2014年09月

2014年09月06日

クィーン・オブ・ベルサイユ日記 生きるが勝ち編

20140906丁度昨年夏頃だったかしら…AppleTV予告編でなんだこのポスターはと直感的に共鳴したのが「Queen of  Versailles」…ロッテントマトでの評価も高いし、オリジナルの予告編は何やらリーマンショックで資産崩壊した家族がたくましく生きてるドキュメントだったのよ。

その時、面白い映画が沢山あるな~、国内配給各社はこれを買い付ければいいのになぁ~と、すっかり作品の事を忘れてたら何と、国内でも上映館数は少ないながら配給が決まったと!

邦題は「クィーン・オブ・ベルサイユ~大富豪の華麗なる転落」…そのままストレートでOK!…早速新宿武蔵野館へ見に行きましたよ。

主人公はデヴィッド・シーゲルとジャッキー・シーゲルご夫妻に子供達…と言っても奥様のジャッキーにスポットを当ててるのがミソね。数年にわたっての収録で勿論撮影当時はイケイケのシーゲル一家なんですけど、リーマンショックを機に状況が一変するドキュメント。

旦那様は無一文から銀行の融資でタイムシェア型のリゾート開発が成功して金満に…そこに嫁となった30才年下のジャッキーは大家族スペシャルなみの7人の子だくさんで自宅を宮殿化…その最終目標としてベルサイユ宮殿に似た一軒家を建設するのだが、そこにリーマンショック…資産は一気にマイナス1200億円に。

前半1/3が金満一家の日常で、残り2/3が凋落後の日常…監督はこの落差を予期して作品を企画していたとは思えませんが、映画的にはおいしいですよね。2012年サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門監督賞受賞したのですが、後にローレン・グリーンフィールド監督とシーゲル家と訴訟問題になって行きますがそれは後ほど。

基本的に奥様のジャッキーが中心なのですが、彼女も死体洗いのバイト経験まである人生で様々な人間模様を見てるなと彼女の行動から伺う事ができます…旦那様は危機を乗り切るために家族をほったらしで資金工面の毎日ですが、妻は宮殿建設の夢を捨てずに彼女なりに頑張るのです。

因みに、どうして資産評価が1800億もあったのに、一気にマイナス1200億になるかといいますと、この事業は銀行から低金利で融資を受けリゾートホテルを各所に建設してたのですが、90%が融資でのローンなので、実際物件の抵当権は銀行が持っています…リーマンショックで傷んだ銀行は融資を止めてしまうので営業ができなくなります。スタッフほぼ全員解雇で営業収入が無く後に残るのはローンの支払い…営業してませんから支払えずに銀行は不動産を売却しようと試みます…その銀行との攻防戦になるのですね。

そんな状況でも妻のジャッキーは持ち前のアメリカ人的開拓精神で日々乗り切ってる様が描かれますが、旦那様はキリキリ、妻と子供達もフォローしようと頑張るのですが空回りな気配。作品は実は家族の団結じゃくて奥様の「太腕繁盛記」…絶対にくじけない、くじけさせない、あきらめない様子をしっかりと監督がとらえたので評価されたのでしょ。

良い意味で、正しい欲の強さを感じましたね…欲があるからターゲットを定めて邁進する姿は一見すると滑稽にも見えますがとても正直で真面目です…ブレてませんよ。作品は、復活の兆しを多少感じさせながら彼女の後ろ姿を追うカットで終わるのですが、その後どうなってるかと言いますと、一家はNBCとこの続きにあたるTV番組を契約して、グリーンフィールド監督とは『一家を中傷した映画だ』と法廷闘争になり、結果シーゲル側が負けて監督側に75万$を支払う判決が出てるようです。

さて、国内では「アナ雪」のレリゴー♪がトレンドですが、この「Let It Go!!」は正にこの奥様と家族に当てはまる作品なんですね…「アナ雪」より100倍見る価値アリですよ。上映期間が短くて劇場も限られてるので、本当のレリゴー!を見たい方はお急ぎ下さいませね…フフ。

【Official Web】
http://www.queen-cinema.jp

[PS.]
新宿武蔵野館って久々に行ったのですが、実はこの劇場は歴史がとてもあって、なんと関東大震災前の1920年オープンなんですよね。色々紆余曲折あったそうで、丁度東京オリンピックの年に100周年…近年シアターがどんどん潰れる時代に100年間この道一筋ってのが凄すぎます!

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) 映画&TV 

2014年09月05日

ミステリー・メン日記 ストリートヒーロー原点!?編

201409071999年作品「ミステリー・メン」をご存じの方は、筋金入りのヒーロー通と認めるわよ!

今でこそマーベルを中心にアメコミの実写化でスーパーヒーロー作品は新境地を開いてるけど、シニカル的な先駆けはこの「ミステリー・メン」じゃないかしらね。

ヒーロー映画は以前から色々あるけれど、ここに登場するストリートなヒーロー達はあまり強くないのが見所よ!

物語は正義と平和を愛するけれどいつも失敗してばかりのドジなヒーロー達が努力し力を合わせ悪の権化を倒して本物のヒーローになるという内容よ…後にスマッシュヒットとなった「キック・アス」に通じるわね!

スコップを武器にする現場出身のシャベラー、怒るともの凄い力を発揮するフトュリアス、ナイフ投げの紳士ラジャ、人を失神させるほどのガスを出すスプリーン、透明人間になれるオタク少年インビジブル、極め付けは父の頭蓋骨を入れたボールを投げて攻撃するボーラー・・等々…それぞれを演じる役者陣もそうそうたる顔ぶれ。

個人的なツボはあのトム・ウェイツが遊園地の廃虚に住む武器デザイナーとして主演しているの…これだけで見逃せない!

「ミステリー・メン」は世間で地道に働く、いわゆる立場の弱い人にスポットを当て、敵方に自意識過剰な笑いをさそう人物が用意されて更に面白い…でも何より、努力する事、そして自分を信じる事がパワーの源になるという事、人間は言葉や態度でしっかりとコミュニケーションを取り、お互いのつながりを深める事が大切なんだなと改めて思い知らされたわ。


ただ面白いだけでなく、それぞれ現状の自分に置き換えられる奥行きのある作品なのよ。公開当時単なるおバカ映画扱いで殆ど日本では話題にならなかったけど、先週ピックアップした「トロピックサンダー」同様に表面的な笑いと内面的な個人の淋しさが上手くミックスされた上質な作品になってる。

今こそヒーロー映画全盛な時だからこそこの「ミステリー・メン」をオススメするわ!因みに、一押しヒーローはやっぱりボーラーね(笑)

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) 映画&TV 

2014年09月04日

TVと映画日記1 差異消滅編

20140908先週、米ではTVコンテンツのアカデミーとも言われるエミー賞の発表が終わったばかり…スタッフによると近年で大きくTVコンテンツに変化があってTVと映画の垣根は無くなったと思ってもらっていいとか。

先ず背景にあるのは撮影&編集機材の進歩で、以前はVIDEO収録やサイズの小さいフィルム撮影が主流で画質の点で大きな違いがあり、映画の質とTVの質がそのまま境界線になっていたのよね。

それがここ数年のデジタルカメラの高画質化で殆ど差が無くなり、映画でもREDカメラのようなデジタル撮影が増え、お互いが接近しあってるのがここ数年の傾向で、それにともなって安っぽかったTVの画質向上で映画専属俳優達がTVにも出演するようになってきたのよ。昨年のエミー賞で11部門を取った「恋するリベラーチェ」が良い例だわ。

もう一つの大きな要因は安定したギャラもあるのよね。映画は基本的に単発なのでよっぽどの俳優でないと単価は思ったほど高くないけど、TVの場合レギュラーで安定した収入が得られるため、主役でなく特に脇役に実力派の俳優が多く出演するようになってきたのも一因ね。

昔はTVに出るとキャラのイメージが付きすぎて次の仕事が取りにくくなる・・ってよく言われてたけど、今はさほど重要な事では無く逆に数字が出ると、一本の出演で億単位のギャラも常識になって、映画とTVの交流が活性化して一気に相乗効果で盛り上がってるのが現状。

さかのぼると、機材前にこの流れを作って来たのが「Xファイル」や「スタトレTVシリーズ」になるのかしら…制作費に1話億単位で上質な作品を提供し、それを回収利益につなげるコンテンツシンジケートが世界マーケットに流通させ、そこに機材が追いつき映画よりも再生のリピート率が大きい事でとても小回り効くビジネスモデルに気付いてのよね。

映画と違ってTVの場合はパイロット版で視聴者の反応を見て、もし数字や評価がダメなら直ぐに打ち切れるから映画の様なリスクも少なくて済むし、打ち切りが微妙な場合は途中で物語を変更できるとか柔軟性もあるのよ。

このような映画とTVの接近を『ハリウッド映画のアトラクション化にある・・』なんて最もらしい事言ってる人もいるけど、全然違いますから…基本はギャラと俳優が綺麗に撮られるようになった事で特に映画女優陣が参戦しはじめ、次いで優秀な制作も含めロングテールのビジネスが可能になったからですから…映画ライターの皆さんもっとお勉強を。

今年のエミー賞ノミネートを見て更なる変化も起きているのよ。通常TVコンテンツは大手スタジオだった時代は終わって今は、ネットフリックスなどの配信企業が制作したコンテンツも多くノミネートされてるわ。TV映画制作として既に実績のあるHBOなども同様で、制作背景も大きく変わりつつあるのです。

そんな世界潮流の先進国の中で、ある国だけTVコンテンツ制作が退化&劣化してる国があるのよ・・それが日本。

制作費は削られ、将来に向けての若手スタッフは集まらず、キャストは大手事務所にコントロールされ旧態依然な現状…景気が上向いてるのに現場からはいい話が聞こえてこないし、家電メーカーは4Kコンテンツとか言ってるけど、いったい誰が作るのかしら。

まぁ、そんな事で日本は置いといて、進化してるTV&映画の世界を定期的にピックアップしていきましょうか…フフ。

pipopipotv at 02:10|PermalinkComments(0) 映画&TV 

2014年09月03日

グッド・ウィル・ハンティング日記 経験から生まれるもの編

20140902先月のお盆中に突然の訃報…それは名優ロビン・ウィリアムスの死去…それも自殺。なんて悲しい事でありましょうか…アルコール依存症他、様々克服しながら役者としての素晴らしさを見せてくれた彼だけに、この死は辛すぎます。

追悼の意味も込めて今月は彼の代表的な作品から何本かをピックアップ。

やはりこの作品がベストですね…1998年「グッド・ウィル・ハンティング」…主演を務める若きマッド・デイモンとベン・アフレックが脚本を担当し数々の賞を受賞した事でも有名ですが、内容的にも"人間として思い当たる部分"が良く描かれていてハッとさせられる作品でした。

物語はマサチューセッツ工科大学の数学教授ランボーが生徒達に数学の難問を出題した所、その難問をすぐに解いてしまったのはなんと清掃のアルバイトをしていた青年ウィル(マッド・デイモン)!しかし彼はその才能を生かす事なく仲間とつるんでケンカばかり。彼の才能に惚れ込みその行動の裏には何か原因があると考えた教授は、彼を一流のカウンセラーに委ねるもことごとく粉砕されてしまい、最後の手段として、ロビン・ウィリアムス演じる学生時代の友人で心理学者のショーンに彼をゆだねる事に。

高額な授業料を納め当り前のように学べる環境にある学生達、一方孤児で貧しい環境に身を置き、その非凡な才能を生かし切れないウィル…彼は仲間とつるむ楽しさを味わいながら、何かしらのもどかしさを常に抱えている。そして数学教授ランボーは輝かしい功績や地位を持ちながらもどこかで自分が持ち得ない才能に嫉妬し、ショーンは愛する妻を失い心に扉を閉ざしていたもののウィルと向き合う事で、未来に歩みを進めようとする…それぞれの立場や環境、心の中とのコントラストが見事に表現されていてるのよ

人間誰しも人に嫉妬したり、優越感に浸ったり、恵まれた環境にいるのに気付かなかったりするわよね。でも人と向かい合い、愛したり悩んだり楽しんだりといった経験をする事で初めて"生きる"という事に真剣に取り組んでいけるのかもしれない。

マイナス同士がぶつかり合ってプラスになり、プラスはプラス同士魅かれあい増幅して行く…人間ってなんだか良いかも。折角生まれたのなら何かを残したいなぁ、と自然に思えてくる嫌味の無い素晴らしい作品!

ロビン・ウィリアムスと言えば、コメディ的表現で人を笑いに包んでくれる作品が多いけど、これは彼のしっとりとした落ち着きのある俳優としての奥深さを感じさせてくれたのでした。本当に残念な彼の死でありますが、謹んでご冥福を。

pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) 映画&TV 

2014年09月02日

GH4日記1 4Kキタ編

20140903昨年4月のGH3日記で鞭パフォーマー「Naomi」さんの映画監督による綺麗な映像をお届けしましたが、あれから1年半、今年の初めにPanasonicからGH3の後継機GH4で4K対応とのアナウンス…これには驚きましたね。

この短期間に一気に4K撮影できるデジタル一眼がリリースされるなんて…発売は4月だったのですが、発売と同時に品切れで生産が間に合わず6月頃から購入出来るようになりました。

まだ出始めで価格も高止まりしてたので、ちょっとウェイティング…そして8月後半に価格が下がり始てきたので即ポチりましたよ。

本体デザインはGH3とほぼ一緒なんですが…実際に使ってビックリ!…完全に別物です

4Kが何かは読者の皆さまならよくご存じかと思いますので技術的な解説は省きますが、動画撮影時の奥行きの表現はそれは素晴らしく、スナップ的に気軽に撮影しても驚きです。

このGH4は型番的にはGHシリーズの4世代目になりますが、実質4K機材の初代と考えた方がベスト。同時期にSONYからα7sと言う恐ろしい程に暗部に強いフルサイズの機種が発売になりましたが、4Kでの撮影は内部では不可能で結局それなりの環境を整えないとダメな事からGH4を選択したわけですね。

ネガティブな部分として4K撮影時にセンサー領域がクロップされてしまい、広角レンズを使わないとランドスケープ的な絵が撮れないとも言われましたが、そのような問題はあっと言うまに解決されるでしょう…4K1号機ですからそこまで望みませんよ!

そして、使ってビックリなのが、4Kからの切り出し画像の繊細さ…"シャッターを切る"から"流し撮りからお気に入りの部分を抜く"…何とこれは革命的な手法ですね。特にシャッターチャンスが難しい動物や子供とかには最適です。

下の写真はそれぞれ4K動画からの切り出しなんですが、もう繊細さが写真レベルです…白猫の耳の血管までハッキリ出てますね…連写で最適ショットを撮る必要が無くなりました!

想像以上だった素晴らしい完成度のGH4…実験的な短編映画も撮影してみようと思ってますので乞うご期待…フフ。

【PanasonicGH4】
http://panasonic.jp/dc/gh4/

20140904
20140905


pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(0) ハイテク 

2014年09月01日

アヌーシュカ・シャンカール日記1 魅惑のシタール編

20140901アヌーシュカ・シャンカールをご存じの方はどの位いらっしゃるのかしら??

シャンカールからピンと来た方も多いハズ!…そう!あのラビ・シャンカールの娘さんなんですね。「え、ラビ・シャンカールの娘はノラ・ジョーンズじゃないの?」と言う声が聞こえてきましたよ…実はアヌーシュカはノラとは母親が違う妹なんですね。

ラビ・シャンカールは2012年に92才で大往生…ビートルズや70年代の西洋音楽に多大な影響を与えたシタール奏者・作曲家として知られています。

ラビが60才代の頃の娘二人…どちらかと言うとノラ・ジョーンズにスポットが当たりがちですが、父の偉業を正統的に受け継いでいるのがアヌーシュカ・シャンカールなんですね。

ソロとしてのリリースは1998年「Anoushka」…この頃はまだ純粋なシタール奏者としてデビューとなりましたが、その後アルバムをリリース毎に成長し2011年「Traveller」ではフラメンコにインスパイアされツアーを大成功し現在に至ってます。

2007年「Breathing Under Water」最新作「Trace of you」では姉のノラも参加しシタールをバックにノラの歌声も実現し世界的なアーティストとして父と並び称賛されています。日本では2013年にWOWWOWでTraveller Tour Liveが放映され一気にファンが増えましたが、まだまだ知られていません。

それでは2012年Traveller Tour LiveのFULL CONCERT Live at Festival Les Nuits de Fourvièreを…後日アルバムもピックアップいたしますよ!


pipopipotv at 00:00|PermalinkComments(2) 音楽