石像などが展示されていたの…中でも「彩色木棺」の色合いが美しく、赤や緑の発色の美しさは圧巻よ。しかし見ているうちに背筋がゾッとしてきてしまい、この木棺が何の為に使われたのかという意味を考え持ち主の念を感じずにはいられなかったわ。

更に奥の方には「王妃エネヘイ像」が展示されていたのだけれどかなり現代的なデザインで、エジプトの卓越した美的センスを垣間見た気がする。そして2階のメイン展示室では、その時のテーマである美人日本画がお目見えよ…とにかく美しく繊細なタッチで描かれた美人たちは溜息もので、中でも上村松園作の「春宵」には目を奪われたわ。下女に耳くちされた芸奴が描かれているのだけど、そのしなやかさと艶っぽさと言ったら・・・下女が芸奴に耳打ちするのは女の噂話や陰口なのか、こんな艶のあるストーリーが想像出来る作品が昭和11年に描かれていたなんて、いやあ、素晴らしいのひと言ね。

他も見所満載で書き切れないけれど館内から見える広大な庭園はどんな展示品よりも芸術的と言えるわ…手入れの行き届いた緑、灯篭、そして緑からふと覗く鶴の置物・・・時折展示物から目を休めてベンチから庭園を眺めると、なんとも贅沢な気分。このまま何時間でもここにいたいと思ってしまう。

しかしこれだけの美しいものに出会ってしまうと、まるで自分もその美のエネルギーを得られたような気分になるわ…”美”は感覚を研ぎ澄まし潤わせるための特効薬なのね。美しいものを求める皆さん、芸術の秋ですしこの空間で癒やされてみてはいかが?

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) アート 

2015年11月26日

猫ゴロゴロ日記 猫が奏でる癒やし周波数編

20151113うちの猫姉妹はお膝に乗ってゴロゴロ・・・毛繕いをするとゴロゴロ・・・お散歩させるとゴロゴロ・・・。

猫はご機嫌だとゴロゴロと喉を鳴らすけれど、この全身から響く低音は一体どうやって発しているのかしら?

この魅力的な音については非常にミステリアスな点が多くて、どんな時に鳴らすのかはまだはっきり解明していないの。

うちの子達は気分が良いときにゴロゴロ言っている場合が多いけれど有力な仮説によれば常にご機嫌の時だけではないらしいわ…お腹が空いたとき、怯えているときや怪我をしたときにも鳴らすそうよ。

猫は喉を鳴らす際咽頭と横隔膜筋を使い息を吸うときと吐くときにも音を出せるけど中枢神経系がどんな風に筋収縮を起こしているかはまだわかっていないんですって…殆どの猫科の動物は喉を鳴らすことが出来るけれど、ヒョウ亜科の一部であるライオン、ヒョウ、ジャガー、トラ、ユキヒョウ、ウンピョウは出来ないとのこと。

ただ、チーターとピューマは可能だそうよ…野性のチーターがゴロゴロ言っている姿を想像すると・・・ワイルドな感じね…ゴロゴロ音は低音だし、遠くまで届く音量ではないわよね。リラックスしているのは勿論だけど、この音は自他への鎮静作用にも繋がる可能性が高いのだそう…猫はストレス状況の場合でも喉を鳴らし、怪我をした猫の側で他の猫が一緒にゴロゴロ言うケースが多々あるんですって…しかも怪我をした猫にとってゴロゴロ療法は気が休まるだけで無く骨を治癒する効果があるのだとか・・・!

ゴロゴロ音の周波数は約25Hz近辺…これは組織再生を促進する周波数の範囲内なの。そう言われてみれば、野生の猫は獲物を待つ間長い時間を要するからストレスもたまるし体力が落ちるのをゴロゴロ骨刺激戦法で防いでいるのかもしれない。

実際にゴロゴロ音に似た振動を発生させる医療用装置が認められているそうだし人間にもこの周波数は大きく役立っているわ。

うちの猫姉妹たちは絶えずゴロゴロ音を発しているから、もしかして別の意味が・・・?なんて心配をしてしまいそうだけど可愛い穏やかな顔を見ていると自分を労ってくれているのだなとしか思えない…特に具合が悪いときは側に来てゴロゴロ言ってくれるし・・・はっ、もしや人間だと思われてないのかしら・・・!?(=^..^=)ミャー

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) 自分探し 

2015年11月24日

山崎克己日記 究極のカミワザ編

20151112行きつけの銀座の画廊で版画展が開催されていたことがあったの。版画はさほど関心が無かったのだけど、ギャラリー内が暖かみのある色合いの作品一色でノスタルジックな雰囲気・・・と思いきや、大胆な作風の中に”毒”を見出し思わずニヤリ…それが「山崎克己展」

コミカルな画風故、その背後にあるテーマはより色濃く映し出されているのも魅力のひとつかしら…赤、黄、黒のみの色彩で表現されたシリーズの中で特に目を引いたのは『目白駅前図』という作品…ISSUEを持って手を振る老人の横に高級車で通り過ぎるマダムが描かれていたわ。

そして同シリーズの『人間磁石』という作品では頑丈そうな体つきの母親が子供を磁石で引っ張っている…この2作品共通して表現されているのは"力関係"なのね!!…登場人物の表情が朗らかでポップな印象になっているけれど、この視点には”ぎゃふん”だわ。

他にも気になる作品は沢山あれどモノクロでA3サイズのやや大振りなシリーズもなかなか良い感じ…どうやら山崎氏は猫がお好きらしく所々に猫を発見したわ…『猫嫌い』という作品では、ランニング姿の頑固オヤジが猫を玄関に投げつけ猫が逃げる様を描いており、今展覧会のメイン作品と思われる『猫の出前』はおかち持ちの真似をして猫を担ぐ青年が生き生きと描かれてるの。

どの作品も昭和の古き良き時代がそのままパッケージングされリアルタイムで当時を知らない自分でさえ懐かしさを感じたわ…街角でどこからともなく漂ってくる夕餉の香り、公園で遊ぶ子供達の嬌声、夕方の太陽と夜が溶けあう色など、様々な生活シーンが存在し作品から溢れ出ている。

そして極めつけは、大胆な彫刻刀使いよ…この荒々しいラインが良い味を出しているわ。しかし画廊の方の説明によれば、なんと作品は全て木版画では無く厚さ2ミリのケント紙を彫刻刀で彫っているのだそうよ!!紙をこんなに大胆に削ってるのに穴さえ開いてない・・・まさに神業・・・いや"紙技”ね!!

紙というものがここまで削られ、しかも薄くなっても丸まらずにいてくれるものなのかと山崎氏の躾ぶりにただただ感心させられっ放しだわ…作家の技術力・・・と言ってしまえば当然なのかもしれないけれど、その情熱が道具や材料にも通じるという事を目の当たりにさせられた展覧会でありました。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) アート 

2015年11月22日

Tribe Of Gypsies日記 ミドルで攻めろ!!編

20151111とにもかくにも「格好いい!!」と唸らされたバンドの中でも「Tribe Of Gypsies 」は別格…元々ジプシーは自分達のアイデンティティーをそれぞれの国の文化と融合させるのを得意とするけれど、このバンド名そのままに見事なラテンとHRが融合したサウンドになっているわ。

メタル・ゴッドの異名を持つ実力派コンポーザーでありギタリストであるROY-Z率いるこの強力グループは人間の血を沸き立たせる音作りに長けているだけでなく、非常にキャッチーな一面もあり驚かされる。

どうしてもラテンとロックの担い手としてサンタナと比較されがちだけど、時に叙情的に時にカジュアルに攻めてくるギターは非常に心地良いわ。個人的にはさほどギター好きでは無いけれど、ROY-Zのギターはついつい耳で追ってしまう程の心地よさがあるのよね。

初期のアルバム「Tribe Of Gypsies」と「Nathing Lasts Forever」は今でもお気に入りの2枚…気分が乗らないときや落ち込んだ時には必ず処方するようにしているわ。彼らの音を耳にすると集中力が呼び戻されるだけで無く、自分の中にある情熱のスイッチが入るの!!・・・これはやはりジプシー魂のなせる業なのかも。

以前ライブでファーストアルバムの7曲目「Party」という曲をカヴァーしたことがあるのだけど、とにかく盛り上がったのを覚えている…タイトル通り、音が出た瞬間から人を高揚させる構成は単純ながら見事で、お祭り騒ぎの得意なジプシー達の姿が目に浮かぶようよ。

それ以外にも2曲目「In The Middle」など、これまた難しいミドルテンポで”グッ”とくる大人のアプローチを仕掛けてくるのは心憎いとしか言い様が無いわ…こういったテンポの曲を演奏しようとすると若いミュジシャンなどでは”間”が待てずつまらないものになりがちだけど、そこは酸いも甘いも極めた熟練者・・・非常に酔わせてもらえるのよね。

更に興味深い事に彼らの歌詞の世界は「情熱的な愛」がテーマだそう…古くからのジプシーの曲のテーマも殆どが恋愛を歌ったものが多いし、これは伝統なのかしら。

アルバムの中には「俺は炎でお前は雨」なんていう歌詞もあったりして普通なら痛々しささえ感じそうだけど、彼らが歌い上げれば不快どころか更に欲してしまう・・・これもミドルの攻めが活きているからなのね。

人間誰しも心の奥底に情熱は眠っている…なかなかその部分をさらけ出すのは気恥ずかしい事かもしれないけれどジプシー達に委ねることが出来たらきっと・・・素敵な”ミドル”になっている、はず?

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) 音楽 

2015年11月19日

iPadPro日記1 ペンはおあずけ編

20151110Apple久々の新製品「iPadPro」が先週届きましたよ。

中々時間が取れなく早速使用中のiPad4からファイルを移動していじくり回し開始…iPad Airはスルーしてたので4からのスピード体感はそれは素晴らしい!!

iPadPro発表直後は大きすぎないか?とか、重くないか?とか思ってましたが、やはり実物を手にすると懸念は払拭…重さは初代iPadとほぼ一緒なのですが薄く大きくなってる分感覚的にそれ程の重量感は無く、女性が片手で持つにはちょっと辛いかなぐらいでしょうか…まぁ~片手で持つ事を想定されてないですが・・・。

気になっていたサイズなんですが、実際に使ってみるととても見やすくオペレーションもサイズならではのスムーズ感…このiPadProは名称こそProですが実はこれがiPadの本流かと思えてきました。

iPhoneが大きくなりモバイルツールとして役割が増してきましたが、ちょっと大きくなりすぎて手に余る感じで…逆にiPadProは大きくなる事でその価値が鮮明に見えてきました。

大きさの強みはスプリットヴュー(同時に二つのアプリが左右で動く)…これがとてもサクサクで全くのストレス無し…そして4つスピーカーで音が良い事が感動的です。

そして、仕事柄やっぱりこれだろ!!的なAppleペンシルと思いきや、なんと世界的に在庫不足で品物は今予約しても4~5週間先…とんだおあずけ…と言うことでお絵かきに関しては林檎ペンシルが届いてから・・・。

あ、キーボードは買うかどうか未定なんですが銀座Appleで実物触ってから検討…因みに今回購入したProはwifiで128Gbタイプですが、エントリーモデルの32Gbにはちょっと疑問…最低でも64Gbからにしないときつすぎでしょ。

iPadは初代からAir以外全て購入しましたが、これが正しいiPadの姿だと確信しましたよ…ただ心配なのが落としたら確実に割れるなって事でしょうか…その他アプリの使用感はまた今度。

そうそう、iPadProの一週間前にtvOSに進化したAppleTVも届いたのであらためて使用感を…早く来い来い林檎ペン・・・。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2) ハイテク 

2015年11月17日

アルプスの少女ハイジ日記 世界名作リアル劇場編

20151109「世界名作劇場」といえば、誰もが一度は目にしたことのあるアニメ番組よね。「フランダーズの犬」「母を訪ねて三千里」「赤毛のアン」などの有名な作品は、原作を読む前にこの番組で堪能したという子供達も多いはず。

中でも「アルプスの少女ハイジ」は何世代にも渡って愛されている作品で、主人公ハイジの友人クララが自分の足で立つ名場面は今なおピックアップされているわ。かくいう自分もあのシーンを声だけで再現出来るし、国民の殆どがこの番組で育てられたと言っても過言では無い。

これらの作品は19世紀のヨーロッパ革命や産業革命、植民地戦争という激動の時代が舞台なのね…主人公たちは皆差別や貧困に負けずに成長していく、という印象が強かったけれど、こういった時代背景があることを知ればハイジやネロの様な子供達の存在はさほど珍しくなかったことになるわ。

オンエア当時は子供達がしっかりと生きていく姿を見て自分もかくあるべきなのだと教育的な見地のみでしか捉えられなかったけれど、大人になってそういった部分を理解するとリアルに描かれていたのだなと納得。

因みに、「ハイジ」に登場するアルムのおんじは偏屈な性格ゆえ村から離れて暮らしているという設定だけど、若い頃賭け事や酒で身を滅ぼし傭兵として外国の戦地に赴いたという過去があるの…それが理由で村人から敬遠されていた為、村の中にいられなかったという訳なのよ。

更に意地悪なロッテンマイヤーさんもゼーゼマン家に雇われていながらクララの父や祖母に敬語を使われていたわ…その理由として、彼女がただ気性の強い女性だからなのではなく教育係だったことが挙げられる。名家にふさわしい立ち居振る舞いを教えるという仕事は、それなりの見識や経験を持っていなければ出来ない…故にクライアントである父親も彼女に一目置いていたわけだし自然児であるハイジに手を焼いて厳しくなるというのも頷けるわね。

子供向け作品だとそういう部分は描かれないにせよ、長い年月を経て時代背景や世情を見ていくと、名作劇場はすべてフィクションではなく”リアル劇場”だったのかもしれない…今は子供より大人の方が稚拙化している恐ろしい時代・・・「世界暗黒劇場」と銘打って大人の為の作品を作るべきかもね。まず主人公はサラリーマン、から。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) 映画&TV 

2015年11月15日

タック&パティ日記 完全なる二人、完全なる二音編

20151108ギターとボーカル・・・もしくはどちらか一方だけでも音楽は成立するけれど、表現をするという事に於いて無駄な装飾は一切必要ないという事を思い知らされたのはアメリカのジャズ・デュオ夫婦「タック&パティ」に出会ってから。

彼らの音に初めて触れたのは1991年に発表された「Dream」というアルバムなのだけど、タイトル曲でもある1曲目「Dream」が流れ出した瞬間大きなショックを受けたわ。

当時自分はHRやFunkばかりを好んで聴いておりジャズは仕事用、ぐらいの認識しか無かったのよ。どんなエフェクターやアンプを使えば自分好みのヘヴィなギターサウンドが創れるかばかりを試行錯誤していた頃だったのでギターのタックの繊細で優しい調べに完全ノックダウン。

音は様々なものを重ねたりエフェクトをかけたりして変化させる事が出来るけれど、それらをすべて取り払いシンプルにプレイする事で根底にあるものを表現出来るのだ・・・と痛感させられたのよ。

個人的にギタープレイ云々という事は好まないけれど暖かな体温の様な優しい調べはゆっくりと心に浸透してくる。そしてボーカルのパティの大地の如き低音の美しさは母性そのもの…最小限の音から湧き出てくる大きな愛・・・時に優しく、時に力強く聴き手を包み込んでいくわ。

タイトル通り1枚を通して夢見心地になってしまう…他にも彼らが愛するカバー曲が数曲収録されており、中でも「high Heel Blues」はパティの独壇場で感動、の一言に尽きる。音が活き活きとした表情を見せ、その水面下で抜群のグルーブ感がゆったりと流れているのよ。

当たり前の事だけれどボーカリストがアカペラで表現をする際はリズムやグルーブを感じさせるわよね。音が二次元になってしまうのもピッチで縛られるのも歌い手としては失格…パティの染み入る声質は神から与えられた贈り物かもしれないけれど、それを存分に活かして”生かしている”才能と努力にただただ感服としか言いようがないわ…勿論タックのギターも彼女同様に生きており愛する者同士共鳴しあっているのがよくわかる

二人が音を通して惹かれ合ったのも当然ね。

自分の経験からプレイヤー同士音を紡ぐというのはある意味夫婦を超えた深い絆が生まれる事と同じ・・・だからこそ共鳴しあえば”間”も理解出来るし、お互いの手の内が見えてくるもの。なかなかタックとパティの域まで到達することは出来ないにせよ、その点を大切にプレイしていきたいものだわ・・・しかしながらこの完全なる二人、いや完全なる二音、未体験の方は是非秋の夜長にお試しあれ!!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) 音楽 

2015年11月13日

アネット・メサジェ日記 剥がされた後に残るものは・・・編

20151107今から7年前…六本木ヒルズの森アートミュージアムで面白い展覧会が開催されているとご招待を受け訪れたのが”アネット・メサジェ”というフランスの女性アーティストの個展「生と俗の使者たち」。

そのタイトルから只者では無い・・・と感じていたけれど実際に作品と出会った瞬間”大好き”センサーが全回転!!…最初の洗礼は、天井一面にぬいぐるみの頭を付けられた鳥の剥製がお出迎え。頭部は明るい笑顔の可愛いらしいぬいぐるみなのに体はリアルな鳥・・・ぬいぐるみの色合いがとてもポップで明るい分気味悪さ倍増で、とても重いものを感じたわ。

その後、広い館内はアネット・ワールドが炸裂!!…「残りもの」というテーマの作品では様々なぬいぐるみの手や耳などが壁に貼られ、その中心には頭から腹を一直線にを裂かれ中の綿を出された大きなぬいぐるみの残骸が手を繋いで4体並んでいたの。とにかくダイナミックで圧倒…まさに臓器を出した後の"残りもの"なのよ。

次に「つながったり分かれたり」という作品では人間のようで人間でないような布を縫い合わせて作られた奇妙な形状の物体がキィキィ音をたてながらオートメーションで上から下へと動いていたの。その動きを見ているうちに「ああ、人間なんて単純で浅はかなんだな」と思い知らされたわ。布で出来た"生き物"達が同じ速度で操作されているのに布の重みや形状の違いでそれぞれ勝手な動きをしていているのを見ていると布達に人格があるようでまたぞっとしてくる。

最も印象深かったのは「寄宿者たち"シリーズ」…真っ暗な空間に然程大きくないガラスケースが3つ置かれているのだけど、照明が当たっていないため何も見えないの。よく見てみようと近づいてショック…そこには剥製の小鳥が一羽ずつ、手作りの可愛らしいニットを身に付け横たわっていたのよ。そしてタイトルは「休息」…その右下にあるガラスケースには小鳥の体にラジコンのような操作盤を付けたり、拷問のような事をさせている"玩具”が・・・あまりにも衝撃が大きく残りのひとつは忘れてしまったけれど、この作品は脳裏に焼き付く1作となったのは間違いない。

シニカル且つポップな仕上がりになっていても、これらの作品から発せられるメッセージは非常に重く確かなものばかり…人間は生まれて間もない無邪気な時代、ものを収集したり身体への関心を強く持つわよね…そして命の重みを理解せず平気で残酷な事ををしてしまう。

中には大人になってからもその感覚を持ち続ける厄介者もいるけれど・・・。きっとアネットは誰の心の中にも存在する"負の部分"を、可愛らしいぬいぐるみや生き物を用いて表現したんでしょうね…彼女なりの皮肉が凄く心地良いわ。

俗にまみれてしまった人間が聖なる時期を省みる時、初めて自分の心の奥深い部分を理解する事が出来る・・・そんなメッセージを投げ掛けてくれたアネットはやはり"使者"だったのかもしれない…今再び彼女の作品を体感出来たら・・・俗まみれの自分は何を感じるだろうか。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) アート 

2015年11月11日

キザイア・ジョーンズ日記 バスカー魂は健在!!編

20151106あれは確か23年ほど前のこと…イギリスから帰る飛行機の中で衝撃的なサウンドに出会ってしまった・・・それがキザイア・ジョーンズだったのよ!!

彼はその頃、ファースト「Blufunk Is A Fact」をリリースしたばかりで帰国してすぐレコード店に音源を買いに走ったけれど日本では未入荷という有様・・・ようやくアルバムを手にした時は嬉しくて家に走り戻った事を今でもよく覚えている。しかも初来日のチケットも即入手でき、その比類なき圧巻のライブパフォーマンスに打ち震えてしまったわ。

それから間もなく彼と同じハコで自分のライブが決定したときは、感慨深い気分になったものよ。それほどまでに自分が”ファン”だと公言できるアーティスト、キザイアはナイジェリアの資産家のご子息。

イギリスのパブリックスクールに留学したものの親の意思に反してミュージシャンとなり、ロンドンの地下鉄で演奏をする”バスカー”として活動中、その才能が開花したという経歴の持ち主なの。

音はその人の人生を反映させるものだけど、キザイアのサウンドには鼻持ちならない臭さは全く無く、芯の強さの中に息づく小粋なグルーブと彼自身の持つふんわりとした優しさが耳を通して伝わって来るわ。彼の超絶ギタープレイは勿論、そのボーカルと洗練された楽曲のセンスには唸らされる。

特にファーストアルバムの完成度の高さは圧聴と言うべきか・・・1曲目の「Wisdom Behind The Smile」の1音目のドラム、間髪入れずそれに続くギターのカッティングの妙は20年以上経った今でも色褪せず、グッとくるわ。

キザイアが生みだしたブルースとファンクを融合させた”ブルーファンク”・・・その言葉通り、人間が生まれながらにして持つ波動をリズムとして様々なツボを突いてくるのよ。かと思えば、12曲目の「Pleasure Is Kisses Within」のようにメロディーラインの美しさが際立つシンプルでメロウな楽曲があったりと、あっという間に1枚聴きこんでしまう。

生きて行く為のお金、葛藤からの解放、密やかな恋・・・時折皮肉を交えたりして、キザイアがただの裕福なお坊ちゃまなのではなく、生きること、楽しむことに貪欲な人であるというのが窺えて心地良いのよね。

奇しくも今年の4月に来日していたという情報を逃し、熟したブルーファンクを体感することは出来なかったけれど、これまた会場が自分がグループで行った最後のライブ場所だったことも偶然の一致というべきか・・・。

人間は年を追う毎に自分のルーツに還っていくけれど、最近のキザイアも都会的な音から自身の故郷の土着的な音に変貌を遂げて行っている気がする…そしてまた新たなブルー・ファンクが生まれるのかもしれないわね。とにかく今後も彼から目・・・いや耳が離せないわ!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(4) 音楽 

2015年11月09日

反主流の美学日記 カウンターカルチャーとはかくありき編

20151105行きつけの銀座の画廊と東急文化村が同時開催という展覧会「反主流の美学」展が開催されたのは今からもう5年以上も前になるかしら

1960年~70年代という混沌とした時代に暗躍した数々のアーティスト達…面子の豪華さもさることながら、その作品の濃度は果てしなく濃い!!

こじんまりとした空間に息苦しさをかんじるほど主張し合っていた…まず目を引かれたのは太田蛍一氏の「猫」…黒い皮の手袋を身につけた婦人がお乳を与えるというシチュエーションも非現実的だけど、そのお乳を飲んでいるのは紛れもなく猫2匹・・・。

婦人の両乳房は猫のひっかき傷でいっぱいであるにも関わらず、彼女の表情は喜びに溢れているのよ…背後のカーテンと窓、ソファのデザインは非常にモダンで色遣いもほぼモノトーンのせいか不気味さたっぷり。

最も衝撃的だったのは、昭和少女文化を築いたイラストレーター、内藤ルネ氏の作品ね!!…内藤氏の作品で真っ先に目に浮かぶのは、大きな瞳の可憐な少女、愛くるしいパンダちゃんのイラストだけど、今回展示されていたのは初代BL雑誌「薔薇族」の表紙・・・やや角刈りの精悍な顔つきのポロシャツの男性が描かれていたわ。

その下には、これまた短髪七三分けで黄色のベストを身につけた青年が、憂いを秘めた目でこちらを見据えるという「心が砕けてしまいそう」という作品が・・・!!タイトルの斬新さも手伝い見ているこちらの心は完璧に砕かれたわよ。

巨匠は男女問わず人物を魅力的に描く天才であると確信したわ。そして丸尾末広氏の生原稿の美しさ・・・今回、寺山修司の作品をテーマに描かれたものもあり、いつもながら画面いっぱいに漂う妖艶さは垂涎ものね…画廊内では渋沢達彦氏や中井英夫氏の希少な幻想文学コレクション等が販売されていたりとツボをしっかり抑えたラインナップに大満足。

改めてこの時代に生まれたアートの持つエネルギーの凄まじさを実感できたわ…何でもそうだけれど反骨精神がもたらす変化は非常に大きいものよね…それだけ若者達が主張し行動するという”生きた”時代であったからこそこういったムーブメントが起きたし、それは今なお新鮮さを失うことはない。

はてさて、今の若者達は反骨どころか流されてばかりいる気がするし、”カウンターカルチャー”もただカウンターでお茶を飲む位の意味合いしかなくなってしまうかも・・・うーむ。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) アート 

2015年11月06日

プロジェクト・ランウェイ日記 常にプロフェッショナルであれ!!編

20151104「アメリカン・アイドル」がヒットしその時流に乗って始まったデザイナー版「プロジェクト・ランウェイ」…既にシーズン11に突入…デザイナーを目指す方々のレベルの高さにいつも驚かされる。
 
今日はその記念すべきシーズン1を振り返り…ドキュメンタリーとは思えないほど色々な出来事が起こり目が離せなくて、何千人という中から選ばれたデザイナーの卵達が共同生活をしながら課題をこなしプロデビューを目指して勝ち進んで行くの。

エグゼクティブ・プロデューサーでありホストであるモデルのハイジ・クラムは、いつもデザイナー達にプロとして接し厳しい意見をガンガン叩きつける。他の審査員も同様妥協せず容赦ない発言をするから凄い!当初脱落していく参加者は、哲学を持たない自分に甘い人、そしてプロ意識が足りない人だったわ。

やがてデザイナーとしての技術だけでなく、個性、そして仕事を請負う際のプロとしての自分のプレゼン力、クライアントとの接し方、共同作業における自身の立ち位置など様々な能力が試されていくの!!

日本でも同じような番組があったけど、審査する側もされる側もレベルが低いし服のコンセプトに対してそれほど重要視されてなかった気がするわ。番組に登場するデザイナー達は自分自身がきちんと看板になっていたし、個々の個性も強烈。

出演者の殆どは審査員に何を言われても納得いかない事は言い返すし、自分の考えを押し通す・・・この勢いが日本で最も足りない部分であるかも。

このシリーズは才能を伸ばすだけでなく人間的な成長も見れるというのもドキュメントならではの楽しさであり、又色々考えさせられる部分も多いわ。

モデル時代意見を求められる事が無かったハイジ・・・でも今はその経験を活かし、デザイナー、プロデューサーとして見事に成功している。それは彼女のファッションに対する情熱と確固たる意志が導き出した結果なんだと思うの。

プロである事の厳しさ、楽しさ、そんな事を細胞にじわじわと伝えてくれるこの番組は恐るべし!!専門学校に行こうと思う人がいるなら、その前に見るべきよね。

【WOWOW Project RUNWAY11】
http://www.wowow.co.jp/extra/runway/

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) 映画&TV 

2015年11月04日

エゴイズム日記 親が子に託す恐怖編

20151103モンスター・ペアレンツなんていう言葉が浸透しつつある昨今、以前夕方のニュースで恐ろしい映像を目にしたことを思い出したわ。

まだ体も出来上がっていない幼い少女たちがダイエット、そしてダンスレッスンに励むというドキュメンタリー。

少女たちは6歳と7歳の育ち盛り。大手音楽出版社が経営する学校に通っており、あるオーディションに合格すべく努力する日々を密着したものよ。

6歳の少女は太ることを恐れ、足は棒のように細くて痛々しい印象なの。その傍らには常に若い母親がつきっきりで、ダンスのレッスンをする間も我が子に「もっとセクシーに踊りなさい!」と怒鳴る始末よ。

未発達の関節を酷使し、ただオーディションに合格するためだけに時間を費やす。しかもティーチング・プロでもない素人母親の指導・・・これを親のエゴと言わず何と言えるだろうか!!

この母親はセクシーの定義を理解した上で子供にきちんと伝えられているかしら?それよりも、人生経験もない子供に”セクシー”を表現させようという方がおかしいわ。一方7歳の少女は食欲旺盛なぽっちゃり型の体型で、その外見をカバーし知的さをアピールするため英会話を習わされているのよ。

インタビューで彼女は笑顔で国際的舞台を目指していると答えていたけれど、これもすべて親の押しつけでしかない…しかも親の用意したHIP-HOPファッションに身を包んでいたわ。

2人の少女に共通しているのは、応援という名のエゴイズムを押しつける親が存在しているという事…彼らは自分が生みだした生命を歪め”付属物”として扱っている…そして表現をするということを理解しないまま師匠気取りでうわべだけのアドバイスをし色々なものをすり減らしていく。

子供自身エンターテインメントな世界に憧れ努力するけれど、その世界で自分がどうありたいのかという信念を持つまでには至らず、後に残るのは悲鳴をあげる体と”思い出”だけ・・・。でも早いうちに挫折を経験し、己を振り返る時間が持てると考えれば有意義な経験かもしれないわね。

ここでの一番の被害者は子供であると言えるけれど一番得するのは・・・?そんな親たちのエゴを見て見ぬふりをしきちんとしたことを教えられないダンス・スクールよ…常日頃から思う事だけれど、日本もまずはティーチング・プロを育てるところから初めて欲しいものだわ。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) 自分探し 

2015年11月01日

Xファイル日記1 珠玉の名作編

20151101

日本でもリピート放送されている名作TVシリーズと言えば「Xファイル」…最近ミニシリーズとして新作の撮影が始まり、それと連動する形で米では全話放送後に新作がリリースされる予定よ…勿論主役のモルダーとスカリーはあの二人。

その中でもマニアから屈指の名作と称賛されてるのがシーズン2内の『サーカス』…「Xファイル」は皆さんご存じの通り、FBI捜査官モルダーとスカリーが超常的な事件に挑んでいく物語でシリーズの中でも王道である超常現象からサスペンス、ホラー、アクション、コメディと各回多岐に渡る味付けがされていて素晴らしい。

この『サーカス』は超ブラックコメディ仕立てになっており特に異彩を放っているのよ…本流の宇宙人系ではなく1話完結系…物語はサーカスの芸人達が集まる土地で、魚鱗癬のサーカス団員「ワニ男」が殺害されるところから始まるの。それからサーカス芸人が次々と殺害されていき、加害者の痕跡が小さいことから「脱出芸」を得意とする芸人が容疑者に挙げられたわ。

モルダーとスカリーはこの奇妙な事件を解明すべく、小人症患者、結合双生児、ゲテモノ食いなどの芸人達の調査を始めるのよ。フリークスである芸人達は自分達に偏見を持つ健常者に対し強い反発を持ったり、仕事がある事への感謝を持ち密かに暮らしていたり、己を武器に金を稼ぎつつ健常者をせせら笑っていたり、個々の性格や生き様がリアル且つユニークに描かれているのが良い。

特筆すべき名シーンは「脱出芸」の男がモルダーを見て、自分達の姿形は個性であり世の中モルダーのようにひょろっとした間抜け面ばかりでは面白くない、とスカリーに言い放つシーンね。そこでスカリーが少し微笑み相づちを打つのもなかなか良いわ。これはモルダーとスカリーを美男美女と認めるからこその屈託のない意見であり、どんな異形の外見をもっていても正直で真面目、そしてジョークのセンスも持ちあわせている芸人がいるというのが非常に面白い。

犯人は芸人のひとりである兄の腹に共生する弟で、兄がアルコール中毒で死にかけているのを察し自分が生き残るために健康且つ真面目な性格の共生先を探していたの。どの芸人もひと癖あるためなかなか良い移転先が見つからず、腹から飛び出してしまった為共生先は死亡・・・最終的に一番”真面目”なゲテモノ食いの男性との共生に落ち着くの。

20151102しかしながら真面目さというのが事件解決の鍵になるのというのも意表を突かれたわ…ラストで元々口がきけなかったゲテモノ食いがモルダーに別れの挨拶をするという、これまた共生の大成功を暗示するブラックなシーンには拍手!!サーカスや見世物小屋というと、どうしても丸尾末広的な安っぽく陰鬱なイメージがまず思い浮かぶけれど、この回の凄さはそういう描写をしっかりとした上でコミカルに仕上げているという事かしら。

演出も素晴らしく、冒頭シーンで被害者の魚鱗癬の男がまるで加害者のように出てくるなどの視聴者への良い裏切り、腹に共生する兄弟を持つ男の腹の膨らみとスカリーの胸の膨らみが対比されるというブラックな笑い、そして極めつけは犯人が単に己の利益の為に殺人を犯したのでは無く、共生できる良いパートナーを探していたという動機・・・どれもこれもが斬新で唸らされてしまう…「Xファイル」に神回は幾つかあるけれど珠玉の1話ね。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) 映画&TV