2015年01月
2015年01月31日
アヌーシュカ・シャンカール日記4 旅の始まり編

「Rise」から意欲的に新しい試みを続けてきた彼女だけど、グラムフォンから世界に向けてお披露目の意味もあるのか「Traveller」は意外に保守的なアプローチで「改めまして、アヌーシュカ・シャンカールでございます」的な構成。このリリースから初のWorld Tourで興行的にも大成功を収めたステップアップ作品となったわ。
「Traveller」の最も注目すべき点はフラメンコとシタールの融合ね…以前イスラム教の研究をされている方が、フラメンコもインド古典音楽もルーツはジプシー音楽で繋がっているという説を説いていらしたのだけれど、このアルバムを聴いているとその説は正しいと思える。
4曲目の「Si No Puedo Verla」ではシタールとカンテが見事に融合し、共に存在感のある音なれどその人間的な暖かい息遣いを感じることが出来るわ。彼女のオリジナルなのだけど古から歌い継がれているフラメンコのシギリージャのようなアプローチで、伝統的でありながら新機軸、というべき素晴らしさ。
続いて5曲目の「Dancing in Madness」では、これまた脅威のシタールとサバティアード(フラメンコの靴音)の饗宴。共に生み出すグルーブはこれまた体温を感じずにはいられないわ。その後は教則的との言うべきテクニカルな面を打ち出したかと思いきやカンテオーラ(女性の歌い手)の登場と飽く部分が全く無し。
タイトル曲である「Traveller」ではシェーナイの高音が時折人間の発する音にしか聞こえず、これまた未体験の境地へ。個人的に気に入っているのは10曲目に収録されている「Casi Uno」ね。スペインの実力派シンガー、コンチャ・ブイガ嬢の大地に根付くような力強いボーカルは圧聴!最初アヌーシュカのシタールは語りかけるように登場…やがてコンチャ嬢のダイナミックな感情を包み込むといった風情に揺らめく炎のような毅然さを感じたわ。
しかしながらシタールがここまで違和感無く様々な音と融合出来たのはアヌーシュカの力量だけではなく、彼女自身が人間が紡ぎ出す音の美しさや強さ、儚さを理解出来ているからかも。
前作「Breathing Under Water」のアルバムと大きく異なり倍音が強調されているのだけれど、アヌーシュカ自身がそういった部分をリスナーに伝えたかったからなのかもと思えてならない。このアルバムをきっかけにまた新たなムーブメントが起きそうね。
さてさて、伝統的な部分を踏まえつつ新たな道を切り開く美しき女神アヌーシュカ・・・次は私達をどんな旅に誘ってくれるのかしら。
2015年01月30日
CHIC日記 おしゃれフリークになりたくて編

リアルに彼らの曲を聴いていた方達は、いわゆるディスコ世代にあたるのかしら。自分は学生時代、ディスコ・クラシックを聴き漁っていたのだけれど、ナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズの2雄チームのバンドと聞いて興味を持ったのがキッカケなの。
ブームから何十年も経って初めて耳にしたのだけれど、その心躍るリズムは今なお色褪せることがないわ。ファンク好きな友達が廊下で「アー」と言い出したらすかさず歌い繋ぐという遊びをした、中学の頃の思い出の曲でもあるのよね。
唯一日本に残っていた本家ライブ映像はテレビ用のため当て振りではあるものの、若き日の2雄と女性ボーカル・チームの姿が納められていたわ。今では最後のオリジナル・メンバーとなってしまったナイル・ロジャースが、タイトなスーツにアフロヘアーという出で立ちでプレイしている姿も貴重よ。
この名曲を含むアルバム「Freak Out」は当時彼らがプロデュースしていた女性グループ「シスター・スレッジ」の曲も収録されていて、1枚で辛口甘口が楽しめる様になっているわ。この後CHICは「Real Peaple」に代表されるように新機軸をどんどん打ち立て洗練されていくけど、この当時の単調且つグルーブたっぷりの格好良さが導き出した進化なんでしょうね。そういう意味合いでも革新的歴史的サウンドだったと言えるわ。
このアルバムには他にも名曲「Dance,Dance,Dance」や「Le Freak」のリミックス「Jack Le Freak」も収録されていて聴き応え十分。トニーの安定したドラミング、バーナードのブリブリベース、ナイルのスペシャルカッティングと、10代の頃受けた衝撃がそのままに今でも体が自然に踊り出してしまう。シスター・スレッジのヒット曲「We Are Family」や「Frankie」も収録されているのでお徳感は半端ないわ。
ダンスタイムの間に彼女達のキュートな歌声を堪能してひと休み、という構成が実に心憎い。当時はタワーレコードで取り寄せなければ購入出来なかったけれど今は簡単に手に入るので、このアルバムでディスコ・サウンドの何たるか、単調なリズムの中に息づくグルーブの何たるかを若者達にも感じて欲しいものね。デンデケデンデケ、デンデケデンデケ・・・。
2015年01月29日
あしたのジョー日記 人生のバイブル、あしたはどっちだ!?編

残念ながらテレビ放映時は生まれておらず、一度も視聴せず終了。初めて目にしたのは、社会に出てから復刻版の本を読んだ時よ。もしも子供の頃にこの漫画を読んでいたら、作品の根底に有る部分を理解出来ず只の"スポ根漫画"だと思ったかもしれない。山谷のドヤ街、少年鑑別所・・・気の向くまま何の目的も持たず生きてきたジョーは、拳闘に出会い戦う事で己の存在理由を見いだすのだけど、その執念は本当に凄まじい。ここまでひとつの事に人生を懸けられるというのは、彼は本当に「生きて」いたのね。
寝ても覚めてもライバル"力石"に勝とうとする姿は、究極の愛情というべきかもしれないわ。これほどまでに人と人とが深く関わり合えるというのは、人間関係が希薄になっている現代では考えられない。憧憬、敵対、向上心、執念、理解・・・彼らの間には様々な感情が生まれたけれど、上辺だけ付合い損得で動く人が多い中、ジョーや力石の様にお互いを認め合い”魂を通じて"付き合える人がいるだろうか・・・と考えてしまう。
自分自身道に迷うと1巻から順に読んで行くのだけど、読み終えた時必ず「生きるという事は常に真剣勝負であり、その中で物事の本質というものが見えてくる」という事を教えられるの。
この作品が今でもずっと読み伝えられている理由のひとつは、根性を以て人生に挑んでいこう!という安っぽい標語のようなテーマなのではなく、読者自身が自分をジョーになぞらえて、消えいりそうな情熱の種を再び燃え立たせる事が出来るからなのかもしれない。今作についてはまだまだ書きたい事があるので、改めてご紹介するわね。
しかしながら、この時代の作品は本当に人々が活き活きと生きている。笑い、泣き、怒り、表現を露わにしているのよね。それだけでも救われる気がするのは、今が味気ないからなのか・・・さて、「あしたのために」を1巻から読み直そう。
2015年01月28日
マンガ黄金時代日記 人間臭さと個性の衝突編

その時代の作品を集めようとすると時間もお金もかかってしまうけれど、素敵なオムニバス本をオークションで見つけたの…その名も「マンガ黄金時代 60年代傑作集」よ!!
手塚治虫、つげ義春、石ノ森章太郎は勿論、マニアックな作家の作品がズラリ…内容も時代を反映したものから、シュールなものまで読みごたえ抜群。
特に気になったのは楠勝平氏の「おせん」という作品。
家族の為に朝晩働き、貧乏長屋で暮らす"おせん"は気っぷが良くて明るい町娘。大工の"安"はそんな彼女の優しさに魅かれ、自分の気持ちを伝える為家に呼ぶのよ。実は安の実家は大金持ち・・しかし、事態が飲み込めずはしゃぐおせんはふとした事から部屋にあった高価な花瓶を割ってしまい、弁償できない恐怖から「私じゃない!」と叫んで逃げてしまう。
安はそんな彼女の態度に激怒するの。でも彼の父親は『おせんの行動は彼女の本質でなく、貧しさからきたものなのだから理解しろ』と諭したわ。幼い頃から苦労知らずに育ってきた安に、おせんの行動は理解できなかったのよ。雨の中、おせんは安の後ろ姿を見ながら涙する・・・というストーリーよ。
話自体はシンプルだけれど、シンプルであればあるほど難しいものよね。人の心の描写が実にお見事で、お金を巡り育った環境や考え方の相違がこれほどリアルに描かれているなんて、本当に良い時代だったのだなと痛感。今の時代だと差別だの、派手さが足りないなどと出版に持ち込むことすら難しいかもしれないもの。
どの作品も「誰誰風」などと画風が被るものはひとつも存在せず、内容もキャラクターの個性も主張しあって暑苦しいくらいよ!これだけの密度の高い作品が生まれ続けた60年代・・諸先輩方の挑戦にどう立ち向かうべきか、あとに続く私達は方向でさえ見失っているような気がするわ。
紙面から漂うインクの香りは人間くささそのもの・・・さて、PCの画面からもその匂いを漂わせることは出来るのかしら?
2015年01月27日
サイボーグ009日記 誰がために戦う編

この展覧会では、環境問題に対しての各分野の取り組みや最新ロボット技術等を009のキャラクターにうまくなぞらえて紹介していたの。でも、目的は構想ノート!そして、石ノ森氏が作詞した主題歌『誰がために』の幻の2番の歌詞!!
『轟く雷鳴よく似合う 機械の戦士と人の言う だが9人は熱き血を緑野に咲かす愛の花 怒りで駈る闇の森 泣いて曇らす青い空』
とまあ、これがAメロからサビ前の部分なんだけど、ちょっと文章的だから歌い辛い感は否めないかも。
どの歌い出しも009達を形容する言葉が重い・・彼らの過酷な運命を示しているからなのだろうけど、石ノ森氏のキャラに対する思い入れが凄く伝わってくるわ。夥しい数のクロッキー帳とキャンパスノートには、石ノ森氏の思うまま綴られた文字の嵐!2012年までの構想とテーマや、キャラクター毎のストーリーがノート1冊単位で書かれていたのよ。
もし自分が『PIPO PIPO TV』のキャラクター毎にストーリーを書いたとしてもノート1冊は・・今は厳しいかも。その他にもラフな設定資料や原画も展示されていて、改めて"石ノ森ライン"の細やかな美しさを再認識したわ。鉛筆やペンは描く人の個性がそのまま出るから、どんなに取り繕っても本質が見えてしまうのかもしれない。
PC時代の現代だからこそ、その部分を見つめ直さなくっちゃ。石ノ森氏の作品は、背景や骨組みがこれだけきちんと作られていたから、時代を超え不朽の名作になったのね。後世まで残る作品作りとは、やはり並大抵の事ではないなと思い知らされたわ。
食い入るように展示物を見ていると、係員の方が「あの・・直筆の幕の方でしたら、撮影大丈夫ですよ」と声をかけてくれたので、パシャッと1枚…ふふ。
2015年01月26日
お家日記10 内覧会編

いよいよ待ちに待った新しいタワーが完成!!…その完成内覧会が先日あったので見てきましたよ新居を。
内覧会の目的は完成したタワー全体とパブリックスペースの確認、そして一番大事な自分のお部屋がちゃんと図面通りに完成してるかの最終チェックですね。
この段階で、パーツの取り付けに不具合が出てたり、傷が付いてたり、水平確認他、メジャー持参で引越後の家具の配置の下調べとなるのですね。何しろ売買契約から約2年越しのスケジュールですから気の長い話です。
今回のタワーは眺望抜群の方角で高層階ですから完璧なView…今日はあいにくの雨空でしたので写真の写りは今一なのがちょっと残念。それでも眼下に広がる東京湾の景色は生で見ると素晴らしかったですよ。手前に建設中の新築地市場も急ピッチで工事が進められていて、街の進化するする様子が体感できるのは最初で最後ですから楽しみ。
そしてオリンピックに向けて更に進化の速度が速まるので、インフラや様々な環境がプラスにしか動きませんから、果報は寝て待てって感じでしょうか。
で、内覧会でトラブル勃発…なんと受注ミスでオプションが一部設置されてなかったのです!…担当者がパニックになってましたが、まぁまぁ~ミスはつきもの。まだ引渡は数ヶ月先ですので頑張って施工して頂くと言う事で。
このタワー売買契約時に懸念されていた周辺空き地も高い建物が建たない事が確定したので、高層階部分の景色は確定で一安心…さぁ!頑張ってお仕事しましょ!
2015年01月24日
英国王のスピーチ日記 王室という名の会社から・・・編

吃音に悩む英国王ジョージ6世の実話に基づいた物語は幼い頃から内気で、厳格な父王ジョージ5世に威圧されてきたジョージ6世ことアルバート王子は、吃音を治そうと様々な治療を受けるも効果が出ず。
そこでエリザベス妃は独自に探し出した言語療法士ローグがこれまでの医師と違うと感じ、夫を彼のもとへ連れて行くの。しかしアルバートはローグの態度や独特な治療に激怒し、2人は衝突するばかり。しかし彼が行った治療方法は最も効果があり、吃音が治る片鱗が見え始めたわ。
次第にアルバートは彼を認めやがて2人の間に友情が生まれていったというストーリーよ。本編中興味深いエピソードが沢山在るのだけど、アルバートのわがままな兄エドワード8世が人妻の伯爵夫人に翻弄されて王位を捨てたり、アルバート自身が幼少時代、左利きの矯正や乳母に虐待されていたなど、渡る世間も真っ青の人間味溢れるドラマが展開されているのが良い。
特に感心したのはアルバートが父王に対して王室を「家族ではありません、会社です」と言い放ったシーンね…格式高い英国王室とは言えどもきちんと運営していかなくてはいけない訳だから、非常に納得させられたわ。そういう意味でも国王のスピーチは国民に対する重要なプレゼンテーションでもある訳だから重要よね。
ここまで赤裸々に王室を描いたことで、より英国というものが身近に感じられるし、何だか好感度が上がった気がするわ。とにもかくにもアルバート王子を演じたコリン・ファースを始め、役者陣の驚異的な演技力にはただただ脱帽。吃音をどんな訓練でマスター?したのか・・・想像を超える技術と努力としか言い様が無い。
注目はローグ役のジェフリー・ラッシュ…個人的には「ミステリー・メン」「恋におちたシェイクスピア」「ガフールの伝説(声優)」の彼が大好き…役所は元シェイクスピア役者で、その経験を活かして独自の言語療法を生みだし、国王であろうと一般人であろうとも分け隔てなく自らのやり方に従わせるの。好き嫌いが大きく2分するタイプだけど、その自信と真っ直ぐな信念があったからこそアルバートを動かせたのだろうな、とその強さに憧れてしまう。
私自身も人前で話す機会が多く、プレゼンテーションの仕方も自分なりに考慮しているけれど、ローグと共通していることがあったわ…それは自分が役者で、聞き手を観客と思い話すということ。この点に於いては特に納得よ。
そして忘れてならないのは、エリザベス妃の母親的な献身ね。常に夫の立場に立ち、そっと近くで遠くで導くその姿に、聖母的賢母とでも言うべき優しさを感じたわ。国王に即位した後、愛する娘達が「パパ」と呼ぼうとし、慌てて「国王陛下」とお辞儀をするシーンではちょっと切なくなったけれど、それよりもスピーチを終えた国王がローグに「君は友達だ」という言葉に対し、彼が「私達は対等ではなく、あなたに仕える者です」と答えたシーンではグッときたわ…これで自分はお役御免です、もう大丈夫ですよという気持ちが込められているのかしらね。
しかしながら2人の友情が続いたのは、窮地を共に乗り切った戦友であり、身分を超え人としてお互いをリスペクト出来たからなのでしょうね・・・なんとも羨ましい限りだわ。私達も様々な会社や団体で仕事をしている訳だけど、己に自信と誇りを持って生きて行きたいものよね。そう、心は常に国王ね!
2015年01月23日
D・フィンチャーの好きな映画日記 影響元編

今をときめく映画監督も好きだった映画から必ず何かを得て自分の中で消化吸収し、改めて自分のフィルターを通して作品で表現する・・この方式は映像に限らず音楽や絵画その他に共通するはず。
そこで、最新作「ゴーン・ガール」も好評なデヴィッド・フィンチャー監督の好きな映画を26本リストアップしてみたわ…彼は1962年生まれでILM(1981~83)を経て、自らプロパガンダFILMを設立し、TVCMやアーティストのPVを制作…90年代中盤から映画制作を手掛けるようになって今に至っている。
うちのスタッフがPV制作時代、ポーラ・アブドゥルのデビュー曲PVその他を手伝っていたので彼の映像に対する美意識に詳しく、なぜ映像・映画でカット数が多いのか等色々と話を聞いてみると、なるほど納得な世界観が見えてきたのよね。
そのデヴィッド・フィンチャーが好きな映画が以下の通り…これが完全に自分の好みと一致してるので驚いたわ。彼による傑作26選は、まさしく今のD・フィンチャーStyleに影響を与えているのが分かる。
「明日に向って撃て」(69)
「チャイナタウン」(74)
「博士の異常な愛情」(64)
「ザ・ゴッドファーザー PART II 」(74)
「タクシードライバー」(76)
「チャンス」(79)
「オール・ザット・ジャズ」(79)
「エイリアン」(79)
「裏窓 」(54)
「カメレオンマン」(83)
「キャバレー」(72)
「ペーパー・ムーン」(73)
「ジョーズ」(75)
「アラビアのロレンス 」(62)
「大統領の陰謀 」(76)
「8 1/2」(63)
「市民ケーン」(41)
「天国の日」(78)
「アニマル・ハウス」(78)
「マッドマックス 2」(81)
「危険な年」(82)
「アメリカン・グラフィティ」(73)
「ターミネーター」(84)
「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」(75)
「エクソシスト」(73)
「卒業」(67)
彼はアカデミー協会からちょっぴり嫌われているので、「ゴーン・ガール」も完全無視されている状況ですけど、今後も期待したいです…フフ。
2015年01月22日
Beyond The Lights日記 生きるのか生き抜くのか・・それが問題だ編

「Beyond The Lights」は歌姫スターを目指そうとする親子のお話がベースなんでね…物語の背景がアフリカ系アメリカ人なので、2007年の「ドリームガールズ」同様に、アカデミー協会はあまり興味を示さなかったのかなと感じてしまいます。
主役のググ・バサ演じるノニーは幼少の頃から才能を認められ開花しますが、母を演じるミニー・ドライヴァーからの強引なステージママぶりで自分を見失い、ある日、自殺を試みるのです…が、間一髪その場で助けてくれた黒人青年(警察官)と人生を見直す旅が始まるのです。
基本的には恋愛物語なのですが、米のエンタメ業界の厳しさもリアルに描かれ、1年前にリリースされたビヨンセの「ビジュアルアルバム」の1曲「Pretty Hurts」の映像とも重なり、登場人物の生きる目的が赤裸々にフォーカスされ見事な仕上がりになってると、これを見たNYの知人からの報告。
これはとても気になる作品ですよね…先ずは予告編を!!
2015年01月21日
Duet日記 継承か警鐘か・・・編

短編集においてもこれが何故ノミネートされないの!?という作品があるのよ。
元ディズニーで伝説的なアニメーターだったMr.グレーン・キーンの「Duet」…ディズニーの歴史を38年間もの長い間支えてきたスーパーバイジング・アドバイザーでもあった彼が『Google Spotlight Stories project』企画で昨年短編映像作品を発表したのだけど、この作品のクオリティの高さと手法に世界中が震撼!
キーン氏はアリエル、アラジンなど数々のキャラクターを生みだしキャラクター達の細やかな動きや、創意工夫のカメラアングルなどはアニメ映画の新境地を切り開いて、言うなればディズニーの父親的存在ね。その彼が発表した作品「Duet」は、なんと鉛筆に紙面にリアルタイムで描き上げて制作されたというから、もはや神業・・・!
制作過程もこれまた驚異的で、動画を確認する作業を機械では無く自分の手を動かして行っているの。それが物凄いスピードで、早送りしているのかと思うほどなのよ。更に画面はメインのキャラクターの部分だけで無くその何十倍もの背景を描いておいて、メインの部分だけ切り取るといった手法なの。この作業によって画面全体に奥行きや広がりを感じる事が出来るわ。例え本編では見えずとも、大事な作業であることは確か・・・しかしこれもすべて手で描いているのよね…凄すぎる!
本編は2人の男女が赤ちゃんから大人になるまでの成長を描いており、成長するに従い変化する2人の心の移り変わりまでじっくり楽しむ事が出来るの。全編音楽のみでセリフは無く、特に女の子がバレリーナの夢を叶え大人の女性へ変貌を遂げる過程が美しい
全編通して恐ろしい程に活き活きとした線で描かれ、何よりも自ら演じているかのようなキャラクターの微妙な表情の変化には参った!としか言いようがないわ。昔は勿論CGは存在しない訳だから、人間の手で1枚ずつ動画を描いていくのが当然だったのよね。だからこそ線に温かみがあり、えも言われぬ躍動感を感じることが出来たのだわ。
キャラクターを息づかせ、物語を紡ぐのは人間の手・・・その最も核になる部分を思い出させてくれた今作は次世代への継承なのか、警鐘なのか。いずれにせよ、日本のクリエーターの皆さん、まずは一度ご覧あれ!
2015年01月20日
夜景日記 軌道に乗ったビジネス編

夜景って、人間の気持ちを鎮静させる効果があるわよね。今巷ではその夜景を楽しむツアーが相変わらず好評なんだそうよ!
その中でもユニークなのが「工場クルーズ」。夜横浜港からクルーザーに乗り、京浜工場地帯のライトアップされた工場を見て回るんですって・・うーむ、マニアック!これが"夜景マニア"に今も継続して受けてるとの事。
参加者曰く、ライトアップされた工場に癒やされる、人工的な建造物が美しく演出されて楽しめる、とロマンティックな気分にさえなってくるそう。こういう企画を考え出した旅行会社は本当に凄い着眼点を持っているわよね。節約だと言われている時だからこそ人間の深層心理に訴えるものが必要なんでしょう ね。
もうひとつは夜の街をロンドンの2階建てバスで回る「ロンドン・バスクルージング」!グループでバスを貸し切り、車内で お酒が飲み放題、ルートも自由に決められると言うから誕生日や飲み会には良いかもしれないわ。2階から見下ろす夜の街は一段と美しく、参加者は夜景もご馳走にして楽しめたそうよ。
今まではお金をかけて色々な所や物を手に入れる事だけを考えてきたけれど、ふとこうやって周りを見回せばいくらでも美しいものや楽しい事を見いだす事が出来るのね。更に夜景というものにこうやって変化をつけて楽しめれば、作り手側の意図も発展させることも出来るし。
と言う事で、うちの屋上からの眺めも気持ちが良いので、ホットラムでも飲みながら…フフ。
【ロンドンバス・クルージングParty】
http://www.upstar.co.jp/cruisingparty/
2015年01月19日
アカデミー賞日記 泣いたらあかん!編

アカデミー賞といえば華やかに着飾った女優さん達を見るのが楽しみのひとつであるけど、いつも気になるのは長いスピーチとオーバーリアクション。皆思うところは同じらしく、知り合いの映画好きの男性はわざわざスピーチの部分を編集して授賞式の映像をストックしているわ。
数年前、アカデミー賞を主催している映画芸術科学協会は、オスカーを獲得する可能性のある人々にある呼びかけをしたの・・それは「受賞したら泣かない」!
メリル・ストリープやサンドラ・ブロック等のベテラン組もアドバイスを受けたそうよ。受賞したら感情を抑え、演壇に立ったら涙混じりの感謝の言葉は禁止。
観客に向かっては簡単なスピーチを行い…個人的な感謝はバックステージのカメラで…という内容なの。
確かに監督やスタッフに感謝する・・というのはアリだけど、その後町内会の名簿を読み上げるが如く長々と語られると、見ている方は感動があっという間に醒めてしまうものよね。感謝の気持ちは大事だけど、それは後ほどのPartyでね…フフ。
そして、アカデミーも今年で87回…今年の主なノミネート作品は以下なんですが、協会から好かれてないフィンチャー監督の「ゴーン・ガール」や長編アニメで話題の「LEGO THE Movie」が完全無視などある意味アカデミーらしいノミネートになってます。
こうなると、個人的には独立系ながら口コミで結果を出してきてる天才理論物理学者ホーキング博士を題材にした「博士と彼女のセオリー」を応援したいですね!!
【作品賞】
「6才のボクが、大人になるまで。」
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
「グランド・ブダペスト・ホテル」
「イミテーション・ゲーム」
「博士と彼女のセオリー」
「セッション」
「Selma」
「アメリカン・スナイパー」
【監督賞】
ウェス・アンダーソン「グランド・ブダペスト・ホテル」
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ「バードマン」
リチャード・リンクレイター「6才のボク」
ベネット・ミラー「フォックスキャッチャー」
モルテン・ティルドゥム「イミテーション・ゲーム」
【主演男優賞】
M・キートン「バードマン」
エディ・レッドメイン「博士と彼女のセオリー」
ベネディクト・カンバーバッチ「イミテーション・ゲーム」
スティーヴ・カレル「フォックスキャッチャー」
B・クーパー「アメリカン・スナイパー」
【主演女優賞】
フェリシティ・ジョーンズ「博士と彼女のセオリー」
ジュリアン・ムーア「アリスのままで」
ロザムンド・パイク「ゴーン・ガール」
リース・ウィザースプーン「Wild」
マリオン・コティヤール「サンドラの週末」
2015年01月17日
RUSH日記2 Clockwork Angels Tour編

丁度本日彼らの40周年記念BOX「R40」が国内盤発売!!…まったく勢いに衰え無しね。
先ずは「Clockwork Angels Tour」…2012年11月のテキサスダラス公演を収録した最新LIVE映像+特典映像には30分のツアードキュメントよ。
今更RUSHって誰?なんて事はブログ読者の皆さまに無いと思いますがちょっとご紹介…プログレファンならずとも、ロックファンにもお馴染みの3人組カナダのバンドで既に結成から40年あまりが経過してもそのサウンドは決して枯れる事は無く、常にアグレッシブな作品を世に送り出してるスーパーバンド。日本ではマニア扱いなんですが、世界的には稼ぎのいいBANDベスト20内に入るくらいにメジャーな存在なんですね。
LIVEは前半と後半で演奏スタイルが変わります…前半は3人編成…後半はClockwork Angels Stringsと命名されたストリングスチームが参加、今までに無いRUSHを堪能することができるのです。
前半10曲のセレクトが今までのツアーではあまり演奏されてないのが面白いのよね…アレンジ的にはシンセ系が入った楽曲が多くて、想像するに後半のストリングスチームを意識した選曲かもしれませんね。映像はチームを交えたステージリハーサルは始まり1曲目の「Subdivisions」中期の名曲「The Big Money」「Force Ten」と景気よくオープニング。
もうRUSH好きの皆さまには楽曲の解説など不要ですよね!!…メンバーは現在61才ぐらいなんですが一切枯れること無く全開モードで今でも新作を出し続けて40年以上も不動のメンバーで活動できてる事だけで凄すぎます。勿論年齢によるゲディー・リーのハイトーンはキーが下がってしまってますがノープロブレム…声は生き物…その時その時でベストな表現ができるのが美しいのです。
RUSH LIVEのもう一つの魅力はその演出力…若き頃はGENESISも凌ぐライティングでしたが晩年は逆にシンプルにアルバムのテーマデザイン中心の大人仕様。色々やり尽くし到達した音楽LIVEの世界観がここにあるのです。
RUSHのドラマー、ニール・パート…先のTOPドラマー50の現役で5位にランクインする強者…そのテクニックだけでなく彼の哲学的領域がRUSHのコアでもあります。そんな歴史を感じながら前半〆の楽曲は近作から「Far Cry」…長丁場ですからここでインターバル。
後半はいよいよ初の試みでもあるストリングスチームClockwork Angelsを迎えてかつて無いRUSH LIVE…Clockwork Angels Stringsはヴァイオリン6人にチェロ2人構成でヴァイオリンとチェロに1人づつ女性がいらっしゃるのですがこれが実にアクティブでカッコイイのです。
元々RUSH楽曲はストリングス系と相性が良いのですが、LIVEでの再現性を考えてかアレンジ的に控えめでしたがこのツアーはそれを前面に出すことで又々新たなRUSH伝説が生まれてしまったツアーに。
ニール・パート後方の雛壇に横一列で登場し「Caravan」からスタート…ストリングアレンジは楽曲を綺麗に彩るものではなく、あくまでもワイルドで生命力を感じるスタイルに終始仕上がってます…2曲目はタイトルでもある「Clockwork Angels」…ガシガシと弾きまくる弦と浮遊感のあるRUSHサウンドがひたすら心地良く、演出的にも凝っていてこれぞ新境地!!
前半のテンションを若干押さえたステージングから一転、この後半パートはボリューム盛り沢山の内容で魅せるRUSHに変貌…ストリングスもヴィジュアル的に楽しさ全開でリンゼイ・スターリングも真っ青な感じです…「Anarchist」「Carnies」とエジプシャン的な展開から「Wreckers」でちょっと詩的な世界へ。
そして出ました!!巨匠ニール・パートのドラム・ソロ…前半・中盤・後半と3カ所あるのですがここのパートは短め…彼のそれは既にアートの領域で各分野のアーティストからリスペクトされるかがわかります…ステージはオールメインディッシュ的に進み最後は「YYZ」「The Spirit of Radio」でハイテンションのまま終わるのですが、名曲「YYZ」ストリングスVersionは鳥肌もの…バンド音楽を極めた者だけが到達できる頂点と言って良いでしょう。
ストリングチームが引いてアンコールは皆大好き「Tom Sawyer」「2112」…もう多くを語らず。こんな見ごたえのあるLIVE映像は久しぶり…是非これを生で堪能したいですが、ご存じの通りRUSHは80年代の初来日以降実現してません…これはもうトロントに見に行くしかないですね!!
そう言えばブログでRUSHをもっとピックアップしてると思ったら1つもしてないことに気付いたので昔にさかのぼってお届けしましょう…フフ。
2015年01月16日
Led Zeppelin狂熱のライブ日記 先駆者達の記録編

この映画は唯一の公式映像なのだけど、ドキュメンタリーとライブ映像という従来の構成に加え、メンバーのイメージ映像が加わった斬新な作品に仕上がっているわ。
オープニングでは彼等のマネージャー達がギャングに扮して登場、本編では幸せな生活を送るメンバーのもとに招集がかかり専用機でNYへ旅立つという、ちょっとお芝居懸かった演出が施されているの。
そして伝説的な「マディソン・スクエア・ガーデン」のライブ映像と共に、メンバーひとりひとりのイメージ映像が曲毎に登場。「ノー・クォーター」ではジョン・ポール・ジョーンズが怪しい覆面の騎士に扮し、村を大暴れしたかと思いきや家に帰れば家族を愛する優しい男に戻るというサスペンス。
「レイン・ソング」ではロバートは王子様(そのままですが)、貴婦人から受け取った剣で幽閉された姫を救うも姫は消えるという、どこかお伽噺的なロマン。ジミーは自分の姿をした隠者を演じているのだけど、己と同じ顔をした隠者の顔が老人に変化したり子供に変化したりと、どこかオカルト。どのイメージも真意が伝わらず、まぁ本人達がやりたいことをやれたなら良いかという親目線の感想しかないけれど、唯一人ジョン・ボーナムだけは自分のありのままの普段の姿を見せており、最も好感度は高し。後にステージに立つ事になる実息の、幼い日のドラミングシーンというお宝映像も収められてるのも見所よ。
ライブ映像からも強く感じたけど、チームの大黒柱である彼がいたからこそ、ジミーもロバートもツェッペリンという大海で自由に泳ぐ事が出来たのかもしれないわね。小手先のテクニックではなく、ジョンの様な本当に”ボトム”というべき重いドラムを叩ける人は今はもう思い当たらないわ。先日の『世界のベストドラマーTOP50』でNo.1を獲得したのも納得よ。
プレイヤーとしての個性、今なお色褪せない楽曲の斬新さ、貪欲に新しい事に挑もうとする姿勢・・どれもこれも全然追いつけない。コンピューターやソフトが発達すればするほど可能な事は増えていくけど、やはりプレイする人の”息遣い”が聞こえてきてこそ「音楽」なのよね。今作から改めてそのことを痛感したわ。
イメージ映像のやりきれていない感で少々テンポが乱れてしまい、映画としては賛否両論ではあるだろうけれど、ライブのやりきり感とテンポの良さは超一級なので後世まで残る1作であることは間違いないわね。もし機材の進化が今くらいに追いついていたら・・・なんて、たらればは考えてはいけないけれど、それならそうでチーム・ツェッペリンはもっと凄いアイディアで私達を唸らせていたに違いない。今ではすっかりミドルというべきお年頃ながら、個々に好きな道を歩んでいる彼ら・・・本当に格好良い!
2015年01月15日
TOPドラマー50日記 たたけるだけじゃダメ編

因みに、TOP5はNo1…ジョン・ボーナム、No2…バディー・リッチ、No3…キース・ムーン、No4…ニール・パート、No5…マイク・ポートノイという面々。
ボーナムは誰もが知ってるLED ZEPPELINのメンバー。今では彼の野性味100%の存在こそがZEPPELINだった、と語る人も多いわね。まさにバンドの大黒柱って感じだった。
バディー・リッチはいわゆる、米のビッグバンドジャズの代名詞的存在。11才でバンドリーダーをつとめ、スティーブガッド他、様々なドラマーに尊敬され影響を与えたわ。晩年医者から心臓発作の危惧からドラムを止めるように指示されたけどたたき続けたのも有名な逸話ね。
キース・ムーンはThe Who。定番のLIVE後にドラムセットをバラバラに崩しステージを終えるパフォーマンスは有名よ。やんちゃな風貌と悪ガキパワー満載のドラミングは真似できそうでできないかも。
以上ベスト3は残念ながらこの世を去ってしまったけど、ベスト4.5は現役よ。
ニール・パートはその筋のファンにはたまらない魅力を持つRUSHのドラマーね。彼はバンド内でリズム担当というだけでなくて、歌詞や楽曲の世界観を組み立てているのよ。その歌詞はとても哲学的で、それを解説する本まで出されるほど。
数年前に事故で娘を亡くし、奥様も癌で死去し、その後音楽活動を止めてしまったのだけど、カウンセリングやメンバーらの熱い友情で復帰。レコーディング等でも音の追求に妥協を許さない姿勢がDVD等を見ていると伝わってくる。そして、今やアートとも絶賛される彼のドラムソロ。未体験のドラマーの方々は一度ご覧になったほうが良いわ。
マイク・ポートノイは日本でも人気のドリーム・シアターの要。彼はテクニカルは勿論だけど、とてもエンタテインメントを常に心がけていて、自分の好きなアーティストや他のバンドの楽曲をLIVEで演奏してくれるし、自身もTOP5に名を連ねた事に対して謙虚に受け止めるなど、その人柄やエンタテイナーとして群を抜いているからこそのランキングなのだと思うわ。
一時、リン等のリズムマシン登場でドラマーの危機なんて時代もあったけど、それによって淘汰されたドラマーが個性を武器にマシンには出せないグルーブ感を全面に出すバンドも増えてきたわ。単に叩けるだけならマシンで充分。自分の魂と相手の気をスティックに込めて!プロを目指すドラマーの方々!頑張ってね!
2015年01月14日
ゲート日記 窮地の閃き!!編

GENESISを脱退したピーター・ガブリエルがソロアルバムのレコーディングでフィルを呼び寄せたのだけど、その時の注文がドラマーの息の根を止めるようなオファーだったらしいの。何と、フィルに対して、「君の金物系の音が嫌いだから金物抜きのドラムセットを持ってきて・・」ですって!
ここで言う金物とはシンバルやハイハット等の事だけど、ドラマーにしてみると金物が無いとリズムがぼけて引締らなくなってしまってどうにもならない…ここで、エンジニアは試行錯誤してキラッとアイディアを閃かせるの!
スタジオには録音用のマイク以外に隔離された、ミュージシャンと話をする為の"トークバック"と呼ばれるマイクがあるわ。今に例えるならPCに内蔵されてるマイクのような性能で、低音など拾えないし歪むのよ。フィルとエンジニアはこのマイクでドラム音を録音、これにコンプレッサーを通して音を絞るようにし、余韻をスパッと切る事で金物に変わるリズム表現を編み出してしまったからビックリ。
後にあのゲートエコーと呼ばれる一時代を築いたエフェクトが誕生した訳なのよ!!。
PCの進化でマシンを起動させれば何でもメニューが揃う現代。とっても便利な環境になったけど、ネガティブな状況で結果を求められることで閃きがより輝きをます事を忘れがちな時代だけに、あえて遠回りな思考が何かをブレイクスルーするキッカケだと感じるこの頃でありました。
最近はゲートエコー全開のエフェクトが減ってるけど、それが完璧で全開で何か新しいサウンドに感じるのが以前ピックアップしたDennis Naplesの「Bullet」…ドラムは巨匠レニー・ホワイトなんだけど驚きのサウンドだから聞くべしね…フフ。
2015年01月13日
Rihanna日記2 雨に備えて・・アンブレラ編

特に代表曲になった「アンブレラ」…この曲を初めて聴いた時、サンプリングされたサビの「アンブレラ・・エラ・・エラ・・エ・・・エ・・」という部分が耳から離れず、未だに彼女の映像を見ると『エラ・・エラ・・』と口ずさむ自分に気付くの。
最早これは洗脳の域に近い!これだけ印象が強く残るのだから、楽曲としては大成功じゃないかしらね。彼女の歌声は本当に良い意味でどろっとしていてクドい。曲の所々に現れる、鼻から声をくぐらせる独特のこぶしは、キーボードのピッチベンドを滑らかに動かしたよう・・!
これまでのR&BやHip-hop女性アーティストにはない素晴らしいオリジナリティ奏法だと思うわ。この曲は「私の傘に入っていいのよ、一緒にいましょう」という歌詞から、女性が大きな愛で男性を包み込むという世界観かと思いきや、それだけではない気がするのよね。
冒頭Jay-ZがラップでRihannaに対し、「オレは雨に備えて金を貯めてる」とか、いつものようにモノ自慢をしているので『ああ、又ラッパー特有の自己顕示欲アピールタイムか・・』と思ったけど、citibankのシンボルにも見られる傘はあらゆる災難から守るという意味だったのね。
RihannaはJay-Zに見いだされ大成功を収めた訳だけど、今では彼女は彼のレーベルのドル箱アーティスト…2人の作品に対する自信の現れなのかもしれないわね。それに映像もなかなか痺れるのよ~!彼女が雨と戯れるシーンは絶品!ダンススタイルも小気味よくて本当に恰好良いの。
彼女はセクシーだと良く言われてるけど、色気というものは殆ど感じられないわ・・・どちらかといえば、昔オルゴールに入っていたくるくる回るバレリーナ人形の方が近いのよね。ルックスはかなりメイク映えするお顔立ちだし、プロポーションも人間臭さを感じない…まるで二次元の世界にしか存在しないような不思議感よ。
アルバム「good girl gone bad」は様々なタイプの楽曲が目白押しで飽きさせないし、ジャケットは彼女そのものを見事に表現していてかなりグット。バット・ガールに憧れるアナタ、先ずはRihannaの鬼太郎ヘアーから真似てみては?ゲゲ・・ゲゲ・・ヘア・・♪
2015年01月12日
耳育日記1 音の響きはやる気から編

これって食育と似ていると思うの…インスタントや化学調味料に馴染んだ舌は味覚音痴を招き人の寿命を縮るのよね。それを阻止しようと、シェフや料理研究家の皆様が頑張って食の安全や素材そのものの旨味、食の大切さを伝え始めているわ。
で、音楽はデジタル全盛期の今、強制的に圧縮された詰まった音をイヤフォンから毎日聴き、酷使された耳は明らかに感度が悪くなってるのよ。これは作り手にも言えることで、似たような音源に同じようなアンビエンス。まるで作り手自身が圧縮されてるよな雰囲気だわ。
スタジオに行ってもエンジニアがニコニコしながら心地の良いエコーでお出迎え。きっと作業効率優先でクリエイティブマインドが薄まっているのかしらね。音楽が売れなくなってきたのは、環境の責任ではなくて、作り手のマインドが事務化してるのも一因よ。だからこそ、音の持つ自然の響きを耳育として自分の聴感をフラットに戻すことをオススメするわ。
圧縮された音では歪みは倍に聞こえても、綺麗な倍音はうもれるだけ…現行のCD規格も今となっては過去のスペックね。巷ではハイレゾって言葉だけが先行してる感で、相変わらず世界の中でCDが主体なのは日本だけ・・。
そんな過渡期でも5.1MIXされたDVD-audioやその他雑多なフォーマットで高音質な作品も出回り始めてる…これを再生する音響システムもそれなりの物が必要だけど、何百万もかける必要もないし、ちょっとした工夫で素晴らしい音が再生できるものよ。
日本だけいまだCDを軸にした利益構造は何とかしようと思えば、関係各社同時に一歩前進すれば何とかなるハズ…きっとメーカーの現場の人達も同じ考えよ。MP3等の圧縮音源も米アーティストのニール・ヤングのようにアーティストが主体となってメッセージを出せば世の中動くもの。
まぁ、いずれにしても耳育という事で今後ピックアップしていく予定よ…フフ。
2015年01月10日
Ray日記 心の眼を開け!!編

物語は言わずと知れた巨匠レイ・チャールズの伝記で、本人は作品の完成を待たずして亡くなってしまったわ。
7歳の時緑内障がもとで失明し17歳でシアトルに渡りその才能を開花させたレイ…バンドと共にツアーを敢行し、盲目の天才と呼ばれレコード会社とも契約。ゴスペルシンガーのデラ・ビーと運命的な出会いを果たし結ばれるけれど、その一方で麻薬に溺れ、女性との浮き名が絶えないなど波瀾万丈な人生を赤裸々に映像化しているわ。
とにかく驚かされたのは、その生々しいまでの描写と台詞ね。
調べてみるとレイ自身がアドバイザーとして参加していたそうで、そのシーン毎の状況をよりリアルに再現できた要因のひとつであることは間違いないわ。バスで黒人席と白人席がロープで区切られていた1940年代…そんな過酷な時代の中、弟の溺死というトラウマ、更に光を失い、貧しさの中で愛する母も亡くなるという3重苦以上の状況でレイは己の人生を切り開いていくのだけど、その生きていく術は強く優しい母から授かったものよ。
目が見えなくても助けるのは最初だけ、そこからは自分の力で這い上がるという事を厳しく教えてくれた母心には本当に頭が下がるわ。その甲斐あって彼はショウ・ビジネスの世界を見事に渡り、盟友ともいえるアトランティック・レコードのプロデューサーと共に数々の名作を生み出したのだけど、この縁もレイの人脈を”嗅ぎ分ける”才覚があってのこと。更にABCレコード移籍の際には原盤権の獲得を条件に出す等、そのビジネスセンスも類い希なるものよ。
この厳しい時代に誰にも出来ない事を成し遂げ、結果が出ればきちんと権利を主張する…今の時代でもここまで出来るものではないわ。
そんなレイもシアトルに出てきた頃は、ライブバーの女主人にギャラだけでなく己の体も差し出さないと行けない時期もあったの。その時の女主人の台詞がとにかく生々しくて、敢えて記述は避けさせて頂くけれど、机上で台本を書いていたのでは思いつかない究極のリアリティがあり素晴らしかった。そういう思いをしながら自分を守る術を身につけていった彼は、後に女性への”嗅覚”も研ぎ澄まされ、手首から腕を触るだけで良い女を見分けるという技も身につけたわ。
愛人達の殆どはコーラスガールで、中でも麻薬で死亡したマージーが歌う「ヒット・ロード・ジャック」は印象深い。正妻のデラとの家庭を壊す気は無いと言われ、彼への思いを捨てきれられない彼女はレイとこの曲のリハーサルを行うのだけど、涙ながらに今の自分の状況そのままの歌詞をピアノに合わせていくシーンは今なお記憶に鮮明に残っているの。面白い事に、レイは愛人をメインボーカルにする曲は彼女達の心情や状況そのままの歌詞にして歌わせているのよね。だからこそ曲の真意が伝わるし、ヒットに繋がったのかもという気がしてならない。
自分も常日頃から思う事だけど、己が感じ伝えようと思ったことをその経験から描くというのはとてつもなく濃度が濃いものが出来上がるものよ。だからこそ唯一無二のものになる訳で、誰にも真似できないものが生まれるわ。もしかしてこの孤高の天才はそれをわかっていて創り続けていたのか・・・?というのは邪推にしても、ビジネスはビジネス、プライベートはプライベートときっちり分別する強固な姿勢でいたからこそ成功を掴んだのだなと言うこともよくわかる。
目を補うための記憶力が仕事の集中力を導き出しているかは不明だけれど、音を操る事でレイは様々な事から解き放たれて自由であるということだけは間違いないわ。彼はアーティストとしてもビジネスマンとしても超一流・・・敵うわけがないわね。
公民権運動の激しかったアメリカの時代背景、レコーディング、ショウビジネス、当時の衣装、すべてに於いても見所満載だけれど、両の目が開いていたとしても心の眼を開かないことには、自分の夢を追うどころか自分を守る事すら出来ないということを思い知らされたわよ。
何度も見直してしまうほど心に強く刺さってくるシーンが多く、なんとも自分の不甲斐なさを恥じてしまいそうになるけれど、エンタメの世界に生きようと覚悟を決めた人は必見!です。さぁ、心の準備はよろしいか・・・?
2015年01月09日
Happy Tree Friends日記 寓話か?スプラッターか?編

お薦めのコーナーに有りレビューが異様に多いので試聴すると…こりゃびっくり!可愛らしい動物が次々と登場しては凄惨な死に方をして終わるという、とてつもないお話だったの。5分ぐらいの短編なのだけど、どの回も必ずと言っていいほど全員が血や臓器をぶちまけて死んでいくのよ。
例えば可愛いリスが大きなキャンディーを持って走っているとつまずいてしまい、キャンディーが目の縁に刺さってしまうの。やっとのことでキャンディーを取ると眼球が飛んで目の前の木の上部に絡まり、今度は眼球を取ろうとしたら鳥につつかれリスは降下。そのまま眼球とともに脳まで剥き出しになり、やっと木から降りれた時には死んでいる・・というようなお話が盛りだくさん!キャラクターは死んでも次の回には何事もなかったように生き返り又死んでいくという何とも後味の悪い設定なの。
レビューには「この作品は素晴らしい!」という意見と「こんな物を載せるな!」という意見が真っ向対立。確かにこんなにグロテスクな作品をお薦めにするとはAppleはやるな~と感心してしまったわ!でもこれは、常識ある大人だからこそわかる"笑い"であり、全ての物事は原因が有りそれが連鎖して結果『死』という最終形に辿り着くという事を表現しているから、ある意味深いわね。
更に凄いと思うのはこのアニメは吹き替えが一切いらないの。動物達は言葉らしい言葉は一切話さず、鳴き声のような音で全て表現されていているから・・。でも作品によっては『寝る前に歯を磨こう』とか『こんな場所で走ると危ない』等のテロップも出たりして寓話的な要素も含まれてるけど、わざと子供向けのように見せかけているみたいで憎たらしい。
日本の子供達は海外より規制が厳しくないから年齢に関係なくこの作品を視聴する事は可能だけど、果たしてどう感じるのかしら・・?残虐なゲームをやるんだったらよほどこちらの方が愛嬌があって良いかもね…フフ。