2013年07月
2013年07月31日
宇野亜喜良日記 戒めの絵本編

タイトルは「あかるい箱」
宇野氏の絵はスタイリッシュな色気があるし、江國さんの物語も非常に強い内面世界を表現しているので"大人の絵本"と呼ぶべきかも。
物語は、ある新しいマンションに越してきた少女が体験する不思議な出来事が描かれているわ。
少女は、父にも母にも見えない隣の部屋の一人暮らしの女性リリコさんと親しくなったの。彼女は別れた恋人をずっと部屋で待っており、その時の感情で部屋の中を吹雪にしたり南国の海にしたりしてしまう。
やがて少女はリリコさんと共に過ごす時間が長くなっていったわ。そして彼女は自分やリリコさん、大勢の住人達が己をこの空間に"自縛"していることに気付くの。抜け出る方法はひとつ・・待ち人からのコンタクトよ!確かに、少女はクラスメートの島本君からの手紙を待っていた・・というお話なの。
読み終えると、なんだか重たいものが引っかかってきたわ。確かに人間は何かを待ち続けている…それはチャンスだったり、夢だったり、愛だったり。そうして年月を重ねても待ち続けているだけだと、いつしか己を縛り付けて動けなくしてしまうのも確かね。
自分がどう生きたいのか、その為にはどうするべきか・・自分の内面に問いかける為の自戒本と言って良いかもしれない。テーマは決して軽くはないけど、宇野氏お得意のポスターのような表現や、写実的でありながらデザイン的なラインや優しい色使いは物語を更に深いゾーンにまで誘ってくれるの。
リリーがフランスに絵の勉強に行く間この本を預かる約束をしたのだけど、この本が彼女の手を一端離れたのは、リリー自身が自分の人生を確実に切り開いているからなのかも・・ということは・・。
2013年07月29日
落下の王国日記 彩られた現実と前向きな自分編

前作同様、故・石岡瑛子さんが衣装を担当されたので、とてつもなく洗練された美しさが溢れていたの。背景と人物の色合いを見事に計算し、斬新ながらそれぞれのキャラクターの個性に合ったデザイン・・この人は天才だ!敵方の鎧もファッショナブルながら不気味さとユーモラスさが出てるし、なに、この色使いは!・・とにかく見て頂きたい。
物語は1915年のアメリカが舞台。木から落ちて怪我をしてしまった少女、アレキサンドリアは入院中の病院で足のケガでベットから起きれないスタントマンの青年と知り合うの。好奇心旺盛で素直な彼女は青年が作った物語の虜となり、続き聞きたさに彼の病室に通う毎日。しかし青年は自殺を目論んでおり、アレキサンドリアに自殺用の薬を調達させる為に話を聞かせていたのよ。
日常の生活と青年が紡ぎだす物語の世界が交差し、画面から全く目が離せなかったわ。日常は暖色のホカホカとした色合いなのに、想像の世界では有り得ないほどの鮮明さ…しかもそのクリアさが全く違和感無い。これこそ数々の名CMを作り続けた鬼才ターセムの力ね!
今作でもミステリアスで美しい"セルジュ・ルタンス"の世界は健在だったわ。そして驚く事に、今回アレキサンドリアを演じたカティンカは本当に"少女"だった!彼女は演技という概念がなく、普段の会話そのもの。間やセリフ回しがあまりにも自然だったのは、脚本家と彼女でセリフを作り上げて行ったからだそうよ。どこかのドラマみたいに相手のセリフ待ちなんていう不自然さはひとつもないわ・・参りました!
最終的に青年は、アレキサンドリアを通して生きるというまぶしさやひた向きさを見出すのだけど、そこに行き着くまでの青年の心の葛藤と少女が痛みを伴いながら負と戦っていく様子は絶品!大人も子供もないんです・・皆生きて行く事に一生懸命だもの。見終わった後は鮮やかな色が脳裏に刻まれ、心の温度がちょっとだけ上がった気がするわ。
そうそう、2012年に亡くなられたアートディレクター石岡瑛子さんも後日ピックアップしないとね!
2013年07月28日
ザ・セル日記 脳内スケッチ編

物語は、ジェニファー演じる若き心理学者は患者の精神世界に入り込むという最新治療を行っているの。ある時異常連続殺人犯の脳に入り込み、彼が拉致した女性の居場所を聞きだすという任務を請け負うのだけど、そこは想像を絶する異常な世界だったの。
ストーリー的には昔の土曜ワイド劇場の様な王道ではあるものの、犯人の頭の中の映像は必見!
絵画のような質感の世界で繰り広げられる見せ物小屋のような世界…輪切りにされた馬がドミノのコマの様に立ち、その中では臓器がドクドクと音を立てていたり、繋がれた女性達が蝋人形の様に展示され、からくり人形の様に同じ動作を繰り返していたりと生臭ささえ感じるようなものばかりが登場するのに何故か全てスタイリッシュ!カットがポストカードみたいだわ。
犯人が邪悪の権化として玉座に君臨するシーンでは、まるで横尾忠則の様な色使いでびっくりしちゃった。特に犯人に同化された心理学者が登場するシーンは息を飲む美しさで、黒と赤の羽のようなヘアに黒のアイラインと燕脂のリップ、鼻と口を覆い隠す金属のアクセサリーを身に付けている姿は故・山口小夜子さんの出演されていた資生堂のインウイのCMを彷彿とさせるわ!
所々に和のテイストを感じるな…と思ってたらそれもそのはず!なんと資生堂のCMや映画"ドラキュラ"でも衣装を担当されていた故・石岡瑛子さんが衣装デザインをされてたのよ!凄い!!この精神世界をこれだけの映像として見せられるというのは、ターセム・シン監督が元々広告業界でインパクトのある作品で有名な方なのだからかしらね。
アート感覚で楽しめる映画というのもなかなか良いわね。そういえば日本のビジュアルバンドが、一時期この世界観に影響されてるPVを次々発表していたけど、上辺を真似てるだけなので歌と映像が見事分離して違和感があったわ。そんなことしてないで、日本もこの監督に負けない映像を作らないといけないわね!明日はそのターセム監督2008年の次作「落下の王国」をご紹介。
2013年07月27日
47Ronin日記 損切り決定公開か!?編

タイトルからお分かりのように日本の冬の定番「赤穂浪士」を題材にした映画化で、大石内蔵助を真田広之、吉良上野介を浅野忠信…キアヌは彼らをサポートする役所らしいのよね。「パシフィック・リム」の菊地凛子ちゃんも吉良方の悪の化身でドラゴンに変身とか・・。
なんと制作費は推定200億円前後と関係者がうなだれていたとの事。え、なんでうなだれてるかと言いますと、実はこの作品、スケジュールでは昨年のクリスマス頃に公開だったのが、大人の事情でドンドン先送りに・・。
大人の事情って何?って言いますと、表立った公開延期の理由としては、ロケ地ロンドンの都合とか、VFXの手間とかスタジオ側から色々言い訳が出てくるのですが、大抵この様な場合は作品自体に課題山積でプレビューしたら、これは問題アリアリって事で修正の為の脚本の直しと撮影の追加などで先送りになってる場合が殆ど。
特に、キアヌの日本好きもあって、もしかして制作に資金的に絡んでいたら、スタジオも引くも引けずにズルズル制作費が膨れて近作だと「アイアンマン3」と同じレベルになって、これ以上はダメ指示で損切り決定の公開って事も十分考えられますね。
因みに監督は「プロメテウス」のリドリー・スコット監督の娘ムコ(結婚したのか未確認w)でカール・リンシュ…新人なので履歴はよく分かりませんがやっちゃたかって感じですよね。
予告編を見る限りでは赤穂浪士と言うよりも「ロード・オブ・ザ・リング」を日本のような背景でジェダイ的なキアヌが戦ってる風で、とても安っぽい映像に見えてしまうのはPIPOKOだけでしょうか?
歴史的な大赤字にならないこと祈ってますよ…でも、米ユニバーサルの人…逃げ腰でした(; ̄O ̄)
2013年07月25日
音楽レヴュー日記 メインストリームで叫べ!編

音楽雑誌の後半のページには新譜のレビューが軒を連ね、それを元に自分の感覚に合いそうなアーティストを探したりした学生時代・・・今ではネットで様々な情報を得ることが出来るけれど、あれほど色濃く情熱的なレビューは見られなくなった気がするのよね。
1990年代にミネソタ州の音楽好きな当時18才の少年が立ち上げた音楽レビューサイト「ピッチフォーク」は今や「Rolling Stones」や「SPIN」の様なメインストリーム音楽メディアに比肩するほどの影響力を持つようになったの。映画でいうところの「ロッテントマト」ね。
ピッチフォークはジャンルに拘らず、ライター本人の勘に従いアーティストを取りあげているそう。他の音楽メディアに無い強みとして、インディペンデントなマインド、それぞれ高い専門性を持ちつつ自由なマインドを持つ書き手、テキストレベルの高さが挙げられているわ。そして作品を批判的に取りあげる時も、きちんとエンターテインメント的に書けるというが更なる強みになっているの。
現在40人ライターが在籍しているけれど、一般公募した時は5000人にも及ぶ応募があったそうよ。書き手のレベルと情熱は相当なれど、読み手に対しても特定のジャンル以外でも面白いものには首を突っ込みたくなる"音楽ギーク"であってほしいそう。
同じ周波数の人が高いレベルで情報交換するのだから、益々面白い事になりそうだわ。編集長曰く、理想の音楽レビューというのはその作品を聴いた後に読んでも意味のある記事であり、評価を付けるだけで無くリスナーに新たな発見をもたらすものだそう。まさにその通り・・・!
音楽に対する情熱があればこその力よね!ピッチフォークは広告収入の他に彼ら主宰のフェスティバルを開催し、それを収益の柱にしているの。今年は5万人にも及ぶ参加者が訪れたけれど、親密さを大事にしたいという理由から規模を拡大する予定はないそうよ。
こういった密度の濃さが更なるファンを増やしているのね。書く方も真剣なら読む方も真剣・・・日本のようにメインストリームで言いたいことが言えない名ばかりのエセ批評が蔓延している中、海外ではこうして変革と進化が着実に進んでいるのね。さて、もうそんなところは放っておくとして、そんなうちのレビューはこれからも濃度ドロドロでお送りするので、!乞うご期待ですわよ
【ピッチフォーク Official Web】
http://pitchfork.com
2013年07月24日
バスキア日記 名声と友情と孤独と…編

内容は彼の伝記的作品なのだけど、デビット・ボウイやデニス・ホッパー、そしてインディペンデントには欠かせない名女優パーカー・ポージーと挙げたらきりがない程の豪華絢爛出演陣が集合よ。
舞台は1979年のNY。絵を描く以外にもバンドをやったり町中にスプレーで言葉を書いたりと自由な表現者として暮らすバスキアは、友人がいて美しい恋人が出来てそれなりに楽しい日々を送っていたの。
ある時彼はレストランに入っていくアンディ・ウォーホールと彼の作品を扱う画商に自分の作品のポストカードを売りつけることに成功し、その後は美術評論家に作品を惚れ込まれ、遂に個展を開催することになるのよ。個展が成功した後、著名な画商達がバスキアの作品の争奪戦を開始したわ。成功を手に入れたバスキア・・・でもその代償に大事な友人や恋人も失ってしまう。
時代的にも黒人アーティストの成功者に対しての風当たりは強く、唯一彼の作品や心の虚しさを理解したのはウォーホールだけ。やがてその親友ウォーホールが死去し、その後を追うようにバスキアも短い生涯を閉じたの・・。
バスキアは自分の絵が売れても、作品の核になる部分を画商や買い手が理解していない事に一抹の寂しさを感じていたようね。世の中が彼に期待をし、大物アーティストに必ず訪れる"売る為の作品を描かなくてはいけない状況"が訪れたわ。でも彼は大きな欲の渦に飲まれず、ウォーホールという感性を共有できる親友がいたお陰で自分の感覚を保てたの・・凄く羨ましい。
世の中の人すべてに自分の表現するものを100%理解してもらえるかといえば、それは難しいことよ。自分が表現したものは"己を抽出して出来上がる"訳で、あとは受信するお客様側がどう受け止めるかで解釈は変わってくるもの。そしてその反応が還り、また新たなものが生まれる・・それが芸術なのかもしれないわね。
アーティストは自身がアーティストであることに"誇りを持つ"、そして夢の実現のためには誰に何を言われても"引かない"、この鉄則を忘れる事無く、あとは自分しか出来ない事を突き進むまでだわ!
2013年07月23日
俺の焼き鳥日記 原価ジャブジャブ編

オールスタンディングが主流のこのお店、事前予約すればテーブル席も用意してくれるの。予約時間の10分前にはお店の前に到着したけれど、既に長蛇の列…これはどの「俺」店舗にも見られる光景だわ。
時間になり店内に入ると、食事を楽しむ人達の活気でオーバーヒートよ。2階のテーブル席もあっという間に満席となったわ。こちらのお店の特徴は美味しいものを安く提供するため、2時間制にして回転率を上げているの。ゆっくりお酒を楽しみたい人には忙しいかもしれないけれど、お酒よりお料理を存分に楽しみたい自分にとっては美味しいものを安く、沢山頂けるので嬉しいわ!
時間短縮の為、先に注文するのはスペシャリテメニューから。この日楽しみにしていたオマール海老と和牛ロースは売り切れだったので、「伊勢エビの丸ごとソテー」を注文。お皿一杯にまるまる1匹の伊勢エビが・・・しかも生ウニのジュレを纏い登場よ!更にヤングコーン、ズッキーニなどの焼き野菜が付け合わせで彩りを添えていたわ・・・フレンチのお店なら7000円くらいはするかしら?これはもう、焼鳥屋じゃない。
続いて「お刺身3点盛り」では3点どころか11点ほどのラインナップよ。しゃこ、ほたて、あじ、トロ、サーモン、イカと、これでお腹がちょっぴり膨れてしまうほど。しかも価格が850円という驚異・・・!やはり焼鳥屋では無いわね。
そして王道の焼き鳥は1本当たりの単価が60円ほどという、ここはどこですか?状態。純けい、ねぎ間、ぼんじり、なんこつ・・・特にレバーは食べ応えがあってお腹は8割満タンに。お店のスタッフが焼き鳥を残してもらいたくないので、2本ずつ4種類ほどでは?と提案して下さったけれど、結局8種類ほどペロリ。ここでようやく焼鳥屋としての認識が出来たわ。
続いて「タコの柔らか煮」で箸休めしたあとは「イベリコ豚の塩麹焼き」。これまたお肉の味がしっかりしていて最近頂いたイベリコの中でもダントツ、しかもボリューミー…なのに1000円もしないなんて凄い。そろそろお腹がはち切れそうなので「鯛そうめん」で仕上げよ。2人前たっぷり、お出汁もさっぱりで、目を疑う290円という価格。ほかにもかぶと煮やフォアグラ丼、うにやいくらの巻き寿司など食べたいラインナップが目白押しなので、今日の所はこの辺で・・・社長の「原価ジャブジャブ」という標語通り、味も価格も申し分なし。
「俺の・・・」快進撃はどこまで続くのか!次回は「俺のフレンチ」に挑戦しようっと。
2013年07月22日
音楽日記 芸術が与える感情編

そして自分もまさに今作業効率を上げたいと思い、iTunesからミドルテンポの曲をチョイスしているところよ。時には、静かで悲しげな曲を選ぶこともあるけれど、これは決して悲しい気分になりたいからでは無いのよね。ちょっと考えを纏めたり、台本を書くときに聴いたりする事が多いかも・・・。
理化学研究所と東京藝術大学の研究によると、悲しい音楽は、聴き手に悲しみだけでなくロマンティックな感情をもたらすということが実証されたそうよ。これは聴いた音楽を悲しい音楽と判断する事、音楽を聴いて実際に悲しみを体験する事、が別々である事を示していて、「なぜ私たちが悲しい音楽を敢えて聴くのか」という事について考える重要な手がかりに。
わざわざ悲しい思いをしたいが為に悲しい音楽を聴く、というのは疑問…これって「泣ける映画です」という三文映画のキャッチフレーズを見て、劇場に足を運ぶのとは全く違う気がするのよね。
研究グループは、既存曲の一部を抜粋し悲しい音楽とされる単調で構成された30秒ほどの曲に纏め、18才から46才の被験者に聴かせて「この音楽を聴いてどう感じるか?」と質問したところ、面白い結果が!
参加者全員、聴いた曲が悲しみの曲であると判断したものの自身はそれほど悲しみを感じておらず、ロマンティックな感情など"快"の感情を感じていたと判明したの。この結果は悲しい音楽を聴こうとする行動を解明する手がかりだけでなく、芸術が表現している感情を代理的に体験する「代理感情」という新しい概念によって導かれたものであるということが立証。
作り手側が思いを込めて生みだした作品が、聴き手側にありとあらゆる感情に変換されて受信される…そんな化学変化は作り手にとって嬉しいかどうか人それぞれだろうけれど、自分にとってこれ以上嬉しい事は無いわ!音楽の持つ底知れないパワー・・・果たしてどこまで解明されるのか、でも解明されないままでいる方が面白いかもね。
2013年07月20日
奥様は魔女日記 歴史的シチュエーション・コメディ!編

幼い頃母が再放送を見ているのにつられよく見ていたけれど、大人になって改めて見てみるとその面白さと構成力には感動させられたわ。物語は可愛い魔女のサマンサが人間の男性であるダーリンと結ばれ甘い新婚生活を送っていたけれど、サマンサの母である魔女のエンドラ、同じく叔母のクララ達が騒動を起こしそれに巻き込まれる日々。
その他にもお向かいのグラディスさん、ダーリンの上司であり友人でもあるラリー夫婦など個性的なキャラクターも加わって、魔女である事をひたかくしにしつつも魔法で様々な問題を解決していく、というものよ。
この作品はアメリカで1964年~1972年まで放送されており、第3シーズンまでモノクロ作品だったのが、デジタルリマスタリングによりすべてカラー化されたそうよ。
当時のインテリアに多く用いられていた深緑や洋服の淡いピンク色などが実に美しく、まるで動くファッション誌といったところね。女優陣の身につけている帽子やワンピース、ドレスやコートは今見ても非常に可愛らしく、当時のお洒落のレベルの高さが伺えるわ。
ストーリーもユニークで、ダーリンが広告代理店勤務という設定で、当時の広告がどのように作られていたのかという事も垣間見えて実に面白い。構成に関しても非常に素晴らしく、開始して3分以内にその回のテーマをきちんとふり、オープニングのアニメ、そして本編という流れが実にお見事。
日本版では、サマンサ役の北浜晴子嬢、ダーリン役の柳沢真一氏をはじめとする吹替も秀逸で、完璧なキャスティングとしか言い様が無いのよね。更に、小柄な女性に姿を変えた自然霊がひと騒動起こす回では「山椒は小粒でも・・・」、乳製品会社のクライアントの元で起きた珍騒動の回では「モウモウ大変」などサブタイトルの付け方のセンスにも目を見張るものがあるわ。
かつての日本は、海外の作品でもこれだけしっかりと取り組んで配給していたというのに・・・残念で仕方ないわね。今作は第8シーズンまで続いた長寿番組となったけれど、幸せなサマンサ夫婦の暖かい新婚家庭が世相と共に人々に絵空事のように映った時期もあったりしたのか、時に政治や時事ネタなども盛り込まれたりする様子も見え、時代に応じて変化球を投じなくてはならなかったのではないかという部分も感じられたわ。
でもサマンサとダーリンの熱々ぶりはお茶の間を間違いなく明るいものにしてくれたし、今なお愛され続けている理由はそこに尽きるのではないかしらね。夫婦も親子も距離を置いて生きることがベーシックなスタイルになってしまった今、サマンサは再び魔法をかけにきてくれたのかも・・・!
2013年07月19日
うふふ日記 ワインをお供に舌鼓・・・編

予約した日は生憎の雨で折角の夜景は流れ落ちてしまったけれど、テーブルに次々と登場する作品に目も舌も釘付けよ。内装はシックで、デートや打ち合わせに向いた落ち着いた感じ。平日で雨にも関わらず予約席がどんどん埋まっていき、その人気の高さを伺えたわ。
食前酒に自家製サングリアを頂いたあと、白ワインを1本注文…これはお酒に弱い自分にとっては挑戦よ!
1品目は地野菜の蒸籠蒸し。トマト、ズッキーニ、カボチャ、キャベツなど色とりどりの野菜に緑茶をかけて蒸すという珍しい調理法なの。お茶の風味は残らず、野菜の甘さだけがしっかり残ったわ。味付けも岩塩が中心だから、どのお皿も素材のおいしさを楽しませてくれるの。
次は新鮮なお刺身の盛り合わせ。たこに鮪、鯛にイカと脂が乗り切ってお酒がすすむすすむ。赤鶏の炭火焼きを柚子胡椒でさっぱり頂いた後は、お魚丸ごと1匹横たわるアクアパッツァの登場よ。目玉の周りのコラーゲンと頬の部分を一瞬にして吸い取ってみたわ。
さすがに身が厚くて食べ応え十分・・・と間髪入れずに、牛肉のワイン煮がお出まし。肉や魚のボリュームあるお皿が続いたので、ここではお肉というよりも野菜とソースの旨みを楽しめるような配分になっていて「うふふ」よ。そろそろお腹もポンポコポンになってきたところで、締めに鳥のスープご飯。鳥の出汁に卵に葱、のりとシンプルさが旨みを増幅して満足。
と、その後のデザートが女子にはたまらないラインナップ!抹茶のロールケーキ、マスカルポーネのディップ、シトラスフルーツのマリネ、黒蜜のプリンが1つのお皿に乗って登場よ。しかもおかわりが出来るという心憎さ・・・通常デザートは種類があればあるほど、どこか気の抜けた1品があるものだけど、さすがに「うふふ」だけあってどれも細部に渡り凝っていたわ。
帰り道すっかり雨はあがっていたけれど、美味しいお料理とワインで視界はぼやけたまま・・・でも、このお店もリピート店のひとつにカウントよ!名は体を表す、終始「うふふ」なディナーでした。
2013年07月18日
小バック日記 出来る女はクラッチで・・・編

数年前、ある人から「効率よく仕事をする人は、最小限必要なものだけを持っている」という話を聞いてから、最小限のものだけ持ち歩くようにしているの。お陰で鞄の重みから来る頭痛や腰痛は無くなり、移動のストレスも激減してフットワークが軽くなったわ。
このところ、米のハンドバック市場でもこの現象がトレンドとなり、コーチをはじめとするブランドでもiPadが入るサイズのクラッチや斜めがけポーチ、小型トートバックを次々と発表し、その売れ行きはうなぎ登りなんですって!
専門家によると、持ち主はバックが大きければ大きいほどものを入れたくなり、つい無駄なものを放り込んでしまうそう。その結果、必要なものがすぐ見つからず鞄を掘り起こす…なんて経験、覚えがあるわよね?最近の女性の鞄の中身としては、携帯電話、鍵、カードに口紅、傘、ミネラルウォーターのボトルといった必要最低限のもので、あとは仕事用のiPadといった具合よ。
通常メイク道具はそれほど多く必要ないし、大きな手帳を持ち歩くというのも時代遅れな感じよね。仕事やデートで大きな鞄をドカンと置いたりする姿は、スマートな印象からほど遠いし・・・。
でも最も恐ろしいのは、重いバックは筋肉痛や頭痛だけでなく関節炎を起こす可能性も高いという事。偏った姿勢が骨を歪め、原因不明の不調を訴えて病院に駆け込む人も多いんですって。子育て中のママさんはおむつやおもちゃ等があるから例外としても、重い鞄を持つのはまさに百害あって一利だけ、という感じよね。
更に興味深いことに、バックを斜めがけにすると自由度が高まるだけでなく、手を振って歩けるので脳の左右の働きがシンクロするのだそうよ。こうなったら益々荷物を最小限化しよう、という気にもなるわね。でも一番嬉しいのは、小型のバックは大ぶりなものと異なり派手な色やデザインが多い事よ。小さいから派手でもその存在感は程よく、差し色的な使い方が出来るのが良いのよね。さてさて、見た目にも効率的にもスレンダーな女にならなくちゃ!
2013年07月17日
お名前日記 忘れないためのコツ編

人の名前を覚えるというのは重要なコミュニケーションの1つであり、必要最低限の礼儀でもあるわよね。再度名前を聞くというのも失礼にあたるし…なかなか気を遣う事だわ。しかしながら1度で名前を覚えてしまうという超人技を持つ人は一体どんな訓練をしているのかしら?
あるコンサルティング会社の人が、いくつかのコツを伝授してくれたわよ。まず最初に、相手の名前を聞いたら頭の中で大きな声で繰り返す、そして名前の文字や綴りを聞いてみるんですって。その後はなるべく相手の話を聞く側にまわり、名前とイメージを結びつけ記憶していくの。最後にその場を離れるときは名前を呼ぶようにする。そうすれば相手が自分の名前を覚えてくれたという良い印象を持つと同時に、自分の記憶も強化されるという一挙両得!
これぞまさに、学生時代の関連づけ暗記と同じ手法…ようやくこの勉強法が社会で日の目を見たということね。もし異国の名前や難しい名前であれば、綴りはこれで良いのか発音はどうなのか臆せず聞くべきだそうよ。細部まで完璧に覚えるより自分が覚えやすい音声表記で覚える方が優先で、相手も聞かれ慣れているだろうから失礼にはあたらないというのがその理由。
そして最も有効な方法は、会話の中に相手の名前を頻繁に入れるの。何度も名前を呼ぶことで相手との親密さが増すと同時に自分の記憶を保つことが出来るからなんですって。実際あるパーティでこの方法を実践していた経営者の方がいらしたのだけど、招待客の殆どの名前を間違うこと無く、見事はホストぶりを発揮されていて感心したわ。この方法なら即実行できそう・・・かしら。
その他にも上級技として、相手の配偶者や子供、周囲の大切な人の名前を覚えて会話に盛り込んでいくという方法が。確かに、実践出来たら更に親しい関係を築くことが出来るわね。「奥様の個展はいつ?」よりも「~さんの個展はいつ?」と聞く方がより親密な感じが出て会話も弾むもの。
名前を覚える事は大前提だけど、ひとつ気をつけるべき事は、名前を強調し過ぎて相手におかしな印象を与えてしまわないようにすることよ。慣れないうちはあたふたするし、どの方法が自分に合っているのか見つけるまでには時間がかかってしまうのは仕方ないけれどね。相手の情報も得つつ自分のプレゼンテーションもしなくてはいけないし、パーティの達人になるにはまだまだ経験を積まないといけないみたいね・・・ふぅ。
2013年07月16日
カルバン・クライン日記 最新CM編

DownTownというフレグランスのCMなのだけど、元々デヴィッド・フィンチャーはPVやCM出身の監督なのでお手の物なのだけど、何気ない画像処理はさすがよね。
モノクロ画面でダイナミックレンジが広く感じるので、もしかしたらREDのモノクロ専用マシンでの撮影かしらね…まぁ~ご覧あれ…フフ。
2013年07月15日
草花木果日記 自然力アップ編

こちらの商品は柚子湯や菖蒲湯といった日本古来の薬湯に着目し、日本の自然が育んだ植物の力を引き出す知恵を現代の技術で商品化したものなの。通販のみでの取り扱いなので、とりあえず基本の"竹"トライアルセットを注文。
その他にも柚子、どくだみ、緑茶、よもぎと気になるラインナップが勢揃いよ。肌質に合わせてしっとりとさっぱりが選択できるので、迷わず前者をチョイス。早速開封してみると、開けた瞬間にほんのりと果実のような良い香りがしてほっとしたわ。
洗顔ミルクは洗い上がりも突っ張らず優しい泡で包まれる感じ、化粧水は手触りもよく肌馴染みが良いし、透明マスクジェルはべたつくこと無く染み渡り、直ぐメイクに移行出来るのが嬉しい。なんでも使い始めはドキドキするけれど、この香りと肌触りでリラックス出来る感じよ。
少し残っていた化粧水と併用しても馴染みがよく、使っているうちに肌になんとなく弾力が戻ってきた気がするのよね。ただひとつ失敗したのは、肌荒れ対策のどくだみを注文せず、ベーシックな竹ラインを注文してしまったことかしら・・・。
竹は古い角質を除去し毛穴とくすみに対応するシリーズなので、現在の肌にはやや刺激があったかも。2回目くらいで痛んでいる部分が少し痒くなったけれど、その後は全く問題無し。
このところ湿気が高いので鼻まわりが少々べたつくけれど、全体的に肌がもっちりしてきたのは天然成分のお陰かしら。もう暫く使ってみて、今度は肌荒れ対策のどくだみとハリを取り戻す柚子に挑戦してみるわ!種類が沢山在るから悩んでしまうけれど、香りからチョイスするのもリラックス効果倍増で、更に効果的かも・・・!?
2013年07月13日
天国から来たチャンピオン日記 元祖!輪廻転生ムービー編

監督、主演を務めるウォーレン・ベイティは、シャーリー・マクレーンを姉に持ち「アメリカン・ビューティ」主演のアネット・ベニングを妻にした映画界の王子…そして、この作品も見事王道を極めるものとなったわ!
物語は前途有望なフットボール選手のジョーが夢にまで見たスーパーボウル前日交通事故で即死…しかしそれは天使のミスだった!というものよ。既に彼の肉体は火葬にされ戻る事も出来ず、困った天使は天使長と共に彼の魂を殺されたばかりの実業家に送り込むの。
実業家は彼の妻と秘書の陰謀により殺されたのだけど、そこでジョーの魂が入り生き返ったから、さぁ大変。見た目は悪徳実業家、しかし中身はジョーなので、彼らしいスポーツマンシップに乗っ取った仕事ぶりにより、周囲の評価もうなぎのぼり。
これまで彼を敵視していた美女ベティもジョーの姿勢に感動し、やがて2人は惹かれ合うようになったのよ。しかし実業家は元々死ぬ運命…期間限定の仮初めの肉体であるとはベティに告げられず、実業家ジョーは死を迎えることに。死の直前、次の肉体が友人のフットボール選手のクォーターバックであると決まったジョーは彼女に「クォーターバックの男に会ったらそれは自分だ」と促すの。
理解に苦しむ彼女は実業家ジョーの死に悲しみに暮れていたものの、偶然出会ったクォーターバックの男性に不思議なものを感じ・・。
このストーリーの見所は、魂だけが別人になることで起きるドタバタぶり、魂の結びつきが強ければどんな様相であっても関係ないという人間の強い希望、天界と人間界のシステムとはこの通りなのでは?と思える説得力、などなど。
あと、実業家の妻役に「ゲームの達人」で主役を演じたダイアン・キャノン(この作品でアカデミー助演女優賞ノミネート)が良い味を出しているわ!主人公の2人は美男美女なのでロマンティックさに拍車がかかっていて、映画としての要素は完璧。でも自分自身この天界システムが実際に存在し、今もこうして自分が生きているのは予定通りの事なのでは、とつい考えさせられてしまったわ。
太古の昔から自分と自分の半身的存在が、何度も姿を変えてその時代時代を生きているとしたら・・・?そう考えると腹が立ったり悲しくなる気持ちは半減するわね。「なんとなく出会い結ばれた」という話をするご夫婦がいるけれど、これってもしかしたら天界システムのなせる技なのかも・・・。
今作は文字通りハートウォーミングな作品なので、疲れているあなたに是非お薦めよ!汝の隣人も敵も愛せよ・・・そんなレベルまでいけたらいいなあ。
2013年07月11日
まんてん日記 日本よ、これがホルモンだ!編

"肉の味"というのはこういうものなのだ、と直球で伝えてくれたと言えるわね。手始めに、心臓の「ハツユッケ」を生で頂いたの。軽くタレで味付けしてあるけれど歯ごたえがぷりっぷりで臭みも少なく、生が苦手な友人もぺろりと平らげてしまったわ。
次に大好きな煮込みが登場・・・不思議なことに、今まで食べた煮込みの中で一番サッパリとして後味が良いのよ。きっとホルモンが新鮮だから余分な脂が出てないのかも。続いて、七輪でホルモンの5種盛りを焼いてもらったわ。胸腺と直腸の弾力がずば抜けて美味よ。そして肉厚なハラミを塩味でペロリ。
とにかく驚かされたのは、こちらのお店のホルモンはどれも肉本来の味がしっかり主張していることね!他のホルモン屋はタレ味が前面に出てしまうのでやがて飽きてしまうけれど、こちらは部位の旨みをひとつひとつ尊重しているのがお見事よ。
予めお肉に味付けをして出してくれるのだけど、その絶妙な加減が完璧なの。これは最早ホルモン焼きの常識を覆したといって良いかも。今回特に気に入ったのは「レバテキ」!厚いレバに細かく刻んだ葱とゴマ油と塩で味付け・・・思い出しただけでも涎がジュルルよ。
レバ刺しが禁止になった今となっては、この「レバテキ」が王座に就くべきだと思うわ。名残惜しさとお腹の膨れ具合にそろそろ締めを、という事で名物の「アンチョビにぎり」と「冷麺」を頂いたの。どちらもお肉を頂いた後に丁度良いサッパリ感!お肉を注文せず単品で頼むにはパンチが無いかなと思うけれど、すべてはお肉あってのバイプレイヤーなのね。
トータルで計算され尽くした数々のお品・・・いやぁ、参りました。店内はこじんまりとしてシンプル、しかしお肉は新鮮で絶品、接客もなかなかのものだったわ。こちらもお気に入りの1店にカウントよ。さてさて、肉食女子を唸らせる店はまだどこかにあるのかしら?とにかくこちらのお店、「まんてん」です!
2013年07月10日
ヘルボーイ日記2 ゴールデンアーミー編

前作同様、素晴らしい世界観はそのままに、人間臭い味わいがたっぷりあって本当に良かったわ。幼少期のヘルボーイが父代わりの教授から聞かされていた寝物語・・遠い昔強欲な人間は傍若無人な殺戮を繰り返し、その惨状に心を痛めた妖精の王は、ゴブリンの鍛冶職人が生み出した疲れも感情もないゴールデンアーミー軍団で人間を制したの。
やがて人間と妖精は停戦し、その証として王は黄金軍団に命令を与える為の王冠を分割し、人間と自分で所有する事にしたわ。だが妖精の王子だけはいつか人間が再び愚行に走ると断言し、妖精界を去ったの…という物語は実は現実で、王子の人間への復讐が始まるの。
人間を救う為に命を懸けるヘルボーイ達。でも人間達は彼らの容姿だけを見て、内面の優しさや強さを見ようとはしない。愛する人への愛と人間に対する思いに葛藤するヘルボーイ…やがて彼は自分が父親になる事を知るというお話。 人間界は青、異界はゴールドで色分けされているのだけど、毎度の事ながらこの色使いは超ド級に美しいわ。
カルシウムを喰らう可愛くて凶暴な歯の妖精、闇市で出会った"子供の出来物"が体からはみ出している老人、相変わらずの生き生きとしたクリーチャー達は想像を絶する素晴らしさ! でも一番見事だったのはヘルボーイが死の淵で出会った「死神」よ。目は無く、羽にずらりと眼球が並びじっと彼らを見つめるその姿は不気味さを通り越して神聖さが溢れていたわ。人間1人に死神が1人憑くという発想のもと登場した「死神」・・なるほど、本当はそうなのかもしれないと納得してしまった。
ヘルボーイは前作で自分の思うまま生きてきたけど、今作では人を愛し悩み、人間社会との繋がりやジレンマ、そして父親になる事で生きる事の意味を沢山学んだのよ。商業的には夏休みの娯楽映画として謳われてしまったけど、監督は勿論この作品を"娯楽"とは捉えておらず、"アンチ夏休み"と銘打ち、見る人の心に楔を打込む事に成功したわ。
妥協は何一つ無く、限られた予算で創意工夫し、これだけの逸作を毎回生み出す監督のクリエイター魂には完敗!この作品を作りつつ、あの名作「パンズラビリンス」を構想に着手していたというから半端ない!作品作りに挑むこの"アンチ精神"こそがデル・トロ・スピリッツなのだろうか・・!しかし不細工と設定されている主役のヘルボーイ・・自分の目には格好良過ぎなんですが・・。
そして、最新情報によれば「ヘルボーイ3」が見たいとの要請から制作される可能性が出てきたわよ…勿論監督はデルトロで!楽しみ楽しみ!
2013年07月09日
ヘルボーイ日記1 地獄小僧編

漫画を実写化すると、凄く満足するかがっかりするかの二極に分かれるけどこの作品は前者!相変わらず丁寧で小気味いい描写に感心させられっ放し。
物語は第二次大戦末期、ナチスの科学施設で世界を滅亡させる計画が密かに進められ、魔界に通じる穴から怪人ラスプーチンの手によって悪魔の子主人公ヘルボーイが産み落とされたの。でも幼い異形の赤ん坊は連合軍の教授が"ヘルボーイ"と命名し人間の子として大事に育てたの。それから60年、教授率いる超常現象調査局でヘルボーイは半魚人エイブと共に怪奇事件の解決に全力を尽していたけど・・というお話なのよ。
原作の絵が"タンク・ガール"ばりにさっぱりしている分、実写で見ると"恰好良い"奥行きが出るから不思議…相変わらず赤、青、金色の色合いが独特の濃度を持った"ギレルモ・カラー"の上に、幻想の世界の住人がしっかり画面に根づき納得させられてしまう…脱帽です!
でも、ヘルボーイを演じるロン・パールマンがどうしてもトム・ウェイツに見えてしまい、強面ヒーローというより強烈な程恰好良い殿方にしか見えないのよ。原作者は日本贔屓らしく、ボーイの髪型をちょんまげに結わせてるのだけど、皮のコートや銃と良く融合されて違和感が無いのよね。
それに悪魔の申し子でありながら、好きな女性に告白出来なかったり、父親がわりの教授に甘えたり、猫を沢山飼っていたりと人間味あふれる彼の姿には母性をくすぐられっ放しなの。異形だからと恐れられたり罵られたりするボーイやエイブ達を見ていると現代社会を重ね合わせて見てしまう部分もあるけど、他人にどう思われたとしても、自分らしく素直な心で生きていく事がどれほど強いかを再認識させられたわ。
そして「へルボーイ:ゴールデンアーミー」へ…フフ。
2013年07月08日
パンズ・ラビリンス日記 無垢な魂の試練編

一般的なファンタジー好きさんは絶対見ない方が良いわ。精霊や妖しは出てくるけど、人間の内面のどす黒い部分を見事に表現しているダークファンタジーだからね。
以前紹介した「ロスト・チルドレン」や「アメリ」にも共通して言える事だけど、ヨーロッパの映画は緑、赤、黄色の発色が独特で本当に美しいわ。赤や緑は濃度が濃く粘着性のある風合いだし、黄色はゴールドに近いのよ。だからこんな作品が生まれるんでしょうねえ。
物語は、1944年の内戦終結後のスペインが舞台。主人公の少女が、身重の母と共に再婚相手であるフランス軍の大尉の駐屯地へ赴くの。だが冷酷で残忍な新しい父を受け入れられずに悩む彼女は、ある日妖精に誘われ森の中の迷宮へ。そこで牧神(パン)に出会い自分が地底にある魔法の王国の王女である事を知るの。でも王国に戻るには3つの試練をクリアしないといけない・・少女は地底の世界で試練に挑みつつ、現実の世界でも傷つきながら戦っていくの。
そして・・本当の意味でハッピーエンドとだけ言わせて頂くわ・・本当の意味でね。面白い事に本編で登場するアイテムが、道祖神や石庭の渦模様など日本に共通するものが幾つか合って興味深いのよ。極め付けは、両手に己の目玉を挿入して人間を喰らう妖しが日本の妖怪"手の目"そのものなので驚いちゃったわ!それに牧神と手の目の関節をガクガクとさせる特殊な歩き方は、CGと見まごうほどの人離れした表現力!役者さんのレベルも高い!
リンチしたり殺すシーンはどれもリアルで、頬を撃たれて眼球に血液が流れ出る様や、脱脂綿に滲み出る血液の色合いなどは完璧過ぎて言葉も出なかったわよ。
ダークといっても、ここでもやはり一番恐ろしいのは生きている人間ね。サディスティックな少女の新しい父親の所業は"悪魔"そのものだもの。現世であれ別次元であれ"自分にとっての幸せとは何なのか?"という事を深く考えさせられたわ・・日本とヨーロッパではものの捉え方がこんなにも違うのかと楽しみつつ、明日は「ヘルボーイ」!